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「お疲れ様、結果は私と校長とで検討してから教えるわ。  明日には結果でると思うから、また明日来てね。」 「はい、ありがとう、、ございました・・・。」 そういって一二三は職員室を、ギル高を一度去るのだった。 「・・・筝笠先生」 「あ、右渡校長、見てたんですか?」 「まぁね、それより彼女だけど」 「そうですね、素質は十分だと思います。  それから、見掛けの割りに感情的みたいですね。  他には」 「いや、いいんだ」 「はい?」 筝笠の話を右渡が止める。 「彼女、合格だよ。  チップの何たるかを無意識のうちに理解している。」 「はぁ?校長が言うんでしたら、異論はありませんけど・・・  なんですか?チップの何たるかって?」 「・・・なんだろうねぇ」 後日、一二三には正式に合格通知が手渡された [一二三・エア・プロヴォークの転入を認める。学校長 右渡 大輔㊨] ―1年E組SHR― 「と、ゆーわけで  こちらが、今日からこの学校に通うことになった  一二三・エア・プロヴォークだ。」 ざわざわ 「おぉ~、また転入生か・・・」 「あの子、この前ゲーセンにきた子じゃない?」 「あ~、確かに」 ざわざわ 「犬が西向きゃ尾は被害妄想・・・」 「ケッコー可愛くない?」 「不謹慎だぞ・・・」 ざわざわ 「兄貴には俺がついてるッス、浮気しちゃだめッスよ」 「気持ちわりーんだよテメーは!」 教室がざわめく、この辺はやはり高校生らしいところだ。 ただ、、、教室にズドンと筐体が置いてある、、やっぱり圧巻だ。 「あ~、こら、黙れお前ら。  ほら、適当に自己紹介しとけ」 「は、はいはい、えーとえーと  一二三・エア・プロヴォークです。  持ちキャラはチップです・・・はい。」 その時一二三はふと見知った顔が入ることに気づいた。 (あれ?、樹さんじゃ?) 樹(とおぼしき女性)は紙に何かを懸命に書いていた。 (なんだろう、キャラ対策かな?  それとも独自のメイ理論だったりして、、ま、まさかラブレター!  おぉ~、恋する女性は美しいよねぇ~。。) 脳回路全開、フル稼働開始。 少女の想像力は留まることを知らない、これぞ一二三脳。 「ん?どしたぁ?、君の席はあそこな。  授業始めるぞー、今日は弱キャラが弱キャラと呼ばれる所以についてだ。  っと、その前に、、おい、お前ら、  最近校長の名前を間違った不届き者がいるから注意しろよ?  右渡太輔校長だぞ。大輔じゃぁないからな?」 とりあえず、さっさと授業を始める雁田。 どっかの20番が右渡の名前を間違ったことについて話している。 (恋する女性、相手は誰かなぁ~  やっぱりこの前約束にこれなかった人のことかなぁ~) 「いいか?弱キャラってのはな、ゲーム中のシステムや仕様に恵まれず、  ダイヤの下にいるのが多いキャラたちのことだ。  コンボが安いとか、相性が悪いとか、対義語はもちろん強キャラだぞ。」 (うんうん、  樹さんの持ちキャラはメイだから、  きっと相手の人はジョニーよね、そうよ、そうに決まってるわ。  はぁ、一途な恋、、憧れちゃうなぁ・・・) そんな腐女子脳をフル稼働させる一二三をよそに 教室中の70%の人間が睡魔に襲われていた。 なんでって、そんなの決まってる。 『弱キャラが弱い理由なんて解りきってるから』である。 「え~、とまずチップについてだな」 (恋と言えば障害が付き物・・・?  ・・・先生、いま何と?  チップは弱キャラだったんですか~・・・?  ずっと中堅以上だと思ってたのになぁ) 心の中で当惑する一二三の事など露知らず、雁田が解説を進める。 「特筆すべきはその防御力と気絶値にある。  コイツの防御係数は1.61、気絶値は50だ。  ワンチャンスで一気に体力をぶっこ抜けるギルティでは致命傷だ  サイクの無い状態で浮かされたら死を覚悟したほうがいい。  火力も比較的低いし、エリアルもPやKを多く刻むからバーストを溜めやすい。」 (そうかぁ、そうだったのね、、  体力減りやすいなぁとは思ってたけど、、、  真実とは常に過酷よね・・・) それっきり、一二三も夢の世界の入り口へと向かうのだった。 『オゥァーオゥァーオゥァーネッテロー!!』 右渡の声が響き渡る。 この学校特有のDループチャイム。 (ハッ!  Dループ!!?) 「あ~、んじゃ授業終わるぞ  おつかれ~、みんな夢ん中だけどな。」 (なんだ、チャイムか・・・  恐るべし右渡チャイム、  恐るべしDループ。) チップ使いにとってDループはまさに恐怖の象徴と言える。 5割、6割当たり前、つい先日の転入試験のこともある。 「受かったのね、よかった。」 授業が終わってすぐ、樹が声をかけてきた。 