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その後、ギル校で職員と対戦した。
若干手を抜かれてる感じはしたが、自分の実力をアピールできたと思う。
結果、俺は二年生で入学ということになった。
あいつと一緒のクラスだといいな・・・
さすがに二回も女性の部屋を訪ねるのはあれだ。寝ることにしよう。
自己紹介をどうボケようか考えつつ、眠りに落ちた

ギル校に入学。
諏訪とは離れたが、別にいいだろう。
転入生歓迎ということで、組み手を強制的にやらされた。
結果は・・・惨敗。勝てた試合は少ししかなく、その勝てた試合も実力かどうかは怪しかった。
この前の3on3でギル校生徒を見たが・・・ここまでレベルが高いとは思っていなかった。
やりがいがある・・・
そう、これはむしろ喜ぶべきことだ。
底辺から這い上がっていく方が面白い。俺はそんなタイプの人間だ。

昼休み。これだけでかい学校なら食堂もきっと豪華なメニューに違いない。


甘かった。いくらでかいとはいえ、ゲームの学校であることを忘れていた。
そのメニューは聞いたこともないものばかりだ。
しかし、みんなは平気で食べている。どうやら名前が凄いだけらしい。
ふと見ると、端っこに諏訪がいる。
「なあ、何食ってんだ?」
諏訪に問う。もふもふと兎のようにゆっくりと食べていた諏訪が面を上げる。
「トマトサンドよ。」
とだけ言うとすぐに食事に戻る。どうやらお気に入りらしい。
いつもの凛とした諏訪ではなくただの女の子のようだ。至上の幸福というのは顔の作りや雰囲気まで変えてしまうのだろうか。
「俺もなんか食うとするかな・・・」
その日の昼は適当なパンを食べた。
美味いとは言えないが安定している。俺は冒険は避けるタイプなのだ。

放課後、体育館に行く。
やっぱりうじゃうじゃいる。対戦中のやつらが。
俺はどんどん乱入する。どんどんボコられる。

ジョニーに乱入。同キャラ戦はあまり経験がないので今のうちに対戦しておこう。

開幕、コイン読み6K。しかし6K読みの6Pからコインまで繋げられてイニシアチブを握られる。
「まずいな・・・」
俺は早くも画面端付近だ。前に受身すると投げられるかもしれない、いや、投げられていたであろう。
相手のジョニーからはそれぐらいのプレッシャーが放たれている。
落ち着け、落ち着け・・・
ゆっくりと相手のジョニーが近づいてくる。
とりあえず、画面端から逃げなきゃな・・・
「もらった!」
6HSを出す。ガードされる。問題ない。それをきっかけにして画面端から脱出する。
今度はお前が壁を背負う番だ。
6K。
「遅い」
ざくり、と嫌な擬音がして俺のジョニーがよろける。
「見てから余裕でした、ってか。」
ジョジョブレだ。見てから合わせられた。
自分で使ってる分には問題ないが、相手にするとこれほどやっかいな技だとは。
よろけ回復からバクステを二回。ステップから6Kで距離を詰められる。
やり返してやる!
「遅い」
こっちがジョジョブレを出すと相手のジョジョブレがカウンターする。
6Kがノーマルガードだったため、相手側に2Fの有利がつく。
もちろん、俺の方が後だしになる。
よろけ回復。しかし、依然相手のターンだ。
相手は6HSからディバ追加青で近づいてくる。
しかし、6HSにJ仕込みをしていたのか、ディバ追加青>ダッシュHSの中段をくらう。
慣性ディバコンをくらい燕カス。端から逃がしてくれる気はないらしい。
2ラウンド目もあっさり負け、レベルの違いを実感した。
「もうちょっと経験を詰む必要があるわね。」
「んだよ、お前かよ」
対戦台の向こうから現れたのは諏訪だった。
「放課後も残って対戦だなんて、なかなかに熱心ね。」
「お前もな。それに俺は」
「退屈なのがなにより嫌いなんだ、でしょ?」
クス、と上品に笑う諏訪。
食堂ではあんな顔してたのに・・・女ってわからん。
その後も諏訪とジョニー関連の話と対戦をずっとしていた。
これが俺のギル校での初日だった。

今日はすごく特別な日だ。
ギル校の特権なのか、闘劇の様子が中継で見れる。各クラスに置いてあるテレビに映し出されるのだ。
「すげえ・・・」
誰もが息を呑む。
一つ一つの牽制、コンボ精度、読みがずばぬけている。
どのプレイヤーもだ。
そのプレイヤー達が駆るキャラは、相手を倒すために主の思うとおりに動く。
今まで積み重ねてきたすべてが持ちキャラに宿る。ゲームでありながらも芸術だと思うほどに。
全国ではトップクラスだと思っていたギル校生徒も、このプレイヤー達の前では霞む。
なにより、この闘劇本戦にギル校の生徒はいない。
すべて予選で敗退したのだ。
ギルティギアというタイトルだけでも数時間に及ぶ闘い。
それでもテレビの前から離れたのは一人もいなかった。
「今の見たかよ・・・あんな起き攻めガードできるわけねえ」
「そこでそれをふるのか?しかし、カウンターヒット。ううん・・・」
持ちキャラだけでなく他キャラの動きもしっかりと観察する。
そして闘劇が幕を閉じる。
結果、某エディを擁するチームの優勝だった。
どこが優勝していてもおかしくない名勝負。ギル校生徒だけでなく、全国のプレイヤーのモチベが一気に上がることだろう。


