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「本局から移動となりました、李 血燕《リー・シェイエン》です! よろしくお願
いしますヴィアトリクス空曹長!」

朝っぱらから盛大なモーニングコールを受けた。

2月4日。
機動六課が約一年振りに再結成され、今日を持って本稼働する日でもある。
今日が近くなるに連れ、今日みたいにいきなり押し寄せては挨拶に来る奴が多く
なっていた。

はた迷惑だ、そう怒鳴りたい。
だが仮にも部下になる者も多く、下手に追い出すわけにもいかなかった。

「あーはいはい。分かったからもう行っていいぞ」

こっちはまだベッドの上だというのに、なぜこうも待てないのか。
真冬だというのに、部屋は暑苦しさで一杯一杯だ。

「自分は隊長の三人目の部下となりますので、ご指導のことよろしくお願いしま
す!」
「話しは後だ。先に行っていろ…」
「はい。ではまた六課で」

やっと部屋が静まり帰ったと思っても、今更二度寝なんて出来るはずがない。
寝起きの珈琲と一服を糧に、今日も一日乗りきろう。

「今日から本格的にアンヘル及び、ジュエルシードの捜索をやるのか…」

正直、機動六課が稼働するまでの時間が勿体無い為、あの時送られた密林や奴の
居場所を色々調べたが、とてもじゃないが分からなかった。
ゲートの履歴や転送ポイントナンバー、ベルカが実験施設に利用していた異世界
など、全て調べたのは白だった。

結局は、ほとんど何の手掛かりも無く今日を迎えている。

「行きたくない…なんでこうも鉢合わせになるんだ、全く」

シグナムも含め、元守護騎士たちは六課に勢揃い。
アンヘルの手掛かりと同時に色々調べていたところ、約10年前に起きた闇の書
事件やプレシア・テスタロッサ事件…多少なりとも隊長メンバーの素顔なども見
えてきた。

これから入る高町やフェイトの部下、つまりは旧六課メンバーも優秀な人材ばか
りだ。
アンヘルの勢力に比べ、こちらは大きい。だがどちらにせよ奴等が簡単に見つか
るわけがない、と悲観的な結論しか出てこない。

「出方を伺うしかないのか? いや、運良く見付かる可能性もあるしな…」

機動六課に正式配属された俺は、部下の訓練指導などを主な仕事らしい。
“古代ベルカ”生まれの俺は、こちらの字があまり読めない。

後は、カリムの預言の解読などを頼まれているが、こちらは簡単と言えば簡単だ。

だが所詮は“預言”。
予測が付かない域まで達した偶然は、予測なんて遥かに超えて面倒な場面《シチュエーション》だ。

預言に突き動かされては、いずれは皆がブリキのようになりはじめる。

確かに預言は便利で素晴らしいものだ。
だがいつの時代も“頼れるものは廃る”というもの…信じ過ぎれば過ぎるほど、
人は愚かにも迷い始めてしまう。

「預言の二枚目は解せねぇな…」

一枚目は絶望について、二枚目は希望について…それが何を意味するかはまだ分
からないが、きっと俺の予測は合っているだろう。

「ヴィア様、起きてられますか?」
「ああ、起きてるよシャッハ」

珈琲も飲み終わって煙草も吸い終えた。
残るは、面倒極まりないほど早くから始まるパーティに参加するだけだ。

「煙草は外で、と言ったはずですが?」
「そういえばそんな話しを昔聞いた覚えがあるな。はて、もう歳かな」
「普段は嫌がるくせにこんな時だけ呆けないで下さい!」

こうしてシャッハが怒るのは何度目だろうか? いい加減言っても聞かない俺に呆
れて、話題を切り替えてくる。

「そろそろ始まりますよ。部隊長及び総長の稼働式挨拶」
「そうだな。そろそろ行くか、はやてたちが何かとうるさくてたまらん」
「ふふ。貴方がのろけてばかりなのがいけないんです。制服も用意しましたし、
後は出るだけですよ」

