月と兎
「せんせい、月で兎が餅つきしてるって本当?」
「うーん、どうだろうね・・・」
ススキが揺らぐ庭に面した和風の家の縁台に、二羽の兎が腰掛けていた。
「うーん、どうだろうね・・・」
ススキが揺らぐ庭に面した和風の家の縁台に、二羽の兎が腰掛けていた。
「月に兎がいるかはともかく、餅つきをしてるってのは作り話かもね。」
月見団子をほおばりながら、先生と呼ばれた老兎が答えた。
「なんで? 先生月に行った事あるの?」
「月に行ったことはないが、元々満月を『望月(もちづき)』と呼び、それが転じて『餅つき』となり、兎が餅つきをしているということになったそうだ。」
「なーんだ、言葉遊びじゃないか! じゃぁ、月で兎が餅つきしてるって嘘なんだ。」
子供の兎はピンとたっていた耳をだらんと垂らし、必要以上に失望を露にした。
「まぁ、嘘じゃぁないかもしれないよ。」
「なんで?」
「月に兎がいるって話は、なぜか有史前から言われているから、本当に月に兎がいるかもしれないだろう? もしそうなら、餅つきぐらいするだろう。」
「えー、それじゃぁ、いないかもしれないじゃない。」
「ふふ、それにな。」
先生はにっこり笑いながら、子供の頭をわしわし撫でた。
月見団子をほおばりながら、先生と呼ばれた老兎が答えた。
「なんで? 先生月に行った事あるの?」
「月に行ったことはないが、元々満月を『望月(もちづき)』と呼び、それが転じて『餅つき』となり、兎が餅つきをしているということになったそうだ。」
「なーんだ、言葉遊びじゃないか! じゃぁ、月で兎が餅つきしてるって嘘なんだ。」
子供の兎はピンとたっていた耳をだらんと垂らし、必要以上に失望を露にした。
「まぁ、嘘じゃぁないかもしれないよ。」
「なんで?」
「月に兎がいるって話は、なぜか有史前から言われているから、本当に月に兎がいるかもしれないだろう? もしそうなら、餅つきぐらいするだろう。」
「えー、それじゃぁ、いないかもしれないじゃない。」
「ふふ、それにな。」
先生はにっこり笑いながら、子供の頭をわしわし撫でた。
「君が宇宙飛行士になって月に行き、月で餅をついた一番初めの兎になればいいのさ。」