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スレ3>>263 静かな図書館


和賀甲介(わがこうすけ)は、手に取った紙を見て思わず溜息を吐きそうになった。
その紙には、新規購入調査票とタイトルが書かれており、その下には本のタイトルが幾つか記載されていた。

「予想通り……だな。」
「それを言うならガメラ先輩も同じですよ?」
「うるさい。それにそのあだ名は止めろ。咬むぞ。」

紙を置き、向かい側にいる象人に向かって口を上下させて鳴らした。
ワニガメの様に鋭利な形をした口は、何でも噛み砕く。
その威力を痛感している象人は、逃げる様に一歩下がった。

「や、やだなぁ。冗談は止めてくれませんか。」
「フン、本当に図体だけは無駄にある中学生だな、ババール。」
「あ!先輩だってオイラのあだ名使ってるじゃないですか。後、オイラがでかいんじゃなくて、先輩がちい……」

ババールもとい、羽場大吾(はばだいご)が反撃に出ようとした時、
和賀がまた口を鳴らしたため、押し黙ってしまった。
身長は実際の所、和賀は小学生並に低く、羽場は2mを超えている。

「たく……比取(ひとり)はどうだ?」
「あの、これです。」

和賀は、隣にいたペンギン人の比取に話しかけると、彼は恥ずかしそうに紙を差し出した。

「んーと……これじゃあ俺達と変わらないな。」

呆れと自虐が入り混じった声に、比取は、顔中が赤くなってハイっと小さく応えた。

「しかし比取は、本当に絵が好きだな。初等なのに凄いな。」

比取が紙に書いたのは、絵本と有名絵画絵師の作品集でばかりであった。
因みに、和賀が選んだ本は、歴史及び軍事小説物。羽場が、ファンタジー中心のライトノベルである。

「良いじゃないの。新しい本が増える事には変わりないんだから。」

司書室から4人分のジュースを持った人間の女性が現れ、三人に渡しつつ紙に目を通すと、和賀に笑いかけた。

「お、織田さん……」
「言いたい事は分かる。でもリクエストボックスにちゃんと他のがあるから大丈夫よ。」

織田は、近くにあった箱の中から紙を数枚取り出し、和賀に渡した。
紙には、三人のジャンルと全て違った物のタイトルが書いてあり、
安心するかと思いきや、怪訝な顔をするばかりであった。

「こ、この筆跡……」
「そうなのよ、ねぇ。」

織田は、何故か溜息を吐いてしまった。
理由は、リクエストを人物にあった。

リクエストと書いたのは、全て教師の人達であり、合同図書館にも係わらず、生徒からのリクエストは一切ない。
これは今回のみならず、毎回同じ結果になっているのである。

「みんな、本に興味が無いのかしら?」
「そ、そんな事ないですよ!?オイラ達の他にちゃんと利用している生徒はいますから。な、比取?」
「は、はい!」

テーブルに突っ伏して泣き言を呟く織田に、羽場が懸命のフォローをかけ、話を振られた比取も懸命に頷く。

「でも今は俺達以外いないんだよな。」

和賀の溜息交じりの小さな一言に、全員が凍りついた。
今日も静かに合同図書委員会が終わろうとしていた。