当然とも言うべきか、闘劇終了直後にはそこらじゅうの筐体にギル校生徒は散っていく。
もちろん、俺も諏訪も例外ではない。
職員室までいく輩までいるぐらいだ。
なにより今日は特別な日。
この日ばかりはギル校は24時間全面開放。
半分ぐらいの部室が仮眠室(男子用と女子用で分けられる)になる。廊下で寝るのもいる。
家に帰る者はほとんど風呂や食事によるものだろう。どうせすぐに帰ってくるが。

俺と諏訪は食堂で飯を食べることにした。
「闘劇、凄かったな」
「そうね・・・あれが全国のトップ。いつかあそこに立っていてやるわ。」
今日はトマトサンドよりギルティの方に思考がいっているらしい。
当然といえば当然か。あんなものを見せられちゃあな。
諏訪と一緒に闘劇・・・と思ったらキャラが一緒だ。
俺たちはいずれ敵になる。チーム内で同キャラは不可能だ。
「敵になっても手加減なしよ?」
「・・・当たり前だ。お前こそ手加減したら、承知しないぞ」



対戦を重ねる。何度も何度も。
飽きもせず。対策を立てながら。闘劇プレイヤーの動きや連携を試し、真似る。
対戦を重ねる。何十回何百回も。
いずれは疲れ果て、仮眠をとる。
目が覚めたら、また対戦だ。
学園祭や修学旅行も近い。
ギル校なんだからただのイベントではすまないだろう。
―――――望むところだ。
脳が睡眠の信号を出している。もう寝よう。
今夜はいつもより熱く、深く。最強の夢を見る。

――――教室の空気が重い。だが、それでいて刺さるように鋭い。
教室から・・・否、教室にいる生徒からそれは発せられている。
ほとんどの生徒から鋭利な殺気と針の穴に糸を通すような集中力が感じられる。
まるでチップがスレイヤーを相手にするときのようだ。
殺気や覇気、集中力が混沌としているのはあと数分後に起こる事態に備えてだ。
学食争奪と座席確保という闘い。いや、戦争だ。
これにはその日の昼休みをいかに快適に効率よく過ごせるかがかかっている
なにより今日は一日限定特別メニューの日。月に一回あるイベントで、メニューにはない豪華料理が食えるのだ。
作る手間と時間の関係で先着3名のみ。
だから今日はいつもより気合が入っている。もちろん食堂組全員。
授業の終わりをつげるチャイムが鳴る。
「お、終わりか。じゃあここまで。」
授業中に携帯電話や生徒手帳など、財布以外のものはしっかりと鞄の方に入れておいた。
コンマ一秒が生死を分ける。
「きりーつ」
すでに扉への通路は計画してある。俺の席は扉側の列から数えて二番目だ。
通常より、早く出れる。
「れい!」
スタートだ!
扉を迅速に開け、最初からトップスピードだ。
どうやら俺たちのクラスは若干早めに終わったようだ。他のクラスは明らかにスタートが遅れている。
今日は調子がいい。障害物が無いせいもあってか、スピーディに食堂へ突き進める。
だが、そんな俺の目に窓を通して飛び込んできたのは――――
ドスン、バタン、ゴロ。
二階である教室から降ってきた生徒だった。
降ってきたというより降りてきた。
地面についた瞬間、数回体を転がせたりして受身。
見事だ・・・地面接触時の衝撃を五つに分散していた。
「化物め・・・」
さすがに普段では見せないような技を使ってくる。これが新メニューの魔力か。
まだ勝負は終わっていない。俺も持てる限りの力を尽くして食堂へ向かった。

結果、俺はギリギリ三番目で新メニューにありつけた。
和食御膳花鳥風月。
もはや学生食堂のレベルではない豪華さの割に破格な値段。
続々と訪れる敗北者たちを前に、俺たち勝者は三人で互いの健闘を称えあった。
一人は二階から飛び降り、一人はテスタばりの罠を張って。そして俺はチップよろしくのスピードで。
俺たちは酷使した体を癒すように、目の前の食事に舌鼓をうった。

