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やっと着いたわ~、遥かなるかな日本。」
ここは本州のとある空港、アメリカからの便が丁度着陸するところだ。
飛行機の中からその少女「一二三・エア・プロヴォーク」は呟いた。
少女がわざわざアメリカから遥々日本までやってきた目的。
それはこちらの高校へ編入するためだ。

それも普通の高校ではない
「Sammy社立ギルティ専門高等学校」
GGXXを極めんとする者が集う由緒正しき学校である。

「ォゥァー!」
「イタダキー!」
 さわやかな朝の挨拶が、澄み切った青空にこだまする。
 右渡様のお庭に集うギルオタたちが、今日も機械のような正確な動きで、
教室の筐体にコマンドを入力していく。
 1ドットでも諦めを知らない心身を包むのは、深い色の制服。
 キャラ別コンボの精度を乱さないように、リバサヴォルカはスカらせないように、
ゆっくりとコマンド入力するのがここでのたしなみ。
 もちろん、タイムアップギリギリでドラゴンインストールするなどといった、
はしたない生徒など存在していようはずもない。
 社立ギルオタ学園。
 平成四年創立のこの学園は、もとは初代GGプレイヤーのためにつくられたという、
伝統あるギルティ系オタク学校である。

彼女はこの学校に人一倍関心と期待を持っていた。
なぜならアメリカではGGXXが大して流行ってなかったからである。
大して流行りもしないゲームが好きで好きでしょうがなくなり、日本に来たのである。
何度このパンフレットを読み返したことか…。

さて、空港で入国手続きを終えた一二三、
ちなみに彼女は父が独人、母が日本人である。
なぜ名前がドイツ語ではなく英語なのかという点に突っ込んではいけない。
まず彼女がすること、それはゲーセンを探すことである。
指が疼いていた、否、骨の髄までGGXXに飢えていたのかもしれない。
「ゲーセン…、ゲーセンは~…?」
生活雑貨一式を携えてゲーセンを探す謎の少女現る!
訝しがる周辺住民に道を聞きながら遂に少女はゲーセンに降り立った。
ずるずる…
ドサッ
馬鹿でかい手荷物を置いた彼女はギルティの筐体に座った。
まわりのオタク達が口を「ポカーン」とあけて見ている。
普通ゲーセンにこんな巨大な荷物を持ってくる阿呆などいないから、
そんな周囲の目などどこ吹く風、
多少手間取ったが無事に50円を入れてゲームを始める。
キャラは「CHIPP=ZANUFF」
ギルティ随一の紙装甲が彼女の持ちキャラなのだ。
「あっ…」
すぐさま画面が赤く染まる。
まるで、チップを選んだのを見てから乱入してきたそいつはスレイヤーを選んだ。
周りには取り巻きが数人いる。
キャラ差と一発の事故勝ちで勝とうと考えるいわゆる厨房。
一二三がキャラ選択に多少手間取ったのを見て初心者とでも踏んだのだろう
「お初にお目にかかる、そしてこれが最後だ」
「んだぁ、その余裕ヅラァ?」
HEAVEN or HELL Duel1 Let's ROCK!!
ギャラリーの目がその試合に注がれていた。
まぁ、ヘンテコな少女の初試合だから見てて当然といえば当然か、
(開幕、どうしよう…)
いきなり乱入された一二三は若干頭が混乱していた。
「シュッ パイルバンカー!!」
「Too late!!」
(ビンゴ!)

