冥巫


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冥巫


「皆様こんにちは。冥巫(メイヴ)といいます。」
「そこで、死に体になっているマスターに変わりまして、皆様に初めに言うことがあります。」
「はっきり言っておきますが、携帯電話等の小型機械では読みにくい物となっているのでご了承ください。」
「そして、この物語はフィクションであり、実際の人物、団体、場所、現象などは作り物です。」
「では、皆様。今宵の夢物語をお楽しみくださいませ。」

10/5 第八話「Realta Nua」 ver.1.01

「たまには、かわいい同僚に飯ぐらいおごってやるよー」
珍しく、ハチワンが上機嫌に言ってきたので、その行為に甘えることにした。
ラーメン屋でラーメンを二杯とギョーザを二人前も食べてしまった。
クオは財布を忘れたらしい。(おそらく、わざと言っているのだろう)
その結果、ハチワンは三人分の勘定を払う事になってしまった。
(本人は、勘定の時泣いていたけどな。)

―――それから、家に戻ったソウスケは、もう床について眠ろうとしていた。
だが、ソウスケは一向に眠れなかった。寝ようと思っては、つい先日の少女に会ってから別れるまでが、永遠と脳内で繰り返されていたからだ。
「………」
(すぐ戻れるから、きっと。)
最後にカナメが言った言葉が脳裏に過ぎった。

「あの時の彼女は…悲しそうな顔をしていたな。」
言いようのない感情が、ソウスケの心を満たしていた。
会ってちゃんと話がしたい。会いたいなら、会いに行くしかない。
今会わなければ、きっとこの先後悔することになる気がするからだ。
「後悔だけはしたくない……後悔だけは……」
拳に力を込めて、ソウスケは決意を固めた。
出かける前に、会社の留守電にしばらく休むことを伝言しておいた。

「よし、行こう!カナメがいるところへ。」
目に見えない衝動にソウスケは動き出した。
そして、ソウスケはバイクに跨りエンジンを掛けて、勢いよくグリップを捻ってアクセルを全開にした。
まだ、暗い夜の帳(とばり)の中にバイクを走らせた。
ソウスケは急いだ。
ただ一人の少女のために。


――そこには、二つの影がいた。
「ふむ。どうにかならんかね?」
「ムリ、だ。この、監獄の、硬さ、では、ワタシの、持っている武器では、壊せない。」
基地を襲撃してから、あっけなく捕まってしまったスチームとソレは、航空国防軍の牢屋に一緒にいた。
ここの牢屋は、二人分は余裕で入ることができるが、あまり広くはない。
薄暗い照明が天井にあるが窓はなくて、壁は石や鉄ではなく、変わった金属で出来ていた。
「確かに、持ってきた武装一式は取り上げられてしまったからな。」
スチームはため息をこぼして、壁に寄りかかった。
「明日になれば、私は違う場所に移動されて、永遠の刑務所生活。お前さんは廃棄されるそうだ…すまんな。」
「そ、う。」
「どうにかならんもんかね。」

突如爆発音がした。
「な、なんだぁ!?」
さらに、連続的に爆発が起こって基地全体が揺れたような感じがした。
外で兵士たちが、慌てふためいて取り乱していた。
「敵襲か!敵はなんだ!」
「見張りからの通信入りました。敵は……ドウラン一味です!」
「なに!やつらは今、南の方で我が軍隊と交戦中のはずだぞ!何故やつらがいる!」
「本体は、以前交戦中の模様。おそらく別働隊だと思われます。」
「ええい!早くやつらを皆殺しにしろ!」
「了解。」
そう言って、兵士たちの足音が遠ざかった。
さらに、爆発音は増して、この階には人の気配がしなくなった。

――しばらくたってから、何者かの足音が聞こえてきた。
その二人は、スチームがいる部屋の前に来て止まった。
「ん~ここかな?」
幼い少女の声だ。
「ちなみに、ここかな?は、もう9回目だよ?」
凛とすんだ綺麗な声の少女だ。
「だって、見つかんないんだもん!いいじゃん!外は敵の攻撃に対応するのに、必死だから気づかないよ。」
「だけど…勘に頼って、扉を壊しまくるのはさすがにばれるよ。」
「次こそは大丈夫だよ。きっとね♪」
「はぁ~あてにならない。」
牢屋の中まで、そのため息が聞こえた。
ちなみに、中からも外からも牢屋の中を確認することはできない。なぜなら、この牢屋には窓のような覗く場所がないからだ。
どうやって、中に人がいるかを確認するには、扉の横に信号のような物が点灯しているかどうかを確認すればいいだけだ。

