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スレ3>>434-436 尻尾の喜怒値


つたーん…
       とーん…
かちかちと刻む時計の音が支配する教室。皆、顔を伏せて机の上の白い紙に集中している。
そうだ、今は試験の真っ最中だ。

つてーん…
この問題は確かノートのあの辺りに書いたはず。思い出せ思い出せ。

       こつーん…
集中だ、頑張れ俺!

とこーん…
ああああああ!ダメだ駄目だ!前の席の猫、尻尾で椅子を叩くな!
そっと叩いてるつもりだろうけど、静かな教室だしすぐ後ろの犬の俺には聞こえるンだよ!
背もたれと座面の裏側を交互にゆーっくりと行ったり来たりして

       とすーん…
ううう、なんか耳の横で鐘が鳴ってるみたいに大きく聞こえる。だめだ、意識が持っていかれる。
問題を理解しようにも頭の中は次の音を待ってるようで、目が文章の上を横滑りするだけだ。
ほらもうすぐ背もたれから音がする

とととん…
おお?今度は尻尾を曲げて叩いたから音が変わった。いやいや、そんなこと考えてる場合じゃない。
問題に集中しないと。頑張れ俺、頑張れ俺、がんばれおれ、ガンバレオレガンバレオレガンバレ…

うあああああああ!だめ駄目っ!前の席の犬!なんか知らんけど尻尾振るなー!
あんたの尻尾は白くてもさもさで太くて長いんだから、そんなもん振られたらあたしの視界の隅に絶対入っちゃうんだって!
言ってる間に右に行った。後から追いついた先っぽがクネっと追い越してふいふいっと揺れる。
もうすぐ左に戻るぞ。そーら左にいった。空気に揺られて長い毛がふわふわと揺れる。
追いかけるように先っぽがついていく。毛先が奇麗だ。男の癖に、尻尾の先までブラッシングしてるんだ、やるなぁ。

ってそうじゃない!問題に集中だ!えーとなになに…あれ?動き出さないよ?止まってる?

436 名前: 通りすがり ◆/zsiCmwdl.
≫434

ばんっ
               ばんっ!!
     ばんっ!

さっきから何かうるさいなと思ったら……利里の奴か。
あの様子から見て、どうやら分からない問題にぶち当たった様だな、尻尾を思いっきり床に叩き付けてやがる。
あ、前の席の奴が頭抱えて机に突っ伏した。そりゃ五月蝿いだろうな……その気持ちは分かる。

ばん……

ん? 尻尾の動きが収まった所から見て、利里の奴、解くのを諦めたか?
いや、左右にゆっくり振り始めた所から見て、問題の解き方を思い出したと見て良いか?
利里の後の席にいる猫の子は尻尾の動きが気になるのか、さっきから利里の尻尾を眼で追い始めてる。
つか、大きく振るのは止めろ、先端に付いてるトゲトゲが隣の俺に当たって痛い。

びくーん!

お? 尻尾をいきなり跳ね上げたぞ? 
……ははーん、どうやら次の問題のヤマが外れたな?

ばん!
      ばんっ!
               ばんっ!!

思った通り、問題が解けない苛立ちを表す様に尻尾を床に叩きつけ始めた。分かりやすい奴め。
おまけにさっきから佐藤先生が冷たい眼差しを投げかけてるのにも気付いてないでやんの。
多分、後三回くらい床に叩きつけた辺りで佐藤先生のアイアンクローを食らうかな?

ばん……

あ、尻尾の動きが止まった。
あいつ、佐藤先生の視線に気付いたな? 尻尾を内側に折り曲げてるし。
アイアンクローが出来なかった佐藤先生は何処か悔しそうだ。

って、呑気に利里の尻尾を観察している前に、俺も問題に集中しないと……

ばんっ
           ばんっ!!
   ばんっ!

だぁぁぁぁぁぁっ!! 利里、尻尾を叩きつけるの止めろっ! マジで気が散るっ!!
いい加減にしないと本気で尻尾を部位破壊するぞ!

                               *   *   *

……結局、俺は利里の尻尾の所為で最期まで問題に集中出来ず、テストの結果は散々な物に終わった。
そして対する利里の奴はと言うと、俺の点の30点増しだった。

それを知った俺に尻尾を踏んづけられ、利里が悲鳴を上げる事になったのも無理も無い話だろう。
つか、部位破壊されなかっただけでも有り難いと思ってほしい。

――――――――――――――――――終われ――――――――――――――――――