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the first part ~父とぼく~


サン先生に叱られた。

「ヒカルくん、これはー…よくないね」
ケモノの牙のような厳しさの中にも円らな瞳のような優しさを含んだ言葉で、サン先生はぼくを叱った。
教室で悪ふざけをして、危うく窓ガラスを割りそうになった…からではない。それはこの間、サン先生が英先生に叱られた理由だ。
本当の理由は数学の小テストの点。もともと得意ではない理数系のテスト、ぼくは白は白、黒は黒というはっきりした
答えを求める問題が苦手だ。頭で考えるより、どちらかと言えば尻尾で感じる文系のテストの方が得意だ。
いや、よくよく後から考えれば解ける問題なのだが、短い時間内で難解な数式を解くことが苦手なのだ。
そうだ。『片耳のジョン』のような明晰な推理が小テストで発揮できるならと思うと、尻尾がいつもより重い。
ただ、他の生徒が見ていないときにこっそりとぼくだけを職員室付近の廊下に呼び出して、
ところどころギャグも加えつつ諌めてくれるサン先生の細やかな心遣いに大人の暖かさを感じた。

ところが残念なことに、誰もいないと思っていた廊下に担任の泊瀬谷先生がふらりと通りかかったのだ。
職員室の近くだから泊瀬谷先生が通りかっても当然と言えば当然だ。泊瀬谷先生だって悪気は微塵もない。
だが、ぼくは泊瀬谷先生のことで、尻尾を振ることができなくなるぐらい落ち着きを失ってしまった。
ぼくが気にしているのはぼくが格好悪いところを見せてしまったと言うことではなく、
ぼくのことで泊瀬谷先生が気にしてしまうのでないかという、杞憂にも近いぼくの心情であった。
「ご、ごめんなさい!見てません、見てません!!」
自分が悪くもないのに泊瀬谷先生は自分がサン先生に謝り、抱えていた出席簿を爪跡が付くぐらい握り締め、何処かへ駆けていった。
柑橘とオトナのネコの香りを振りまくと、古びた廊下の木目に名の知らない白い花びらがはらりと落ちているように見えた。
「大丈夫だよ、ヒカルくん。今度点数取ればいいじゃん」
「そうですね…ありがとうございます」
小さな身体で背伸びしながらぼくの背中をぽんとサン先生は叩いた。

サン先生の言葉を頂いた後、校内でもっとも心落ち着く場所にぼくは自然と足が向かう。その場所への重厚な扉を開くと、
メガネをかけ、ふんわりとした栗色の髪を束ねた人間の女性がカウンターで軽くお辞儀をしていた。
側では小さな体のカメの生徒と、大きな体のゾウの生徒がのんびりてきぱきせっせと雑務をこなしている。
インクと活字の森は相変わらず静かなたたずまいを保つこの空間。顔の恐ろしいケモノの生徒もここに来れば
1、2、3を数える間もなく優しい子ネコになってしまうという、図書館マジック。そんな魔力を感じたことはないか。

「ヒカルくん、いらっしゃい。もうすぐ新刊が入荷するね」
「はい」
ぼくも司書の織田さんに会釈を返すと、そのまま歩きなれた通路を通りいつもの900番台の棚へ。
900番台。そう、図書館では毎度おなじみの人気コーナー。文芸書が本棚狭しとひしめく一角。
小説・詩歌・随筆と、ただ単に文字の羅列をそのまま紙に刷りまとめたものだけなのに、人を魅了することが出来るということに
気付いて世に送り出そうと考えた者ははっきり言って、すごい。なんとなく、「こうすればいいじゃん」と思って作り出したのだろうか。
ふと、先ほどサン先生から数式の解法を「こうすればいいじゃん」って言われたのを思いだした。
もしかして、ただぼくが数字を一方的に毛嫌いしているだけなのだろうか、と忘れていた小テストのことを思い出す。
しかし、小難しい理論はここでは無用。そんな思いでぼくの周りでふわふわと飛び回る理屈だけの数字を振り切ろうと、
目で見て、読んで、感じることも大事なんだぜ、と教えてくれる本たちをじっと見つめる。

