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「結婚式か……」  宝生は苦笑いだった。こんなにも早く、周りの人間が結婚していくとは。  宝生も、後六年で三十路。いい加減、そういう関係の人間だっていて良いはず……だが、いないものはいない。  そして、問題なのはこの女、村井、雪那。  ひどくニヤニヤしている  ひどく、ニヤニヤしている 「あ、やっほー」 (こっち向いて手、ふってんじゃねえよ。アタシが恥ずかしいだろうが)  と、宝生は小さく呟いた  キャラが、違いすぎる。氷の女王は今やただのにやついた主婦とかした。 「……」  そして、隣を見ると、目障りなくらいいちゃついている菊田夫妻。来週は、こいつ等の結婚式にも行かないと行けない。 「……」  ため息をすることも忘れ、椅子の上であぐらを掻き、その上に頬杖をつく、と言う奇怪なポーズをしながら、幸せそうな村井……もとい、テーリッツを見た。  幸せなら、良いんだけどさ 「関係者からの挨拶、関係者代表、宝生旬香様!」  いきなり自分の名前がマイク越しに聞こえてくるので、さっき口に含んだ林檎ジュースが口から飛び出して綺麗なアーチを描き、飛んでいった。 (何も考えてねえよ)  と、ブツブツ言いながら、どう、嘘をぶちかましてやろうかと考えていると、雪那と目があった。  …… 「えー、どうも、初めまして。宝生旬香です。チャピオンです関係者代表の挨拶、と言うことで、えー、まず、最初に言いたいことは、雪那さん、もといユッキーが、非常にニヤニヤしていて、気持ちが悪い、と言うことでしょうか。」  会場の失笑 「彼女は、学校では氷の美少女、だとか、氷の女王、とか、村井家の女王様、だとか言われていた彼女が、こんなにもニヤニヤしているので、もう一度言いますが、気持ち悪いです。のろけにのろけて……おばさんみたいになりやがって! 何でも、子供も授かっているそうじゃないですか……のろけやがって!」 「ピャー」  そういって、白髪のおじいさんが倒れた。 「まあ、わたしが言えることは、マキータさんがロリコン、だと言うことと……」 「……二人が幸せであるように、これだけです」  決まった。  次のスピーチで、幸太朗おじさんが、ひどいスピーチをした後、一区切り、となった。 「……ひどいスピーチだったな」  菊田が言った。 「膝の上でアイアネスさん寝かせてる、あんたに言われたらショック死するだろうよ」  菊田はふ、っと笑った 「お前らしくないな、どうかしたのか?」 「なんでもないよ、ちょっと、いろいろあったのさ」 「はは、チャンピオンでも、悩み事はあるんだな。国家予算並みに稼いでるくせに」 「……ヘッ。あんたに言われたくはないね」 「不景気なのさ。」 「……五億の黒字だって?よく言えるね。」  菊田は膝の上で寝ているアイネアスを起こした。 「じゃあな。あと……」 「早く結婚しろよ」 「うるせえッ!」  リンゴジュースシャワーを浴びた菊田はとぼとぼ帰っていった。  ……あんな奴らの結婚式も行かないと行けないのか……  気が、重かった

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