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歌をうたうミケネコ (笹下)」(2008/12/11 (木) 23:14:23) の最新版変更点

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**歌をうたうミケネコ(笹下) 笹下の成就院の下の坂を、坊坂といいます。その寺が、成就坊といわれていたころの話です。 寺に、一匹のミケネコが飼われていました。御新造さん(奥さん)はこのネコをとてもかわいがり、ネコもとてもなついていました。 ところで、この御新造さんは、とても歌が好きで、きれいな声でよくうたっていました。 ある日、村人が坊坂を通りかかると、御新造さんの歌声に、かわいい声が重なって聞こえてきました。 「おや、この寺に子どもがいたかしら」  村人が寺の中をのぞいてみると、御新造さんの足元に、ちょこんとミケネコがすわって、いっしょにうたっていたのでした。 「これはこれは、めずらしい。ネコがこんなにじょうずにうたうとは」 「いつも私のそばにいるので、いつのまにかまねをするようになってしまつたのですよ」 「おやおや、そうですか。ミケや、これからは、村の人たちにも聞かせてあげておくれ」 それからというもの、ミケネコは、坊坂を人が通るたびに、いっそうきれいな声で、歌を聞かせるようになりました。 そして、歌をうたうネコの話は、となりの村々にまで広がり、わざわざミケネコの歌を聞きにくる人もいました。 ところが、ある日のことです。ミケネコが寺の山門の石段に、しょんぼりとすわっているのです。 「どうしたんだい。今日は、いつものようにうたわないのかい」  と村人が開きました。 「きのう、うっかり、池に落ちてしまったのです。ニャーン」 「それでカゼをひいたのかい」 「御新造さんが、体をふいて、オジヤまで作ってくれたので、もうよくなりました」 「それなら、どうしてうたわないのかね」 「オジヤが熱くて、舌をヤケドしてしまったのでうたえないんです」 「そりやかわいそうだ。よしよし、いまお前の好きなマタタビを取ってやるからな。元気をお出しよ」 四、五日すると、坊坂のあたりでは、前にもまして美しい歌声が、聞こえるようになったということです。 -------------
**歌をうたうミケネコ(笹下) &bgsound(utau.wma) 笹下の成就院の下の坂を、坊坂といいます。その寺が、成就坊といわれていたころの話です。 寺に、一匹のミケネコが飼われていました。御新造さん(奥さん)はこのネコをとてもかわいがり、ネコもとてもなついていました。 ところで、この御新造さんは、とても歌が好きで、きれいな声でよくうたっていました。 ある日、村人が坊坂を通りかかると、御新造さんの歌声に、かわいい声が重なって聞こえてきました。 「おや、この寺に子どもがいたかしら」  村人が寺の中をのぞいてみると、御新造さんの足元に、ちょこんとミケネコがすわって、いっしょにうたっていたのでした。 「これはこれは、めずらしい。ネコがこんなにじょうずにうたうとは」 「いつも私のそばにいるので、いつのまにかまねをするようになってしまつたのですよ」 「おやおや、そうですか。ミケや、これからは、村の人たちにも聞かせてあげておくれ」 それからというもの、ミケネコは、坊坂を人が通るたびに、いっそうきれいな声で、歌を聞かせるようになりました。 そして、歌をうたうネコの話は、となりの村々にまで広がり、わざわざミケネコの歌を聞きにくる人もいました。 ところが、ある日のことです。ミケネコが寺の山門の石段に、しょんぼりとすわっているのです。 「どうしたんだい。今日は、いつものようにうたわないのかい」  と村人が開きました。 「きのう、うっかり、池に落ちてしまったのです。ニャーン」 「それでカゼをひいたのかい」 「御新造さんが、体をふいて、オジヤまで作ってくれたので、もうよくなりました」 「それなら、どうしてうたわないのかね」 「オジヤが熱くて、舌をヤケドしてしまったのでうたえないんです」 「そりやかわいそうだ。よしよし、いまお前の好きなマタタビを取ってやるからな。元気をお出しよ」 四、五日すると、坊坂のあたりでは、前にもまして美しい歌声が、聞こえるようになったということです。 -------------

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