獣人スレ @ ウィキ
http://w.atwiki.jp/jujin/
獣人スレ @ ウィキ
ja
2012-11-03T21:16:54+09:00
1351945014
-
タヌキと酒
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/1150.html
**タヌキと酒
ある夜、一匹のタヌキが空の酒瓶を前にして腕を組んでいた。
「ついに無くなってしまった……。」
神社から盗んできたお神酒の味を覚えて以来、自分で集めた木の実やら、人間から貰った食べ物やら、
はたまたお地蔵様のお供え物やら……兎にも角にも、食べられる物を手に入れてはそれを肴に酒を飲むという日を続けていたタヌキ。
しかし、そんなことを毎日していれば酒が無くなるのは当然である……が、そんな日々を当たり前に過ごしていたタヌキの頭は
『いかにして新たな酒を手に入れるか?』でいっぱいになっていた。
「また、あの神社から盗むか?……いや、数日前に通ったらタコみたいな神主が怒りでテンタクルと化していたし……
人間みたくスーパーで買おうにもお金は無いし……第一、葉っぱを使ったお金の偽造はタヌキ的にも倫理違反だし……。」
そう言いながら、近くにあった葉っぱを指でつまみながら回すタヌキ。
その時、突如強めの風がタヌキの体を通り抜け、そして葉っぱをタヌキの指から解放するのであった。
ジェットコースターのように孤を描く葉っぱ。
そして、それは風に戸惑っていたタヌキのおでこに着地した。
その瞬間、タヌキにひとつの悪知恵が浮かんだ。
「そうだ!これで行こう!!」
それから数分後、タヌキは闇夜が広がる道の草むらに隠れていた。
「ふふふ……ここで人が来るのを待つ。その間に、この葉っぱで人間に……そうだなぁ、『お涙頂戴路線』で行くなら、
『鬼のような亭主に「酒を買ってくるまで帰ってくるな!」と追い出されたか弱き人妻』に変身して、お酒を買って来てもらう!
……設定としては『お金を落としてしまい、買いに行くことが出来ない。お金を再度取りに帰ろうにも、亭主が怒りを露わにしている。
どうか、お助けを……』ってな感じ……かな?……お?」
独り言を続けていたタヌキの眼に飛び込む、自転車のライト。
そこには、酒瓶のような物を買い物袋に入れてペダルを漕ぐ男の姿があった。
「ナイスタイミング!それじゃあ、この葉っぱで変身を……。」
そう言って、タヌキはおでこに葉っぱを乗せるのであった。
「3……2……1……変身!可哀相な人妻キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
「どわぁっ?!な……何だ
2012-11-03T21:16:54+09:00
1351945014
-
Happy Halloween!
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/1149.html
**Happy Halloween!
「Trick or Treat!」
「……は?」
ドアを開けるや唐突に言い放たれた耳慣れぬ言葉に、私は咥えタバコが落ちるの気づかず間の抜けた声を漏らした。
季節も晩秋に入り風が若干冷たくなり、暖かい日差しが恋しく感じ始めたある日の夕暮れ間近、
この日は貯まりに貯まった有給を消化する為、休暇をとったは良いがやる事もないので、家のリビングのソファーで寝転がりうつらうつらとしていた矢先、
突然のチャイムで呼び出されて頭を掻きながら応対に出た時の事である。
今、私の前に居るのは身長や声から言って、学園の初等部の竜崎 奈緒と中等部の三島 瑠璃だろうか?
……だろうか? と疑問系になったのも無理もなく、その子達は一様に奇妙な格好をしていたからだ。
奈緒の方はインクでおどろおどろしい目と口を書いたシーツを被っているだけだったり、
はたまた瑠璃の方はパリッとしたスーツに裏地が血の様な真紅の黒いマント、そして閉じたマズルからも見えるやたらと大きな付けキバをしていたり、
おそらく、お化けと吸血鬼といった風体なのだろうか……しかし何でこんなコスプレを?
