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双琉と戦ってから数日後のとある日曜、当たり前だが今日は学校は休みである。

校門には
[夏休みにつき休校、ネッテロー! 右渡 太輔㊨]
の張り紙が貼られる、なかなか律儀な学校である。

校門は閉め切られて校舎へ入ることはできない、
通常の学校なら図書館学習などがあったりするのだろうか。

だが、ギル高には存在しない
さしずめ、ZEPPSでやりなさいといったトコロだろうか。

一二三にとってはなかなかハードな日々だった。

その反動か、熟睡中の一二三。
「スシー、スキヤキー、バンザーイ」
変な寝言だ、もはや気分は純血日本人ということか・・・。

チップの真似をしてもますますただの日本被れになるだけなのだが・・・


チャーチャラーララーラー、ラーラーラーチャラーラー・・・
ダカダカダカダカダカダカダカダカ,ズチャチャッチャラーラ

「はぅぁ!!け、携帯??」チャラッチャッチャーラ

一二三の携帯から「THE MIDNIGHT CARNIVAL」が流れてきた。ズチャチャッチャラーラ
彼女曰く、「燃えてきませんか?」だそうで チャラッチャッチャーラ ピッ


「ふぁい、もひもひ??」

「もしもし、樹だけど…もしかして、寝てた?」

「はい、寝てました、、スシースキヤキー」

「??
 ねぇ、良かったらうち来ない? 愛もくるんだけど。」

「は~い、是非~・・・ハラキリー」

「ん、わかった。じゃぁ待ってるわ。」ピッ


時計を見る、午前9時をまわったところか、、



「・・・あぁっ!!
 ふ、不覚、、マジレンジャーと仮面ライダーを見忘れた。。結構楽しみだったのに・・・」

アメリカにいる頃から、日本の特撮は大人ですら十分楽しめる物だ、
というレビューを見ていたので、楽しみにしていたのだが、、寝過ごした。



ピンポーン
「あ、いらっしゃ・・・って
 どうしたの?その頭??」

「??どうかしてますか?」

「いえ、寝癖くらい直しても罰は当たらないわよ・・・」

元来、人の目をあまり気にしない少女一二三。
寝癖なんてなんのその、知ったことではない。


たとえ
 ミツハツ
 (・ω・)
になっていてもだ。


「あ~、愛ちゃんおはよー」

「ん、おはよ・・・ってぉぃぉぃ
 すげぇな、寝癖・・・まるでミツハツじゃんか。
 それとも、ファッションの領域か?」

「愛も試しに(<◎>)にしてみたら?髪長いんだし。」

「殴るよ^^?」

「冗談よ、冗談。本気だったけど。」

「どっちですか、それ・・・」


(それにしても、以外だなぁ・・・
 樹さんの部屋、、これは「少女趣味」と形容すればいいのかな?
 人は見かけによらないよね・・・この一週間でよく分かったわ。)

そう、樹の部屋は、まさしく女の子の部屋。
色に例えるならば、そう・・・ピンクだろう、間違いない。

(樹さんの外見とはかけ離れてるよ、愛ちゃんの方が似合うんじゃ、、
 なんでこんなコーディネイトになったんだろ。。。
 長い黒髪と、キっとした目つきで長身で・・・
 うん、まるでテスタメント♀って感じなんだけどなぁ。
 うん?テスタ♀??・・・そうか。
 テスタ=ディズィー=三歳=少女=そのまま反映!…なぁるほどぉ~)

「ちょっと?一二三??」

「はいはい?」

「何一人でニヤニヤしてるの??」

「い~え、別に^^」

「あらかた、この部屋のレイアウト見て驚いてんだろ。」

「別にいいでしょ、、好きなんだから
 それより、ギルティやろ、気分転換に・・・w」

「転換するのはお前だけ、、な」


悔しくても言い返せない、少女趣味な五所川原樹でした。



『泣いてもしらないよ~』
『君に用はないのだが・・・』

HEAVEN or HELL Duel1 Let's Rock!!