シャッハが用意した六課の制服に着替えて、教会を出る。
外には、シャッハの義弟が譲ってくれたとかいうバイクが置いてある。

「言われた通りに用意しましたけど、免許は…?」
「はい、これ」

財布から出した免許証をシャッハに見せると、苦笑いをしていた。
無理もない、ミッドチルダで通用するか分からない古代免許証だからな。

「乗るなと言っても、乗るんでしょうから何も言いませんが、厄介ごとは勘弁で
すからね」
「あいよ、じゃあ…カリムたちによろしく言っといてくれ」
「はい。行ってらっしゃいませ!」





機動六課の挨拶には総隊長である八神はやての挨拶と、隊長陣である高町なのは
、フェイト・T・ハラオウン、そして俺が挨拶をした。
面子は続々と揃っていき、旧六課メンバーや新規メンバーなど、既にアンヘルと
いつでも戦える準備はしてある。

「またみんなとこの場所で会えた事を光栄に思います。今回もロストロギア相手
ですが、油断せずにいきましょう!」

はやてが挨拶を済ませ、隊長たちも次々と話しを終わらせていき、遂には俺の番
が来た。

前に立ち、トーレとセッテの姿を確認しながら話しを進めた。

「俺の名前はヴィアトリクス・フロストリア。そして、アイシクル分隊隊長
でもある。ほとんどの者が初めてとなるが、気兼ねなく話しかけてくれ」

拍手と共に、俺は下がった。
挨拶が終わり、次は立食パーティに移った。
六課の食堂をフルで使うらしいが、きっとあれだけの職員がいればすぐに無くな
るだろう。

「ヴィアさん、ちょっといいかな?」

はやてに呼び止められると、後ろには“守護騎士”たたが居た。

ヴィータ、シグナム、ザフィーラ、シャマル。

どういう顔をして、話せばいいのだろうか。
いや、そもそも俺とこいつらは他人に等しい。

ならば“初めて”からにしようじゃないか。

「うちの家族なんやけど、もう10年前の事知っとるやろ? 例の守護騎士たちが
この子たちや」
「ああ。ヴィアトリクス・フロストリアだ。シグナムは既に知っていると思うが
、よろしく頼むよ」

視界にふと、小さな何かが横切った。
それははやての肩に乗ると、元気良く両手を挙げて話し掛けてきた。

「リィンもいるですよー♪」
「せやな。この子はリィンフォース。うちの補佐であり、ユニゾン型デバイス
でもあるんや」
「そうか。よろしく頼むよ、リィン」
「はいです! それじゃあはやてちゃん、私はヴィアさんをお部屋へ案内するです」
「せやな。じゃあヴィアさんをしっかり案内してなリィン」

その小さな身体に着いていき、俺は自分に与えられる部屋に移動した。





ヴィアとリィンがいなくなり、はやてもオフィスへ行った後、食堂にて守護騎士
たちが集まり食事をとっていた。
だがそこにはいつもの明るい空気は無く、誰も喋らずにる。

「彼は…ヴィアトリクス・フロストリア。古代ベルカの生き残りにして、災厄を
倒す者。夜天の氷帝、か」
「あたしらの事を知ってたんだろ?」
「そうだ。恐らく、推測ではあるが…400年前私たちが見知らぬ主の元で目覚
めたのと関係がありそうだ」
「なら、彼は私たちのなんなのかしら…?」

それぞれの意見と質問を口にした後、ザフィーラが結論をまとめた。

「急くなお前たち…。奴から何も言わないと言うことは、我々が詮索することも
無いということだ。それに、時が来ればいずれ分かるさ」
「そうだな。今は…今回の事件に集中しよう」

それぞれ食事をとった後、各自自分の持ち場に戻って行った。





「セッテ、トーレ。ようやく来たか」

リィンに部屋の場所を聞いて一緒に確認した後、一人で社内を歩き回っていたら
セッテたちが居るのを見て近寄った。
どうやら他のナンバーズも一緒らしく、旧六課メンバーも居るようだ。

「兄上、この子たちが私の妹たちです」

話しによれば、六課に入るのはチンク、ウェンディなど

「チンクです。よろしく頼む」
「ウェンディだ。よろしくな・・・」
「それで、そっちのは?」
「はい! スバル・ナカジマです! よろしくお願いします!」
「ティアナ・ランスターです!」
「おう。よろしくな」

