網状皮斑 livedo (reticularis): 大きな網目状の紅色調の皮斑. 真皮下血管層 (真皮と皮下脂肪組織の境界部) において, 静脈網の緊張低下と動脈網の緊張亢進状態が生じることで網目状の皮斑を形成する. 大理石様皮膚 (cutis marmorata) は圧迫によって消退し, 色素沈着を残さない. 寒冷によって生じる皮斑で, 小児や若い女性では生理的にみられることがある. 外気温の上昇により消失することが多い. 網状皮斑 (livedo reticularis) は主として若い女性の膝に, 淡紅色, 網目状の持続性紅斑としてみられる. 分枝状皮斑 (livedo racemosa) は四肢に樹枝状で, 環の閉じていない紫紅色持続性紅斑として出現する. いずれも血管炎など全身性の器質的変化に伴って生じやすい.
[清水: あたらしい皮膚科学, 中山書店]
大理石様皮膚 (細) 網状皮膚
分枝状皮斑
[上野: 皮膚科学, 金芳堂]
神経炎neuritis: ニューロパシーneuropathyともいう. 脊髄神経および脳神経の末梢神経における炎症で, 感染, 代謝異常, 中毒 (中毒性神経炎toxic neuropathy), 外傷, 膠原病など種々の原因に由来する神経病変をいう. 神経炎は,運動神経, 知覚神経いずれでも起こり, 単発性または多発性に起こる. 病変が進行すると, 罹患神経支配部に知覚障害 (痛み, 鈍麻, 消失), 運動麻痺がみられ, 深部反射は消失する.
1. 単神経炎mononeuritis: 単一の末梢神経の障害により, その神経支配領域に限局性の運動麻痺と知覚障害を起こすもので, 主なものとして顔面神経麻痺 (Bell麻痺), 橈骨神経麻痺, 正中神経麻痺, 尺骨神経麻痺, 腓骨神経麻痺などがある.
2. 多発単神経炎mononeuritis multiplex: 2本以上の単神経が不規則におかされる場合で, 結節性動脈周囲炎などの膠原病, 糖尿病, マクログロブリン血症などがある.
3.
多発神経炎
polyneuritis: 運動障害と知覚障害,
ときには自律神経障害が,
左右対称性に四肢末梢に強く起こり,
四肢近位部に向かって軽くなる分布を示す病像を示すもので,
多発ニューロパシーpolyneuropathyとも呼んでいる.
病像の内容には,
運動障害優位型,
知覚障害優位型,
運動失調型,
多発脳神経炎型などの特徴を示す場合もあるが,
一般には運動障害と知覚障害の両者を有する混合型が多く,
四肢末端優位障害の分布を示す.
多発神経炎の原因には各種のものがあり,
大部分は原因不明であるが,
なかには原因の明らかなものもある; 1) 遺伝性,
家族性のもの; 2) 非遺伝性には,
急性特発性
(ギラン・バレー症候群Guillain‐Barr