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理科準備室のバレンタイン


「natureって高いっスよねー」

「まぁ、ね。一冊9000円とかするもんね」

「でもね跳月せんせ、この雑誌超面白いんスよ」

「さすが白倉先生、生科学好きだね。僕はニュートンのが好きだな」

「サブカル物理おもろいっスよね。というか僕、実は最新研究とかどうでもいいんス」

「ネイチャーを年間購読してる人が何をおっしゃる」

「ホントにすごい記事なら読まなくても学生時代の友人とかが教えてくれるっスから」

「ああ、確かに。研究職付いた奴とはそれしか話題がなかったり」

「そうそう。で、僕は実験結果じゃなくて実験の方法と試料を読むんス」

「方法? まさか追試でもするの?」

「高校の設備じゃ無理っスよ。ほら、生科学では動物実験が不可欠じゃないですか」

「……嫌な予感してきたんだけど」

「例えば、マウスの膵液を使うって書いて在るとするでしょ。じゃあ、この試料を取るためには、
ネズミをどう解剖して、如何に膵液を集めたか。それを想像するんス。これがまた楽しくって」

「理解不能だよその楽しみ方」

「『幼若なウサギの視覚剥奪後に……』とか書いてあると、
どうやって視覚剥奪すんだろーなー、とか考えて楽しむわけっス。ははは」

「何故ウサギを例に出したんですか?」

「冗談ス。すいません」

「よろしい。でもあれだね、パンダってあまり実験材料にされないね」

「……絶滅しかかってまスから」

「あー…………」

ガラッ

「アンタら、そんな話ばっかりしてるな」

「また来たんスか白先生。もう口の細菌の話終わってるっスよ」

「うん、ちょっと、忘れ物だ。これを渡し忘れた、ずいぶん過ぎちゃったけど」

ぽすっ

「これは……チョコレートっスか?」

「ああ。跳月先生も、どうぞ」

ぽすっ

「ありがとうございます。へぇ、白先生がチョコくれるなんて珍しいですね」

「ありがとうっス!」

「いや、まぁ、何というか……白衣'sの、メンバーだから、かな? 義理だからね、義理。じゃあ私は帰る」

ガラッ

「……僕らのどっちかに気があるパターンっスかね」

「いやー、彼女に限ってそれは……茶菓子が余ったとか?」

「ありそうっスね。バレンタインフェアに自分で食べる用に買って、飽きたからお裾分け的な」

「あはは、有り得そうだ」




「くしゅん! あー、誰かが私の噂をしている」

「白先生、保健室のオバサンが風邪ひいてちゃカッコつきませんよ」

「リオ、おまえは過酸化水素水を浴びたいようだね」

「キャー、やめてー!」