「あ、樹さん。  ??そちらの人は?」 「あぁ、この前約束に来れなかった奴よ  佐藤 愛っていってね、ヴェノム使いよ。」 そう言って樹は隣にいた、、、、、、、女子?を紹介した。 「はじめまして、一二三です。  よろしくお願いします。女の子さんでしたか、  私はてっきりジョニー使いの男の子だとばかり、あはは・・・  (ふぅ、読みがはずれちゃった・・・おつかれさま、私)」 「あぁ、よろしく、、  いや、俺は男だよ。。」 「・・・はぇ、、、、?」 (お、可笑しい、どこから見ても女の子に見える、、  いや、髪は長いし、でも胸はサッパリないわね。。  やゃ、ホントに男の子みたいだ、、  それ以前に明らかに男子の制服でしょ、これは  ま、まずい、この雰囲気は、絶対気にしてるよ。。) 「ご、ごめんなさい。  な、名前が名前だけに、ついつい・・・  あぁ、それより、愛って名前なのにヴェノム使いなんですね。  ファウスト使ってるわけじゃないんですか??」 性別を間違えたことを咄嗟にフォローすべく話題を変えてみる。 「・・・ハァ」 しかし、愛は気の抜けた大きなため息をつく、 なんだろう、またいけないことを言ってしまったのだろうか? 「あのねぇ、一二三、  名前だけじゃなくて、苗字も込みなのよ?ニヤニヤ」 「・・・苗字?佐藤ですよね。。。」 (佐藤、、さとう、、さとー  サトー・・・・・・・・・・・ま、まさか!!)       『ザトー 愛』 (*<◎>)<ザトー様、フォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!! ( <◎>)<ザトー様、どうしてこんなことにっ! (#<◎>)<愚弄してくれたな、例え骸だけでも返してもらうぞ! (;;<◎>)<あぁあ、あの方以外にっ! 「・・・ご、ごめんなさい、気づかなくて、クスッ  すいません、悪気はなかったんで、、ププッ」 「いや、いいって、慣れた慣れた。  樹なんてもっと笑いやがったしね・・・」 「なに言ってるのよ、全部あなたの名前が悪いのよ。  いっそ開き直りなさいって、そのほうがいいわ。」 「やっかましい!  間違っても『ザトー様フォォォォォ…』とは言わんぞ!  右に誓う!!」 「校長に誓うとろくなことにならないわよ?」 「いや、俺は右渡を信じる。  ・・・それより気分転換に対戦しようぜ、、、」 「転換するのはあなただけだけどねぇ・・・?」 「ウルセー、ウルセー!」 こうして少女の学校生活は始まった。 『マッセ、ハァッ!マッセ、ショット!ロマンティーック!デュービスカーブ!』 『覚悟を決めろ、ダークエンジェル!見誤ったな!!』 『シッショー』 『一度のチョークで、十分だったな。』 「ほへ~、  愛ちゃんつよいですねぇ~」 「なあ、"ちゃん"はやめてくれないかな・・・」 「じゃぁ、何がいいですか??」 「・・・俺もわからん。」 やはり、愛という名前は普通に生きるには苦労する名前だ。 男の友達とかなら「佐藤」で済ましてくれる。 しかし、どうだ、、「愛ちゃん」はないだろ、、 俺は天才卓球少女でもなければ年間億単位のプロゴルファーでもない。 しかも呼ぶことにまるで罪悪感がないな、罪なハーフだ。。 そもそも、俺がヴェノムを使いだしたのは動画に感化されたからだ。 ボールと共に華麗に立ち回るそのキャラを見て、俺は全身が痺れた。 元は梅喧を使っていたが、そのときの衝撃といったら・・・筆舌に尽くしがたい。 そして、俺はヴェノムにキャラ換えしたんだ。。 日夜、ヴェノムの練習に明け暮れた。 難しい、難しいと言われていた操作も苦にならなかった。 むしろ、楽しいとしか思わなかった。 だが、あまりにも納得いかない事実がそこに隠されていた・・・。 そう、こいつはフォモだったんだ!! GGXXBBSを見て初めてそのことに気づいた。 そして気づいたときにはもう遅かった。 おれはヴェノムしか使えない体になっていた、やりこみすぎた。 ギルティでここまで自分自身を悔いたのはこれが初めてだった。 (キャラがフォモ?  別にいいじゃねぇか、そんなのネタだぜ。笑いのタネ。) そう思った、そうやって過ごすことにした。 今思い返しても苦しいやり過ごし方だったんだ。 事実、このとき俺はもう既に気づいていたんだ。 「己の名が絶望的に危ないことに!」 なぜ俺の苗字は佐藤なんだ!? 日本で一位二位を争うメジャーな苗字だよ。 なぜ俺の名前は愛なんだ!!? 「答えてくれ、親父!!!」 俺は親父を問い詰めた、勿論さりげなくだが。 曰く、「人を愛することが出来るような人間になって欲しかったんだ。」 「・・・あんたは、3年B組の担任か・・・?」 orz 俺は決意した、たとえ納得いかなくとも、 親から貰った名前を背負って生きていくんだ、と この名前を蔑むような奴は俺のヴェノムで倒せばいい。