「ほら、獅子宮せんせー! 今日ははろうぃんだよ!」
「『Trick or Treat』って言われたら、お菓子を渡すかイタズラされるか選ばなきゃいけないんだよ」
「それともせんせーはイタズラされたいの? イタズラしちゃうよ!」
「あ? ……ああ、そうか」
状況が飲み込めず、落ちたタバコを拾うのも忘れて呆然と佇んでいた所で、
尻尾をぶん回す二人に囃し立てられ、私はようやく、今日のこの日が何の日であるかを思い出した。
――ハロウィン。
確か、もともとはある地方での収穫感謝祭が、他の民族や地域にも行事として伝わった物が始まりで、
それが宗教などの行事と入り混じる事で今の形へと変わって言ったものだった、と思う。
まぁつまりはこの日はこの年の収穫に感謝すると同時に、ついでに悪い物を追い払ってしまおうという志向で行ってる行事と思えばいい。
んで、その日はお化けやら吸血鬼などの魑魅魍魎のコスプレをした子供が、かぼちゃのランタン片手に各家を回ってお菓子をねだって行くとか……。
ああ、だか
2012-11-03T20:14:16+09:00
1351941256
-
本が読みたくなる、甘噛みしたくなる
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/1148.html
**本が読みたくなる、甘噛みしたくなる
柴犬の犬太がこたつで本を読んでいると、背中が異様に寒く感じた。
どうやら今日はいつもよりか、手が凍えるくらい格別に寒いらしい。ページをめくる手をこたつから出すのも億劫なのに納得し、
背中を丸めて本の世界に入り込む。活字に集中していたはずだが、ちらと横切る陰が気になった。
小学生の犬太には、まだまだ遠い存在の女子高生。彼女は足を止めて、犬太の動向を覗いてみた。
別に、姉の姿に頬を赤らめているわけではない。
犬太の表情を確認した彼女は、肩にかけたピカピカのトートバッグを見せ付けるように振り向いた。
「犬太。ちょっとお買い物に行ってくるね」
「う、うん。どこに行くの?」
「本屋さんよ」
よそ行きの装いで長い髪をふわりと犬太の姉・狗音が弟を誘ってみたが、一緒が恥ずかしいことを理由に断られた。
優しい瞳で狗音はにこりと「じゃあ、いってくからお留守番よろしく」と、笑って居間を出た。襖から寒気が遠慮なく押し入るのを
犬太はイヌのくせに震えながら、そしてイヌだからと堪えた。
いくら毛並みに包まれた彼らも、寒いものは寒い。雪なんぞ降ってこようなら、
喜んで外出しようとする者など限られる。まだ遥か彼方の春。それまでどう過ごそうが、のほほんとしたものだ。
言うならば、獣は偏屈だ。
それに対して、街は素直。
寒いなら、寒い。
暑いなら、暑い。
めぐる季節に振り回されながら、彩りを変えてゆく。
狗音が最寄の電停まで歩いてゆく途中、少しながら後悔をしていた。
「明日にすればよかったかな……」
いやいや。本は欲しいときが買い時と言うではないか。
狗音はダウンジャケットを深く羽織り、北風から首筋を守りながら欲しい本を思い浮かべては含み笑った。
ふわふわの髪にダウンのファーで防寒は完璧に思われたが、所詮は人が造りしもの。ぶるるっと、震えながら
街行く人々も自分と同じ気持ちなのを確認すると、ふと安心してしまうのだった。電車を乗り継ぎ、人の群に巻き込まれる。
「こんなことなら、ミコを道連れにする……?」
狗音の親友、ミコこと美琴の顔が灰色の空に浮かんだ。
彼女とは『甘噛み同好会』の仲。もっとも、狗音と彼女しかいない
2012-11-03T20:09:28+09:00
1351940968
-
バイクとメガネ
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/1147.html
**バイクとメガネ
涙の顔を愛車に見られるのが嫌だった。
ちょっと悔しかっただけだし、そんな顔は拭い去ればいいこと。
でも、愛車がそんな顔を見ちゃったら、どう思うかな……。関係ないよね。わたしの相棒だもの。
ミナは無理に笑ってみせて、自分の潤んだ瞳を誰かに認めさせたくなかった。
「わたし、泣いてなんかない」
ぐすりと、しゃっくり。
ぐすんと、鼻をすする。
泣いてなんかない。
本当か、その言葉。