『イルカさ~ん』カウンタッ

開幕、ヴェノムのボール生成にメイの横イルカが刺さる

「・・・お前、身内読み得意だな。」
「負けたら(<◎>)にしてもらうわよ?」
「上等だ。」

『お見事ぉ~』

そのまま拍手起き攻め、メイはジャンプから3択を迫る。

『読めているぞ』

ヴェノムが確実にメイの攻撃をガードしていく。

ビシッ

連携の隙を突いた足払い、脅威の発生4Fだ。
そのままSボール生成

『・・・そこではない』

瞬間移動JSからめくり中段。
JS>屈K>近S1>カーカスを皮切りに一気に固めだす。

『ゆくぞ!カーカスライド!カーカスライド!』
『ちょっときついかも』

確かにきつそうだ。

『ショット!ロマンティーック!カーカスライド!先が読めr』
『もぉー!うるさぁーい!!』カウンタッ

デュービスカーブに合わせてサイクバースト。
ヴェノムが大きく吹っ飛ぶ。

「まだ、終わらないわよ?」

『ファールを犯したな!!』カウンタッ
「こっちの台詞だ。」

負けじとダウンサイクでメイを弾き飛ばす。



「あ、そうだ樹さん」
「ん?なに??」

画面を見つめながら一二三の呼びかけに答える。


「今日のマジレンジャーと仮面ライダー、ビデオ撮ってません?」
「ハイィ!?」

「・・・む、隙あり」


『時間をとらせたな・・・、貫けぇ!!』

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
画面に刻まれるBeat28.29.30.31

『先が読めるか!』
『あゃゃゃゃゃ』


「あ、ごめんなさい」

「あ~、気にしないで、気を抜いたあたしのミスよ。」


『ゆくぞ!ゆくぞ!ゆくぞ!ゆくぞ!ゆくぞ!』

画面内のヴェノムが『ゆくぞ!』を連呼する。
ダスト>JD>JD>HSスト×2の受身不能ダストだ。


「あっ、、ヤバ、ダスト喰らうなんて・・・」
「(<◎>)になるわけにはいかねーからな。」


『すまんな』
端~中央への投げ、そこからモザイク式投げコンボを決めてSLASH


『ごめんねみんなー』

『ハァァァァァ・・・』


「あ、負けちゃった・・・」

「朝の特撮に負けたな。」

「あはは、ごめんね、樹さん
 ちょっと楽しみにしてたから・・・w」

「う~ん、、、、なんて言うかさぁ、、
 その寝癖といい特撮番組といい、一二三、結構変わってるわね。」

「お前に言われてりゃ世話ねえって」

「・・・自分だけまともみたいに言って、、
 ザトー様フォォォ…のくせに。」


なかなか痛いところを切り返してくる。


「・・・、、わかったよ、おあいこだ、おあいこ。」

愛は痛いところをつつかれて苦しそうだ。
これは追撃を決めるしかない。


「フォォォ…」
「フォォォ…」
「・・・やめてくれ、頼むから」

こうして、ギルヲタ三人衆の週末は過ぎていった。



「さて、どう過ごしたもんかな・・・」

佐藤 愛は暇だった。
折角の夏休みを有意義に過ごせていない。

「やっぱ、苦手克服した方がいいかな。」

広告とペンを机の上に広げて、自分が少しでも弱いと思ったところを書いていく。

俺の弱点
  • 速いキャラが嫌いだ
  • ステ青の精度が微妙によろしくない
  • 実はカーカスループがループしない
  • 実は低空ループもできない
  • 目押しが苦手だ
  • シューティングが微妙に単調だ
  • 固めてばっかで崩そうとしてないときがある。
  • 弱い
  • 名前

書いてみると意外と弱点はあるものだ。

「さて、このうち早急に直すべきものは、
 やはり1番と2番、6番あたりか。誰かと一緒にやった方がいいな・・・
 つーか、8番が直せればこの上ないんだがな・・・」

誰かと一緒にやると思い立ったものの、
一緒にできそうなのは樹か一二三くらいしかいない。

「メイとチップでは速いのはチップだな。
 よし、一二三と一緒に練習しよう。」

そう考え携帯を取り出す。
しかし、愛は一二三の番号をしらなかった。

「・・・聞いておくんだったな。しかたない、樹に聞くか。」

トゥルルルルル ピッ

「もしもし?珍しいわね、愛からかけてくるなんて。」
「なぁ、一二三の電話番号教えてくれないか?」
「一二三?携帯なら○○○ー△△△△ー××××だけど?
 なに?もしかしてデートにでも誘うの?」
「馬鹿なこと言ってねぇで練習でもしてろ。」
「怪しいじゃないのよ、まったく、愛も隅に置けn プチッ

強制的に通信を途絶させる。
これ以上樹の戯言になど付き合っているわけにはいかない。
俺は弱点を克服しないと明日が来ないんだ。別にそんなことは無いが。

早速教えてもらった番号にかける。

トゥルルルルル トゥルルルルル ピッ

「もしもし?」
「一二三か?・・・俺だ」
「・・・誰ですか?」
「いや、、、俺。」
「俺って言われてもわかんないです。」

俺は正直なところ、自分の名前を口にしたくない。
自己紹介なんかも「佐藤です」で終わりにしたりしてしまう。

「・・・愛だよ」
「なんだ、愛ちゃんですか、最初から言えばいいのに」
「自分の名前をあまり口にしたくない。」
「わがままですね、、何か用ですか?」

わがままってな、、俺の気持ちにもなってみろ。

「暇なら一緒に練習しないか?」
「はい、暇ですので是非。」
「俺の家わかるか?」
「一応、微妙に危ないかもしれませんけど・・・」
「んじゃ心配ないな、待ってるぞ」
「え!ちょtt プチッ




今のは切らない方が良かったか・・・?



