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5.ひとさらい」(2008/12/19 (金) 23:29:22) の最新版変更点

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 ああ、神よ。  宝生は呟いた。その理由は、先ほど送られてきた、メールにあった。それは、菊田と村井からだった。 「結婚します」と、村井からのメールには、そう簡潔に書かれていて。菊田からのメールには、「あ、そうそう、結婚するよ」と、書かれていた。  その意味を考えるのに一時間、その意味が分かり、悶えるのが一時間。え?もしかしてドッキリ?と周りにカメラとかがない事を確認するのに一時間。合計で三時間もの時間を失い、メールを返信した。 「まじで?」それ以外に、言葉は要らないと思う。格好いい意味ではなくて。  すぐに返事は帰ってきた。 「うん、そうだよ。子供の名前は、秋那にしようと思ってるんだ。あ、名字はテーリッツに変わるよん」  ……性格、変わってないか?のろけか?え?のろけなのか?  延々と巡る「自分だけ取り残されている」感。 「……式は、いつだろうか。連絡が、来るのかな?」  と、呟いた。  ……ふっ  くーる。あくまで、クール。冷静に 「人さらい?ふふ、人聞きが悪いね、君は。」  彼女は微笑んだ。毒のあるほほえみ、久世はどきっとした 「ソースケ、このあんまんは、ベルカナ。」 「ベルカナ?」 「そう。」  久世はベルカナ、と呼ばれた女性の方を見た。 「なんだい?人間。そんなに、僕が気になるのかな?ふふふ」  きもちわるい。久世は何の反応も示さず、家の置くに進んだ。自分は関係ない、と密かにささやいた。 「彼が、そうすけくんか。」  創甫が去った後に、ベルカナはくすり、とわらった。 「どうしたの? ベルカナ」  ウィアドは麻袋の中に入った、まだ息のある子供を出しながら言った。 「彼女が、倒れていた子供なんだ。」  ベルカナは言った。 「オシラ、どう思う?」  ウルズがきくと、オシラはうつむいて、答えた。 「たぶん、何も食べてないからだと思います」 「ふうん」  ウルズは力無く答えると、汚れた少女の顔を、見つめた。  久世は、半田付けを終え、家に誰が居るかどうかも忘れ、敷いたままの布団の中に倒れ込んだ。  泥のような臭いを感じ、伏せた目を開けた。ギロリと光る赤い目があった。  どき、っとして布団の中から飛び退くと、それはゆっくり起きあがった。銀色に輝く髪。真紅の瞳はしっかり、久世を見つめていた。

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