新総勘定元帳を使用する必要性の有無

既存カスタマの場合は任意

必ずしも新総勘定元帳を有効化しなければならないわけではありません。
SAP ERPへのリリースアップグレードでは、
最初は従来の総勘定元帳(集計テーブルGLT0を使用)が有効化された状態になります。

新規インストールでは初期状態で有効

新規インストールでは、SAP ERPの初期設定で新総勘定元帳が有効化さてれいます。



新総勘定元帳の有効化

新総勘定元帳を使用するには、新総勘定元帳が有効化されている必要があります。

既存カスタマが新総勘定元帳を使用するには、
まずカスタマイズトランザクション (Trcd : FAGL_ACTIVATION) を使用して
新総勘定元帳を有効化する必要があります。(新規導入の場合は、有効化されています)
各クライアントに有効化区分が設定されます。
注) 新総勘定元帳を有効化すると、システム全体でアプリケーションパスとカスタマイジングパスが変更されます。

有効後の新メニューパス

新総勘定元帳のメニューパスは、既存のカスタマイジングパスに追加されます。
処理画面の移動を容易にするために、初期設定では従来の財務会計のパスが現在の形式のまま使用可能になっています。
プログラム RFAGL_SWAP_IMG_OLD を実行すると
従来の財務会計パスを非表示にすることができます。

新総勘定元帳を有効化すると、アプリケーションおよび SAP Easy Accessメニューで
いくつかの新しいノードも使用可能になります。
注) 新総勘定元帳を有効化すると、メニューエントリに影響するだけでなく、従来の機能/トランザクションの一部が実行不能となります。



元帳の定義

標準システムには、リーディング元帳 0L
集計テーブル FAGLFLEXT が用意されています。

リーディング元帳で使用される制御パラメータの多くは、会社コードから取得されます。
すべての機能が従来のものにできる限り近くなるように、
リーディング元帳では、下記パラメータは会社コードに割り当てられているものが使用されます。
  • 国内通貨
  • 会計年度バリアント
  • 会計期間バリアント

リーディング元帳の特殊機能

常に1つのリーディング元帳だけが存在します。
標準システムでは、リーディング元帳からの値のみが CO に転記されます。

追加通貨の定義

IMG : 財務会計(新規)→財務会計共通設定(新)→元帳→元帳→定義:リーディング元帳の通貨

リーディング元帳への会計年度バリアントと会計期間バリアントの割当

IMG : 財務会計(新規)→財務会計共通設定(新)→元帳→会計年度および会計期間

リーディング元帳に加え、他の非リーディング元帳も定義することができます。
定義した非リーディング元帳は、リーディング元帳とは別の通貨、会計年度バリアントに割り当てることができます。

集計テーブル (FAGLFLEXT)

新総勘定元帳の集計テーブル(FAGLFLEXT)では、
従来の集計テーブル(GLT0)の場合よりも多くのエンティティを更新することができます。

新しい標準項目の例として以下の項目があります。
  • 原価センタ
  • 利益センタ
  • セグメント
  • etc.

集計テーブルFAGLFLEXTは、追加項目を使用して拡張することができます。
この際、事前定義されたSAP項目と全く新しいカスタマ項目の両方を追加することができます。
集計テーブルにカスタマ項目を追加するには、最初に該当項目を勘定割当ブロックに追加する必要があります。



シナリオの定義と割当

シナリオにより、(他のアプリケーションコンポーネントからの)転記中に
(総勘定元帳ビューにおいて)元帳で更新される項目が定義されます。
シナリオによって更新される項目を使用して、セグメントレポートなど、
特定の業務環境をモデル化することができます。

SAP が提供するシナリオ

原価センタ更新(FIN_CCA)
センダ原価センタ項目とレシーバ原価センタ項目の更新
連結会計準備(FIN_CONS)
連結取引タイプ項目と取引会社項目の更新
事業領域(FIN_GSBER)
センダ事業領域項目とレシーバ事業領域項目の更新
利益センタ更新(FIN_PCA)
利益センタ項目とパートナ利益センタ項目の更新
セグメンテーション(FIN_SEGM)
セグメント、パートナセグメント、および利益センタ項目の更新
売上原価法会計(FIN_UKV)
センダ機能領域項目とレシーバ機能領域項目の更新

使用可能なシナリオの照会

IMG:財務会計(新規)→財務会計共通設定(新)→元帳→項目→照会:総勘定元帳のシナリオ

注) 独自のシナリオをを定義することはできません。

シナリオの元帳への割当

IMG:財務会計(新規)→財務会計共通設定(新)→元帳→元帳→シナリオおよびユーザ定義項目->元帳
1つの元帳(リーディング元帳は必須)に、
1つまたは複数のシナリオに割当ることができ、6つのシナリオすべてを割当てることもできます。
非リーディング元帳は、必ずしも定義しなければならないわけではありません。
つまり、シナリオを非リーディング元帳に割当てなくてもかまいません。
必ずしも、各シナリオごとに1つの元帳を割当てなければならないわけではありません。



入力ビューと総勘定元帳ビュー

新総勘定元帳が有効化されている場合、財務会計伝票には
常に2つのビュー、つまり入力ビューと総勘定元帳ビューがあります。
総勘定元帳ビューには、リーディング元帳だけでなく、
非リーディング元帳の伝票も表示されます。

入力ビュー
補助元帳ビュー/補助元帳(AP/AR/AA/税)での伝票の表示方法も示すビュー
総勘定元帳ビュー
総勘定元帳(のみ)での伝票の表示方法を示すビュー



セグメント

セグメント項目は、会社コードレベル以下の対象を分析するために
SAP ERPで提供される標準勘定割当対象の1つです。
セグメントを利用する目的は、セグメントレポート(国際的な会計原則に準拠するため)等
企業でのさまざまな業務活動の詳細を提供することです。

事業領域または利益センタ対象を代替として使用することができます。
事業領域と利益センタは、これまでに他の要件を満たすために
他の目的で頻繁に使用されていたため、これらに加えてセグメントが提供されました。

セグメントの誘導

ERP システムでは、利益センタのマスタデータにセグメントを割り当てることができます。
セグメントは、利益センタが転記される際に自動的に転記されます。
ダミー利益センタのような、ダミーセグメント転記は存在しません。

利益センタにセグメントが存在しない場合には、セグメント勘定割当もありません。
初期設定には利益センタからのセグメントの誘導が含まれますが、
カスタマはユーザ Exit(BAdI)を使用して独自の誘導ソリューションを開発することができます。
このBAdIの定義名は、FAGL_DERIVE_SEGMENTです。


新総勘定元帳で伝票セグメントを転記、分析、および照会するには、以下のステップを実行します。
  1. シナリオを定義します。
    リーディング元帳(場合によっては他の非リーディング元帳)に対して、シナリオのセグメンテーションを定義する必要があります。
  2. セグメントを定義します。
  3. セグメントを誘導します。
    標準SAPシステムでは、利益センタからの標準誘導がサポートされています。
  4. 該当するFI勘定の項目ステータスバリアントと項目ステータスグループを更新します。
    セグメント項目は、任意入力として定義する必要があります。
  5. 該当する転記キーの項目ステータスを更新します。
  6. 伝票照会でレイアウトアイコンを使用してセグメント項目を照会します。

最終更新:2009年08月27日 11:16