しばらくして、今回借りたい本が決まった。
いつものように、前回の続きの本を一冊、お気に入りの作者で未読作品の本を一冊、そして新規開拓の本を一冊。
ぼくは図書館でも本屋でも必ずこのようにまとめて本を選ぶ。本の重さと読む前の期待感は等しいと思う。
貸し出しの手続きのためにカウンターに寄ると、外から体育部の部活生たちの歓声が聞こえてきた。
文科系だと自覚しているぼくにとって、体育会系の奴らの歓喜の声はある意味羨ましくも思う。

「あ…」
窓から一羽のタカの生徒が風をきっている様子が見える。大空部の部員たちが夏の大会目指して滑空の練習をしているのだ。
ぼくはカウンターに立寄る前にその光景をじっと見ようと、窓に近づきのんびりと眺める。
つーっ、と翼を広げて風任せに舞う一羽の部員。着地寸前、少し羽根を羽ばたかせ減速し、脚を浮かせて体勢を整える。
るっ、と静かに地面に降り立つと地上の下級生の部員たちは拍手をして、無事の帰還を讃える。

と、見覚えのあるイヌの男性が大空部員の中に紛れているのを見た。何だか見てはいけない人を見たような気がする。
出来ればその場から早く帰って欲しい。別にその人物を毛嫌いしているのではない。ただ、『この場所』からいなくなって欲しいのだ。
すこし恥ずかしくなったぼくはその光景を振り切ろうと、そして手元にある本を借りるべく、
カウンターに小走りで駆け寄り司書の織田さんに手渡すと、読んでいた外国の雑誌をたたんだ。
こなれた手つきでリズムよくバーコードを読み取りながら、織田さんはにっこりと笑っていた。

「そういえば、この間ね。あの人…浅川くんに会ってね」
「浅川…さん?あ…あのカギ尾のネコの」
世界中、本を求めて旅する根無し草のネコ。浅川シュルヒャー、職業・写真家であり旅人。
話によると彼は今、ぼくらの街にいるという。もともと住むところなんか気にしていないという浅川がこの街に居ることは
何か所以があってのことなのだろうか。織田さんに理由を聞くと照れ笑いをしながら、首を傾げるだけだった。
「なんでも、気になる人がこの街にいるんだって…。浅川くんらしいね」
「気になる人ですか」
「あの人、考えより行動が先に出る人だから…。おもしろいね」

織田さんの細い声をさえぎるように、廊下から聞き覚えのある笑い声が響いてきた。扉が開きっぱなしらしい。
ぼくはその声の元に走る。原動力が何だかは分らない、と言うより分りすぎて言いたくない。
兎に角、声が気になって仕方がないのだ。織田さんの一瞬大きくなった声が、無防備なぼくの背中に突き刺さる。
「ヒカルくん。図書館は走っちゃダメよー」

少し開いていた重厚な図書館の扉をさらに開けると、英先生と先ほどまで大空部員たちに混じって拍手をしていた
一人の初老の男のイヌが校内を歩いていた。彼は英先生に世間話をしながら、ゆっくり図書室に向かっている。
「いやー、先生のご趣味はお菓子作りですか?羨ましいですな!ウチの奥さんが仕事で海外に行くことが多いので
料理をすこしずつ覚えているところなんですがねえ。いやあ、何が難しいかって…奥さんの味に近づけないと息子が食べてくれない。
そうだ。わたくし、お菓子といえば最近わたくし、ホットケーキを焼くのに凝ってましてね、
この間、張り切って息子の為にたくさん焼いてみたんですよ。で、外から帰ってきた息子に見せたら『もう食べられない』って…。
一瞬、わたしの焼いたホットケーキがまずいのかと思ったら、友達のうちでおなかがはちきれるほど食べたわけですよ。
まあ、わたしもホットケーキだけに、…っと胸をなでおろしましたよ。ホットだけに、…っと、ね?」
「普段はお一人でお食事の支度をしているんですか?」
一人で嬉しそうな彼はぼくの前で立ち止まった。
ぼくと同じ毛並みを揺らし、ぼくと同じ尻尾をバタつかせているこのイヌの男性。
初めてぼくと彼を見た者でも、二人の関係はすぐに分るだろう。そのくらい分り易いのだ。