「うん!きっとこの中だよ!」
声高々に幼い少女が言った。
「も~言っているそばから、これなんだから。
すみませーん!中にいる方は危ないですから!出来るだけ扉から離れてくださいね!」
そう言うなり、一瞬で扉が一閃されて真っ二つに壊れた。

「こんちは~!って!?スカくんがいるよ!!なんで?どうして?」
幼い少女の方が驚いた。
「ん?誰かと思えばコスモスくんではないか。久しいな、あれからどこに行っていたのだ?」

―――幼い少女の名をコスモス・K・S・アルタシスという。昔スチームが保護した時に出会った少女だ。
なんでも、保護される以前の記憶がないそうだ。
だが、保護された後どこかに行ってしまい。それ以来出会うことはなかった。
見た目は、身長が低く140cmぐらいで、銀髪で髪を左に結んでいる。
顔立ちはまだ幼く、眼は焔のように赤い色をしている。
服装は上に長袖シャツを着ていて、下はスカートをはいているが、スパッツが少し見えている。
さらに、全身を覆うほどの大きさの漆黒のロングコートを着ていた。
そして何よりも、小さい少女には不釣合いな2メートルを越える程の長さのある、両刃の大剣を背中の鞘(さや)に収めているのが見える。

「あ~ちょっと、いろいろとあってね。今は教会にいるんだ。」

―――教会。
この場合の教会は、魔術もしくは、魔法の類のものの方である。
魔法自体は、本物の奇跡もしくは神秘の塊である。だが、魔術を使って起こされる現象は、科学技術等の方法を用いても再現できることを言う。
今では、場所にもよるが、魔術を教えてもらえる学校が存在している。
この場合の先生の呼び名は、魔導を極めた師で魔導師または、魔術師と言うことが多い。
だが、攻撃系の魔術は物騒なので、普通の学校では教えてもらえないが、教会にいるものと一部の軍の者は、攻撃系の魔術を極めている者もいる。
これら全てを統括しているのを総称して、教会と呼ばれている。

「それよりさ。スカくんはどうして、こんなとこにいるのよ?」
「いやはや、基地に喧嘩を吹っかけたら捕まったのだよ。」
「ありゃりゃ~。それは、難儀なことで~喧嘩の理由は何なのよ?」
「ある少女が、この基地に連れて来られたものでね。その子に少し用があるのだよ。」
「な!」「え!」
と二人の少女が、声を合わせて驚いた。
「あの!すみません!もしかして、その人のお名前ってカナメさんといいますか?」
「君は誰かね?」
「ああ!すみません。私の名前はナナと言います。」

―――先ほどから、凛とすんだ綺麗な声の少女の名をナナ・N・M・クレセンティスという。
見た目は、身長150cmぐらい。髪は大体、腰ぐらいまである金髪の長いストレート。
顔立ちは、まだ幼さが残るが整った顔立ちで、碧い眼の色をしている。
服装は、修道服だが色は純白の色をして、ところどころ青と緑の色合いの刺繍がしてあるのが目立つ。

「ちなみに、私と同じ教会にいるんだよ。所属している部署は違うけどね。」
(この不釣合いな二人だが、唯一共通する部分があるとしたら、胸がないことであろう。)
「「なんか今、失礼なこと考えなかった?」」
(二人同時に、笑顔で言ってきたが…目が笑ってなくて恐い。)
「…あ、いや。なんだその…」
近くで、爆発音が轟いた。

「ありゃ~こっちまで来たみたいだね。」
と言いながら、音のした方の通路をコスモスは覗いていた。
「はぁ~仕方ないか。コスモスさん。戦闘の方をお任せします。私は彼女を探します。」
「了解。任せといて。」
そう言ってから、コスモスは音のした方に向かって駆けた。
ナナは、一度反対側の通路を確認した。
「貴方達は、私について来てもらいます。」
とナナはスチームとソレに向かって言った。
「彼女を一人にしておいていいのか?」
「彼女なら心配ありませんよ。何せ魔術師ですから。」