「困ったなぁ・・・」

一二三・エア・プロヴォークは迷っていた。
愛の家がわからないからである。
とりあえず、いつも愛と別れる場所まで来てはみたが・・・解らないものは解らないのだ。

「やっぱり、電話して聞いた方がいいかな。」

そう思い立って早速樹にかけてみる。
「一応わかる」といって切られたばかりなので愛にはかけづらい

トゥルルルル ピッ

「もしもし?」
「あ、樹さん、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「なに?なんでも答えるわよ。」
「愛ちゃんの家はどこなんでしょう・・・?」
「ゥエェーーーーッ!!」

樹が必要以上に驚く。
というか、驚く理由などこれっぽっちも存在しないはず。
にもかかわらずこのリアクションとは。。

「え、何か変なこと聞いちゃいました?」
「いえ、何でもないわ、若いわねぇ」
「はぃ?いや、ギルティの練習しようって誘われまして。」
「・・・」
「樹さん?」

樹の動きが止まる、見えないが電話越しに伝わってくる。
そう、これは「あれ・・・?」といった雰囲気だ、伝わってくる。

「・・・なんでもないわ、愛の家ならコインランドリーの向かい側よ」
「コインランドリーの向かいですね、どうも。」ピッ


電話を切る、しかしさっきの「ゥエェーーーーッ!!」は気になる。

「見つけるのに苦労しないほどわかり易いのかな・・・?
 それとも、実はすぐそこにあるとか、、
 あ、あった。コインランドリー。
 ということは、、、この家かな?」

見つけた家はごくごく普通の家だった。
別に異常に豪華なわけでもなければ、異常にボロいわけでもない。
真実を知れば知るほどさっきの反応は謎のベールに包まれる。

ピンポーン
「ん?あぁ、一二三か、まぁ上がれよ。」
「お邪魔します~。」
「悪いな、練習つき合わせて、」
「いいんですよ、私も練習するんだし。
 ところで、なんで樹さん誘わなかったんですか?」

ふと思い立った疑問をぶつけてみる。
練習するなら3人でやったほうがいいはずだ。
愛は少し考えた後にこう答えた。

「ん・・・、速いキャラが苦手だからだ。」
「・・・それ微妙に回答がズレてません?」

「気にすんな」


「流石に驚いたわ・・・」

五所川原樹は困惑していた。
何故困惑してるかって、数分前に掛かって来た2本の電話のせいだ。


一本目の電話は愛から
『一二三の番号を教えろ』
と言われたので素直に教えてあげた。

ついでに
「デートにでも誘うの?隅に置けないわねぇ」
とからかってやった。



数分後


二本目の電話は一二三から
『愛ちゃんの家を教えて』
と言われた。


この時、既に私の頭は要らぬ詮索をしてしまった。
要らぬ詮索どころか、自分の愚かさを思い知らされた気がした。

『番号教えて→デート?→馬鹿、ちげーよ→愛ちゃんの家は?』

『番号→デート→馬鹿→家』

『デート→家』


デートと家が直結してしまった。


このときの頭の働きっぷりといったら・・・
危うく脳がピンクに染まるところだった。
『デートから家へ』
馬鹿だ、私ってば相当の馬鹿だ・・・メイの使いすぎで脳が染まったのかな・・・?


いくら、若い高校生の男女からそれぞれ電話がかかってきたからといっても、
私が正常なギルヲタなのであれば、直結で『ギルティの練習』という結論にたどり着くはず・・・
それにもかかわらず、他人の色恋沙汰の心配をするなんて、、こんなんじゃいけないわね。

「・・・反省しなきゃ。」

そう思い立ってスティックを持つ。


しかし、結局練習するのはメイなので、彼女の脳の汚染度が増すのは目に見えていた。



その日、
「ギルティの練習はやはり、ZEPPSでやるに限る。」
そう考えた樹はZEPPSへやってきた。

(実戦こそ、最高の練習よね・・・。)


そう思いつつ50円を投入し、ゲームを開始する。

(うん、そうねぇ・・・ここはイルカ縦を使って攻める方が・・・)

CPU戦を軽くこなしていると、見かけない2人組みが視界の隅に映った。



「やっぱ、ギル高の隣だけあって活気あるな、ここから俺の第二の人生が始まるんだ。」
「もー、独り言の癖は治したほうがいいよ?」



(ん?見ない顔ね・・・。私って、転入生とゲーセンでエンカウントする確率高いわね、一二三もそうだったけど。)


