防衛力整備で新局立ち上げへ 内局に自衛官多数 防衛省方針
2008.10.23 01:41

このニュースのトピックス:国会
 防衛省は22日、背広組と制服組で構成する新たな防衛力整備に関する局を内部部局に設置する方針を固めた。背広組を中心とする内局の防衛計画課と制服組が中核をなす陸海空各幕僚監部の担当部署を統合する形で、業務を一元化する。各自衛隊の能力を糾合し主要装備の選定にあたるのが狙いで、内局内に自衛官(制服組)が多数を占める局が初めて誕生することになる。平成22年度の設置を目指しており、同省はこうした方針を23日にもまとめる省改革の「基本的な考え方」に盛り込む。

 戦車、航空機など自衛隊予算の大半を占める主要装備品は陸海空各幕僚監部が別々に予算要求を作り、省内調整を経て決定される。各幕僚監部が前年並みの予算獲得を目指し交渉にあたるため、陸が43~44%、海・空が各26~28%のシェアは10年以上変化しておらず、縦割りによる弊害が指摘されていた。

 このため、首相官邸に設置された防衛省改革会議が7月に出した報告書は整備部門を1つに統合することで、省全体の視点に立った大胆な兵力配分を可能とすることを盛り込んだ。ただ、統合される整備部門を内局に置くか、装備品を調達する装備施設本部のような独立性の高い特別の機関とするかには踏み込まなかった。

 省内調整では当初、一元化そのものに否定的だった陸海空各幕僚監部が内局への設置を主張。特別の機関とした場合、国会答弁などを担当する内局がその上位に立つ構造が残る可能性もあり、むしろ内局に優秀な人材を送り込むことで各自衛隊の意向を実現させる判断に傾いた。

 自衛官の内局勤務は課長職にはつけないとする任用資格制限などで少数に限られてきたが、今回の改革で制限は廃止される予定で、防衛力整備を扱う新局ができれば人員で局員の多数を自衛官が占めることになる。このため、内局の一部が「防衛力整備本部」構想を提唱し、9月中を予定していた取りまとめがずれ込んでいた。

 同省の組織再編では、内局の「運用企画局」が廃止され、自衛隊組織である統合幕僚監部に統合されるなどするが、今回の新局設置で背広、制服両組の混合化は劇的に進むことになる。


格闘訓練死亡「公務災害」認定へ、私的制裁の意図は否定
 海上自衛隊第1術科学校(広島県江田島市)で先月、「特別警備隊」の養成課程にいた3等海曹の男性(25)が同僚15人との格闘訓練後に死亡した問題で、防衛省・自衛隊は22日、事故は「訓練の一環だった」として「公務災害」に認定する方向で調整に入った。

 近く公表される海自事故調査委員会の中間報告や海自警務隊の捜査結果を見極めたうえで認定作業に入るが、「1対15」という無謀な格闘訓練を正規の公務と位置づけることで、今後、当事者の刑事責任の追及や真相の究明があいまいになる恐れもある。

 防衛省職員給与法などでは、自衛隊員の死亡事故を公務災害に認定する基準について、〈1〉公務遂行性〈2〉公務起因性――の二つを条件にしている。先月9日に起きた事故の場合、2日後に養成課程をやめることが決まっていた3曹の男性に対し、15人の同僚が次々に徒手格闘した行為について、通常の訓練として認めるかどうかが二つの条件を満たすポイントになる。

 海自事故調査委の内部調査では、訓練に立ち会った教官2人が、倒れ込んだ男性を熱射病と判断して適切な手当てをしなかったといった安全管理上の問題点が判明しているが、15人の同僚は嫌がらせやいじめなど私的制裁の意図は否定し、「格闘は送別行事だった」などと説明しているという。

 防衛省は、この調査結果や、事故が養成課程の訓練時間内に起きていることから、「送別行事だったとしても私的な行為ではなかった」として公務災害とする判断を固めた。同省によると、公務災害に認定されると、遺族に対しては補償としての一時金や葬祭補償、特別金が支給される。
(2008年10月22日14時34分 読売新聞)

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最終更新:2018年07月29日 13:59