依頼者名:国民番号:竿崎 裕樹:よんた藩国さま
イベント名:「煎餅ってあなた。なにしてんの?」
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 遅くなり申し訳ございませんでした。
 そしてご指名いただきありがとうございました。
 ノーア姫の素敵な一面がみられて嬉しいログでした。

 オマケをつけさせていただきました。レシピはネットで検索したので作れるかと思いますw
 口調など気になるところは直させていただきますのでお気軽にお申し付けくださいませ。



題:ノーア姫とお煎餅


よんたの王城。
ノーアは左右を見ている。
白い肌。白い髪。異国の王がノーアを迎え入れる。


「どうも、本日はおこしいただきありがとうございます」
藩王よんたがノーアに礼をする。
ずいぶん腰の低い王だ。
続いて、摂政である竿崎 裕樹が「こんばんは。お久しぶりです」と挨拶し、慌てたように礼をした。
この顔は見覚えがあるとノーアは思った。
この国に呼ばれたとき。そこにいて味のついた水(紅茶といったか)を振舞ってくれた。
「おひさしぶりね」
「ええ、そうですね……その、お元気にしてらっしゃいましたか?」
「そこそこに」
ノーアの言葉に、竿崎 裕樹は安心したような息をもらす。入りすぎていた力が少しぬけたよう。
そんなに心配されるようなことは何かあったかしらとノーアは思う。
「良かった。あー、ええと。当国の良からぬ組織を潰して下さったと聞きまして。お怪我などされてないか、と心配してまして……」
「藩王と摂政としてお礼を、と」
竿崎の言葉によんた王が続けた。
得心がいってノーアは軽く言った。
「ああ。慣れているから」
麻薬問題に必要な対策、人員の確保、取り締まり、医療。政治的に格段に悩むようなことではなかった。
ノーアにとって当たり前のことを当たり前にしただけ。
なのに摂政の竿崎 裕樹や、藩王よんたがあまりに丁寧に礼を言うのはおおげさなようにも思える。しかもその礼や心配は形だけでなく、心からのものなのだ。
「ええ。本当に、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
面映い気持でノーアが言葉を返す。
「感謝されると、悪い気はしないわね」
二人の礼を受けながら笑った。頷いてみせる。
「そういっていただければありがたいです」
よんたの言葉のあとで竿崎 裕樹が続ける。
ノーア姫のおかげで救われた命や国民の生活を思い浮かべ、竿崎摂政が率直な言葉で伝える。
「そう言ってもらえると……自分は何もできなかったので。心から感謝しています」
貴族である、しかも藩王や摂政という立場のものが素直に己を省みる。なかなかできることではあるまい。
潔い姿にノーアは微笑んだ。


「あー…っと。とりあえず。立ち話もなんですし。良かったら、またお茶でも……あ」
言葉を選ぶというより、ひどく緊張しているという印象。
「ええと、この前の飲み物でもいかがでしょうか? 御礼にしては、ささやか過ぎますけど…」
「いいわね」
ノーアは座った。
「あ。俺ももらえるかな?」
同じく座った藩王に、摂政が「はーい」と答える。
女官でなく、摂政が手づからいれるのか。
文化の違いが興味深い。
まもなくして、竿崎 裕樹の手で紅茶が入れられた。お菓子と一緒にノーアの前に出される。
その手馴れた振る舞いから、竿崎が普段より手惜しみなくそういったことをしていることが窺える。
「どうでしょう? 今日は奮発してみたんですが」
なんとも庶民的な言葉である。
口にした後、竿崎摂政が自らの言葉に気づき(うわ。言ってからなんて所帯じみてんだと我ながら)と苦悩しているのにノーアは気づかない。
言葉を受けた藩王がカップの薫りを確かめている。
確かによい香りである。
「いいわね」
ノーアは一口くちに含んだ。
品質のいい紅色の茶は香り高く風味豊かであった。
「おいしい」
そんなノーアの様子をみながら、よんたはうんうんとにこにこしながら茶を飲んでいる。
和やかな空気が流れる。