「ギル高生の強さはどんなもんかな、と」
「んもぅ、ケンジ一人でばっか喋らないでよ。」




『夕飯はベジタボー!!』


(・・・言ってるそばから乱入。さっきのカップルね。)


画面が切り替わり、カーソルはゆっくりと右下へ下りていく。


直前の会話から予想すると、乱入してきたのは男の方だろう。
画面に赤いザッパが姿をあらわした。


『ヤバイ、ヤバイって、、このままだと・・・キタァァァァァァ!!』
『子供だと思わないことだね。』

HEAVEN or HELL Duel1 Let's Rock!!


『助けて、助けて』ピコピコピコピコ

開幕、ザッパはバックステップ2回、メイはそれを追うようにダッシュする。


(・・・ムカデかしら)


FDで急停止をかける。読みどおり、ザッパはムカデを出して霊を呼ぶ。


「さて、今日の一発目は何かな。」



――――――剣だ。


(気のせいかしら、、筐体の向こうからボソボソと独り言が聞こえる。)

筐体の向こう側からはボソボソとなにか独り言が聞こえてくる。
ちなみに、筐体の中でもザッパが独り言を呟いている。

『夢だけで飯が食えるか!!』
いつ聞いてもなにかを考えさせてくれる独り言だ。
夢だけで飯は食えるのだろうか・・・食えるような気もするが、食えない気もする。

(・・・ダブル独り言ね、なんか怖い。)

『肉切らせろぉ~~。』

お互い微妙な距離が離れたまま牽制を振り合う。
沈黙を破ったのは樹のメイ、不意をついてイルカさん縦で奇襲をかける。


『突撃ーっ!』
『キィイイイィィィヤァァァ!!』


「お、今日の俺は結構冴えてるな。」

(なっ、、金バーストを合わせてきた。。このザッパ、なかなかやるわね。)


その後も、剣の先端を当てるように上手に間合いを計って牽制を繰り返す。
時々置いてくる昇竜青がアクセントになってやたらとやりにくい。
ついでに、時々聞こえてくる謎の独り言がスパイスになってもっとやりにくい。

(あくまでも相手は剣よ。隙が大きいのは白日の明じゃない。
 うん、パターンはなんとなく解ってきたわ・・・次ね、バーストで追い返す。)

『もー、うるさーい!!』


『史上最大の悪夢!!』

メイが放った渾身のサイクバーストは、ザッパに当たることはなかった。
サイクの瞬間、ザッパは「産まれる!」を発動。馬鹿長い無敵時間でサイクを避ける。

「ふ~、あぶないあぶない、やっぱり産まれるは頼りになるな。」


(・・・サイクを産まれるの無敵時間で避けるなんて・・・
 なかなか面白い相手に会えた物ね、でも状況は良くない・・・
 画面端、ダウン、相手は無憑依・・・つぎの憑依次第ね。)


「大事なムカデだ、頼むぞ・・・でろよぉ・・・。」








―――――ガゥルルルルル


「やった、ここで犬だよ。やっぱり俺ってば今日も憑いてるな。」



(あ、、犬でた・・・犬でちゃった・・・無理、捨てゲー安定・・・)

そう、樹はザッパの犬連携はもちろん、幽霊による連携すら抜けられない。
いい様に固められるだけの樹、連携に隙が見当たらない・・・。


(あっ、ヤバッ、、、投げられた・・・。)

『カウンタッカウンタッカウンタッ』

崩れてしまえばもはやザッパと犬の独壇場。
成す術もなくGBMAXからコンボを決められ負けてしまった。


『もう少しだったのに』

『コレはッ・・・一体どうした・・・!!』

「よし、ギル高前での初勝利だ。」
「まだ1ラウンドだけだよ、気を抜くと負けちゃうよ?」


(・・・犬ハメなんて抜けられるわけないってば・・・。無理無理。)


2ラウンド目はそれこそ目も当てられない光景が広がってしまった。
開幕にムカデを喰らって霊魂3つ。
その後、帰ってこないで下さいを数発もらって霊魂5つ。
産まれるぶっぱから屈P>屈K>ムカデ喰らってラオウ憑依。


そして、ラオウがぶっぱなしたエドガイにぶち当たってそこからアンセムループ。


そのときの体力の減り方といったら、、まさに『怖いよ~。』の一言につきる。


「おめでとう、ケンジ。」
「あ、あぁ、、ありがとう、なんかまた色々助言してくれたね・・・」


(助言・・・?ていうことは何?対戦中に次何がきそうか女の方が教えてたの?
 なるほど・・・だからあのサイクをあんな風に返すわけだ・・・。
 とりあえず、、面白そうだから声かけてみようかな。)

