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スレ4>>370 魔女の家

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lycaon

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魔女の家


「このまま歳をとって、それでもふたりとも結婚してなかったなら、
小さな家でも借りてミオと暮らすってのも、良いなぁ」

「そう言うのは『魔女達の家』って呼ぶんだったか?ユメミル中学生のする話じゃないな」

「そもそも神楽と暮らしても得するのは神楽ばかりじゃないか?
料理も炊事も家事全般が壊滅的にダメダメだもの」

「そうかぁ……ミオは私と暮らすのは嫌なのかぁ」
「いや、別段そんなことは言ってない」
「私と居ると、きっと楽しいよぉぉ?」
「そうだろね、多分毎日に飽きることなんか無いだろうな」
「ね?」

「先生?」

生徒の不安そうな目に我に返る。 あぁごめんなさい、一寸考え事していたの。
次の指示を与えてから全体の調子を見るために少し教室の後ろに下がる。

人生の門出の大事なドレスに手芸部の生徒達が総掛かりで腕を振るう。彼女達にも憧れのドレスとあって、
真っ白な布と格闘するその頬は心なしか上気し瞳は何時にも増してきらきらしている。
何時か自分が着るときのことを思ってるのだろうか。

では飾りに使うコサージュをひとり3こ作ってきてください。
作業が楽しくてたまらないのだろう、名残惜しそうにしていた娘達を追い立てるように帰宅させ、
ひとり残った部室でドレスと向き合う。 あのとぼけた男にしては良いお嬢さんだったな。
採寸のために連れてきて、しどろもどろで紹介していた姿を思い出して少し笑う。

それにしてもあの男は案外生徒に人気が有るようで、
これから予定していた『手作りチョコ講習会』の集まりが思いの外低調だ。
猪田君の様なことはめったに無いのだぞ、娘達よ。
そうだ、講習会に“そのお嬢さん”が来ると公表してやるとどうなるだろう?参加者は増えるか?それとも…

バレンタインの悲しい思い出は毎年毎年の楽しい記憶でどんどん上書きしてやるんだと、
誓った日からもうずいぶんになる。
棘の上から包帯で押さえても痛いままだと気づいたのは最近だったな。

明日にはドレスもおおかた完成だろう。 さぁ、帰ろう、私の魔女の家へ。



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