しばらく軽い話しなどをしていると、はやてからの呼び出しが掛かった。

「いきなりごめんなぁ、ちょっとヴィアさんに確認したいことがあって」
「…これは?」

はやてのオフィスのモニターに写し出されたのは、アンヘルが次々と局員たちを
惨殺している映像だった。

「3週間前の事件やけど、未開の世界に大きな爆発があってな、ロストロギアの
可能性もあるから一応そこそこの部隊が偵察に行ったんよ」
「ここでアンヘルが目覚めたのか」
「多分そう。それと同時に、未確認の魔道師を確認したんや」
「これは…?!」

一人の男がアンヘルに串刺しにされる直前、その男を庇って“誰か”が刺された。
よく、知っている奴だ。
400年前、カーディナル本部の屋上で決着を着けたはずの女。

「──リベリオン」
「そう、言うんか?」
「奴は400年前の、始まりの反逆者の一人だ」
「あのな、話してくれたらでいいんやけど…もう少し昔の事、話してくれへんか?」
「分かった。高町とフェイトも連れて来てくれ」

緊急で高町たちを呼び出した後、テーブルに座り話しをした。
まずは、俺たちの生い立ちから…。

「俺たちガーディアンと呼ばれる魔道師たちは、カーディナルと言う組織によっ
て生み出された人口生命体だ。無論俺たちは造られた化け物なんてことは知らな
かったし、むこうも知られないように隠蔽していた」

数多くのガーディアンが生まれ、ようやくカーディナルの中でも最高傑作のガー
ディアンが造り出された。

「──419年前、アンヘルとヴィアトリクスが生まれた。俺たちは生まれて立てるよう
になるとすぐに武器を持たされ、訓練をさせられた」

子供の頃から、ずっと握り締めていた自分の武器。
ようやく子供と呼ばれるぐらいまで成長すると、次は任務が待っていた。

「主な任務は他世界の勢力を削ること。そんな任務をずっと続けてきた。そして
今から約400年前、五人の反逆者が出たんだ」
「反逆者…?」
「ああ。彼女たちはたまたま自分たちの出生を知り、そして憎しみ故に反逆を起
こした。彼女たちはそんな強いガーディアンでも無く、殲滅は余裕だと思ってい
たよ」

第一の予想外の出来事が起こる。
400年前、反逆者たちは己の弱さを無くす為に求めたのは──神が造りし災厄
の神種。

「奴等はジュエルシードの魔力を取り込み、膨大な力を得た」
「ジュエルシード…?!」
「良く知っているだろう? あれはな、自然が生み出した魔力ラインの中心で膨大
な魔力が結晶化した物だ」
「ジュエルシードの恐ろしさはよく知ってる。私とフェイトちゃんが、身を持っ
て体験したからね…」

闇の書事件より半年前、高町なのはが魔道師となる切っ掛けの出来事。
ジュエルシード事件。詳細はあまり知らないが、なのはとフェイトが命がけで手
に入れようと戦ったらしい。

「お前たちが集めたジュエルシードは元々の半分。残りはアンヘルが持っている」
「彼の目的は聞いてるけど…具体的にはどうやるの?」
「アルハザードに眠る超広域空間消滅魔法…アポカリプス。400年前と変わら
ないのならば、それしかない」
「それが発動したら、どらくらい消えるん?」
「発動場所によるが、ジュエルシードの魔力やアンヘルたちの魔力を全て注げば
ミッドチルダを含め周辺にある異世界を巻き込み消滅する」

そうだ。アポカリプスが発動したら、もう止める手は無い。
ならば発動する前に、アンヘルを打破、もしくは生命活動を停止させるしかない。

「彼への説得は出来るのかな?」
「不可能だ。もう、あいつを倒すしかない」
「本当に、それしかないのかな…」
「それにしても、説得も倒すのも奴の部下と戦う必要がある」
「えと…五人の反逆者だよね」
「そうだ。先程の映像を見る限り、リベリオンはまだ分からないがな」

先程の映像でリベリオンが男を庇いアンヘルから逃走したのを見ると、奴は敵で
は無い可能性が高い。
味方であるかも、定かでは無いのだが…。

「奴等は強敵だ。油断すれば死人が出るぞ」
「させへん、そんなこと。何の為の仲間や」
「…仮定の話しだ。高町たちは確かに強い。だが…本当にあいつは強いんだ」
「・・・怖がらないで、ヴィア」
「俺は怖がってなんて…」
「誰かが死んじゃうって話しをするのは…守り切れないかもしれないからって不
安があるから言ったんだよね?」
「俺は…」
「大丈夫。なのはもはやても、強いよ。部下もヴィアも、きっと守るから」