ミナは耐え切れず、ヘルメットを被り、ミラーで自分の顔を見ながら息を吸い、愛車に跨ってエンジンを噴かす。
エンジンをかけると、下半身にリズムよい単気筒の鼓動が響き、小さな旅へと誘う約束をしてくれた。
そうだ。
そうなんだ。
気分も晴れるかもと、バイクに乗って風切ってみた。相棒との息遣いをタンクを通じて感じているうちに、
自分が悔しがっていたことが、なんだかくだらなくなってきた。まるで鉄の馬が生身のミナに語りかけてくるように。
気が付くとミナは、たいせつな男友達が勤めるとある学園のグランド脇にたどり着いていた。
ゆっくりとバイクを止めて、ネット越しにグランドを眺める。時間は放課後、たいせつな男友達も暇を持て余しているはず。
エンジンを切ると、余計に周りの声がヘルメットを伝って際立ってくる。
「……」
市電を追い抜いたときは、爽快だったのに。
「……やだ」
銀杏並木を潜り抜けたときは、ほっとしたのに。
「誰かに見られたら、どうしようかな」
曲がりくねった丘を一気に登ったときには、なにもかも景色とともに吹っ飛んでしまったのに。
ミラーはバカ正直だ。嘘つくぐらいの気を効かせろ。シートに跨がっていると、嫌でも今現在のミナの顔を写す。
きっかけは些細なことなんだから、それを忘れさせてくれるだけの清々しい景色を見せてくれるだけでいいのに、
ミラーがよけいな慰めをしてくれるから、思い出して目頭がついつい熱くなる。
遠くで生徒たちが、清く正しい学園生活を送る声が響き、ミナの胸に突き刺さる。
陸上部だろうか、短距離の走り込みを繰り返しは休み、繰り返しは休みと、まるで自分の体を虐めぬくことを楽しむかのよう。
寒いのによく頑張
2012-11-03T20:07:54+09:00
1351940874
-
金曜日のネコたちへ
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/1146.html
**金曜日のネコたちへ
白い毛並みの猫がいる。
彼女は玄関の鍵を開け、部屋に入る。
「ただいま」とは言わない。「お帰り」ってこだまが期待できない以上、言うだけ虚しい。
バッグをソファに放り、賃貸マンションを選ぶ際にちょっと重視したバスルームに入る。
セーターを脱ぎスカートを降ろし下着を外す。
押し付けられていた毛並みがくたびれている。
白い猫は鏡に写るくたびれに眉をひそめ、くしゅくしゅ、と撫でて掻き混ぜてみる。
直らない毛並みに、ふぅ、とため息をつき、タオルを持って洗い場に入る。
シャワーを浴びて、ちょっと良いシャンプーで全身を洗う。
ちょっと重視したバスルームなのに、浴槽に湯を張るのが億劫でもっぱらシャワーしか活動していない。
濡れそぼった毛並みの下にはそれなりに魅力的な曲線と隆起が見られるが、それを見せつけて誘惑するべき殿方は今の所彼女にはいない。
寝間着に着替えたらすぐさま冷蔵庫から麦酒を取り出す。
ぷしゅっ、シュワー。
くっくっくっくっ……。喉がシアワセの音を奏でる。
「あー、しあわせ」
ただいまは言わないのに麦酒に対する感想は口から零れる。
習慣が家や家族から遠ざかり酒に近づいている証拠のようでもあるが、今の所注意してくれる人はいない。
カレンダーを見る。
2011年11月11日。時刻は既に22時を回っている。
彼女はふと思う。
──2011年11月11日11時11分11秒、私は何をしてたっけ。
稀に見るポッキー日和にいったい自分は何をしていたのかしらと考えてみれば、当然の答えが閃く。
──間違いなく仕事だなぁ。
味も素っ気もない答え。
ルーティンに囚われざるを得ない社会人には仕方のないこととは言え、彼女は無味乾燥な自分の日々が少し恨めしくなる。
金曜日のその時間だと、たぶん保健室でコーヒーをいれてたりしたに違いない、と彼女は考える。
──そうして、初等部の体育があって……そうだ、クロが、転んで膝を擦りむいたコレッタを連れてきたっけ。
保健委員がやたらに包帯を巻いて、コレッタはまだしもクロまでまきこんで包帯の繭にしたのが、ちょうどそのころ。
「ぷ」と吹き出し、「あははは」と、白い毛並みの猫は笑う。
2012-11-03T20:06:17+09:00
1351940777
-
エリア51