「やっぱり、ノーア姫さまのところには、お菓子とかもないんですか?」
竿崎摂政の言葉にノーアが答える。
「甘味料がすくないわね。これ、蜂蜜?」
首をかしげながらもう一口。
でも蜂蜜の味とはなんだか違う甘さだ。
ノーアの疑問によんた王が答える。
「砂糖ですね。植物からつくってます」
植物から採れるのか。そもそも砂糖とはどういうものなのだろう。
ノーア姫は興味深くよんた王に尋ねる。
「どんなもの?」
「んー、こちらでは粉状で扱われてるんですが」
粉末・・・。
液体と比較しての輸送コストや手間、扱いを考える。
そこに姫としての向学心が刺激される。
「輸送が簡単そうね。壺で輸送?」
「いろんな植物からとれます。そちらでもあるものだと…麦とかかな? ほら、パンって甘いじゃないですか」
「麦かあ・・・できないこともないかもしれないけど、さとうきびとかテンサイとかのほうがわかりやすいかも」
「こっちでは袋詰めしたりしてますね」
ノーアは驚いた。
液体より軽い粉にして袋詰めにしているのか。
水分を含まない分、多くの物資が輸送できる。
「そんなに輸送が簡単なのね。歴史がかわりそう」
「れきし……」
あまりに壮大なノーアの言葉に竿崎摂政が思わず呟いた。
補うようによんたが言葉を続ける。
「コチラの世界では大量輸送は必須ですから運びやすさはかなり重要でして」
「なるほど・・・テンサイとは、どういうもの?」
興味深々でノーアは尋ねる。
未知の甘味に、未知の輸送経路。
王族としての国家運営を頭のすみに置きながら、知的好奇心のおもむくままにノーアが質問を重ねる。
「う…そういや、おれも知りません…」
残念そうな竿崎。よんたがあとをひきとる。
「大根の一種でして・・・ってまず大根からか」
「それは分かるわ。なるほど。特殊なもの?」
「ええ、甘味のある大根でして、そこから汁を取って煮詰めてつくります」
竿崎 裕樹は、藩王を尊敬のまなざしで見つめる。
「なるほど」
思案するノーア。これを我が国でも取り入れられないだろうか。
「主に寒いところでつくられてますね」
竿崎が「ああ。だから、うちでも取れるのですね…」 と感心している。
「調べさせてみる。もし、それがいくつかあれば、栽培を研究できるかも」
甘味は体力を回復させるのによい。
そしてなにより、甘いものが手軽に手に入れば国民は喜ぶだろう。
よんた国にあるのか。竿崎はしばし思案する。なら簡単だ。
「ん。じゃあ、うちからいくつか持ってってください」
甜菜についてノーアに提案する。
「こちらでも手伝えることありましたら、ええ」
竿崎摂政の言葉を受け、よんた王が気さくに続ける。
「ありがとう」
「嬉しい」
ノーアは嬉しそうだ。
そんなノーアをみてよんた王も竿崎摂政も嬉しかった。
役にたてて嬉しい。そしてなによりノーアに喜んでもらえるのが嬉しかった。
「お役に立てれば。これくらいじゃお礼にはたりませんし」
「いえいえ。ノーア姫様がいてくれるお陰で、とても助かっているんです。どうぞ、お気になさらず」
「ええ、ホーブでもご活躍ときいています」
できることなら他にも何かお役にたてないか。
そう考えて口にする。
「うーん。他に何か、必要なものとかありませんか? 僕らでお役に立てることとかあれば…」
「ううん。これで十分。みんな、すごく喜ぶ」
みんなとは、レムーリアの国民をさすのだろう。
ノーアの皆を思いやる気さくな言葉がそのまま彼女の人柄であった。
よんた王も竿崎摂政もにこやかになる。
「はい、なにかありましたら気軽にお声をかけてください」
よんた王の言葉に、ノーアは本当に嬉しそうにうなずいた。まるで子供のようだ。
竿崎摂政は人知れず顔を赤くした。
「そうですか…良かった。ノーア姫さまの国の方も、元気なら嬉しいです」
そう言いながら、(おわー、この人が人気あるのわかるなー…)と思った。

「直接お会いする機会はなかなかないかもしれませんが、手紙がつうじれば連絡できますので。情勢次第なのがまあ難点ですが」
よんた王のいたわりの言葉にノーアは「ううん。大丈夫」 と応じた。
ノーアが大丈夫というなら信じてもいいだろう。
「はい、了解いたしました」
「でも、もしなにかあれば、言ってくださいねー。あ、お茶のおかわりでも、いかがでしょうか?」
気遣いながら竿崎摂政はお茶のおかわりをすすめた。


「もらう~」
よんた王に続いてノーア姫も「お願いします」と言った。
「あとおかしも」
空の皿さしてよんた王がおねだりする。
「はいはいw」
藩王にむけて竿崎は苦笑い。
ちょっと考えて 「じゃあ、いれてきますねー。お菓子も…じゃあ、今度は辛いやつで」と気さくに応じる。
「ありがと~」
「からいのにおかしなの?」
ノーアはびっくり。
どんなものがでてくるのだろう。
そのうち竿崎 裕樹が、日本茶と、煎餅持って戻ってきた。
「しおっけあるものと一緒にお茶のんだりもしますので」
よんた王が解説を加える。
「そうですね。個人的には、こっちのお茶には辛い方が好きなもので…」
ノーアの様子を窺いながら、竿崎が言葉を続ける。
「なるほど。試してみたい」
「そのときは甘いお茶じゃないのをのんだりもしますが」