うん、それでいい。 「・・・?  愛ちゃ~ん?どうかした?」 「いや、別に、、  だから"ちゃん"は・・・」 「でも、他にいいのがないんだよね・・・  愛くんもおかしいでしょ。。  なんなら愛殿にする??」 「・・・謹んでご遠慮します。」 「一二三、愛そろそろ帰りましょう。」 「はーい」「はいはいっと」 まぁ、悪くない、、かな・・・ 「それにしても、  一二三残念だったわね。」 「何がですか?」 「闘劇代表選抜ランバト兼期末テストに参加できなくて、  実はあたしも愛も負けちゃってね。」 「そんなのあったんですか?  でも、私の腕じゃ無理ですよ。流石に」 「そうかしら?でも勝った人達ってホント強いのよねぇ、  特にうちのクラスだと・・・そうね、  エディ使いの郁瀬君と、カイ使いの聖さんと、、  あぁ、あとDQNスレイヤーをボッコボコにしたチップ使いが一人・・・紙野っていってね。  あの試合は見物だったわね、雁田が試合のビデオ持ってるかも知れないから、借りてみたら?」 学校からの帰り道、三人、いや二人で他愛のない話を繰り返す。 もう既に、一二三はこの空気に馴染んでいた。 愛は話に加わらずに自分はなんと呼ばれるのがいいのかを熟考している。 「愛、、さん、くん、、ちゃんは却下だし・・・  殿、、は明らかに可笑しい。呼び捨てで構わないけどな、、いや」ブツブツ 「このあとは夏休み、それから次は学祭ね、学祭。  ま、学祭って言っても結局ギルティにまみれた学祭だけどね。」 「いいですねぇ~、学祭  やっぱりクラス毎に色々やるんですか?」 「うん、クラス毎、キャラ毎、部活毎ってところね。。  あぁ、そうそう、チップ使いの集まりには行かないほうがいいわよ。  なんか、前に手裏剣が刺さって病院いったのがいるらしいから。」 「・・・なんですか、、それ?  やっぱり、樹さんはメイ使いの集まり行くんですか?」 「いや、あたしは。。行かないかな・・・」 「??  あ、愛ちゃんは?いかないの?ヴェノムの集まり」 「断じて行かん!ただの同人誌ならともかく、  ザト×ヴェノやらヴェノ×医者の同人誌の即売会なんて行けるわけないだろ。」 「は・・・?ドージンシ?」 「知らないほうがいいわ、気分を害する。  愛にとって自分の名前が一番恥ずかしくなる場所ってことよ、  あ、じゃぁあたし、家こっちだから、また」 「さよなら~」「じゃな」 「じゃ、俺はここで、またな」 「愛ちゃん、さよなら~」 「・・・わかって言ってんな。」 -終業式- 遂に明日から素晴らしい夏休みが始まる。 全国のちびっこたちが待ちわびる夏休みだ。 そして、もう一つ、ちびっこ達が首を長くして待つもの。 そう、通知表! 「返すぞー」 「遂に来ましたね、通知表。」 「ふふふ、、生きた心地がしねぇよ。」 「あたしも・・・」 愛と樹は絶望的な表情をしている。 なにか成績が下がってしまうようなことをしたのだろうか。 うってかわって一二三は随分と楽しそうだ。 「次、五所川原」 「きた、、」 背を丸めて通知表を受け取りに行く。 樹が通知表を受け取る・・・ 「樹さん固まりましたね・・・」 「あぁ・・・」 そのままへなへなと地面に座り込む樹。 ヤバかったらしい。 「次、佐藤」 「あーい」 ポジティブに通知表を受け取り行く。 愛が通知表を受け取る・・・ 「ふっふっふ・・・キタァーーー!」 愛がガッツポーズをとる。 すぐそばで樹が肩を落としている。 「対極的ですね。」 「気にしないで・・・」 「ハッハッハ!」 「次、一二三」 「はーい」 通知表を受け取る。 恐る恐る中身を確認すると、そこにはこう書いてあった。 「編入から数日しか経ってないからイマイチわかんね。」 (・・・何だコレ。) ―終業式の帰り― 一二三は一人でZEPPSに行くことにした。 愛は浮かれてさっさと家に帰ってしまったし、 樹は落ち込みすぎでとても対戦する気分ではないらしい。 空いている筐体を見つけ硬貨を投入する。 あえてデモを飛ばさずにCPU戦に突入してみる。 (そういえば、日本に来てからゆっくりCPU戦する暇もなかったなぁ・・・) 来日初日に厨髭に絡まれ、試験で1Fを見るソルと戦い、 ほんの数日で夏休みになってしまった。 『Hare Comes Daredevil!!』 まだ、しっかりと聞き取れる。 まだ一二三の夕飯はベジタボーではない。 (焦ることもないよね、ゆっくり慣れればいいもん。) 乱入してきた相手がソルを選択する。 どうもソルというと「小足見てからヴォルカ」が勝手に連想されるのはいただけない。 『さっさと始めようぜ。』 『・・・』 HEAVEN or HELL Duel1 Let's Rock!! 『βブレー!』 開幕、ガンダッシュβを勢いよく放つ。 