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全速力で俺は学校へ向かった。あの暗号が示した場所は生徒指導室。生徒指導室の中に誰も居ない事を確認して忍び込む。普通の教室で
あり、何の変哲もないように見えるが・・・とりあえず棚の中などを物色。これ赤の他人が見たら泥棒に見えそうだ。ロリコンなうえに泥
棒疑惑がかけられたら救いようがないな。・・・お、何か発見。

「何かの資料か。」

紙が束になって出てきた。何かの資料のようで、文字がズラリと並んでいる。ページを開くと、何かの写真が載っていて、その下には月
影孤児院と書いてある。孤児院の写真か。さらに読み進めていくと・・・

「集められた孤児たち・・・人体・・・実験・・・」

【我々は、集められた孤児たちに対し、秘密裏に人体実験を行った。孤児たちはどこにでもいるので簡単に人数は集まる。たとえ死んで
しまっても、警察は金さえ積めば動かない。それに加え、あの方が圧力をかけてくれるので気兼ねなく実験を行える。】

「・・・・何だ、これ・・・」

【新薬の実験、解剖、遺伝子組み換え実験・・・何にでも使える。実験のための資金は解剖の際に余った臓器などを売り調達することが可能。
我らの周りを嗅ぎまわっている奴ら、これを知ったものはあの子供たちを使って始末する。なお・・・】

「・・・これ以上は見たくない。」

何なんだこれは・・・子供の命を何だと思ってるんだ・・・・関村は何故こんな物を求める。何故この学校にこんな物がある。写真つきの資料で
解剖記録や新薬を投与された者の成れの果て、色々記されている。・・・気分が悪くなってきた。

「・・・知ったな。」

後ろから突然声がした。この声・・・まさか・・・

「知らなければいい事って、世の中には沢山あるんだぜ。そして、やりたくもない事をしなければならない事も・・・」

関村・・・こいつもあの暗号を解いてここにきたのか・・・




「ある奴の協力であの暗号を解いてここに来た。その資料は、ここの教師の一人が俺たちを裏切って持ち去られた研究記録であり、人の目に
触れてはいけないものだ。それを渡してもらおうか。」

「・・・お前たちがここに記されたような事をやっているというのなら、これは動かぬ証拠となる。ここに記されていることは犯罪だ。
絶対に許されるものではない。そんなものを、俺が素直に渡すと思うか?」

「・・・犯罪か。だが、お前がいくら許さないと言っても、この国の法は脆いんだ。金さえ積めば見て見ぬ振り。」

さっきの資料の中にも金さえ積めば警察は動かないと書いてあった。・・・もっと根本的な問題なのか?

「・・・仕方ないな。校内で暴れるわけにはいかないから今日のところは見逃してやるよ。」

そう言って関村は教室から出た。意外な反応。こいつなら校内で暴れるぐらいはしそうなものだが。
まあ、逃がしてくれるというのなら全力で逃げるか。逃げ足だけは速い俺。ああ、本当に情けない。おっと誰か来た。

「昔パンを焼いたのはー6000年も前のことー♪小麦を粉にしてこね・・・ってあれ?狼さん、また会いましたね。」
「何だ、また会ったな。こんな所に何しに来たんだ?」

昼間会った女の子が歌を歌いながら生徒指導室の中に入ってきた。何か昔聴いた事があるような歌だな。

「いやー何だか小腹が空いちゃったんで昼休みに食べ切れなかったパンをここで食べようかなーと思って来た訳ですよ。」

見るとまた両手いっぱいにパンを持っている。何この子。パン工場の回し者?俺までパンが食べたくなってきたじゃないか。

「やっぱパンには牛乳ですよねー高温殺菌は論外ですけど。」
「そ・・・そうだな。」

高温殺菌の牛乳しか飲んだこと無いけど。確か高温殺菌の牛乳は牛乳に含まれている蛋白質や、カルシウムなどの栄養素が
熱変性を起こしてしまうんだっけな。帰りにスーパーで買ってこようかな。そういえば牛の獣人は牛乳って飲むのかな。
・・・っていかんいかん何か脱線していってる気がする。