食い終わり、満足感と幸福感が押し寄せる。舌を突き抜けて脳に直接美味の快感をぶつけられたようだ。
ああ、幸せ・・・
「お、お隣さんじゃねえか」
諏訪を発見する。丁度いい、食ったメニューを自慢してやろう。
諏訪がカウンターで注文をする。
「「トマトサンド一つ」」
あれ、声が二つあるぞ?
諏訪ともう一つの声の主が顔を合わせる。
「あれ、あなた・・・」
「そういうあんたは・・・諏訪?」
信じられないとばかりにお互いが目を大きく開く。
「奇遇ねえ、あんたのようなヤツがこんな学校にいるなんて」
「そういうあなたこそ。いい加減お琴ぐらいはできるようになったかしら?」
ぐ、と諏訪の相手が唇をかみ締めて顔を紅潮させる。
お互いが殺気を放っている。たぶん、ヤバイ。
誰も気付いてないようだが、この二人は今にも相手を刺しそうだ。
「ちょっと待て、落ち着けよお前ら」
「あら、織那君」
「はあ?あんたの知ったこっちゃないわよ。だいたいあんた誰よ?」
こいつ、初対面にこの口調か。
「俺は織那ってんだ。諏訪のご学友様だよ。お前こそ、誰なんだよ」
「どうでもいいわよ。あんたなんかお呼びじゃないっての」
こいつ、一回殴ってやろうか。
「この子の名前はネル=センダーク。ハーフだから髪の毛こんな色なのよ。中学のとき通ってた習い事で一緒だったの。」
その子はギロリと諏訪を睨みつけるが、軽く諏訪は無視。
「・・・よろしく」
名前をバラされて観念したのか、意外なほどあっさりと折れる。
髪の毛がこんな色というのは、この子は明るい金髪なのだ。
腰まである長い金髪を黒のリボンで結んでいる。
その腕や足腰は驚くほど細い。
凛々しさをまとってかっこいい系の諏訪とは対照的に素で可愛い。
「ああ、よろしく。で、えっとセンダークさん?」
「ネルでいいわ。そっちの方が慣れてるし。さんもいらない」
人見知りしない子なのかもしれない。
「じゃあネル。と諏訪。なんで揉めてるのかな?」
「こいつが私のトマトサンド奪おうとしたからよ!」
「あなたのじゃないと思うけど?」
「いいえ私のよ。私が先に注文したんだから」
「ほぼ同時だったけど・・・」
「あんたは黙ってなさいよ。私達の問題なんだから」
可愛い顔して口調はこんなんだ。
「じゃあ織那君に決めてもらわない?私達じゃたぶん収拾つかないと思うわ。」
顎に手をあて目を閉じ、考えるようなポーズをとるネル。
それは思わず抱きしめたくなるぐらい可愛い。これで性格と口調が穏やかだったらなあ。
「・・・わかった。じゃあそうしよう」
いや、するなよ。俺にそんな余計な権限を与えるな。
「じゃあさっさと決めて」
「御願いね、諏訪君。」
なんだよお前ら人任せかよ。
「ううん・・・」
悩む。というより、どっちが食おうが俺にはまったく関係ないんだが。
「ああ、じゃあネ」
「「?」」
言いかけて途中でやめた。
二人を見比べた感じ、ネルは細い割に出ているとこは出ている。一方諏訪は、ちょっと発育不足な体型だ。
そういう理由で諏訪はトマトサンドよりももっと栄養がある食べ物にした方がいいと思ったのだ。
だがそんな面と向かって「お前、胸ちっちぇえな(藁」みたいな事は言えない。
言ったら人として終わりそうな気がする。
「ねえ、早く決めて。時間がもったいない」
「ええと・・・そうだな・・・あ、ギルティで決着つけるっていうのは?」
我ながら最高の回避能力だ。恐らく俺はニュータイプを超えた。
「そうね、それなら・・・」
「なんの文句もないわ。勝負よ、諏訪!」
そしてトマトサンド争奪バトルがスタートした。

「ま、負けた・・・いいわ、トマトサンドぐらいくれてやる・・・」
「ねえ、二人で食べない?話したいこと、いっぱいあるし。」
ライバルでもあり親友でもある関係ってこんな感じなのかなあと傍観。
「・・・遠慮しとく。勝負事ははっきりしておきたい。とりあえず他のメニュー頼んでくる」
数分後、ネルが持ってきたのはてんぷらそばだった。
「しっかし、奇縁よね~まさかこんな場所で会うなんて」
「そうね、あなたがゲームするなんて当時じゃ考えられなかったわ。」
「私もよ。あんたがそんな趣味だったとわねえ、人間ってわからない」
「でも、ギル校入る前は不安だったわあ。私みたいな外人が受け入れられるのかなあって」
「実力主義だから関係ないんじゃないかしら?実際、いろんな国の人を校内で見るし。」
そういえば外人のチップ使いの女の子を見たことがある。
あの子、3on3でも見たような気がするが。
「オゥアーオゥアー」
っと、もう昼休み終わりか。
「あー次はあの授業かーかったるいなー」
「そう言わずに。いつもそうやって習い事さぼってたからお琴下手だったのよ。」
「あんただって料理下手だったじゃん」
それは初耳だ。
「そうなのか?」
「そりゃあもう。こいつの作る料理は毒っていうか兵器だったよ」
「へえ・・・」
諏訪は恥ずかしそうにうつむいている。
「あ、あなただって英語は書くのも読むのも全然ダメだったじゃないの・・・」
「そういうあんたもねー」
「なんだ、ハーフなのに喋れないのか?頭のいい諏訪でも無理だったのか?」
「いや、これにはワケがあるのよ・・・」
「そう、深ーい深ーい理由があるのだよ」
なんだろうとても気になる。
「差し支えなければ教えてもらえないか?時間がないから簡潔に。」
「それはね・・・」
ゴクリ。
「このSS書いてる169ってやつが途方も無いバカなのよ」