『どうしたぁ』 (しっかりガードされた。  いきなりダッシュヴォルカなんかしてくるようなソルじゃないわね。  う~~ん、、微妙にやりづらいなぁ。。。) 一旦距離を離して仕切りなおす。 ソルは前後にふらふらと動いてはフェイントを繰り返す。 『Find me!!』 (よし、慎重に立ち回ってくるなら、速さで攪乱してみよう。  迷彩よーし、心の準備よーし。) 『はずれだ!』 ダッシュから意表をついてソルの後ろに転移、そのまま近Sを繰り出す。 しかし、近Sはソルに届かない、完璧なタイミングでのバックステップ。 (むむ~、、いよいよもってやりづらいソルだぁ  ん~、そっちから手を出してくれるとありがたいんですけどねぇ・・・) そんなことを考えていると、ソルがチップに接近してきた。 それもダッシュではない、『歩き』でだ。 (・・・ダッシュからヴォルカ、ぶっきら2択も嫌いだけど、、  歩きからN択って・・・うわぁ~全然わかんないよこの人ぉ!!) ソルがこつこつと歩いてくる。 怖い、歩きがコレほどまでに恐ろしい行動だったとは・・・ じりじり、じりじりと歩み寄るソル、お互いの射程内に入っても歩みを止めない。 (・・・ど、どうしよう、、、手をださなきゃ、、  ううん、もしそこでヴォルカがきたらヤバイことに成りかねないし。  あぁ~~、もうわけワカンナイ・・・。) 『フッ、オォゥ!』 (・・・あ。) 延々と一二三が悩み続ける間にとうとうソルはぶっきらの射程内まで歩を進めていた。 エリアル>ヴォルカ>叩き落し、一連の作業のようにソルが攻撃を当てる。 (・・・なんで投げの範囲に入られるまで悩むかなぁ、私ってば・・・  やっぱり、ソルが歩いてくるとか反則だよ。) しかし、叩き落しを決めた後のソルの動きは一変して、ガンダッシュ 倒れるチップを画面端まで引きずって、いや・・・押していく。 (・・・う・・・またなんか始まった。。  リバサで投げを入力すれば投げられる・・・でもなぁ、次こそヴォルカ?  ぶっきらされても洒落にならないし。。う~~~~~~~ん、よし!!) 決意を固めて623コマンドを入力する。リバサβだ。 『βブレー!』 しかし、チップのβが空を切る。 ソルはチップの起き上がりにバックステップを選択していた。 (・・・もう呆れて声も出ないよ。  読みが深いとか、洞察力が凄いとか、そういう感じじゃない・・・  でも、このチャンスなら間違いなくJDを当てに来るはず、結局ソルはDループだから。  これほど複雑な立ち回りをして、やっとDループのチャンスがきて、それをしないソルなんかいないよ。) 一二三が予想したとおり、ソルがジャンプする。 『テェヤー!』『なめてんじゃねぇ!』 ロマンティーック 『どうしたぁ』 (・・・え、と、、サイクも読まれましたか、そうですか。) 『テェヤー、テェヤー、ヴォルカニックヴァイパー!!』 ひとしきりDループが炸裂する。 再び起き攻め、今度は月並みにガンフレ青を重ねてくる。 (ガンフレ青、、流石にとんでも起き攻めはもう来ないか。  さて、どうしよう・・・そうだなぁ、ここは意表をついてもう一発・・・) 『βブレー!』 ガンフレ青後、走ってきたソルにβブレードが今度こそ炸裂する。。筈だったんだけどなぁ・・・ 『ドラゴンインストォーーール!!』 (もう無理、勝てる気しない・・・  ぶっぱするわけでもないし、こっちの予想は完璧に裏切るし、  その上、立ち回りは慎重極まりなく、要所を押さえて何故かドライン・・・) その後は 【JD>JD】×2>JS>JS>JS>JC>JS>JS>JS>ヴォルカ という、ネタの域にすら達しかねないJS乱舞を喰らってSLASH 『手の内はしまいかっ?』 (・・・まだ次のラウンドあるけど、ちょっと話かけてみようかな。) そう思って筐体の裏に回ってみる、座っていたのはギル高の男子学生 「すいませぇん・・・」 「ん?俺ですか?もう1ラウンド残ってますけど?」 ソル使いは物腰柔らかで、ソルのようなとげとげしさは無かった。 別にソル使いならみんながみんなぶっきらぼうで粗野ってわけではないが。 「いやぁ、なんか圧倒されちゃって・・・」 「あぁ、そうか、さっきはワザと意外な立ち回りをしようと思いまして。  そうだ、僕の名前は双琉 建、見ての通りソル使いです。  基本的にぶっぱとかはあまり好きじゃないんです、必要な時には使いますけどね。」 「あ、私は一二三・エア・プロヴォークって言います、一年です。」 「一年?なんだ、僕と同じなんですね。  また学校で会う機会があったらまた、よろしくお願いします。」 「あぁ、いえいえ、こちらこそ・・・。」 それだけ言ってそそくさとその場を立ち去る。 う~ん、らしくない立ち回りっていうのも結構重要なのかも・・・。