「あら、犬上くんのお父さまが今さっきお見えになって、図書館へとご案内しているところだったんですよ」
「父さん…何やってるの」
「おお!我が息子!こんな美人な先生に英語を教えてもらってるなんて、父さんもまた英語を勉強したくなったぞ!
英先生、さあ!!授業の時間ですよ?きょうは一人称の授業ですね。しまったあ!教科書忘れた!廊下に立ってこようかな」
「先生、彼にチョークを投げつけてやって下さい」
父は笑うだけだった。

いきなりすっと、ちんまい影が現れたかと思ったら、それはサン先生だった。
サン先生とぼくの父がお互い自己紹介すると、サン先生は父のことを見抜いたのか今までの流れに乗ってきた。
流れを察する能力がずば抜けているサン先生、初等部の生徒よろしくビシッと手を挙げて叫ぶ。
「英先生!犬上くんが教科書持ってくるの忘れたそうでーす!いけないと思います!帰りの会で問題にしたいと思います!!」
父は尻尾をピンと跳ね上げ、慌てた『演技』をする。
「サ、サンくんのいけず!!この間だって、サンくんは…」
「犬上くんもいけないと思います!この間、英先生のお菓子入れにこっそりとジンギス…」
「サン先生、お声が高いですよ。進路相談をしたいって生徒が…いらっしゃるようで…ね?」
学校一声の大きいサン先生の声は静寂を好むこの場所では歓迎されなかった。
顔色を変えた英先生はオトナの事情により若干オブラートに包んだ文面で、サン先生に生徒指導室へ来るように命じた。
サン先生は涙を浮かべて笑顔で感嘆する姿は本物の初等部の生徒のようであった。
「英先生のいけずー…」

遊び友達を失った父とぼくは揃って図書室の奥へと進む。だいいち、借りようと思った本をカウンターに置きっぱなしだったのだから。
「父さん、何しに来たの?仕事は?」
「ご挨拶だね、ヒカル。父さんはここに仕事に来たんだ。働く男は美しいだろっ。
見てごらんなさい。この光り輝くケモノの瞳はどんな金剛石にも負けないということを」
「うそつく暇があったら、ホントのこと言いなよ」
カウンターで一人ぼくが借りようと思った本を捲っていた織田さんは父を見ると、すっくと立ち上がり深々とお辞儀をした。
まるで、古くからの恩師に再会したように慇懃にお辞儀をしている織田さん。
図書委員の比取はきょとんと突っ立って、父を見ていた。そして、ぷりぷりっと尻尾を震わした。

織田さんはカウンターを比取に任せて、父とぼくを連れて図書館の隅の棚に連れて行ってくれた。
広い図書館の隅は古い蔵書で埋め尽くされているが、あまり借り手のないのも現状であった。
事実このあたりまで来ると、ちらほらいた人影もすっかり居なくなってしまっている。
しかし、ぼくにとって見覚えのある本が、ちらほらと目に入ってきたということはどういうことだろうか。
父は図書館の中ということを配慮して、迷惑のかからない程度の声で話す。
「ほう、ここに来ると本も立派に映るもんですね。見てみなさい、ヒカルくん。あれはぼくの尊敬する池上先生の初版本だ。
池上先生の文章は男のロマンを感じるよ。ぼくにはなかなかああいう文は書けない、やっぱり池上先生は天才だね」
古い本を褒め称える父はとある他の一冊を棚から手に取り、パラパラと捲り出した。
付近に古い紙の匂いだけがあたりに漂い、大人しい背表紙の色がぼくらを包み込んでいる。
そして父は本を捲る手を止めると、ニヤリと笑いぼくと織田さんに見せてくれた。
「ありましたよ。ほら、ヒカルが噛み破ったところです」