「ねぇ、君達、転入生?」
「え、はい、そうです。田舎から上京したてで・・・」

少し頼りなさげに男の方が答える。

「ケンジ、自己紹介くらいしなよ。
 わたし、夜貞 子澄です。よろしくおねがいします。」
「五所川原 樹よ、よろしく。」

「えーと、剣 犬助です、よろしくお願いします。」

「あれ?ケンスケ?」

「え?別に可笑しな名前じゃないと思うんだけどな・・・」
「いえ、さっきケンジって読んでたような気が・・・。」

「それ、あだ名なんです、頭文字が剣と犬で、ケンが2つでケンジなんです。」
「なんだ、そういうことか。それじゃ、私はこれで帰るね、また。」



・・・会話してても独り言って言うものなのね。初めて知ったわ。



 一方そのころ、愛の家 

『ここが、墓場になるとはっ』
『カミカゼ!』

だめだな、やはり動きに翻弄されだすととことん付き合ってしまう。
そもそもヴェノムがチップに追いつけるわけがないのだ。

勝つためなら、付き合わずにマイペースに試合を運ぶなり、事故狙いで振り回した方がいい。
まぁ、事故狙いで振り回したところで、一二三のチップには当たりそうにないが・・・。


「やっぱり、ボール作った方がいいですよ」
「でもなぁ、一個作る間にダッシュで潜ってくるしな・・・、」
「デュービス使えばいいじゃないですか。」


・・・なるほど、言われてみればそうだ。

ヴェノムには攻撃判定つきボール生成『デュービスカーブ』があるんだった。


「なんで気づかないかなぁ・・・」
「はい?」
「いや、俺が。」


どこか、微妙に集中力が散漫しているのが自分でもわかる。
やはり俺自身、ペースを乱されるのが嫌いな性格だからだろう。
画面端で相手を固めてるのが一番楽しい、むしろ楽だ。相手のGBが点滅するのは大好きだ。


「それじゃぁもう一回やりましょ~」
「ん、、、あぁ」



HEAVEN or HELL Duel1 Let's Rock!!


・・・クソ、動きがウザイ。。ドリキャンも厄介だ。
つくづく精神的に嫌らしいキャラだ。その上手裏剣とは、このヤロゥいい度胸だ。


『色即是空!!』


おいちょっとまて・・・牽制屈Sヒット確認万鬼って、一二三どんな目してんだよ。
チップの屈Sなんて速すぎてヒット確認したころにはモーション終わってるだろ・・・。
あ~あ~、体力もう見えなくなってきたぞ・・・。



・・・ってダメだ、ダメだダメだダメだ!!
何を考えてんだよ、今お前は何を思ってこの万鬼を喰らったんだ!
相手のペースに引き込まれるからそこにある勝機を見逃すんだ。
集中しろ、集中して見ろ、愛。屈P・・・屈P・・・屈K・・・投げ?いやダスト!!

『じれってぇ』
『ショット!ロマンティーック!』

崩しのダストにスティンガーで割り込む。
そこから FRC>ダッシュ近S>屈S>足払い>K生成

そうだ、相手はチップだ、
三、四回も崩せば確実にシショる、一回逃げられたら確実に殺される。


『ハァッ、デュービスカーブ!』

ダッシュJK>裏周り着地屈K>近S>HS>Sデュビ


残り5割・・・
バックダッシュJSから着地ストか、いや、あえてもう一度下段だ!

『ショット!ハァッ!!』

ダッシュジャンプ>バックダッシュJS>着地足払い>ステ青>JS>JHS>P生成


残り2割・・・
最後だ、崩せば勝てる。余計なことは考えるな。
そうだ、最後だ・・・、ステ青先行入力スライドストラグル・・・
入力難度は高い、だが、、今の俺には「失敗」の二文字はない!

『ショット!ゆくぞ!カーカスライド!!ハァッ!ダブルヘッドモービット!!』

2段J>JK弾き>着地屈K>ステ青>スラスト>近S1>カーカス>近S>HS>ノビタ



・・・『ゲームセットだ。』

・・・勝てた・・・



「うわっちゃ、、最後完全に逆転されちゃった。さすが愛ちゃん。」
「・・・ん?あ、あぁありがと・・・」


・・・勝てたか、途中でなにかの境地に至ったかな。
さしずめ『明鏡止水』って感じか、やべぇな、アニメキャラの仲間入りか?
でも、心の中で悶々と喋り続ける俺ってのはなんか怖いな、うん。