静かだ。
俺は今学校にいる。だが、その空間を支配しているのはギルティのデモ画面の音楽だけだ。
「おかしくなっちまいそうだな・・・」
そんななか、俺は一人教室にいる。
「やれやれ、対戦相手でも探しますかね」
宝物を探す心境で教室を出る。
「みんな今ごろ楽しんでんだろうな」
そう、ほとんどの生徒は今修学旅行である。しかもハワイ。
俺はあえてこれには参加しなかった。
団体行動は苦手だし、金銭面でも余裕をもっておきたかった。
「これぐらいなら行っときゃよかったかなーよくよく考えると外になんかあんまでねえから運動するいい機会だったかもしれん。」
でもまさか、「修学旅行は勉強の一環なのでいかないヤツは通常どおり登校して通常どおり帰宅しろ。もちろん全時限自習だけどな」なんて言われるなんて思ってなかった。
俺以外にも、自分から行くのを拒否した生徒や成績不振でいけなかった生徒もいるだろう。
そういうやつらはバカ正直に登校なんかしちゃいない。実際、今学校に俺以外に誰かいるのか怪しい。
「ここって、意外と可愛い子多いんだよな・・・」
今思うと、女子生徒の水着姿を見逃したのはすごくもったいなかったかもしれない。

保健室、体育館、事務室、職員室。
色々行ってみたが、人なんていやしなかった。職員室に教員がいるにはいたが、ひどく忙しそうなので対戦を申し込む気になれなかった。
そろそろ帰ろうかと思った矢先。
「ん、あの長い金髪は・・・ネル?」
向こうも俺に気付いたようだ。
「やっほ~修学旅行に行ってないひきこもり君♪」
「そういうあなたは修学旅行にいってないひきこもりさんじゃないですか♪今日はどうしたんですか?日課のや○い系同人誌の製作ですか?」
「いえいえ~これでも忙しい身でして。どこかのひきこもり君みたいに家でネット三昧する時間はないんですよ~」
俺たちは呪い殺すかのような目つきで相手を睨む。
「「はぁ・・・」」
同時にため息が出る。
「まさか、ここまで人がいないとは思って無かったよ・・・あたし、団体行動嫌いだから行かなかったんだけど、失敗だったも・・・」
俺と同じようなやつだな・・・俺たちは本当にひきこもり体質なのかもしれん。
「救われないよな・・・俺も、お前も。」
「ほんっとーにね・・・まあ話だけってのもなんだし」
「おう、やるか」
すぐそこにある対戦台で対戦することにした。

「あれ~体力減らせてませんよぐらさん?」
「JK見てから上段余裕でした!」
互いに口プレイの応酬。
「これがMEN式霧ハメや!」
「10割減った!お疲れ様でした~」
向こうの相手をののしる。
「きたね~時間だって限界あんだぞ!潜ってんじゃねえよ!」
「ちょっと、根性値0なのよ?火力抑えなよ!」
周りに人がいないと思うといくらでも言える。
「キャラ差は6:4程度だけどプレイヤー差で10:0ついてるわよぐらさん^^」
「国へ帰るんだな。お前にも家族ガイルだろう」
普段では絶対しないよう口プレイをしながらの対戦。本来、俺はこういう方が性にあっている。
ここ最近、肩が凝るような対戦ばっかりだったからな・・・こういうのもたまにはいいだろう。

「あー楽しかった。あんた、女の子相手によくあそこまで言えるよ」
「お前こそ、この前知り合ったばっかりなのにあれはひどいだろ」
「あはは、楽しかったしいいじゃん」
楽しかったしいいけどね。
「じゃああたしこっちだから。また明日~」
「おう、じゃあな」
ネルと別れる。一日中対戦したというのに、あいつは疲れてないのか。
「あれ、また明日っつたか?」
明日もあの学校にいかなきゃならんのか・・・相手がネルだけというのもさびしいが、誘いは断れんな。
帰宅したあと、今日の対戦で悪かった点を思い出して対策をネル、いや練る。
明日は相手に口プレイなんてさせる隙も与えないようにしよう。