その本の途中のページは確かに破られていた。
その本の破られた部分は幼いケモノの歯型が付いていた。
その本の背表紙には父の名前が刻まれていた。
『19××年8月吉日 犬上裕 春屋書房にて購入』
父の筆跡と印鑑が歴史を物語る。父の年代の人は必ずこうして買ってきた本に署名をしていたらしい。
父は本を懐かしそうに捲りながら織田さんに昔話を語りかける。そうは昔でない昔話。
「ヒカルは小さい頃は泣き虫でしてね、いつもベソをかきながら家に帰ってきたもんですよ。
それでヒカルが泣いて帰ったときはわたしがなんとか彼を笑わそうと…苦心しましたよ。
でも、わたしが構ってやれないとき彼は決まって書斎に閉じこもっていたんです」
「そうなんだ、ヒカルくん」
「……」
ポンとぼくの肩を叩く父は話を続ける。
「ある時ですね、なかなか書斎から出てこないと思っていたら、こいつったら本に噛み付いていたんですよ。
急いで引き離そうと思って駆けつけたら、この有様です。急いで引き離そうとしたわたしもいけなかったんですけどね」

思い出した。
初等部に入ったか入らないかの年の頃、尻尾のことで近所の子にからかわれ、泣かされて父の書斎に閉じこもったことを。
まだ幼くて分別の付かないその頃のぼくは本を噛み破った後、いつもくだらないことばかり話す父から叱られたことを。
母からは何度か叱られたのを覚えているが、父から叱られた記憶はこれぐらいしかない。

「ごめんなさい」
ぼくは父と本に時を越えて再び謝った。何故かきょうは謝ってばかりだ。
ところで何故その本が学校の図書室にあるかのか。その答えは父が話す。
「ぼくの知っている写真家で、まだまだ若造なんだけど浅川くんって子が居てね。彼は有望ですよ。
そして、なんでもここにたくさんの本を毎年寄贈しているって聞きまして」
「そうなんですよね。浅川くんの本、わたしたちも毎年楽しみにしてるんです」
「彼が頑張っているんだったら、ぼくも負けられんってね…、ウチの蔵書をこっそり寄贈したんだよね」
「そのときはありがとうございます、犬上さん」
若い人たちに読んでもらえると本も喜ぶからと、父は説明した。どおりで見覚えのある本ばかりだ。
織田さんは「なかなか本の管理が進まない」と嘆いていたが、むしろぼくにとってはこのことがまだクラスのみんなに
見つからなかったことで内心ホッとしている。そこにぼくが噛み破った本がそれに混じって、図書館に並んでいたというわけだ。
「その浅川くんときょう、この学校で会う約束をしてるんだけど…遅いね、彼」

父はその破られた本を織田さんに渡すと、再び本棚を見渡し出した。
「これだけ本に囲まれていると、なんだか創作意欲が沸いてきますね。そうだ!紙とペンはありますか?
早く!早く!思い立ったら吉日とはよく言ったもんですよ!ね?織田さん?浅川くんよ、ごめんよ」
カウンターに行けば幾らかはあると織田さんが答えると、父は一目散にカウンターに駆けていった。

「犬上さーん。図書館は走っちゃダメよー」
織田さんの声はもはや父に届かない。しかし、その姿を見て笑っている人がいる。織田さんだ。
その理由を聞くと「尻尾の振り方がヒカルくんとそっくり」だからと。織田さんは目のつけどころが違う。