「もっかい!リベンジ!」
「おう、受けて立とう。」




― S L A S H ―




『ザトー様ァッ!』
『遅すぎんだよ!!』



・・・今のはいつもの俺だったな。




「なぁ、ホントにやるのか?」
「うん、たまにはいいじゃないの」
「楽しそうですねぇ・・・。」

今日は樹さんの地元のゲーセンの3on3大会にみんなで出場することになりました。
でも特に参加制限はないといっても、専門学校生が大手を振って参加していいものか・・・。

初心者狩りが大会で行われるなんて悲劇だけは勘弁して欲しいです。


「ついたわ、ここよ。」
「・・・波乱の予感がするぞ」
「・・・と、とりあえずエントリーしましょうよ。」

エントリーのために店内に入ってみると、ゲーセン特有の活気が伝わってきます。
微妙にタバコくさい、、タバコは嫌いなんだけどなぁ。


「すいません、ギルティギアの大会参加希望なんですけど」
「それでは、名前とキャラをコチラに記入してください。」
「猛者シャチさん、、メイ、、と。2人のぶんも私が書いておこうか?」
「それ以前に『猛者シャチさん』てのはどんなリングネームだ、お前。」
「も、、もさしゃち、、、?」


『猛者シャチさん』それが樹さんのプレイヤーネームみたいです、
そういえば、私はそんな物は考えたこともありませんでした。どうしようかな。


「一二三、プレイヤーネームは?」
「えぇ、、っと、決めてないです。。」
「え?あぁ、そうか、、、じゃぁ適当に決めちゃいましょう。」


あ、樹さんが決めてくれるんですか?
それは大助かりですね、、、、でも愛ちゃんが不安そうな顔してますけど・・・。


「『カミカゼ特攻少女』は?」
「なんだよ、その縁起の悪い名前は。」
「それじゃぁ、『ペーパーロリータ』?」
「酷ェ。。。」



結構、すごいネーミングセンスの持ち主だったですね。
う~~ん、何にするのが一番いいのかな、、樹さんみたいには思い浮かばないなぁ・・・


「『手裏剣マン』?」
「一二三は女だぞ」
「だったら、『ハラキリ切腹ちゃん』!」
「自殺してどーすんだよ!」
「じゃぁ『エアニー』ってのは?」
「なんだそりゃ?」
「いや、ほら『オガニー』っていうのにちなんで。」
「お前なんでオガニーって言うのか知らねぇだろ・・・。」


う~~~ん、まずいなぁ、、何にしようかな。。。。。。あ!

「決まりました決まりました」
「ん?」「お?」
「SΩJってのどうでしょう???」




沈黙が流れる。
・・・完全に2人の時が止まった。


「ΩってのはOのこと?」
「はい。。」
「なんつー意味だよ。」
「Soul Ωf Japan。。。」

「「あぁ、日本魂ね」」



「それじゃぁ、一二三の名前は『SΩJ』ってことで、チップ。。と」
「あとは俺の名前か?」
「そうですね。愛ちゃんもプレイヤーネームあるんですか?」
「いや、俺も無いな。。」


よし、ここは一つ、愛ちゃんのためになにかいい名前を考えよう!
そうだなぁ、なにがいいかな、ヴェノム・・・ヴェノム・・・。


「じゃぁ、これでお願いします。」
「かしこまりました。メンバーの確認をさせていただきます。」


・・・あれ?樹さんメンバー表提出しちゃった。

愛ちゃんの名前どうしたんだろ・・・なんだか胸騒ぎがするんですけど。


「チーム名はどうしますか?」
「・・・『恋するヴェノム様』でお願いします。」

「なんだそりゃ!!」
「なんですか、その恥ずかしい名前は!!」

「かしこまりました。」
「かしこまるな!!」


樹さんの独断で恐ろしいチーム名になっちゃった、、恥ずかしい。
それにしても、、愛ちゃんの名前は何になったんですか。。??


「ほらほら、一回戦始まるわよ。」
「てめー、俺の名前何にした!」
「ひ~み~つ~」



「第23回。ギルティギアイグゼクス、3on3を開催します!!
 では、まずルールの説明から、各チーム先鋒、中堅、大将に別れてもらいます。
 そして、先鋒、中堅、大将同士で戦ってもらい、先に2勝した方の勝利です。」