暑い・・・
「だーもう!寝てられるか!」
ばんっ、と枕をたたきつける。
まだ夏でもないのにとにかく暑い。寝汗でだくだくだ。
いつも遅刻ギリギリだから早く起きれるのはいいが、こんな不快な起こされ方は初めてだ。
「諏訪に起こしてもらうっつーのはありかな」
お隣さんに起こしてもらうか・・・。うん、そりゃあいい考えかも。
「んー・・・やっぱ却下。それだと多分起きれねえな。」
諏訪ならきっと確実に起こしてくれるだろうが、対戦するために早朝出勤してるあいつと同じ時間に起きるのは不可能だ。
「さてと、ん?」
時計は12時を指している。
「これだけ暑いと洗濯物は乾くし、肌なんかいくらでも焼けちゃうなー。でも俺、色白の女の子の方が好きなんだよな。控えめつーかおしとやかつーか。」
現実逃避終了。
「やっべえ・・・担任にリアルパイルくらっちまう・・・」
リアルパイルで済めばいいが、リアルDループをくらうとヤバイ。俺の担任はノックバック極小に受身不能時間増加、根性値無視のスキル持ちだ。
これだけの時間の遅刻はかなりコンボ精度を高めてくる可能性がある。Dループだけは回避しないと。
「あれ、でもなんで目覚ましかけてなかったんだ?おかしいぞ」
待てよ、目覚ましがかけてなかったってことは・・・起きる必要が無い=学校に行く必要が無い。
「思い出した、今日休みじゃん!」
生徒が修学旅行に行ってる間は学校中の筐体のメンテを行う。今日がその日で、学校は閉めきりとなる。
土、日でも学校にいく生徒が大勢いるため、このような日じゃないとメンテを行えないということらしい。
けど、さすがにこの暑さの中、寝なおすのは無理だ。クーラーはちきゅうのてきだ。
寝汗を流したあと、電車で少し遠めのゲーセンにいくことにした。
往復で500円程度なので痛い出費ではない。

ゲームセンターに入る。
涼しい。狭い店内をクーラーがしっかり冷やしている。
ギルティは、と。
「お、いるいる」
そこには白いテスタメント。
連勝数は表示されておらず、動きを見る限り初心者ではなさそうだ。
とりあえず乱入っと。
ジョニーを選択。

HEAVEN or HELL Duel1 Let's Rock!!

開幕はお互いに距離をとる。
すかさずテスタが要塞を築こうとする。させない。
「カウンタッ!」
網消しの空Sに6HSを差し込まれる。
これぐらいは読んでくるか・・・
起き攻め。
とりあえずファジーでガード。相手はすかさず距離をとる。
じわじわとガードしながら罠を消す。
遠Sでちょっかいをかけてみる。
「踊れ、塵となれ」
2HSから2D、ファントムソウルまでくらう。
後ろ受身。
「エグゼビースト!」
読まれていたのか、エグゼ青から強引に二択まで持っていかれる。
ファジー。やはり相手は距離をとる。
空ディバから押さえ込んでみるか。
「踊れ」
Jしようとしたところを、ダッシュから6HSで引きずり降ろされる。
「ちょっとやばいな・・・」
体力はそれほど減ってないが、いかんせんどんどん攻撃が潰される。
ああ、6HSをウォレントでとられた!
青キャン立ちHSから低空ディガー×n。
もう、体力がない。
強引かつ大胆なダッシュ投げで1ラウンドとられる。
汗が吹き出る。暑さのせいではない、このテスタの異常なプレッシャーのせいだ。
牽制が全て潰される。こっちが攻撃するタイミングを知っているのようだ。
次ラウンド、テスタは要塞を張りもせずガンガード。
「くるがいい」
どうやらこっちの攻めを見たいらしい。面白い、崩してみろってか。
「ドリルデンジャー!」
「なぜ引くことができない」
投げられた。中距離からおもむろに出したせいかな。
これならどうだ!
立ちKから燕。これはガードされる。RCから低空ダッシュ。PとKで刻む。
ダッシュ投げ!
「なぜ引くことができない」
投げられた。さすがに露骨すぎたか。
立ちHSとコインで固めてGGを点滅させる。
これなら冷静な判断はできまい。崩してやる!
2SMC>2SMC。ここから燕と見せかけてミスト下段だ!
「くるがいい、おおー!」
ウォレントでとられた。そこからのコンボで2ラウンド終了。
続く3ラウンド目、開幕から攻められ投げからマーキングコンボ。カラスの攻撃から二択をかけられ、ファジーはすべて崩されてあえなく負ける。
こんな強いのがこんな小さいゲーセンにいるとは。
「あの・・・」
気が付いたら台の向こうの人に話し掛けていた。
「なにが悪かったんでしょうか?」
「なにも悪くないからこそ、悪いな」
意味がわからない。
「牽制の振り方から崩し方まで型にハマりすぎだよ。自分のスタイルを作れていない。つまり個性が無い。ほとんどは高いレベルでまとまっているが、絶対的な経験が足りないな。ああ、それとファジーは相手の崩してくるタイミングに合わせるものだ。毎度毎度同じパターンじゃずらされて終わりだ。」
的確だ。確かに俺はネットの情報を中心にキャラ対策を考えてきた。それでも対戦はそこそここなしてきたつもりだった。
「あの、名前は・・・」
「そんなのを気にする前に自分の戦い方を反省することだな。俺のことを覚えておきたいなら白いテスタとだけ覚えておけばいい。そうだろう?」
まったくもってそのとおりだった。
「ああ、きつい言い方をしてすまんね。なにしろこのゲームセンターでキミほどのレベルの対戦相手なぞここしばらくいなかったのでな。つい口数が多くなってしまった。」
「いつもここにいるんですか?」
くい、と眼鏡を直す仕草から知的な印象を受ける。
「いや、休みの日に時々ね。ああ、プライベートは気にしないでくれたまえ。」
「時々、ですか。」
「ああ。おっと、こんな時間か。このテスタはキミにあげよう。悪いがこれで失礼するよ。では」
「あっ、お疲れ様です。」
ぴりっとした背広を着た長身の男は去っていった。
「こんなもんもらってもな・・・帰るか。」
テスタは放置して帰ることにした。
自分の未熟さを知った。だが、このようなゲーセンにもあんな猛者がいる。
明日から、諏訪に起こしてもらうとするか。
もっと。もっともっと。強くなる。