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/1145.html
**エリア51
リオ「ババ……シロ先生はエリア51って漫画知ってますか」
シロ「おい今なんて言いかけた」
リオ「バステト(猫女神)とワーウルフ(人狼)が恋する話しがあるんですよ」
ヒカル「……」(ぴくっ)
ハセヤン「……」(どきっ)
シロ「おい質問を流すな。なんて言いかけたんだ」
ハセヤン「シロ先生!生徒が必死に!教師である貴女に!伝えたいことがあって喋っているんです!」
シロ「え、えぇ…?いやあの……」
ハセヤン「しっ!黙ってきく!」
シロ「は、はい」
リオ「バステトは父親であるラーに反対されながら、下級モンスターのワーウルフと恋におち、子供までつくってしまいます」
ハセヤン「ま……」(ぽっ)
シロ「人と猫と犬だなんてとんだミックスだな」
ヒカル「……先生、フィクションにそういう批判は野暮…です」
シロ「わぁい何言っても反駁くらうわぁ」
リオ「ま、最後はワーウルフが死んでバステトも死んで子供だけ残っちゃうバッドエンドなんですけどね」
ハセヤン「シロ先生、私その子がババアと言うの聞きました」
ヒカル「ええ、確かに聞きました。ぼくも証言します」
リオ「?!」
シロ「やっぱり因幡、薬品掛けても大丈夫!!」(毛が白いから脱色してもわかりにくい)
ヒカル「いや…それはダメですよ。ドクハラでパワハラです」
シロ「いやこれは体罰ではなく……き、教育的指導?」
ハセヤン「れっきとした体罰ですよ!振り上げたオキシドールを降ろしてください」
シロ「……」(ちゃぽん)
リオ「(やった、なんかわからないけど助けられた)」
ハセヤン「悪口を言うことくらい、担任に言って内申書に書いてもらえばいいんです」
シロ「うん、たまには正式な処罰をくだすか」
リオ「ぎゃふーん」
2012-11-03T20:03:07+09:00
1351940587
-
われら三銃士
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/1144.html
**われら三銃士
帆崎「われら!三銃士!」
跳月「え?ぼくもですか」
帆崎「あと一人は…白先生!」
白「え?わたしが?はは…男装の麗人か。悪くないな」
リオ「白先生にぴったりですよ。だって『さんじゅうし』だなんてリアリティありすぎるよ」
白「ひらがなで書くな!」
帆崎「どういう意味ですか」
白「聞くな!」
跳月「どういう意味ですか」
白「……」
リオ「えっと、はづきちに説明するよ。女一人身・三十四近くになると…きゃー!!」
え?白先生って、幾つ…だなんて言いませんよ。
2012-11-03T20:01:15+09:00
1351940475
-
ヒカルとバイク乗り
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/1143.html
**ヒカルとバイク乗り
仕事をサボった杉本ミナは、愛車に跨り街並みと街並みを風切って走っていた。
「お父さん、お母さん。ちょっと悪い子に育ててくれてありがとう」
Tシャツが涼しかった頃が懐かしい。懐かしいとは大げさかもしれないが、季節の移り変わりだから仕方が無い。
「ミナはこれから、仕事を……忘れに行きます」
仕事はバイク屋、自宅もバイク屋。家に居ても仕事と離れられる環境ではないので、要は家からちょっと離れたかっただけだ。
気まぐれな性格なもので、空が青かったからと父親に言い残し小さな旅の支度をする。ネコだから、ふらっと出たって不思議ではない。
ネコの家だからお互いのことは干渉せず、父親もミナの気まぐれをさほど気にはしていなかった。
自分と同い年ぐらいの者たちは今頃仕事に汗流している時間だというのに、自分だけの時間を築いて風で吹き飛ばすのは快い。
大通りは昼間だから閑散として走りやすかった。通りの中央を走る市電も運転士と僅かな客を乗せているだけで、モーターの音が
街の隙間に響き渡る。嫉妬をしたのかミナはスロットルを廻し、意味もなくヒマそうな市電と競争をしてしまった。
市電の方がミナの跨るエストレヤより随分と年上なのに、胸を貸すようにミナを先へと譲る。