あっれ~??
ギャラリーから感心と戸惑いの声が漏れた
パイルバンカーが空ぶった、ヒッジョーにカッコワルイ。
そして「遅すぎる」と言った忍者は醜態を晒す紳士の裏にいた。
「ハッ、セイヤ! γブレィ!!」
ガトリング>足払いから追い討ちγ
「Too late!!」
2K追い討ちから慣性つきHS転移。
めくり中段HSだ
再度足>γが入る
「攻め手に回るか。」
たまらず老紳士がダウンサイクを発動、チップが大きく後ろに吹っ飛んだ。
(いたた、喰らっちゃったよ…)
「マッパハンチ!」
意味不明な言葉を発しながら爺が接近し、
そこから打撃を重ねる。
(あ~、どうしよ、、)
近S>遠Sをガード
「シュッ」
そこでスレイヤーが徐にダンディーなステップを踏む
(何かしら?一番嫌なのはステップ>吸血なんだけど…
 でもな~、開幕見る限りこの後ってアレよね。。)
「パイルバンk「ペースを上げるぜ!!」」
声を遮って金サイクがヒットする。
(…パイル馬鹿、、と)
「シュリケーン、シュリケーン」
手裏剣×2からドリキャンして着地
スレイヤーは手裏剣をガードしている。
次の瞬間、チップが画面から消え、老紳士の肩に乗っていた。
「幻朧斬…」
ブシャァッ「ロマンティーック」
「γブレィ! ついて来れるかぁ?」
画面暗転、チップがどこにあるのか解らない壁を蹴って
目に見えない斬撃を刻んでいく。
「斬星狼牙…」
(もう一回、何かコンボを決めれば倒せる…
よし、ここは再度手裏剣を重ねて、、)
「Hey come on?」
(あぁ~~~~~~~っ!!!
スタート押すの早すぎたぁ~(汗))
ズバァン!!
筐体の向こうから大きな音が秒速約300mで伝わってくる。
(あぁ~、どうしよ~、やっちゃったよ)
「おい、コラそこのアマァ」
「はい…(やっぱり…)」
「挑発たぁ、何の真似だよ? オィ」
「いゃ、手裏剣の暴発(きっと信じてくれないよね…)」
「んだ、テメェ!因縁つけてんのかよ!?」
「いや、だから暴発(乱入したのそっち、そっち)」
「ナメてんじゃねぇよ!!」
パイル馬鹿の厨房が右腕を振り上げる。
ガシッ
「何すんだよ、離せ!」
「お前こそ何やってるんだ?」
ん?
瞑っていた目を開いてみる。
見知らぬ男の人がパイル馬鹿の腕を掴んでいる。
「喧嘩なら、私が相手になろう。」
「…ちっ、くそっ!」
情け無い台詞を残してその厨房ととりまきはおずおずと逃げていった。
たぶんもう二度とこのゲーセンにはこれないだろう…。
「ふむ、いつまで経っても来ないから心配してきてみれば、
 やっぱりゲーセンに居たか、しかもトラブル付きで。」
「え~と、どちらさまですか??」
「……ギル高の者だ、空港で待ち合わせているはずだが?」
「あ、あれ?すいません、忘れてました。あは、あはは…」
「…、まぁいいさ、とりあえず場所を変えて話そう。」

ゲーセンにほど近い公園
「まずは、自己紹介でもしようか。
 ギル高地方事務担当の犬井、ちなみに、ザッパ使いだ。よろしく」
「あ、こちらこそよろしくお願いします。
 一二三(ひふみ)・エア・プロヴォークです。
 えっと、キャラはチップで、、
 それから~、、父がドイツ人、母が日本人で…、」
「あ~、いや そのくらいで結構。
 それに、そんなに硬くなる必要はないさ。」
たぶん犬井が止めていなかったら一二三の自己紹介は延々と続いただろう。
生い立ちからギルティに出会った経緯、チップを使っている動機に両親の職業。
転じて好きなもの、嫌いなもの、その他えとせとらえとせとら…。
「え~、では手早く必要なことを伝える。
 試験の概要は1ラウンド一本勝負、相手は試験官もとい教員だ。
 日時は来週の月曜日。
 場所はゲーセンとギル高どちらか選べるが、、どっちがいいかね?」
「あ、是非ギル高でお願いします!!」
ギル高に人一倍情熱を傾ける少女一二三、
一日も早くギル高の校舎に足を踏み入れたいが故の選択でもあった。
「そうか、それじゃ、伝えることは伝えたが、、
 何か質問などないかね??」
「う~ん、なんで犬井さんザッパ使ってるんですか?
 正直、スレイヤーみたいなキャラの方が似合ってると思いますよ?」
グサッ

ギル高地方事務担当犬井、御年42歳。
同僚にも激しく突っ込まれ続けていたことだった。
事実、彼の容姿風貌はザッパを連想させない。顔色もいい

一二三から言わせて見れば「Japanese Gentleman」だ。
それがザッパ使い?どうやったら結びつくんだろうか??