「今日も自習か・・・でも出席はなるべくしといた方がいいからなあ。」
筐体の調整も終わってしまってまた誰もいない学校にこなければいけない。
諏訪もハワイ行っちゃってるから結局自力で起床した。誰もいない学校に早朝から来ても仕方ないので今日も登校時間ギリギリだ。
まあ明日になったら修学旅行も終わりだけど。

ばちんっ!

突如、背中に激痛が走る。
「おっはよ~今日も暑いね~」
まともな返事なんてしてられない。さすがにお嬢様というか活発というか。たかが平手がまるで鞭打だ。
「だが所詮は女子供の児戯よ!」
グーで殴る。ひらりと華麗に避けられる。その際、スカートの中身が見えたのは秘密。
「当たらなければどうということはない♪」
「青のストライプ・・・」
両手で勢いよくスカートを抑えるネル。ポチョSカラーのように顔も真っ赤だ。チャンス!
「蹴り穿つ!」
昇竜蹴りと見せかけてただの回し蹴りだ。
しかし、当てる気がなかったにも関わらずネルはそれを勢いよくいなす。
『ガッシャアァァァン!』
窓が割れてしまった。
「「・・・」」
「なにをやっとるお前ら!ちょっとこっちまでこい!」
運悪く職員室の前の廊下だったばっかりに逃げる暇はなかった。
「まず原因から聞こうか」
「お、織那君が、えぐ、私のスカートをめくった挙句、ヒックヒック、押し倒そうとしたんです。私、なんいもしてないのに・・・えぐっ」
いくらなんでも泣き真似が上手すぎないか?いつのまにか服を少し乱してるし、しかも明らかに話がおかしい。
「ほお・・・そうなのか織那?」
「いいですか先生。たいていの生き物は危機に直面した場合、【殺られる前に殺れ】という本能をもとに行動します。よってこれは正当防衛です。これを見てください」
背中を向け、シャツを上げてネルに平手をくらわされた場所を見せる。
「ふむ・・・かなりの使い手だな。角度、威力ともに申し分ない。よくこれだけの使い手から逃げれたな。」
「ネルがやったものです。ちなみにスカートめくったとか押し倒そうとしたとかはでっちあげです。」
先生は困った顔をしている。どういう処分を下すんだろうか。
「あまり、過剰すぎるコミュニケーションはとらないようにな。ガラスは明日までに業者に頼んで直しておくから安心しておけ。かわりに今日は学校の手伝いをしてもらうぞ。」
「「ええっ」」
「なんだあ、校長に報告されたいのかあ?」
「なにをすればいいんでしょうか先生?」
「そうですよ先生、早く仕事を下さい。」
なんかニヤニヤしながら机の中をゴソゴソしてる。
「この中から一つ選べ。むろん共同で作業だ。」
なになに・・・前校舎の窓ふき、筐体ふき、ワックスがけ、トイレ掃除、対戦記録整理、新ネタ&新連携整理、原稿用紙10枚分の対戦レポート・・・
どれも大変じゃねえか。
その中、一つだけまともそうなのが。
「えと、プールの掃除・・・?ウチにプールなんてあったんですか?」
「あたしも聞いたことないんですけど」
「いや、それは正直外そうかと・・・長年使ってなかったが、今年はやたらと暑いからな。掃除して使おうかと思ったんだが女子生徒専用の上、対戦ばっかりで需要がほとんどないからな。校長からも暇があったらすればいい程度に言われてるしな。」
「先生これやりたいんですけどいいですか?」
俺はこれをやりたい。楽そうだし。
「楽そうっていうか、女の子の水着姿目当てのくせに・・・」
「うるさいぞネル」
「まあそれでもいいが・・・」
「ちょっと、本気ですか先生!女子生徒専用でしかも需要がないんでしょ!?」
「ああ、女子生徒には需要は無いな」
「女子生徒にはって・・・まさか・・・」
「じゃあ織那、ネル。しっかり頼むぞ!」
「げ、マジ・・・」
「―――マトモじゃないよな、お互い」
俺は先生と熱い握手を交わした。