コスモスは足早に、その通路を駆け抜けいく。目前に迫る敵を背中の鞘に収めている大剣を抜いて次々と切り伏せていく。

―――この小さい少女には不釣合いな程大きい大剣だが、少女は軽々と振り回せるのは、その剣が普通の剣ではないからだ。

―――中巻に続く。―――

冥巫

―――こちらからは、中巻となります。上巻を読んでない方は、戻って読まないと理解が出来ません。

―――魔導・魔法具「無銘搭(むめいとう)」
この世界には13人の魔法使いがいた。彼ら(もしくは彼女ら)が、自身の魔法を魔道具に封じ込めたもののことを、魔導・魔法具「無銘搭」と呼ばれている。
現在では、7人の存在が確認されているが、残りの6人は行方不明のままである。
この魔法具の特徴は、実体を持てない。という特徴だ。
だが、彼らが持っているのは、剣、盾、槍、銃、弓、杖または、防具といった物に見せかけて、この世に留まらせるための触媒としているものを持っているにすぎない。
故に、触媒にしているものの強度は強固なものだ。
なぜなら、その触媒にしているものが壊れてしまったら、封じ込めてある魔法が世界との干渉がなくなって消えるか、または、魔法自体の暴走が起きてしまうからである。
だから、生半可な攻撃では、傷一つ負わせることも出来ないのだ。
さらに、剣に魔力を付加出来るので、重さを軽減できるが剣自体の属性があるので、剣自体が術者を選ぶ。
故に、剣を持って戦闘を行う場合は、常に魔力を使い続けなければ剣を振るうことすら出来ない。

そして、少女は外に出た。
そこには、数多くの爆発音と銃声が響きわたる戦場と化していた。
さらに、人々の怒声と阿鼻叫喚立ち込めていた。
辺りは、深い夜に包まれているが、そこでは、煌々と炎と煙が立ち上がっている。
遠くからこの爆発を見ていたなら、まるで花火が光っているかのように綺麗に見えていただろう。
そして、空にはそれを見つめているかのように、紅く丸い月が煌々と輝いていた。

少女が出た場所は、航空国防軍の滑走路のようだ。周りには、ヘリや戦闘機を収納する格納庫や倉庫などが見えるがところどころ破損している。
そして、空には飛空艇が三隻(おそらくドウラン一味のだろう)と
航空国防軍のヘリや戦闘機が縦横無尽に舞いドウラン一味の戦闘機を確実に減らしていた。
地上では、二十を超える戦車が飛空艇に向かって砲撃している。
その攻撃を受けている飛空艇は、一隻はほぼ大破。残りの二隻も、破損外傷が多いから落ちるのは時間の問題だろう。
そして、飛空艇から降りてくる人達と航空国防軍の兵士達が戦闘中だった。

「うぁ~。もしかして、私ってここでは、ものすごい場違いな気がするよ。でも、とにかく敵に目をつけられないと、私の任務が全うできないし…」
不意に背後から声が聞こえた。
「何者だ!貴様!」
と銃口を突きつけられたが、それを、コスモスは回し蹴りをして兵士を薙ぎ倒して、戦闘中の戦場へと入っていった。
(く…!敵が多いな。あっちは大丈夫かな?でも、ナナは大丈夫だろうな。なにせ不死身なんだし。)
「やっぱり考えるより……動いたほうがいいよね。」

そして、コスモスは呪文を唱えた。

―――魔術を使うには、本人の魔力と自身のスイッチとなる詠唱と魔術自体を具現化させるための言葉が必要となる。
故に、十分な魔力と力があっても具現化させるための言葉の知識が正しくなければ、世界に干渉できない。
そのため、魔術なり魔法であっても世界に干渉させるための媒体が必要になる。
それが、言の葉はであり存在の定義をなして具現化する。
それこそが、詠唱呪文なのである。

だが、魔術なり魔法であっても、全てが万能であるとは限らない。
力量と本人の適性属性があっていなければ、その魔術、魔法は完全に具現化されない。
そして魔法には、五大元素(地・水・火・風・空)、空想具現化、固有結界、空間移動、などの適正がある。
だから、魔法というものは、科学や常識などというものでは説明がつかない。
ついてしまっては、それは魔術(人々が起こせる奇跡)の類に利下がってしまう。
故に、あらゆる神秘の現象を起こせることを魔法という。

「ほうき星のごとき 彗星の光の奔流を抱く
最古なる永劫の炎よ その煉獄を我に魅せよ!」

「フレイム・インフェルノ!」
「煉獄の烈火!」

コスモスの大剣に焔が纏った。そして、大剣を振りかざして、その焔を戦場の真ん中に撃ち放った。
焔が落ちた場所に、爆発と爆風が巻き起こり多くの兵士と戦車が跡形もなく消え去った。