ぼくらがカウンターに戻った頃、父は夢中で書き物をしていた。比取がじろじろと父の背中を見ている。
父がものを書き出したら誰も止められない。そんなことは息子であるぼくには重々承知。
「ああいう人なんです」
そうやって織田さんを納得させるしかない。
止まることのない父を図書館に置いて、ぼくは借りた本を携えて再び窓から外を覗いた。

「あ?」
「どうしたの?ヒカルくん」
すでに大空部の部員たちは居なくなり、開いたグラウンドにいたのはカギ尾のネコの男性と短い金色の髪のネコの女性。
もちろん、ここの生徒ではないのは分りきったこと。だが、二人とも見覚えがある。
「あら、浅川くんが来てるね」
横から織田さんが並んで呟くと、熱心に紙に向かったまま父が尻尾だけをぶんと振る。
一方、ネコの女性は杉本ミナ。相変わらず、ラフな格好な彼女である。
二人の声はここの図書室まで突き抜ける。
「浅川くんよ、いい球投げるね!」
「球技は得意中の得意です!杉本さんが喜んでくれれば、オレは…!」
ミナと浅川はキャッチボールをしながら、楽しそうに笑っている、特に浅川ときたら…。
その姿を見ていると、浅川についてふつふつと興味が湧いてくるのは道理であった。
父といい、織田さんといい浅川という男に何らかの形で繋がっているから、興味を持つなと言うことは無理なお話。
織田さんにお辞儀をして、執筆中の父を図書室に置き去りにしてグラウンドの方へ向かうことにした。

以前、図書館で会ったときに浅川は話していた。
「きみの父上にお世話になってねえ。犬上ヒカルくん」と。
あのときはあまり話す時間はなかったが、今なら…と考えるとすこし毛が震え上がってきた。もちろん、いい意味で。
正直者の尻尾はゆらゆらと揺れている。廊下を一人駆け抜ける。グラウンドまであと少し。
「ヒカルくんの尻尾、捕まえたっ!」
子どもっぽい言葉と共に、後ろに引っ張られる感覚がした。
振り向くと、サン先生のような笑みを浮かべる若いネコの姿が目に入る。その笑みは次第に薄れ、潤んだ目に変わる。

「…ごめんね」
「……」
泊瀬谷先生は耳をくるりと回して声を小さくする。
もしかして、サン先生に叱られていたぼくのことを気にしていたのかもしれない。
わざと子どもじみた、しょうもないいたずらを仕掛けて、明るく振舞おうとしているのだろうか。
でも、心配しないで欲しい。ぼくは大丈夫。だんだん尻尾を掴む手が緩んでくる。
「尻尾…柔らかいね」
「そうですか」

誰もまわりにいないことを泊瀬谷先生は確認すると、ぼくの尻尾を手から離す。
一日の仕事を終えて、我が家へと向かう泊瀬谷先生。自慢したかったのか春の日差しに似合うスカートがふわりと揺れる。
真新しくスカートの尻尾穴の仕立て具合は美しく、そこから伸びる尻尾は戸惑いを隠せない。
ふと、ぼくの手首に柔らかくも、香りで言えば甘酸っぱい感覚がした。落ち着かないのか、無意識に出した泊瀬谷先生の爪が軽く触れる。
ぼくの鼻の位置に泊瀬谷先生の髪がふわりとなびく。廊下に若木が生え、伸びて、明るいミカンが周りに実り出す。
吹き抜ける春の風はぼくらにミカンの香りを運んでくる。誰にも見えないかもしれないが、ぼくには確かにそう見えた。
廊下の木目を数える目線で泊瀬谷先生は呟いた。
「玄関まで…一緒に、いこっか?」
「え…」
「迷惑かな。迷惑だよね…」
ぼくの手元を見ると、泊瀬谷先生の薄い手がぼくの毛並みに隠れていた。