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鎌田も高校生


《鎌田@図書館》
カウンターの織田さんに会釈して、そそくさと向かったのは雑誌コーナー。
ケモ学の夜勤ライダーことカマキリ鎌田は図書館にとある雑誌を探しに来ていた。
購入に気恥ずかしさが伴う、親に見つかると変に気を使われそうな雑誌……。
だが、目的の雑誌棚の最寄り──ファッション雑誌棚にイインチョーを発見し、本棚の影に潜んだ鎌田。

(うあ~、早く退けよイインチョー!)

鎌田は棚の影でヤキモキした。
この図書館はだだっ広いくせに利用者は少ないが、人の全く居ない状況となると意外と希少なのだ。
焦れた鎌田は触角を忙しく振って慌て、本棚の角に触角がビシッと当たって起きた物音に慌て、
物音に振り向いたイインチョーの動向に慌てた。

慌てに慌てた鎌田だったが、イインチョーが鎌田に気付かぬまま雑誌を置いて立ち去ったので、
なんとか落ち着きを取り戻すことに成功した。

シッポウィッグかぁ、などと一人ごちながら歩き去るイインチョーを見送り、鎌田は雑誌棚に滑り込んだ。
彼の求める雑誌は、一部の嗜好を持つ者しか読まないようなものなので、とても奥まった位置に置かれている。
あたりを慎重に見回し、鎌田はついにお目当ての雑誌をみつけた。
雑誌を隠し持ち、雑誌棚を去ろうとした時──

「やぁ鎌田くん、君が読書するなんて意外だなぁ」
「!」

突如かけられた声に、鎌田は雑誌を取り落としかける。
この声は“はづきち”こと跳月先生。何故先生がこんなマイナー雑誌棚に。
跳月先生の手には科学雑誌ニュートンが収まっていた。どマイナー誌だ。
よくよく棚配置図を考えれば、マイナー雑誌棚の裏は更にマイナーな科学雑誌棚である。

「跳月先生、ムーの既刊あったっスよ! あれ、なんで鎌田が居るの?」

今度の声は白倉先生。
次々現れる刺客(?)に、鎌田は雑誌を持ったまま駆け出した。

「おろ? なんで逃げてったんスかね」
「……白倉先生の世紀末メイクのせいですよ、多分」
ぶっちゃけ白倉先生の顔など鎌田は見ていなかった。

(とにかくこの本を借りて離脱────ぐへぇ?!!」
鎌田の思考は半ば星屑になって弾け飛び、後半は悲鳴となって口から漏れた。
何故か超怖い顔をした獅子宮先生に駆ける勢いのままラリアットされたのだ。
獅子宮先生は吹き飛んだ鎌田の襟首を片腕で掴み起こして言った。

「探したぞ鎌田ぁ……貴様、私が夜にヒーローごっこしてるって触れ回っただろう?シメるぞクラァ」
もうシメている。

実際に当該情報をリークしたのは烏丸であるが、瀕死の鎌田に弁解の余力は無い。

「まったく、ヒーローごっこしてるのはお前だろうが……ん?」

鎌田の手から、雑誌が零れ落ちる。
鎌田が探していたのは、虫人の女性が妖めかしい姿態も露わに身体をくねらせている“いかがわしいエロ本”。
ではない。

公務員セミナーという、公務員試験受験者が読む雑誌だ。
巻頭特集の見出しになっているのは、警察官2類高卒程度採用試験の傾向分析。

「ふむ。鎌田、貴様は警官志望か」
「げふ、そうで、す……ごほ」
「そうか。ならば今度、現役警官に合わせてやろう。実際に話を聞いておくと面接や小論文に役立つぞ」
「ありが、とう、ございます……ぐはっ」
ガクッ、と鎌田は意識を失った。
図書館では静かにして欲しいなぁと思いつつ、先生相手に注意するのは憚られる織田さんであった。