品性正し過ぎる大通りに飽きて、ちょっと捻くれた脇道に入ると望みどおりの手ごたえを感じる。左手に丘を見ながら曲がり道も多く、
未だコンクリートで固められた道を走り続けると、学生たちが下校している姿がちらほらと見えてきた。この辺は学校が近い。
制服ではなく、ジャージや体操着のまま下校している生徒がちらほらといた。紅白の鉢巻を通学カバンにくくりつけている女子もいる。
「そっかあ。もう、そんな季節なんだ」
彼らに気をつけながらスピードを緩めると、見飛ばしていたものが見えてきた。さらにブレーキを握り、クラッチを切る。
街中ながら曲がり道が多い丘陵地域、耳を突き抜けるエンジンの音がミナの気持ちを高ぶらせ、学生時代を思い起こさせていた。
自由との引き換えに財力を。でも、財力は新たなる自由を生み出すことも出来る。バイクのおかげで。
「あれ?ヒカルくん?」
顔見知りのイヌの少年が、自転車を脇に止めてしゃがみこんでいた。ペ
2012-11-03T19:59:13+09:00
1351940353
-
モテキ
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/1142.html
**モテキ
リオ「白先生、映画『モテキ』見ましたか?」
白「いや……。まだ見てないが」
リオ「先生も来るといいですね」
白「どういう意味だ!オキ…うう、切れてる。後で買って来るか」
リオ「(ひやひや…)。そういえば保健室前の廊下にこんなポスターが」
二人廊下に出る。
白「なんで『モテキ』のポスターが貼ってあるんだ」
リオ「よく見てください。おみこしを担いだコレッタにクロ、ミケ、ヨーコちゃん。おみこしの上には白先生」
白「ちょっと、おみこし買って来る」
2012-11-03T19:56:55+09:00
1351940215
-
月と牙。
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/1141.html
**月と牙。
「いけないことばかりしているのかな……。わたしたち」
学園の誰も使っていない古ぼけた小部屋。
片隅のには一日を終えた学生カバンが二つ折り重なる。傍らには秋の匂いのサブバックが学生の本分を詰め込んでいる。
飛び切り新しいというわけでもないが、使い古されているというわけでもない。きれいに使用されている合皮のカバンの持ち主は、
学園でも「お姉さん」の香り漂う、女子生徒らのもの。彼女らもカバンと同じように二人折り重なって、秋の匂いを確かめ合う。
クロネコの佐村井美琴(みこと)、イヌの大場狗音(くおん)。人知れず、彼女らは集い確かめあう。何を?
言葉は少なく、お互いのことは口で分かり合う。どうやって?
ケモノのハートを揺さぶって、ケモノの瞳で見つめあう。何故に?
『甘噛み同好会』の過ちに、疑問を持ってはいけない。
背徳の香りすら鼻腔をくすぐらせる『甘噛み同好会』は、答えなど期待していないのだから。
「ホント、わたしたち。いけない子ね」
「くーちゃんが咎められても、わたしがいるから大丈夫」
「ミコったら。そういえば、今日は9日だから『くーちゃんの日』よ。ご褒美とかは?」
「ふふふ」
二人して机に腰掛けて寄り添って、美琴は左手で狗音の太ももを指でなぞり、右手で狗音のポニーテールを掻き揚げる。
晒された狗音のうなじに爪を立て、気がひるんだ隙に首筋にそっと牙を立てる。「あん」と小さな声をあげると美琴は
得も知れぬ興奮を感じ、さらにもうひと噛み。もじもじと太ももを擦り合わせ、紺ハイソックスに包まれた脚を上下に動かしていると、
狗音の上靴が右片方がころりと床に転がり落ちる。構わずに狗音は美琴の牙を求め続け、頬を差し出すと願った通りに美琴は口をつける。
「くーちゃんばっかり、ずるい」
獲物を狙い済ましたケモノの瞳、吸い込まれてしまったほうが狩る側のほしいままにされることは道理。
照れを隠せずにはにかむ狗音に美琴は容赦もせずに砂糖菓子のような瞳と、氷のような牙で彼女を虜にした。
テーブルには飲みかけのオレンジジュース。からりと氷が溶けて崩れる音がした。
放課後の学園は甘ったるくて、アンニュイな時間が流れる。
2012-11-03T19:54:50+09:00
1351940090