まさか、今現在嫁探し中で、本当に霊に憑かれてるの??

一二三の脳回路が極端な自立活動を開始する、思考が止まらない。


「君がチップを使うようなものだよ…。」

自分を棚に上げて回避を図る、ちょっぴり大人気ない。


「そうですね~、似てますねぇ」


「ところで、私も少し気になってたんだが。」

一二三式脳内固めから必死に抜け出した犬井はとっさに話題を摩り替える。
(ダメだ、これ以上固められ…もとい崩されるわけにはいかん)

「何故、リアルファイトに?」

「はい、起き攻めの手裏剣が挑発に化けました。」






「はい?」





風貌に似合わない素っ頓狂な声を上げる

まさか、起き攻めに手裏剣を使うばかりか挑発を暴発される人間がいたとは、、


         『並の腕ではないな!!』


「なるほど、挑発が間違って出たのか…(微笑)
 そうか、絡まれるわけだな、、
 ありがとう、思いのほか楽しい時間だったよ。(失笑)」

「そんなに笑わないで下さい…。。」

「いや、失礼
 感謝と詫びの気持ちだ、取っておいてくれ。」


そういうと犬井は一二三に硬貨を二枚手渡した。

「それじゃ、私はこれで失礼。」


その言葉を最後に足早に去っていく。
絶対笑ってた、間違いなく笑われたよね。

そう心の声で呟きつつ先刻もらった硬貨を見る。

200円、、単純にギルティ4回分ね……




―――――200円??




「200円で手を打ちませんか??」

結局変な人だったわ、、黄昏の中一人少女は思うのであった。

―試験当日― 午前09:54
Sammy社立ギルティ専門高等学校正門


(…遂に、遂にこの日がやってきた。。)


アメリカから日本に渡り約半週間
どれほど長く感じられたことか、、一刻一秒が長かった。

(イチジツセンシューの思い、ね
 あ~、どうしよ~、心臓の音が聞こえる…。
 ん~、、引き返したいよ。。)


心の声は引き返そうとも、足が自然に動く切なさ。
まさしく、その切なさを体言する少女一人、ギル高に赴く。







…が、しかし





(…おかしいわね。)


 校 門 閉 ま っ て る け ど ?


(何でだろ、、え~、私ギル高入れないのかな
 こういうときは如何すればいいんだろ…
 とりあえず『シッショー』かしら?)


そのとき少女は一枚の張り紙を見つけた。



―本日、日曜日につき休校。 ネッテロー!―
         学校長 右渡大輔

(え?嘘!!
 今日って月曜日でしょっ!?え日曜??)

慌てて腕時計を見る
彼女の時計は間違いなく月曜日の09:56を指していた。



(…ま、まさか、、
 時間だけ合わせて曜日合わせてなかった。。?
 holyzen!! 完全にシッショーだわ(泣))


肩を落とす一二三、
だが重大な事をこのとき思い出した。



2 4 時 間 営 業 のゲーセンが近くにあるはず!


(そうよ!ゲーセンがあったわ、
 たしか、「アミューズメントセンターZEPPS」だったかしら?