「お疲れ様、結果は私と校長とで検討してから教えるわ。  明日には結果でると思うから、また明日来てね。」 「はい、ありがとう、、ございました・・・。」 そういって一二三は職員室を、ギル高を一度去るのだった。 「・・・筝笠先生」 「あ、右渡校長、見てたんですか?」 「まぁね、それより彼女だけど」 「そうですね、素質は十分だと思います。  それから、見掛けの割りに感情的みたいですね。  他には」 「いや、いいんだ」 「はい?」 筝笠の話を右渡が止める。 「彼女、合格だよ。  チップの何たるかを無意識のうちに理解している。」 「はぁ?校長が言うんでしたら、異論はありませんけど・・・  なんですか?チップの何たるかって?」 「・・・なんだろうねぇ」 後日、一二三には正式に合格通知が手渡された [一二三・エア・プロヴォークの転入を認める。学校長 右渡 大輔㊨] ―1年E組SHR― 「と、ゆーわけで  こちらが、今日からこの学校に通うことになった  一二三・エア・プロヴォークだ。」 ざわざわ 「おぉ~、また転入生か・・・」 「あの子、この前ゲーセンにきた子じゃない?」 「あ~、確かに」 ざわざわ 「犬が西向きゃ尾は被害妄想・・・」 「ケッコー可愛くない?」 「不謹慎だぞ・・・」 ざわざわ 「兄貴には俺がついてるッス、浮気しちゃだめッスよ」 「気持ちわりーんだよテメーは!」 教室がざわめく、この辺はやはり高校生らしいところだ。 ただ、、、教室にズドンと筐体が置いてある、、やっぱり圧巻だ。 「あ~、こら、黙れお前ら。  ほら、適当に自己紹介しとけ」 「は、はいはい、えーとえーと  一二三・エア・プロヴォークです。  持ちキャラはチップです・・・はい。」 その時一二三はふと見知った顔が入ることに気づいた。 (あれ?、樹さんじゃ?) 樹(とおぼしき女性)は紙に何かを懸命に書いていた。 (なんだろう、キャラ対策かな?  それとも独自のメイ理論だったりして、、ま、まさかラブレター!  おぉ~、恋する女性は美しいよねぇ~。。) 脳回路全開、フル稼働開始。 少女の想像力は留まることを知らない、これぞ一二三脳。 「ん?どしたぁ?、君の席はあそこな。  授業始めるぞー、今日は弱キャラが弱キャラと呼ばれる所以についてだ。  っと、その前に、、おい、お前ら、  最近校長の名前を間違った不届き者がいるから注意しろよ?  右渡太輔校長だぞ。大輔じゃぁないからな?」 とりあえず、さっさと授業を始める雁田。 どっかの20番が右渡の名前を間違ったことについて話している。 (恋する女性、相手は誰かなぁ~  やっぱりこの前約束にこれなかった人のことかなぁ~) 「いいか?弱キャラってのはな、ゲーム中のシステムや仕様に恵まれず、  ダイヤの下にいるのが多いキャラたちのことだ。  コンボが安いとか、相性が悪いとか、対義語はもちろん強キャラだぞ。」 (うんうん、  樹さんの持ちキャラはメイだから、  きっと相手の人はジョニーよね、そうよ、そうに決まってるわ。  はぁ、一途な恋、、憧れちゃうなぁ・・・) そんな腐女子脳をフル稼働させる一二三をよそに 教室中の70%の人間が睡魔に襲われていた。 なんでって、そんなの決まってる。 『弱キャラが弱い理由なんて解りきってるから』である。 「え~、とまずチップについてだな」 (恋と言えば障害が付き物・・・?  ・・・先生、いま何と?  チップは弱キャラだったんですか~・・・?  ずっと中堅以上だと思ってたのになぁ) 心の中で当惑する一二三の事など露知らず、雁田が解説を進める。 「特筆すべきはその防御力と気絶値にある。  コイツの防御係数は1.61、気絶値は50だ。  ワンチャンスで一気に体力をぶっこ抜けるギルティでは致命傷だ  サイクの無い状態で浮かされたら死を覚悟したほうがいい。  火力も比較的低いし、エリアルもPやKを多く刻むからバーストを溜めやすい。」 (そうかぁ、そうだったのね、、  体力減りやすいなぁとは思ってたけど、、、  真実とは常に過酷よね・・・) それっきり、一二三も夢の世界の入り口へと向かうのだった。 『オゥァーオゥァーオゥァーネッテロー!!』 右渡の声が響き渡る。 この学校特有のDループチャイム。 (ハッ!  Dループ!!?) 「あ~、んじゃ授業終わるぞ  おつかれ~、みんな夢ん中だけどな。」 (なんだ、チャイムか・・・  恐るべし右渡チャイム、  恐るべしDループ。) チップ使いにとってDループはまさに恐怖の象徴と言える。 5割、6割当たり前、つい先日の転入試験のこともある。 「受かったのね、よかった。」 授業が終わってすぐ、樹が声をかけてきた。 「あ、樹さん。  ??そちらの人は?」 「あぁ、この前約束に来れなかった奴よ  佐藤 愛っていってね、ヴェノム使いよ。」 