「まずは第一回戦。
 『恋するヴェノム様』vs『我らアサシンズ!』」


司会者、改め解説君がチーム名を読み上げる。
なんていうか、、どっちも変な名前だ。


「あぁ、そうそう、先鋒はアンタだから。」
「・・・おれ?」


「まずは先鋒戦!!
 『ザトー様フォォォ…!』対『黒き影』です。」


「てめぇ!なんつー名前にしやがった!!」
「あんたはこれしかないのよ。」

愛が樹に抗議するが、時は既に遅かった。
甘んじるわけにはいかないがこの名前を受け入れるしかあるまい・・・。


「ザトー様フォォォだってー!」
「すげぇな、惜しげも無いネーミングだ!!」
「フォォォ・・・アハハハハ!」
「フォォォォォォォォォ!!!!!」


会場が笑いとフォォォに包まれる。
相手チームさえ笑っている。


「・・・テメェら、絶対に笑ったこと後悔させてやる。」

若干の怒りと共に筐体に座る。
あぁ、ここで梅喧や闇慈を選んだら会場がしらけるんだろうなぁ・・・
などと思いつつもヴェノムを選択する、そもそもヴェノムしか使えない。

一方相手は・・・エディだった。


『愚弄してくれたな・・・例え、骸だけでも・・・返してもらうぞ!!』
『ならば貴様の体を貰おうか。』

「さぁ、一回戦は、エディ、ヴェノム!えぇ~、先ほどから会場は笑いの渦に包まれております。」


(・・・なんで相手がエディなんだよ、、地域ぐるみでグルか?)

「アハハハ!!相手ザトー様だ!!」
「やばい、腹が痛い!!」

(・・・『我らアサシンズ!』だったか?まずはこのエディを叩き潰す・・・!笑ってられるのも今のうちだ!!)



HEAVEN or HELL FINAL Let's Rock!!



(開幕、エディは浮遊JKか・・・。
 悪いが今の俺はそんなウザイ事には付き合ってられねぇ!!)


『無駄な時間は省こうか!!』

「さぁ、開幕。
 おぉっと!いきなり金サイクだ!!ザトー様危ない!ザトー様危ないぞー!!」

JKを金バーストで吹っ飛ばして、倒れているエディの方へ走る。

(一気にぶっ潰す!!二度とこのふざけた名前を笑えないようにしてやるからな!!)


『覚悟を決めろ、ダークエンジェル!!』

開始5秒後のダークエンジェル。
ダーク>P生成>S生成で攻めの準備をする。

(よし、このまま固めきって殺すか。
 ・・・いや、ここは更なる恐怖を味わわせるしかないな。
 俺の名前を笑ったヤツに容赦はいらねぇ!!)

「いきなりのダーク!ボールを生成して、、攻めに移るのか?
 いや、もういちどダークエンジェルだ!開幕からダークエンジェルが二つ!!波乱の予感かぁ!?」

『覚悟を決めろ、ダークエンジェル!!』

再度ダークエンジェルを放つ。
ダーク>HS生成>K生成でボールが計4つ生成される。

(・・・さらば、エディ
 もう貴様が画面端から出ることはない。)


『ゆくぞ!マッセ!マッセ!ハァッ!デュービスカーブ!!マッセ!
 ふんっ、ハァッ!マッセ!ゆくぞ!デュービスカーブ!!マッセ!
 マッセ!ショットロマンティーック!マッセ!ゆくぞ!ゆくぞ!マッセ!
 ゆくぞ!ゆくぞ!デュービスカーブ!!ショットロマンティーック!マッセ!』

「凄い!鬼のような攻めだ!!
 まだ終わらない!まだヴェノム頑張る!!
 ヴェノム頑張っています!!まだ終わらない、これがヴェノムだぁッ!!」


「・・・愛ちゃん気合入ってますね。」
「・・・まさに鬼のような固めね・・・。」

『やってくれたな!』
『よめているぞ!ふん、デュービスカーブ!!ショットロマンティーック!』

「ここでたまらずサイク!あぁー!読まれてたぁ!!」

バーストガード>近S>デュビ>屈S>スティ青>JS>JP>JS>JHS

JHSで再び相手を地面に落とし起き攻め
まだまだ、愛の鬼のような固めはつづいた。。これでは拷問だ、、


「相手が可愛そうです。」
「ザトー様への愛の鞭ってやつよ・・・。」


『レッドヘイル!!』


― S L A S H ―

『まるで相手にならんな。』

 R A K U S Y O


「締めはレッドヘイル、、勝ち挑発まで飛び出しました。先鋒戦、ヴェノムの勝利です!」



「え~、波乱の幕開けとなりました、今回の3on3・・・
 続きまして~、中堅戦・・・『SΩJ』対『本物紳士』!! チップ・・・スレイヤー!」


「中堅は私ですか?」
「うん、頑張ってね。」
「相手スレイヤーだぞ、大丈夫か?」

確かに、チップとスレイヤーは滅法相性が悪い。
一撃事故すればそのまま体力が無くなってしまう。

「大丈夫ですよ、チップ:スレイヤーは7:3ですから。」

「「・・・なんだその無茶なダイヤは」」

確かに世間一般的な視点から見れば無茶なダイヤだろう。
しかし、もしチップが被弾しないのなら申し分のないダイヤでもある。
そんなことほぼ無理だからやばいダイヤがつくわけだが・・・。


『お前、死相が出てるぜ?』
『心配しなくてもいい、手加減はしよう。』


HEAVEN or HELL FINAL Let's Rock!!