 …行くしかないわね
 うん、行くしかないわ。事前練習も兼ねて、)

  • 試験当日あらため試験前日-
アミューズメントセンターZEPPS

「す、すごぃ…」


まさかこれほどとは、アメリカに居たときはとても想像できなかった。
ギルティの筐体がこれほど並んでいるなんて、、

まさに圧巻、まさしくヘヴンリー。聖地の横にふさわしいゲーセン。
そして多くの人もといギルヲタ、洗練された指使い。。
まさに人類がギルティの為に独自の進化を遂げたとさえ思わせる光景だった。

これが、ギル高生…。


「自信なくなってきたゎ。。。」

おずおずと足を踏み入れる。

「・・・いらっしゃい」
「ビクッ!」

カウンターから顔を覗かせた黒髭の中年
「牙武理=L=杖府」(ガブリ=エル=ツエフ)。
このゲーセンの店長である。日系三世といったところか、

「ど、どうも、、こんにちは。」


不意を付かれ驚いた一二三は逃げるようにゲーセン内へ入っていく。

一瞬、周りのざわめきが小さくなる。

「あれ?誰だろ、あの子」
「ん~?ホントだ、見ない顔だな?」
「転入生じゃない?あんま珍しくないでしょ」
「見た感じ純粋な日本人には見えないけど、金髪だし。」
「ハーフかな?」
「やめなよ、本人戸惑ってるよ?」


(…あまり、、見ないで欲しいんですけど。。)

戸惑う一二三の前に一人の女の子、
いや、女性といったほうが解り易いか。

凛とした目つき、長い黒髪、極めつけはその身長。
ざっと170はあるだろうか、そこらの男子よりは大きい。

その女性が歩み寄ってきた。

「ぁ、こんにちは・・・」

「・・・こんにちは、
 あなた、見ない顔ね、今度ギル高に通うことになったの?」

「いえ、実は明日試験なんです。
 今日はちょっと・・・
(言えない、時計を合わせ間違って一日ズレたなんて、
 いえるわけが無いよ…)」

「ちょっと?」

「何でもありません!」

「あらそう?
 ね、良かったら対戦してくれない?
 友達、急に来れなくなっちゃって、暇だったの。」

「はい、私でよかったら、いくらでも。」

「よかった、じゃぁ、向こうの台でやりましょう。」


(・・・ちょっと、、怖そうな人だな、
 目つきも鋭いし、でも悪い人じゃなさそうだなぁ、、)

事実、一二三は人を見る目があった。
曰く、「顔を見ればどんな人間かは大体わかります!」だそうで。

特に適当な人間は簡単に見抜けるらしい。
曰く、「不誠実さが顔から滲み出ています!」だそうで。

ギルティは一回50円、2本先取。
比較的平均的な価格とラウンド数…でも妙に長いよりいいよね
ここの店主は道理がわかってるわ・・・(しみじみ)

先に一二三がコインを投入する。
キャラはもちろんチップ(選んだときにちょっと不思議がられた・・・

『Here comes Daredevil!!』
画面が赤く染まる、相手がコインを入れた合図だ。

海外生活が長い一二三の耳には、『Here comes Daredevil』と聞こえた。
しかし、漏れ聞いたところによると純粋なJapaneseには

『夕飯はベジタボー!!』と聞こえるらしい。

(いつか、そう聞こえる日が来ますように・・・)


相手がキャラを選択する、カーソルは迷わず右上へ登っていき・・・

「メイ??」


以外だった、先日の犬井もそうだが、妙に外見とキャラが噛み合わない・・・



人のことは言えないけどね。。。



不意に筐体の向こうから女性が顔を出す。

「名前・・・」

「はい?」

「あたしの名前・・・
 ご、、五所川原樹(いつき)、、ヨロシク。」


顔が赤い、恐らく何かしらコンプレックスがあるに違いないわ。。
というか、五所川原という苗字が妙にゴツイ、歴戦の猛者か何かかしら?

「あ、あたしは
 一二三・エア・プロヴォークです、一二三でいいですよ~」

「・・・わかった」


ぎこちない自己紹介が終わり、画面はMAY SHIPステージに変わっていた。

『師匠、見ててくれよ』
『ピュィーー、、、いっくよ~!!』

     HEAVEN or HELL
       Duel1
      Let's Rock!!