そう言って樹は隣にいた、、、、、、、女子?を紹介した。 「はじめまして、一二三です。  よろしくお願いします。女の子さんでしたか、  私はてっきりジョニー使いの男の子だとばかり、あはは・・・  (ふぅ、読みがはずれちゃった・・・おつかれさま、私)」 「あぁ、よろしく、、  いや、俺は男だよ。。」 「・・・はぇ、、、、?」 (お、可笑しい、どこから見ても女の子に見える、、  いや、髪は長いし、でも胸はサッパリないわね。。  やゃ、ホントに男の子みたいだ、、  それ以前に明らかに男子の制服でしょ、これは  ま、まずい、この雰囲気は、絶対気にしてるよ。。) 「ご、ごめんなさい。  な、名前が名前だけに、ついつい・・・  あぁ、それより、愛って名前なのにヴェノム使いなんですね。  ファウスト使ってるわけじゃないんですか??」 性別を間違えたことを咄嗟にフォローすべく話題を変えてみる。 「・・・ハァ」 しかし、愛は気の抜けた大きなため息をつく、 なんだろう、またいけないことを言ってしまったのだろうか? 「あのねぇ、一二三、  名前だけじゃなくて、苗字も込みなのよ?ニヤニヤ」 「・・・苗字?佐藤ですよね。。。」 (佐藤、、さとう、、さとー  サトー・・・・・・・・・・・ま、まさか!!)       『ザトー 愛』 (*<◎>)<ザトー様、フォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!! ( <◎>)<ザトー様、どうしてこんなことにっ! (#<◎>)<愚弄してくれたな、例え骸だけでも返してもらうぞ! (;;<◎>)<あぁあ、あの方以外にっ! 「・・・ご、ごめんなさい、気づかなくて、クスッ  すいません、悪気はなかったんで、、ププッ」 「いや、いいって、慣れた慣れた。  樹なんてもっと笑いやがったしね・・・」 「なに言ってるのよ、全部あなたの名前が悪いのよ。  いっそ開き直りなさいって、そのほうがいいわ。」 「やっかましい!  間違っても『ザトー様フォォォォォ…』とは言わんぞ!  右に誓う!!」 「校長に誓うとろくなことにならないわよ?」 「いや、俺は右渡を信じる。  ・・・それより気分転換に対戦しようぜ、、、」 「転換するのはあなただけだけどねぇ・・・?」 「ウルセー、ウルセー!」 こうして少女の学校生活は始まった。 『マッセ、ハァッ!マッセ、ショット!ロマンティーック!デュービスカーブ!』 『覚悟を決めろ、ダークエンジェル!見誤ったな!!』 『シッショー』 『一度のチョークで、十分だったな。』 「ほへ~、  愛ちゃんつよいですねぇ~」 「なあ、"ちゃん"はやめてくれないかな・・・」 「じゃぁ、何がいいですか??」 「・・・俺もわからん。」 やはり、愛という名前は普通に生きるには苦労する名前だ。 男の友達とかなら「佐藤」で済ましてくれる。 しかし、どうだ、、「愛ちゃん」はないだろ、、 俺は天才卓球少女でもなければ年間億単位のプロゴルファーでもない。 しかも呼ぶことにまるで罪悪感がないな、罪なハーフだ。。 そもそも、俺がヴェノムを使いだしたのは動画に感化されたからだ。 ボールと共に華麗に立ち回るそのキャラを見て、俺は全身が痺れた。 元は梅喧を使っていたが、そのときの衝撃といったら・・・筆舌に尽くしがたい。 そして、俺はヴェノムにキャラ換えしたんだ。。 日夜、ヴェノムの練習に明け暮れた。 難しい、難しいと言われていた操作も苦にならなかった。 むしろ、楽しいとしか思わなかった。 だが、あまりにも納得いかない事実がそこに隠されていた・・・。 そう、こいつはフォモだったんだ!! GGXXBBSを見て初めてそのことに気づいた。 そして気づいたときにはもう遅かった。 おれはヴェノムしか使えない体になっていた、やりこみすぎた。 ギルティでここまで自分自身を悔いたのはこれが初めてだった。 (キャラがフォモ?  別にいいじゃねぇか、そんなのネタだぜ。笑いのタネ。) そう思った、そうやって過ごすことにした。 今思い返しても苦しいやり過ごし方だったんだ。 事実、このとき俺はもう既に気づいていたんだ。 「己の名が絶望的に危ないことに!」 なぜ俺の苗字は佐藤なんだ!? 日本で一位二位を争うメジャーな苗字だよ。 なぜ俺の名前は愛なんだ!!? 「答えてくれ、親父!!!」 俺は親父を問い詰めた、勿論さりげなくだが。 曰く、「人を愛することが出来るような人間になって欲しかったんだ。」 「・・・あんたは、3年B組の担任か・・・?」 orz 俺は決意した、たとえ納得いかなくとも、 親から貰った名前を背負って生きていくんだ、と この名前を蔑むような奴は俺のヴェノムで倒せばいい。うん、それでいい。 「・・・?  愛ちゃ~ん?どうかした?」 