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**フリードリヒのしょうたい 「八木教頭♪」 「気味が悪いですぞ」 立派な皮のソファにどしりと腰を下ろすとかすかに埃が舞った。 分厚い資料を丁寧に開き、校長は上機嫌に語り始めた。 「みたまえ、この学力テストの結果を!」 「校長が試験を受けたワケじゃないのにやけに嬉しそうですな」 「他校と比べても恥ずかしくない結果じゃあないか、絶好調絶校長!」 「そりゃ、名門私立としては悪い学力偏差を出すわけにはいかんでしょう」 「正直、足を引っ張ってる生徒もちらほらいるわけで、今回のテストは心配だったのよ」 「んー、私としては、もうちょい伸びてほしいところではあるんですがな……」 「八木ちゃん、どうにかしてよ。頭悪いのはみんな顔が怖くて注意したくないのよ」 「どうにもならん奴はどうにもならんですな。 下を引き上げることより上を伸ばす授業を、と考えております」 「それでいいよ」 八木教頭は老眼鏡を掛けなおし、学力テストの順位を一つずつ追っていった。 「犬上、蜂須賀、柊と……上位に食い込むのはやっぱりいつもの面子」 「あー、頭良い奴も顔が怖いのねー」 「そういう問題ですか」 「9割ってすごくね?」 「彼らにしちゃ、ちょっと下がってますね。 それほど難度の高い問題だとは思わなかったんですが」 「きびしっ!」 「順位は下がり気味にもかかわらず……なぜ」 教頭はペラペラと順位を遡っていく。 ほぼ満点の点数の中から「佳望学園」の名前を探す。 校長はすでに紙面ではなく教頭を見つめていた。 「……誰だ? 校長、これは、どなたかご存知ですか?」 「横文字ぃ? だれだっけか、こんな人生徒にいたかな?」 「500点満点。 これはなかなか期待できるんですが」 「フリードリヒ?」 「誰ですか? 私は存じ上げませんよ」 「だ、誰?」 「私の記憶に無いってことは、てっきり校長が裏口入学させた生徒なのかと」 「ないない、そんなのないよ」 「気味が悪いですね」 「転校生かなー? いないよねー? 新入生にも、フリードリヒって……」 「ミスプリントですかね、ちょっと電話で確認してきます」 「あいよ、よろしく八木ちゃん」 八木教頭は足早に校長室を出て行った。 扉が閉まったとき、埃が少し舞った。 「掃除しなきゃ……」

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