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スレ3>>453 心配すんな


──難しいな。
どこがわかんねーのかもわかんねー。

ケモ学の眼光凶器こと龍ヶ谷猛は追い詰められていた。理解不能な数学のテストが、彼
の卒業単位取得を阻むべく立ちはだかったのだ。
──みんなこんなもん本当に解けんのか?

回りを伺ってみる。……そんなに余裕のある者は見当たらなかった。
要卒単位に推薦枠、進学先の最終決定。
結果に懸かる重大性を考えれば、このテストに於いて余裕の在る者が居る方がおかしいのだ。
静かな教室に鉛筆の音が疾駆する。ボイラー室で焚かれた熱がスチームを膨張させカンカン鳴らす。

──年貢の納め時って奴か。
猛は読み方すらも判然としない数学式から思考を飛ばし、
今までの出席回数と今回の限り無くゼロに近いであろうテストの得点を思い浮かべた。
既にテストの終了した古文と英語も、まず間違いなく赤点だろう。

──留年、かも。
そうなったら辞めるだろうな、と諦観の底でかえって冷静な思考を巡らせた。
卒業しようが留年しようが、学生生活は残り少ない。ひとつ前に座る永遠花の頭を見つめる。


あと何日だろう。あと何時間だっけ。
こいつと居られんの。


──?
何やってんだ、こいつ。
猛の疑問は永遠花の尻尾の動きによってもたらされた。
クネクネと小さく中空を漂い、まるで何かを伝えようと──いや、まさしく伝えているのだ。
猛に向けて、問題の答えを。

──な、何やってんだっ!カンニングなんかバレたら、俺の留年はもとよりお前の進学に支障がっ……!
そう思った瞬間、サン先生が音もたてずに近付いて来た。

猛の横を通り過ぎる。
ひとつ前の──揺らめく永遠花の尻尾に、サン先生の手が……
──ったく、永遠花の野郎、世話焼かせてくれるぜ。

 カチャン

「ん、何の音?」

サン先生が音のした方向を見ると、ジッポを拾おうとする眼光凶器と目が合った。
猛は、似合わない笑顔をサン先生に向けた。
サン先生も負けじとほほ笑み、猛に語りかける。

「ト・カ・ゲ・くん、そいつはなんだい?」
「なにって……タバコ吸うためのライターだぜ?先生みたいな子供は吸っちゃダメだからな」

サン先生のコメカミに、毛並みの上からもわかるほど血管が浮かぶ。

「バッカモーーーン!!!!指導室まで着いてこーーーい!!!」



──なに、気にすんなよ永遠花。ちょっと辞めるのが早まるだけさ。
そんな辛そうな顔すんなよ。