『よいしょっ!』カウンタッ

(あぅ、これは、マズイよ。。
 開幕で前Pカウンターなんて、、
 軽率すぎだよ、、気絶にリーチがかかってる。)


『お見事ぉ~』

イルカ設置から起き攻め、メイが走ってくる。

(落ち着いて、落ち着かないと・・・
 中段、下段?それともOHKかな?
 どれにしても喰らったらたぶん気絶しちゃう。抜けないと・・・)

『ピコピコピコピコ』

(・・・考えが散るよね、この足音って
 って違うよ、そんなこと考えてる暇じゃないってば
 屈K、、密着してる・・・OHK!?)

『Surplys?』
『わわわわわわ、テヘッ』

(読めた、、危なかったなぁ・・・)

『αブレィ、もひとつ!』

(ダウンさせたけど、、
 焦って攻めるのはやめたほうがよさそうね
 もし混戦でカウンターを貰ったら、、

 間違いなくこのラウンドを落とすことになっちゃう。)

『とぉー、とぉー、とぉー』

手裏剣をばら撒く、なるべくならあと10カウントは休みたい。。

『うぉぉぉ!』

(迷彩から各種転移も活用して、、生き延びないと)

『Surply? Surply?』

転移を繰り返しては安全な距離から牽制、手裏剣を撒く
S転移、HS転移>バックダッシュ、

『ピコピコピコピコピコピコピコピコピコ』

突然メイが一目散に疾走を始める。

(!!嘘?
 ひょっとしてパターンもう読まれちゃった?)


『Surply?』
『ガシッ、オーバーヘッドキーッス!!
 やぁー!やぁー!イルカさーんロマンティーック、やぁー!ハィー!やぁー!』

OHKからの拾いなおしコンボが決まる
チップが漂う、小鳥が舞う、チップ=ザナフ気絶値50
享年開始12秒、早すぎる気絶もとい死の宣告。


『夢でも…見てんのか…。』

(ピヨった・・・・・・。
 いつも思うけど、なんでこんなに気絶しやすいのかしら。。
 これは右渡さんの陰謀ね。)

そこからの勝負は早かった。
ぴよったチップはダスト>マゴスペで、
その紙装甲を遺憾なく発揮し、体力は底をついてしまった。


(まだよ、次があるじゃない
 敗因は?
 開幕前Pカウンター、それと半端な立ち回り。
 転移一転読みOHK。。
 OK,いけるわね。)


      Duel2
     Let's Rock!!

(開幕、、ひとまず様子をみて、
 そのあと、一気にラッシュをかけよう。)

『イルカさーん!』

イルカさんHS縦、大きな弧を描いて日本少女が飛ぶ。


(この軌道なら、、たぶん・・・!)

『ハラキリ!』グキリッ


降下部分を狙い済まして内側から空中投げ。

『γブレー!』

(屈K追い討ちから慣性転移裏中段?
 いえ、ここは敢えて・・・)

転移したチップの周りに一瞬緑の輪が出現する。
転移>慣性殺しドリキャン表中段。

チップのJHSがメイにヒット、鮮血が噴出す。

JHS>前P>近S>前P>足払い

(やった!
 この調子で、倒しきらないと。。)

そこから前ジャンプJHS重ね

焦っていた、
一ラウンド目の恐怖がまだ頭の隅に焼きついていた。

無意識の内の焦りは、失敗の大好物である。焦りは別腹である。

『と~ばしてくよぉ~!』

リバサ金サイク、チップがまるで紙のようにに吹っ飛ぶ。
否、ギルティ界では彼が紙なのは定説だ、一般常識。

(う、、折角いい感じだったのに、、
 だめだめ、弱気になっちゃ駄目よ。こっちのほうが勝ってるんだから)