「いや、別に、、  だから"ちゃん"は・・・」 「でも、他にいいのがないんだよね・・・  愛くんもおかしいでしょ。。  なんなら愛殿にする??」 「・・・謹んでご遠慮します。」 「一二三、愛そろそろ帰りましょう。」 「はーい」「はいはいっと」 まぁ、悪くない、、かな・・・ 「それにしても、  一二三残念だったわね。」 「何がですか?」 「闘劇代表選抜ランバト兼期末テストに参加できなくて、  実はあたしも愛も負けちゃってね。」 「そんなのあったんですか?  でも、私の腕じゃ無理ですよ。流石に」 「そうかしら?でも勝った人達ってホント強いのよねぇ、  特にうちのクラスだと・・・そうね、  エディ使いの郁瀬君と、カイ使いの聖さんと、、  あぁ、あとDQNスレイヤーをボッコボコにしたチップ使いが一人・・・紙野っていってね。  あの試合は見物だったわね、雁田が試合のビデオ持ってるかも知れないから、借りてみたら?」 学校からの帰り道、三人、いや二人で他愛のない話を繰り返す。 もう既に、一二三はこの空気に馴染んでいた。 愛は話に加わらずに自分はなんと呼ばれるのがいいのかを熟考している。 「愛、、さん、くん、、ちゃんは却下だし・・・  殿、、は明らかに可笑しい。呼び捨てで構わないけどな、、いや」ブツブツ 「このあとは夏休み、それから次は学祭ね、学祭。  ま、学祭って言っても結局ギルティにまみれた学祭だけどね。」 「いいですねぇ~、学祭  やっぱりクラス毎に色々やるんですか?」 「うん、クラス毎、キャラ毎、部活毎ってところね。。  あぁ、そうそう、チップ使いの集まりには行かないほうがいいわよ。  なんか、前に手裏剣が刺さって病院いったのがいるらしいから。」 「・・・なんですか、、それ?  やっぱり、樹さんはメイ使いの集まり行くんですか?」 「いや、あたしは。。行かないかな・・・」 「??  あ、愛ちゃんは?いかないの?ヴェノムの集まり」 「断じて行かん!ただの同人誌ならともかく、  ザト×ヴェノやらヴェノ×医者の同人誌の即売会なんて行けるわけないだろ。」 「は・・・?ドージンシ?」 「知らないほうがいいわ、気分を害する。  愛にとって自分の名前が一番恥ずかしくなる場所ってことよ、  あ、じゃぁあたし、家こっちだから、また」 「さよなら~」「じゃな」 「じゃ、俺はここで、またな」 「愛ちゃん、さよなら~」 「・・・わかって言ってんな。」 ―終業式― 遂に明日から素晴らしい夏休みが始まる。 全国のちびっこたちが待ちわびる夏休みだ。 そして、もう一つ、ちびっこ達が首を長くして待つもの。 そう、通知表! 「返すぞー」 「遂に来ましたね、通知表。」 「ふふふ、、生きた心地がしねぇよ。」 「あたしも・・・」 愛と樹は絶望的な表情をしている。 なにか成績が下がってしまうようなことをしたのだろうか。 うってかわって一二三は随分と楽しそうだ。 「次、五所川原」 「きた、、」 背を丸めて通知表を受け取りに行く。 樹が通知表を受け取る・・・ 「樹さん固まりましたね・・・」 「あぁ・・・」 そのままへなへなと地面に座り込む樹。 ヤバかったらしい。 「次、佐藤」 「あーい」 ポジティブに通知表を受け取り行く。 愛が通知表を受け取る・・・ 「ふっふっふ・・・キタァーーー!」 愛がガッツポーズをとる。 すぐそばで樹が肩を落としている。 「対極的ですね。」 「気にしないで・・・」 「ハッハッハ!」 「次、一二三」 「はーい」 通知表を受け取る。 恐る恐る中身を確認すると、そこにはこう書いてあった。 「編入から数日しか経ってないからイマイチわかんね。」 (・・・何だコレ。) ―終業式の帰り― 一二三は一人でZEPPSに行くことにした。 愛は浮かれてさっさと家に帰ってしまったし、 樹は落ち込みすぎでとても対戦する気分ではないらしい。 空いている筐体を見つけ硬貨を投入する。 あえてデモを飛ばさずにCPU戦に突入してみる。 (そういえば、日本に来てからゆっくりCPU戦する暇もなかったなぁ・・・) 来日初日に厨髭に絡まれ、試験で1Fを見るソルと戦い、 ほんの数日で夏休みになってしまった。 『Hare Comes Daredevil!!』 まだ、しっかりと聞き取れる。 まだ一二三の夕飯はベジタボーではない。 (焦ることもないよね、ゆっくり慣れればいいもん。) 乱入してきた相手がソルを選択する。 どうもソルというと「小足見てからヴォルカ」が勝手に連想されるのはいただけない。 『さっさと始めようぜ。』 『・・・』 HEAVEN or HELL Duel1 Let's Rock!! 『βブレー!』 開幕、ガンダッシュβを勢いよく放つ。 『どうしたぁ』 (しっかりガードされた。  いきなりダッシュヴォルカなんかしてくるようなソルじゃないわね。  