「なんだ!?なにが起きたんだ!」
「ま、魔術だ!」
「何!魔術師がいるだと!?」
兵士たちは一斉に、焔が放たれた方を見た。

少女は笑って周りを見渡した。まるで、悪戯が見つかった子供のような顔だ。
そして少女は、戦場に向かって駆けた。
迫り来る弾丸を避けて、敵を大剣で次々に斬り伏せる。
そして、先ほどの魔術を展開して剣に纏わせて、戦車を一閃して破壊する。
「ぐはぁ!」
「な、なんなんだ!あれは!」
「…悪魔だ!やつは、悪魔だ!」
「何をしている!あっちは、たった一人の小娘だぞ!?こちらは、大勢いるのだ!!さっさと殺せー!!」

大勢の兵士達がロケット・ランチャー使用した。
それは、まさに豪雨のような量のミサイルが飛んでいた。
コスモスは、近くの建物の側面を蹴って跳躍しその攻撃全て避わした。
そして、その反動を利用して閃光如き速さで、敵の目の前まで跳躍をして間合いをつめて、纏っていた焔を炸裂させ周りを一掃した。
さらに、標準を合わせていた戦闘機に向かって、三角飛びの要領で建物の背面を蹴り跳躍をして、その戦闘機に一撃を加え打ち落とした。
それは、まさに稲妻の如き早さだった。

「断罪の罪を逃れし 雷鳴の産声よ
天空を裂き大地を滅す 一瞬の煌きを示せ!」

「ライトニング・ディバイダー!」
「雷迅の閃光!」

空に向かって一直線に閃光が迸って、空にいる敵を破壊するが、殆どの戦闘機は寸でのところで避けてしまう。
「っ…!」
「やっぱり、空にいる敵は邪魔だな。しかたないけど、あれをやるしかないか。」

「暁の果てに喪われし 力の根源よ
最果ての炎翼纏いし 不死鳥の羽根」

「炎帝の炎翼!」

コスモスが呪文を唱えると、背中に炎の翼が生えた。
そして、少女は地を蹴り空へと舞い上がった。
飛翔する翼は空へと駆け上る。
今では地面より遠くなり、空にいる敵に激突を繰り返し戦闘機を次々と打ち落としていた。

まさに、それを見たものは、空を翔る不死鳥に見えただろう。
だが、有利に見えるコスモスなのだが、実際は不利な状況だ。
普通の魔術師ならば、羽根を現界させることだけで限界な魔力量を使う。
それに、さらに魔術を加わせて加速して、大剣にまで魔術を使い続けるには並大抵のことではない。
今こうしているだけでも、魔力は徐々に失われつつあるのだから、自身の魔力が尽きるのは、もう時間の問題だ。
そして、なによりも敵は後から増え続けているのだから。

コスモス目掛けて、ミサイルの軌跡が迫る。
それが、一機や二機ならば小回りの効くコスモスが有利なのだが、見るに戦闘機の数は20を超える。
20を超える戦闘機が縦横無尽に飛び回り、ミサイルを撃ってくるのだから、当たればただではすまない。
飛翔して、剣から炎の魔術を撃ち放つが、それに当たらなかったミサイルが迫る。

(詠唱が間に合わない!)
「っ……!」
飛んで来るミサイルの雨を紙一重で回避した。
だが、避けても爆風がコスモスを襲うがそれを加速して避ける。
まさに、曲芸のような動き方だ。

(こ、これ以上は、私の魔力が保たない!)