『βブレィ!』

・・・まさしく悲しい光景。焦りからリバサβの打ち所を間違えてしまった。

βブレード暴発の直後。
画面は無常にも暗転を始めた。

『こうなったら、、
 グレート山田アタァーーーーック!!』
『クソがぁ』

壁から跳ね返ってきたところを拾ってエリアル一式

チップの体力が無力感を漂わせながら恐ろしい速さで減っていく
これが、彼が紙たる所以、別名「ティッシュの半分」

不名誉極まりない称号だが、事実なのだから仕方ない。


(・・・油断しちゃったな、
 完全に私の負けだわ、、、)


     -SLASH-

画面にデカデカと文字が刻まれる。

画面中央で、少女2人が肩を組んで喜び合っている。
『野望に一歩前進!』

そのすぐ横で、忍者の骸が哀愁を漂わせている。
『俺の術が…。』


「ありがとう、
 あなたなかなか強いわね。」

「そんなこと無いですよ、見ての通りですから・・・」

「そんなに悲観すること無いわ、
 2ラウンド目の別人みたいな攻めは良かったわよ
 金サイク打つとき、結構迷ったんだから。
 これをはずしたら押し切られる、って」

「そうだったんですか?
 的確すぎてそうは見えなかったです、、」

「それより、明日試験でしょ?
 頑張ってね、ギル高でうけるの?」

「はい、そうです。」

「そう、じゃぁ、忘れずに時計合わせておいたほうがいいわよ。」

「ぐはっ!、わかりました。。(・・・バレてましたか)」

「それじゃ、私はこれで、またね」

「また。ギル高で待っててください!」

「楽しみにしてるわ。」

そう言ってメイ使い、樹はZEPPSを後にした。

(よし!絶対受かりそうな気がしてきたよ!
 そのためにも今日は早く寝ましょう、そうしましょう。)

―真の試験当日-09:50
Sammy社立ギルティ専門高等学校職員室

「ニュ、ニューがクしけンをウケニ来ました、
 ひ、ヒふみ・えあ・プロヴぉーくデス。
 よ、よよよろしくオネガイシマス。」

(言葉が、可笑しい・・・
 緊張のしすぎで言語回路がやられたのね、きっとそうよ)


いざ当日となると、やはり緊張するものである。
職員室に近づくにつれ、心の臓が大きな音をますます大きく鳴らしていた。

終いには言葉は上手く喋れないわ、頭は電波チックになるわ。


「はは、、まぁまぁ、落ち着いて
 別に勝てなかったら捕って食べるわけじゃないからさ、
 とりあえず、深呼吸しなよ。うん」

この人物こそ、今回一二三の試験を担当することになった
「筝笠 梅子(そうりゅう うめこ)」教員、ソル使いである。


「どう?落ち着いた?」

「な、何とか・・・」

「うん、それじゃ始めようか、
 聞いてると思うけど、1ラウンド一本先取。
 勝敗が必ずしも結果に反映されるわけじゃないから、緊張しないで」

「・・・わかりました」

(なんとか、落ち着いたわ、うん
 脈拍は毎分72回ってところね、OKOK
 あとは普段どうりやるだけよ。)


こうして、一二三の転入試験が始まった。

HEAVEN or HELL FINAL! Let's Rock!!

(まずは様子見安定
 相手はソル、間違えれば10割もあり得るわ。
 噂によれば大会で10割減らされたチップもいるらしいし、、
 敢えて突っ込むのもあるけど、やめた方がいいよね。)

開幕は両者バックステップ。

『ガーンフレィ!ガーンフレィ!ガーンかかったか?』


ソルはガンフレとフェイントを織り交ぜて牽制してくる。

(よし、つぎのガンフレに合わせて突っ込むよ
 大丈夫?いける?わたしの指。。)

『ガーンフレィ』ゴゥッ

ガンフレイムに合わせてチップが空ダッシュで突っ込む。

『セィッ!』

JHSから地上ガト>足払い>γに繋ぐ

『ぺしぺしぺしぺし』

立ちP×Nから低空ダッシュドリキャン表裏


(よし、このまま・・・・・・!?
 もしかして、、来る?ヴォルカ)