う~~ん、、微妙にやりづらいなぁ。。。) 一旦距離を離して仕切りなおす。 ソルは前後にふらふらと動いてはフェイントを繰り返す。 『Find me!!』 (よし、慎重に立ち回ってくるなら、速さで攪乱してみよう。  迷彩よーし、心の準備よーし。) 『はずれだ!』 ダッシュから意表をついてソルの後ろに転移、そのまま近Sを繰り出す。 しかし、近Sはソルに届かない、完璧なタイミングでのバックステップ。 (むむ~、、いよいよもってやりづらいソルだぁ  ん~、そっちから手を出してくれるとありがたいんですけどねぇ・・・) そんなことを考えていると、ソルがチップに接近してきた。 それもダッシュではない、『歩き』でだ。 (・・・ダッシュからヴォルカ、ぶっきら2択も嫌いだけど、、  歩きからN択って・・・うわぁ~全然わかんないよこの人ぉ!!) ソルがこつこつと歩いてくる。 怖い、歩きがコレほどまでに恐ろしい行動だったとは・・・ じりじり、じりじりと歩み寄るソル、お互いの射程内に入っても歩みを止めない。 (・・・ど、どうしよう、、、手をださなきゃ、、  ううん、もしそこでヴォルカがきたらヤバイことに成りかねないし。  あぁ~~、もうわけワカンナイ・・・。) 『フッ、オォゥ!』 (・・・あ。) 延々と一二三が悩み続ける間にとうとうソルはぶっきらの射程内まで歩を進めていた。 エリアル>ヴォルカ>叩き落し、一連の作業のようにソルが攻撃を当てる。 (・・・なんで投げの範囲に入られるまで悩むかなぁ、私ってば・・・  やっぱり、ソルが歩いてくるとか反則だよ。) しかし、叩き落しを決めた後のソルの動きは一変して、ガンダッシュ 倒れるチップを画面端まで引きずって、いや・・・押していく。 (・・・う・・・またなんか始まった。。  リバサで投げを入力すれば投げられる・・・でもなぁ、次こそヴォルカ?  ぶっきらされても洒落にならないし。。う~~~~~~~ん、よし!!) 決意を固めて623コマンドを入力する。リバサβだ。 『βブレー!』 しかし、チップのβが空を切る。 ソルはチップの起き上がりにバックステップを選択していた。 (・・・もう呆れて声も出ないよ。  読みが深いとか、洞察力が凄いとか、そういう感じじゃない・・・  でも、このチャンスなら間違いなくJDを当てに来るはず、結局ソルはDループだから。  これほど複雑な立ち回りをして、やっとDループのチャンスがきて、それをしないソルなんかいないよ。) 一二三が予想したとおり、ソルがジャンプする。 『テェヤー!』『なめてんじゃねぇ!』 ロマンティーック 『どうしたぁ』 (・・・え、と、、サイクも読まれましたか、そうですか。) 『テェヤー、テェヤー、ヴォルカニックヴァイパー!!』 ひとしきりDループが炸裂する。 再び起き攻め、今度は月並みにガンフレ青を重ねてくる。 (ガンフレ青、、流石にとんでも起き攻めはもう来ないか。  さて、どうしよう・・・そうだなぁ、ここは意表をついてもう一発・・・) 『βブレー!』 ガンフレ青後、走ってきたソルにβブレードが今度こそ炸裂する。。筈だったんだけどなぁ・・・ 『ドラゴンインストォーーール!!』 (もう無理、勝てる気しない・・・  ぶっぱするわけでもないし、こっちの予想は完璧に裏切るし、  その上、立ち回りは慎重極まりなく、要所を押さえて何故かドライン・・・) その後は 【JD>JD】×2>JS>JS>JS>JC>JS>JS>JS>ヴォルカ という、ネタの域にすら達しかねないJS乱舞を喰らってSLASH 『手の内はしまいかっ?』 (・・・まだ次のラウンドあるけど、ちょっと話かけてみようかな。) そう思って筐体の裏に回ってみる、座っていたのはギル高の男子学生 「すいませぇん・・・」 「ん?俺ですか?もう1ラウンド残ってますけど?」 ソル使いは物腰柔らかで、ソルのようなとげとげしさは無かった。 別にソル使いならみんながみんなぶっきらぼうで粗野ってわけではないが。 「いやぁ、なんか圧倒されちゃって・・・」 「あぁ、そうか、さっきはワザと意外な立ち回りをしようと思いまして。  そうだ、僕の名前は双琉 建、見ての通りソル使いです。  基本的にぶっぱとかはあまり好きじゃないんです、必要な時には使いますけどね。」 「あ、私は一二三・エア・プロヴォークって言います、一年です。」 「一年?なんだ、僕と同じなんですね。  また学校で会う機会があったらまた、よろしくお願いします。」 「あぁ、いえいえ、こちらこそ・・・。」 それだけ言ってそそくさとその場を立ち去る。 う~ん、らしくない立ち回りっていうのも結構重要なのかも・・・。

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