徐に、コスモスは目を閉じた。
その者がもつ奇跡の力を使って、世界に干渉する。

「ぐぉ…!なんだこれは?この魔力が吸い取られる感じは!」
「こ、この威圧と魔力は…も、もしかして!」

「そう。この世に幻想を可能とする。この目は…魔眼の目よ!」


―――下巻に続く―――

冥巫

―――こちらからは、下巻となります。中巻を読んでない方は、戻って読まないと理解が出来ません。


―――ナナを先頭にして、基地内を歩き回ったのだが、一向に彼女が見つからない。
そして、途中にソレと一緒に持ってきた武装の一部が見つかった。
この先何があるのか分からないから、ソレに武装を幾つか搭載しておいた。
そして、しばらくまた基地内を探索した。
「……」
「……」
(うむ。この少女はあまり喋らないな。しかし、ずーと歩いているのに、一向に敵に出会わないとは……おかしいな。
いくらコスモスくんが敵を引き付けているとしても、何人かは基地内の護衛がいるはずなのだが…)
「そういえば、君は何故カナメくんに会いたいのだ?」
振り返らずに、ナナは言った。
「それをお教えすることは、規則に反するので話すことは出来ません。」
「なるほど。教会が動くほど彼女は重要ということなのだな。」
「……」
(ふむ。無言ということ、やはり……何かあるんだな。教会と軍が動くほどの事が彼女にはあるのか。いったい何があると言うのだ?)
ナナが立ち止まりスカを見た。
「では、逆にあなたは、何が目的で彼女を探しているのですか?」
「ふむ。」
スカは考える素振りをして答えた。
「君が言わないなら、こちらも言わんさね。」
ナナは少し微笑んだ。
「ずるいですね。私もそうですけど。でも、私自身は、彼女を助けたいと思っています。」
ナナは、少し暗い表情になって答えた。
「何故?」
「…誰にだって幸せになれる権利があるのだから…何も知らない彼女を助けたいんです。」
「…そうか。でも、それは君の傲慢ではいか?」
「そうですね。」
と言いナナは、顔を伏せた。
「でも、助けてあげたい。今は、どうしてなのか言えませんけど…」
そして、決意に満ちた目でスカに言った。
「最後には、彼女自身が決めてもらいます。何者でもない。彼女の心で決めて欲しいんです。」

そして、一つの頑丈な扉の前に来た。
「怪しいですね。」
「ああ、これはもう怪しさが大爆発するほど怪しいな。」
「開ける、か?」
とソレが言ってきた。
ナナの方に目配せをしたら、ナナは頷いた。
「ああ。開けてくれ。」
「わか、った。」
そう言って、ソレは扉のロックの解除を始めた。
数分ほどで、ピーという音がして扉が開いた。
「開い、た。」
ガコン。という音を立てて重い扉が開いた。
三人は中に入って、部屋の中を見た。

「な!…なんなんだこれは!」
そこは、何かの実験室のようだった。いろいろな物が(者が)まさに転がっていた。
カチャ!
スカの背後で銃を構える音がした。
「こんばんは。熱心過ぎると焼けどを負うって、知っているかしら?」
スカは、大人しく両手を頭の上に上げた。
「な…!」
背後でナナが動く気配がした。
「動かないほうがいいわよ。動けば確実に殺すわ。」
「…君ほど熱心ではないさ。それより、彼女は…カナメくんはどこにいったのかね?」
「答えてあげる義理なんて、ないけど特別に教えてあげるわ。」
「彼女なら違う基地に移動したわ。」
(…コスモス聞こる?―――)
ナナはコスモスにテレパシーをした。

「でも、ここを見られたからには消えて貰うわ。さようなら。」
「に、逃げろ!二人とも!」
彼女の持つ、レイヴァンテインがスカに向かって放たれた。
「ぐぁ!おぉぉぉ!!」
スカの右腕が吹き飛んで、その威力が有り余って、さらにスカ自身が吹き飛ばされた。
「自身を犠牲にするなんて、愚かね。ほんとに、ほんとおバカさんね。」
そういう女性の口元は笑っていた。だが、眼だけは敵を見逃さすまいと射抜くように見ていた。
「ふふ、次はあなたの番よ!」
女性は、レイヴァンテインを構えてナナに狙いをつけた。
扉は何時のまにか閉まっていた。それに向かって、ナナは力いっぱい開けようとしていた。
「ん!んー!あ、開かない!ソレさんこの扉を開けてください!」
「この扉はロックさせて貰ったわ。」
「さて、あなたにはまだ利用価値があるから、両足だけをなくしてあげるわ。」
女性はレイヴァンテインのトリガーに手をかけた。
「くっ…させるか!」
スカは、女性に体当たりをして女性を突き飛ばした。
だが、そのせいで銃弾の軌道が変わってしまった。
そう。銃弾はナナの胴体に当たってしまったのだ。
当たった瞬間にナナの体が全て吹き飛んだ。
辺りには、血と人だったものの残骸が飛び散った。
「あ、ああ!な、ナナ、ナナくん!」
腕が無くなったところから、血が噴出すのを構わずに、ナナだったモノの近くに行った。
そして、スカは倒れた。