ストン

画面には何もしないで地面に降りたチップが映っていた。

(あれ、読みはずれちゃったな・・・
 撃ってこなかった・・・!?
 いえ、ここは着地下段として誤魔化そう。)


そう思って屈Kを出した直後だった。

『ヴォルカニックヴァイパー!!』カウンタッ

(・・・
 誤魔化せなかったわね、、
 まさか小足をヴォルカで狩ってくるなんて。。)

起き攻め、ソルが選択したのはJS詐欺飛び。
そこから着地屈P、屈P、屈K

(小技で刻んできた。
 ぶっきらがくる可能性が高いかな、、
 屈P、屈K、屈K。。。
 よし、ここなら割り込める、、はず)

『ヴォルカニックヴァイパー!!』カウンタッ







(・・・・・・ちょ、ちょ、ちょっと待って
 この先生って一体何者ですか????
 ことごとくヴォルカで狩ってくるし・・・

 フレーム見えてるのかな、まさかそれはないよね。)


再度起き攻め、またも詐欺JS

(ヴォルカ一発くらいなら致命傷にならない、
 でも、そろそろ相手のテンションが50%溜まっちゃう、、
 50%あれば、、Dループに繋がれちゃう。)



『ヴォルカニックヴァイパー!!』カウンタッ


(・・・もはや、胡散臭さが漂ってきましたよ、、
 この先生脳が、いえ脊髄が筐体と繋がってるんだわ、きっとそうよ。
 でも、確実に小技を狩ってくるなら、打つ手はあるわ。)


『ヴォルカニックヴァイパー!!』カウンタッ
『なめんじゃねぇッ!!』

ワザと小技をヴォルカで狩らせてからサイクバースト。

(ここが正念場、
 ううん、最後の大勝負になるわ。。
 相手はフレームを見切る女教師、今の私に勝ち目はない。
 それなら、勝てなくてもいい。
 この起き攻めに、全てを賭けないとね。。)

「・・・風が吹くな。」
職員室の一角、隠れて転入試験を見ていた右渡が呟く。



一二三が選んだ起き攻めは
ドリキャンによる相手真上からの垂直降下JHS
真上すぎて自分でも表か裏かわからない

(もうリバサヴォルカは警戒しない。
 この人相手に警戒してたらジリ貧になっちゃう)

『セィ!ハッセイャッ!、γブレィ』

立ちP×5>立ちHSで追い討ちをかける。

『スシ!バンザーロマンティーック ハラキリ!』

受身を取ったソルをバンザイFRCから空中投げ

(いけるわ、まだいける、、
 せめてあと3割、3割減らせば・・・)

着地HS転移>空ダッシュ>JS>JHS

『オゥァ、オゥァ』


校長の声でソルがうめき声を上げる。

(校長、お覚悟下さいッ!!)


『調子にのりやがってぇ!!』
『見え見えだぜ!』

たまらずサイクを発動させる、しかしそれは予想の範疇。
落下するソルを的確に捉え、JDで地上に落とす。

試合は明らかに一二三のペースになっていた。
ソルの体力も、お世辞にも余裕があるとは言えない。

『タイラン!!』

(嘘っ!?)

不意に画面が暗転する。
チップの時が一瞬静止する。

画面に映っていたのは、いままさに拳を振り上げるソル
そして、その横で竜巻のように回転するチップ


ゴシャァッ

チップのJSがソルの顔面を捉えるはずだった。
しかし、1Fを見切る超人梅子にそんなことは関係ない。

そういわんばかりのタイランレイブだった。



ロマンティーック!


『イタダキー!イタダキー!イタダキー!イタダキー!イタダキー!イタダキー!イタダキー!イタダキー!イタダキー!
 フッ、イタダキー!イタダキー! ヴォルカニックヴァイパー!!』
『シッショー!!』

タイラン一段目RC>屈HS>【昇りD>下りD】×4>締め


【梅子式超絶悶絶きりもみDループ☆】が炸裂する。

    -SLASH-


『こんなもんか。』


まだチップのゲージは減り続けていた。。。