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**静粛に! それは、図書委員恒例の読書会で起こった。 「はぁ、いいなー。羨ましい。」 読書会の最中、羽場は盛大な溜め息を吐きながら、羨ましげに独り言を呟き始めた。 折角静かに本を読んでいるのに、それを邪魔されてしまった残りの二人は、冷ややかな視線を浴びせる。 しかし、羽場は本の世界に入り浸ってしまっているのか、彼らの視線には気付いてはいなかった。 和賀は、思わず立ち上がり、噛み付く体勢に入りかかったが、何とかそれを押さえ、注意を呼びかける事にした。 「羽場、うるさいぞ。」 「……え?はい?何か用ですか?」 声をかけられ、漸く現実に引き戻された羽場だが、自分が何をしていたか解ってない様子でこちらを見た。 流石にこれは、本気で呆れるしかなかった。 「あのな、本の世界に入るのは勝手だがな、独り言は止めろ。」 「す、済みません。」 「大体、何の本を読んでいたんだ?」 羽場が読んでいる少し分厚い本を引ったくり、中身を簡単に流しながら捲ると、ある挿絵に手が止まった。 それは、一人の人間男性が巨大なドラゴンの頭を撫でているシーンが描かれていた。 他のページを適当に読むと、どうやらこの一人と一頭の友情をテーマにした小説の様であることが分かった。 「このペアが、物凄く仲が良いんですよ。」 嬉々として小説の良さを伝えようとする羽場だが、 そろそろ読みかけの本を再開させたい和賀は、本を羽場に押し付けた。 「とにかく、今は静かに読む時間だ。今度やったら……分かってるな?」 和賀の眼つきが変わったのを見て、羽場は顔を引きつかせながら静かに、そしてゆっくりと頷いた。 #center(){一週間後。} 「プッ、クククククククッ……」 読書会の最中、またもや羽場は、今度は笑い声で和賀達の邪魔をしてしまった。 一応必死に笑いを堪えている様ではあるが、その努力も空しく、声は漏れていた。 「アハ、アハハハハハッ……」 とうとう我慢出来なくなったのか、羽場は、腹を抱えて盛大に笑い始めた。 そこで和賀は、読んでいる本を閉じ、静かに立ち上がった。 そして、首を左右に何回か捻り、肩を軽く回し、クラウチングスタートの様な姿勢を取った。 和賀の目は、何かを狩る眼つきをしており、数秒後、羽場の笑い声が悲鳴に変わったのは言うまでもなかった。 「お前は、俺を舐めているのか?」 「い、いえ……滅相も、ござい、ま、せん。」 死んだ様にうつ伏せに倒れている羽場に、その上に足を組んで座る和賀。 近くには、羽場が読んでいた本が落ちており、それを比取が拾い上げて、 読んで見るが、何の事が書いてあるか解らなかった。 「よく解らないです?」 「どれどれ?えーと……何かしら、これ?」 様子を見に来た織田が、代わりに読んで上げようとするが、すぐさま怪訝な顔になった。 その本の目次は、とにかく奇妙奇天烈なタイトルが書いてあり、中身が一体何なのかは予想がつかない。 織田は、取りあえず最初から読み始めると、漸く本の内容を理解する事が出来た。 「どうやらアニメやゲームにある凄い現象を、科学的に検証してみたって感じの本みたいね。」 「そんなのに笑っていたのか、お前は?」 「検証した結果の部分を、具体的な内容で書いてあるから、そこが面白いみたいね。」 「け、検証してる部分も、お、面白いです、よ。」 「そんな迷惑な本を何て読むな。」 回復してきたのか、先程よりも流暢に話し出す羽場に、和賀は、頭を叩いた。 後日、図書館の一画に、『静粛』と書かれた紙が張り出され、 騒がしかった読書会は、静かに行われる事となった。 関連:[[図書委員's>スレ3>>421 図書委員's]] [[織田>スレ3>>421 いっしょですね]]

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