竿崎摂政はそんなノーアをみて顔を青くした。
一国の姫に煎餅すすめてしまった!!
そして陰ながら王に謝る。よんた王は面白そうにOKサインを出す。


「どぞどぞ」
内心びくびくしながら竿崎摂政はノーアにお煎餅を勧める。
ノーアはおそるおそる手を伸ばす。
「・・・・」
ばり
食感にノーアはびっくりした。
「あ、あら。だ、だいじょうぶですか?」
竿崎摂政がおろおろとノーアをみる。
一方。
「個人的にはこっちのほうがおちつくんですよねえ・・・」
言いながらよんた王は湯のみを抱えて、ぽへ~としていた。
「かたいのね」
「やわらかいのもありますけど、硬いのが一般的ですね」
よんた王の解説に竿崎摂政が思い出して言う。
「あー、そうなんですよね…濡れ煎餅とかって、ふやかしてるのもありますが」
驚いているノーアの様子に(好みじゃなかったかー、というかお姫様に煎餅ってアホか俺、)と頭かかえる竿崎摂政の横で「コメからつくります」と冷静に成分を説明するよんた王。
ノーアが控えめに感想を述べる。
「面白いのね」
「どうです?お口に合います・・・」
「おもしろい、ですか?」
思わぬ言葉に再びうろたえはじめる竿崎摂政。
先ほどは驚いて確かめられなかった味を感じようとするノーア。どきどきしながらノーアの言葉を待つ二人。
「味が。おいしい」
溶ける緊張。
「よかった~」
ノーアの言葉にあからさまにほっとする竿崎摂政。
「あ、よかった。お口に合わないかとどきどきしました」
あー、ほっとした。と、お茶をすするよんた王。
ふと思いついたことを口にする。
「ああ、今日お出ししたお菓子の作り方おおしえしましょうか?よろしければ」
「そうね」
ノーアは笑った。
「では・・・」
よんた王はノーア姫に煎餅のレシピを伝えた。

FIN


おまけ

☆煎餅の作り方

○材料 ご飯(適量)
    タレ(カレー粉+塩、醤油、砂糖、チーズ等お好みで。)


○作り方
1、炊いたご飯をよくつぶす。
2、麺棒でうすく伸ばし、適度な大きさに切り分ける
3、1~2日ほど干し乾燥させる
4、焦げ目がつくまで焼くか揚げる
5、タレを塗ってできあがり。


題:料理長の苦悩

どこから持っていらしたのか。
ノーア姫の侍女より渡された「煎餅の作り方」に料理長は苦悩した。
「こんな料理聞いたこともありませんよ。どうしますか?」
若い料理人が不安げに料理長をみる。
「わしの腕をうたがっているのか」
料理長の言葉に若い料理人はぶんぶんと首をよこに振る。
もしやノーア様はわしの腕を試しておられるのか。
だったら答えるのが漢というもの!!
料理長の目に炎が宿る。
「よし!早速コメを用意するのだ!」
料理長の気合に恐れおののいた若い料理人は、はいと返事をして大急ぎで準備をはじめた。

そして・・・。
出来上がったものを口にした料理長は苦い顔をした。
「どうしました?料理長」
恐る恐る声をかける若い料理人。
「硬い・・」
「は・・?」
「こんな硬い食べ物があるか!なんだこれは!!」
「うわああ申し訳ございません!!」
勢いに負けて思わず謝ってしまう若い料理人。
作ったのは料理長なのになんかおかしい。
そう。おかしい。こんな硬い菓子があってたまるか。料理長はみけんのしわを深くした。
もしかしたら風土の違いが硬さとして現れてしまったのか。
だったら簡単である。
乾かす日数を縮めるか、水分を多くすればいい。
わしに不可能はない!!
ふははははははと料理長の哂いが響き渡る。


後日。
ノーア姫のもとに料理長より煎餅が届いた。
一口食べて呟く。
「柔らかいのね」
前に食べたものよりしっとりとしている。
そういえば「ぬれせんべい」なる煎餅は柔らかいと言っていたか。
考え事をするノーアを女官は恐る恐る見つめる。
視線を感じたノーアは顔をあげ、女官に命じる。
「料理長にほうびを。よくやったと伝えなさい」
安堵した女官は礼をして場を辞し、料理長のもとに向かった。

FIN