「ねえ広すぎない?」
「俺もちょっと後悔してる」
体感で奥行き50M、幅15Mぐらい。ドデカイ。なんでこんなところに金をかけるんだ。使わないぐらいなら一般開放して金とれよ。
ちなみに俺たちは掃除用のツナギを着ている。先生は他の仕事をしているらしい。
「夕方ぐらいまでかかりそうだな」
「それまでに済めばいいけどね。」
ゴシゴシ、ゴシゴシ。
ジャバジャバ、ジャバジャバ。
ブラシでこすって水で流す。床はヌルヌルしている。なんか緑色の物体がそこらじゅうに付着してるし。
「ああ、そうそう。三三一荘ってアパート知ってる?」
「ああ、俺と諏訪が住んでるところじゃん」
「はあ!?同棲!?」
「ちゃうちゃう。たまたまお隣さんになったんだよ」
「ああ、そう・・・よかった・・・」
「よかったって、なにが?」
「な、なんでもない!」
「大丈夫か?なんか顔真っ赤だぞ?」
「いいから気にしないで!」
変なヤツ。虚言癖でもあるんだろうか。
「とりあえず、あたしそこに越すことになったから。部屋は203号室。」
「じゃあ俺の隣じゃん。じゃあ俺はネルと諏訪に挟まれるわけか。よろしくな。で、なんでいきなり引っ越すんだ?」
「それがさー寮であたしと同じ部屋の女の子がさうるさいのよ。いびきとかならまだしも、対戦中は口プレイばっか。負けたら機嫌が悪くなるし、対戦してないときでも解説がひどいし。いくら強いからって人材はちゃんと見極めないと。」
どうせお前も口プレイしてるんだろ、とはあえて言わなかった。
「ここって実力主義だからなあ。しょうがないだろ」
「そうよ。それがわかってるから私の方から寮出てくのよ。」
環境は確かに大事だ。ましてや寮ともなれば毎晩対戦するわけだから、相手によってはたまったもんじゃない。
「というわけで、よろしくね」
「ああ、よろしく」
これから賑やかになりそうだ。
とりあえず今日は、目の前を敵をどうにかしなきゃな。

今日はついに修学旅行終了日。
「あっちで色々買ってくるかもしれないから、修学旅行最終日に学校まで来てほしい」と諏訪に言われていたので学校にいくことにする。
空港からはバスだが、寮に入っている生徒が多い所為か解散は学校でということになっている。
ちなみに俺は友達のお土産に期待していたりする。
バスが到着したので玄関まで向かうことにする。バスから降りている生徒を見ていると、疲れきった&満足気な顔だ。
その中で、特定の男子生徒はやたらと破顔している。なにがあったのだろうか。
「いっよお、ぐら。なんでお前来なかったんだ?」
肩からやたらと膨らんだバッグをぶらさげ、一人の男子生徒が話し掛けてきた。
「いや、金とかの問題でな。そもそもよく知りもしないやつと騒ぐっていうのは苦手なんだ。」
「ふーん、暗いやつ」
こいつの名前は幕館 瞬(まくたて しゅん)。この前食堂で知り合った同級生だ。使用キャラは名前から察してやってくれ。
グルメハンターの俺に、特別メニューをGETするためにはどうしたらいいか、という質問をもちかけてきたのがきっかけだ。
そこから食堂のメニューなどで熱い談義を交わして以来、すっかり親友いや悪友である。
      • 実は知り合いが諏訪とネルだけというのは寂しかったんだけどね。
結構な美形で女と遊んでるような雰囲気だ。彼女はいないらしいが。
「そんなこといいから、土産は?当然あるんだろ?」
「―――青い空、青い海・・・そして白い肌!いやー最高だったぜハワイは。こう、普段は意識してない同級生の水着だとか私服つーのはくるものがあるな。飛行機の中のスチュワーデスさんも美人だったなあ・・・」
ムカつく。俺がこっちでどんな毎日を過ごしてきたと思ってるんだ。
「お前の女性観察記はいいから土産をよこせ。買ってないなんて返答は許さん」
「買ってない」
拳を振り上げる。
「まあ待て。買ってはないが、俺は文明の利器にその水着姿を写してきた。」
携帯電話に収まっている画像を瞬は素早い手つきで開く。
「こ、これは!」
「瞬大先生のえり抜きだ!アングルも人選も完璧だろ?」
そこには可愛い女子生徒の水着姿を完璧に写してある。プロの写真家レベルだ。
「お前、カメラマンにでもなったらどうだ?」
「ばっか、こういうのは本人が写されてる意識ないからいいのが撮れんだよ。覚えとけ」
ありがたい言葉を賜った。バカ呼ばわりされる覚えは無いが。
「で、これが土産?」
「いや、それは飢えてる野郎に売るためだ。」
「お前、それは犯罪・・・」
「気にすんなって。それより、これ土産。」
「おお、サンキュー」
努力、友情、勝利の形をしたキーホルダー渡される。
ぺしっ。
「ああ、お前捨てんなよ!」
「ふざけんな!こんなん日本でも買えんだろうが!もっとましなものはないのか!」
「ちっ、わがままなやつだなあ。んじゃあこれ」
中に砂が入った小瓶を渡される。マジックペンで【星の砂】と書きなぐってあるが。
「なあ瞬・・・星の砂って沖縄に売ってるもんなんだぞ・・・しかも明らかにラベルが手書きじゃねえか・・・」
「でもそれ、ハワイの砂だぞ。」
「砂なんかもらってどうする。もっとマシなもんはないのか?」
「ぐらよお・・・お土産って、形に残るもんならお土産なのか?違うだろ。俺がまた一つ女性の美しさを知って大人になった。それがなによりのお土産なんじゃないのか?」
「いやけど、俺にはなんの得も」
「友達が大きなものを得た。それがなによりのお土産だろ?」
「いやだから・・・」
「おお、わかってくれたか。さすがは俺の親友だ」
なんか強引に押し切られてしまった。結局、お土産なしか。