その隙に、ソレは扉を破壊することに成功して、新しく搭載したブースター(足に付いている)で飛んで逃げた。
「…一人逃がしてしまったか。でも、ここから逃げれると思っているのかしらね。」
その女性は不敵な笑みを浮べながら、その場所から去った。
そして、女性が先ほどまでにいた場所には、血の海が広まりつつあった。


―――そこは、獄炎の地獄が広まっていた。
あたりには、炎が周囲に立ち込めて、いろいろな残骸が転がっていた。
この騒ぎの間にドウラン一味は撤退をして、戦闘機もあらかた排除したがNISAの戦闘員の魔術師達が現れていた。

辺りには、ローブを羽織っている魔術師が数十人もいた。
「魔眼が発動しているとしても、さすがに敵が多いかな。」

「魔術師め!これでも喰らえー!!」
少年が呪文の詠唱を始めた。

「我、銀月に導かれし者 永劫の眠り、絶対凍土 北風の使い手也!」

「ノーザンテラレイド!」

周囲に冷気と無数の氷の矢がぶちまけられた。
「くっ…!」
「あははは!この術は、炎系に大ダメージを負わせることができるのさ!まったく、てこずらさせやがったよ。」
その時、周囲に立ち込めていた冷気と氷が急速に消えていった。
「な!…なんなのさ!これは!」

まるで、嵐のような魔力の風が吹いている。
その中心には、コスモスが大剣を天に掲げていた。
そう。その剣先に冷気の塊を携えて。

「紺碧の雪原に舞いし 一片の雪の雫よ
彼の者を凍らせ 永劫の魂の安らぎに着かせん」

「クリスタル・スノウ・ブラスト!」
「儚い雪の結晶!」

「うぁ、うああああぁぁぁぁぁ!」
収束に集められた冷気の塊が、少年を体を貫いて砕けた。
「なんだと!奴がやられたのか!?」

「奈落に落ちた 真紅の華よ
炎帝の言霊に答え その御身を魅せよ」

フレイム・サラマンダー!
「天壌に燃える火精!」

「ぐああぁぁ!」
辺りに、灼熱の焔の波が駆け巡った。
それにより、数人の敵と建物を巻き添えにして消えた。
だが、敵は後から何人も増えていた。

―――その時コスモスにテレパシーがきた。
(…コスモス聞こえる?)
コスモスは返事を返した。
(うん。聞こえるよ。)
(対象はどうやら、違う場所に移動したそうよ。だから長居は無用になったわ。)
(ここにはもう用もないから、事前に言われたとおり一掃して。一応結界は、張って置いたから存分に暴れて良いわよ。)
そう言って、テレパシーは一方的に切られた。

「…使いたくなかったんだけど……仕方ないかなぁ。」

コスモスの足元に、大きな魔方陣が展開された。
コスモスの周囲に、魔力が集まり渦が出来る。

「こ、これ以上奴に魔術を使わせるな!全力で奴を倒すんだ!!

一斉に、コスモスに向けて銃弾と魔術の弾幕が襲いかかった。
だが、もう術式を展開しているので、全ての攻撃を無に帰してしまう。

「刻限の時の鐘よ!」

―――それは、一つの理に背いた力。

「戒めの鎖を解き放ち」

―――五大元素の力の流れ。星の印。

「天空の焔の朱を砕き」

―――そして、それは世界に干渉しこの世に災いを撒く。

「一途な星々の煌きを灯せ!」

―――そして、それは姿を成す!

周囲に、散りばめられていた魔力を全て集めて、収束された大剣は眩い光を纏っていた。
その神々しく見える輝きは、まさに、星の輝きを…煌きを帯びていた。
少女は自身の限界まで力と魔力を使って、その大剣を力の限り振りかざして、集められた魔法を打ち放った。

「一撃!滅殺!」

「スターダストォォォーーー!ブレイィィカァァァーーーー!」
「畏怖されし星屑の息吹!」


収束に集められた大魔力の光の奔流が撃ち放たれた。
そして、周囲に光が満ちた。一瞬の内に周辺は、まっさらな土地と化していた。
もう、そこには物も…者さえもいなくなった。


―――そして、夜が明けた。
朝焼けを背にして、二人の少女が立っていた。
「時間がないわ。早く彼女を見つけなければいけないわ。」
と、先ほどまで結界を張っていたナナが、コスモスと合流していた。
「あまり、あてはないんだけどなぁ…でもあの子を探さなくっちゃ。」

二人の少女はその場を後にして、広い広大な地へと先を進んだ。

―――つづく―――
ツールボックス

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