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 ふ、と眠くなり、ハッとして久世は頭を横に激しく振った。
「……こんなモンかな」
 ウルズが、またギターを壊したのだ。
(どんだけ壊すんだよ……)
 タンスの奥に眠っていた来客用の布団の上で猫のように円くなっているウルズに目をやった。
 菊田重工の廃プラントから帰ってきてすぐ、彼女は現れた。
「……壊れた」
 そういって、一本のギターを差し出したのだ。
(……まあ、いいんだけどさ)
 背筋に、ゾ、っとする何かを感じる。……なんだ? そう思って振り返ると、そこにいたのは黒い、何かだった。
(……なんだ?)
 声が、出ない。しかし、気のせいではない。絶対に。何かが、‘いる’
(なにが、いる?)
 風が吹き抜けるように、何かが聞こえた。声のようにも聞こえたし、ただの物音のようにも感じた。
「……夢だ……」
 そう呟いた。
 ゆっくりと、歩いている自分がいた。暗闇の方へ。
 急に脚の感覚が無くなった。
 落ちている。
 身体が
(?)
 やはり、声が出ない。
 急に落下が止まったように感じると、目の前には一人の男が現れた。
「……」
「よお」
 その声は風のように吹き抜けた。心地よくはない。むしろ、まとわりつくような感じだった
「……」
「強く、なりたいとは思わないか? 相棒」
 『相棒』と、そいつは久世のことを呼んだ。久世はそれが気持ち悪くてしょうがなかった。
「……僕が、強くなる必要が、どこに、あるというんだ。‘ツバサ’」
 気がつけば、そいつの名前を呼んでいた。そいつの顔は、ゆっくりと歪んでいった
「ある。ある。大いに。ありまくりだよ、相棒では、聞くがお前の周りは、今まさに変動していないかな? 知らないルーンの娘達。黒いアームヘッドとヘッドホン女。まさしく、変化の時だ。……お前の身体に危機が現れれば、迷わず、俺の名を呼べばいい。」
 ツバサが、闇に消えようとする
「……まて、お前は誰なんだ、ツバサ。」
「……くくく、矛盾たっぷりだな。今、俺の名前を、呼んだじゃないか、相棒。」
 そういわれて、ハッとする。
「……ツバサ……まて……!」
 消えようとするツバサを止めようとして叫ぶが、ツバサは、闇に消えた。