とりあえず適当に挨拶をして下校した。帰りに近くのスーパーでパンと低温殺菌の牛乳を購入。そのパンと牛乳を食べなが
らさっきの資料の続きを読む。本当は見たくないけどな。殆どが先ほどのような内容の研究内容。食事中にはちと辛い。
そして、最後の方のペ-ジを捲ったとき、目に飛び込んできた文字は・・・

「施設の者たちで生き残った者の一部は我々に協力してもらう・・・」

・・・どういうことだ?実験された子供たちが、この実験を行ったものに手を貸すというのか?どうしてそんな・・・
次のページには・・・肉親や親しい友人を人質にするような事が書かれていた。・・・もうどこから突っ込めばよいのか。最初から
最後まで狂った内容だな。さて、この資料をどうするべきか。警察に渡して信じてもらえるか・・・この資料の中に書いてあっ
たように圧力をかけられているのなら意味がないのかもしれないが。

「・・・これをどうするかは明日決めようかな。」

低温殺菌牛乳を最後まで飲み干し、そう思った。どうせこの資料を持ち歩いていたら関村に狙われるだけだ。そうなるぐらい
ならこの資料をどこかにに隠してしまえばいい。この資料が隠してある限り俺たちの命は安全になる・・・と思う。

「とりあえず・・・」

今日はとりあえずベッドの下に隠しておく。・・・何か思春期の少年的な発想っぽくて嫌だな。ってあれ?俺一応思春期・・・
如何わしい本を隠す訳ではないんだから堂々としてればいいのだろうが何故か背徳感が・・・ベッドの下とは恐ろしいものだ。
・・・さて、この資料のことを高杉たちに伝えるべきかな。突拍子もない話だし迷うな。

「・・・それにしても、低温殺菌牛乳って意外とおいしいな・・・」

・・・駄目だ。こんな考えしかでないぐらい俺の頭は疲れているようだ。今はパンだとか牛乳とかはどうでもいい事なのに。
もう寝てしまおう。宿題は明日の朝やればいいか。



早朝。急いで宿題を終わらせて、朝食を作って家を飛び出す。あの資料は鞄の奥深くに隠して持っていくことにした。

「あ、眠兎君。おはよう。」
「ああ、おはよう。」

かなり早く家を飛び出したから一番乗りだと思っていたのに、高杉のほうが来るのが早かったようだ。早起きなんだな。
いつもの俺なら今頃が起きる時間だ。俺が遅すぎるだけか。今、教室には二人しかいないしあの資料を出してもいいだ
ろう。奴らが高杉を使って職員室にあった紙を取らせた理由を知る手がかりになるかもしれないし。

「これ、あの烏の男が探していたものらしいが何か心当たりはあるか?」

鞄の奥から資料を取り出し、高杉の前に差し出す。彼は最初の孤児院の写真が載っているページを開いたところで手を止めた。

「・・・・この孤児院・・・」
「この孤児院がどうかしたのか?」
「俺の父さんが経営してる孤児院が何で載ってるの・・・?」

え・・・高杉のお父さんが経営している孤児院だと?関村はそれを知っていて高杉を使ってあの紙を取らせようとしたのか?で
も、前に高杉に聞いたときは関村ではない誰かに脅されたと言っていた。そいつは一体誰なんだ・・・?

「・・・なあ高杉。お前を脅した奴がどんな奴だったか覚えているか?」
「えっと・・・眠兎君と同じ狼の獣人の大人の男の人だったと思う・・・確か片目が赤い人だったよ。」
「何だって!?」

片目が赤い狼の獣人・・・関村が俺の赤い目を知っていた事・・・それらから考えると・・・

「そいつ・・・俺の親父かもしれない・・・」

自分でも体が震えるのが分かる。もう間違いない。この事件は・・・この出来事は・・・・あの男の仕組んだ・・・

「今頃気づいたんですか?狼さん?」

教室の扉のところから声がした。教室に入ってきたのは・・・犬族の女の子、樫村琉海だった。