「さて、中堅戦は、チップ対スレイヤー・・・
 なんといいますか、紙に削岩機が突き刺さるのは、正直同情を誘いますが・・・どうでしょうか。」

カウンタッ

「開幕、スレイヤーのHSに遠Sが引っかかって、
 ここでDステップ、あぁっと!スシがじゃない間違った、γが届いた!!」

『シュッ』
『γブレィ!』

Dステップにγが刺さり、ダッシュHS>JDで落とす。

『じれってぇ!サシミ!』

「サシミでダウンを奪って、起き攻めはぁ・・・?裏JS、しかし重なっていない、ここで再びDステップ!!」

(またDステ・・・、派生は、、、関係ない、か)

『ペースを上げるぜ!!』


「Dステップ派生に金サイク発動!!このチップはそこらでシショるチップとは違うみたいだ!!」

『セィ、ハッ、じれってぇ!フジヤマゲイシャ!!』

「チップ勢いに乗ってます!このチップ・・・こういうのを神チップとでも言うんでしょうか・・・まるで被弾しません。
 さて、スレイヤー残りは3割といったところでしょうか・・・
 しかし、、スレイヤーにはパイルがありますからねぇ、吸血とか、、アレとかコレとか色々・・・えぇ。」

『スシ!バンザイ!!』

「スシから・・・ここでバンザイ!!?こんなんあたる人も珍しいかと思うんですけど、って当たっちゃったー!!」

『死んだぜテメェ・・・斬星狼牙・・・』
『おぉぉぉぉぉ!!』

「はい、バンザイから・・・斬星狼牙、紳士スレイヤー。お疲れ様でしたー。え~、逆パーフェクトですね、、いいもん見れました。
 えー、というわけで、二回戦、というか準決勝進出は『恋するヴェノム様』チームです、次も頑張ってください!!
 え、はい、残念ながら大将のポチョムキンの出番はありませんでしたね、また次回お願いします~。」


結局一二三のチップは一発も被弾することなく圧巻のパーフェクト、
やはり専門学校生が地方の大会に出るのはやばかったのではないだろうかという疑問が再び浮かんでくる。


「なぁ、樹よ、紙と髭は7:3だと思うか?」
「いくらなんでも無理な気がするけどね・・・。」
「俺はいま10:0をつけたい気分だ。」
「・・・奇遇ね、あたしもよ。」



一回戦が終わり、他のチーム同士が戦っている間は空き時間になっている。
三人はとりあえずジュースでも飲みつつ休むことにした。

「・・・ねぇ、あそこに居る人見たことない?」

最初に気づいたのは樹だった。
ゲーセンの隅のほうにコッソリと、しかしむさ苦しい男が立っている。

「あぁ・・・、見たことあるな。教師じゃなかったか?」
「たしか雷悪先生とか言いませんでしたっけ?」

なるほど、確かにあれはギル高の雷悪 踏蒼教師だ。
しかし、ギル高の教師がこんな地方のゲーセンに何のようだろうか・・・?

「・・・まさか、ギル高生がこんなとこで荒らしてないかチェックしてんじゃねぇの。」
「そ、それはヤバイわね。。。」


もし、そうなのであれば、見つかるわけにはいかない。
しかし、対戦する以上必ずいつかは気づかれてしまうだろう。

「雷悪先生、こんなところで何してるんですか?」


気が付くと、いままでそこに居た一二三が向こうにいるではないか。
しかも、堂々と雷悪に話しかけている。

「なにやってんだ一二三ーッ!」「指導されるわよ!」

しかし、2人の心配をよそに、雷悪は何を叱るわけでもなかった。

「ぬ?いや、編入実技試験を兼ねてこの大会に参加してる奴がいるのでな、それを見ている。」
「へぇ~、そうなんですか~。その人いまどこですか?」
「いまあそこの台で戦ってるジョニーだ。」

雷悪が指差す方をみると丁度それらしいジョニーが戦っていた。
なるほど、なかなかの逸材のようだ、特に攻めのテンポがいい。
投げから燕カス、霧ハメ、ディバコン。どれをとってもよく出来ている。


「おまえらも参加してるのか・・・、まぁ頑張れ。」


そう言うと雷悪は再び、そのジョニーの方へ顔を向けた。

ただ、、気のせいだろうか・・・、視線は隣のカプコンの格ゲーに向いている・・・。