「んで、今日の夜はお前の家でゆっくり修学旅行の話をしてやるよ。対戦しながらな。」
「対戦はかまわんが、疲れてるんじゃないのか?あっちとこっちじゃ環境が違うから疲労度が全然違うと思うんだが」
「んなヤワじゃねえよ。あっちでの自慢話もしたいしな。」
それが本音か。
「さんせーい」
「そうね、私も参加させてもらおうかしら」
「お前ら、いつのまに。」
「つい今よ。」
ああ、そう・・・じゃあ携帯の画像あたりの話は聞かれてないな。
「ネル、あなた寮なのに遅くまで外にいていいの?」
「いや、今日からあんた達と同じアパートに住むから。荷物はまだだけど。」
「そう。ならネルの引越し祝いもついでにやってしまわない?」
「ついでってなによついでって。」
「やあ、ネルさんと諏訪さん。」
「「こんにちは」」
一応面識はあるらしい。
「あれ、お前ら知り合い?」
「ネルさんとは同じクラスだし、一年からいるから諏訪さんも知ってる。」
ああ、そういうことか。納得。
諏訪の荷物を見る限りじゃ、俺が学校まできた意味はないな。
「ネルさんはなんで修学旅行来なかったの?」
「んー団体行動って苦手でね。だいたいあたし、もうハワイ飽きてるし」
そういえばこいつはハーフだったな。
瞬のやつ、あれだけの数の生徒が修学旅行行ったのにネルが行ってないことまでちゃんとチェックしてやがった。
結構可愛いからなあ。行ってたら来週にでもネルの水着姿はどっかの野郎共に換金されてたかもしれんが。
「じゃあこいつとこっちで自習だったんだ。変なことされなかった?」
「バカ、そんなことするかって」
「びしょびしょに濡らされた」
「「「へ?」」」
俺含め、三人が驚愕の声を上げる。
「いくら二人だからって、信じられないぐらい濡れちゃった・・・織那君が早く終わらせたいからってあんなに力入れることないのに」
「ぐら、お前・・・」
「見損なったわ織那君!」
ネルがいってることは間違っては無いが、いろいろと肝心なところが抜けている。このままでは俺は犯罪者だ。
「ちょ、ちょっと待て!詳しく説明するから。」
諏訪と瞬は完全に軽蔑のまなざしで俺を見ている。
「いいか、濡れたっていうのは間違ってないが、それは体だ。理由はプールの掃除でホースを使って水を撒いてたから。早く終わらせようっていうのも掃除のこと。」
「でもあたしのパンツは見たよね」
さらに鋭い視線が刺さる。
「あれは事故だろ!待てお前ら、それも説明するから」
ガラスが割れるまでの一連の流れや、それが理由でプールの掃除をしたということも説明した。
プールの掃除を選んだ理由は教えなかったけどね。
「そうだったの・・・ごめんなさい、早とちりしちゃって」
「いや、悪いのはネルだから」
「事実述べただけじゃん」
「言葉を削りすぎだ!まあ瞬なら俺に女襲う度胸なんかないってわかってるだろ」
「ん、ああ。わかってるよ」
あっさりうなずかれるのもなんかむかつくな。
「じゃあ今夜はぐらの部屋でネルさんの引越し祝い&対戦会でオーケー?」
「問題ないよー」
「異議はありません」
ネルと諏訪が了承の返事を上げる。そもそも俺の部屋という理由がわからんが。
「じゃああたし他にも用事あるからー」
「私も失礼するわ」
ネルは他の子と話すとして、諏訪はなんなんだろうな。
たぶん荷物の整理だろうが。
「瞬、一つ聞いていいか?」
「なんだ?」
「さっきから、やたらとにやけてるあいつらはなんだ?」
バスから降りていまだ頬を緩ませてる数名の男子を指す。
「なんか、「超可愛いテスタとかメイとかミリア見た!」って騒いでたやつらだな。朝方まで徹夜でゲームしてたみたいだから、幻覚でも見たんじゃねーの?」
修学旅行で、なにがあったのだろうか。今度ゆっくりあいつらに聞かせてもらおう。
「んじゃあ今日の夜な」
「おお、じゃあな」
瞬と別れたあと、幸せそうな男子数名を見て考え込む。
「可愛いテスタとかミリアか・・・俺もいけばよかったなあ」
後悔先に立たず。それより、今夜のために部屋の掃除と菓子や飲み物の買出しにいかなければ。
「修学旅行、いけばよかった・・・」
激しく後悔しつつ、コンビニに向かった。