本当に、強い眼差しだった。
これだけ話して尚、こいつらは“守る”と言っている。
アンヘルと互角に渡り合えるのは、俺だけだ。

じゃあ──

「リベリオンズはお前たちに任せる。アンヘルは、任せておけ」
「うん。ちゃんと私たちを守ってね?」
「ああ。俺は守護者だからな、六課も部下もお前らも、まとめて守ってやるよ」





はやてたちとの話しが終わった後、分隊たちが訓練所に集まっていた。

「ちびっこどもの訓練をする前に、シグナムと戦いたいんだが」
「…なのは、いいかな?」
「シグナムさんがいいなら、いいんじゃないかな?」
「私は構わない。ではヴィアトリクス空曹、こちらへ」

未練があるという訳ではないが、一応守護騎士の中では最強の剣士の実力を知っ
ておきたい。

今思えば、高町にとって俺のスタイルは相性最悪だろう。
だがシグナムは違う。近距離も中距離も得意とするシグナムは、俺とは互角にや
りあえる。

観客にははやてを除く隊長二人と、各分隊のメンバーが居た。
今朝部屋に乗り込んで来た血燕も居るようだ。

「高町、これは本気の戦いか?」
「えーと、トーレちゃん…だよね? うん。多分かなり本気じゃないかな」

だって、目がもう相手の首しか見てないしね。

「いきます」
「来い」

空中で始まると同時に、シグナムとレヴァンティンは突進してくる。

「レヴァンティン!」
『Explosion!』
「フルンティング!」
『Explosion!』

突っ込んでくるシグナムはカートリッジを一発起こすと、すぐに炎熱を纏った剣
を構える。

「紫電一閃!!」
「氷天一閃!!」

フルンティングもカートリッジをリロードすると、氷熱を纏う。
交錯する剣と剣のぶつかり合いは、もはや盾など必要が無い程まで洗練されたも
のだった。

己の持つ刃こそが、最大の盾となる。

「はぁあ!!」

次々と打ち合うデバイス同士の削り合いは、中々終わらない。
それもそうだろう。シグナムは俺と近距離の戦闘はほぼ同じスタイルなのだから。

「中々、やる──!」
「当たり前だ。伊達に400年…生きてるわけじゃないさ」
「同意です。私とて、伊達に長く生きている訳ではありません──!!」
「…いくぞシグナム!」

互いのデバイスが二回リロードすると、シグナムは剣を鞘に一度仕舞い、俺は剣
を仕舞って両手に魔力を集めた。

中距離攻撃ならば、一撃必倒の魔力弾。

「魔弾───」
「飛竜───」

俺にとっては数少ない氷結系以外の魔法だが、ただ単に莫大な魔力を注ぎ込んだ
その“塊”は、どんな物でも粉砕するだろう。

だがそれも、シグナムの攻撃の威力を上回っていればの話しだが…。

「──タスラム!」
「──一閃!」

シグナムは鞘から勢い良くレヴァンティンを抜き放つと、やがて刀身は分裂し長
い蛇のように蛇行して向かってくる。
それがタスラムとぶつかると、爆発と共に辺りが見えなくなる。

「──互角、か」
「・・・そのようで」

レヴァンティンを弾いたのまではいいが、タスラムはシグナムに届く前に消えて
しまった。
それと同時に、闘争心も無くなっていく。

「強くなったな」
「ええ。そうみたいですね」
「・・・いや。強いな、の間違いかな」

地上に降りると、みんなが集まってくる。

「少々時間を食ったが、これより記念すべき第一回各部隊訓練を行う。初めだからと言って手加減はしないからな」

整列している部下たちは、嫌そうな顔をして各隊長たちの場所へ向かっていった。


スターズ分隊

隊長/高町なのは
副隊長/ヴィータ
センターガード/ティアナ・ランスター
フロントアタッカー/スバル・ナカジマ
フロントアタッカー/ノーヴェ・ナカジマ

ライトニング分隊

隊長/フェイト・T・ハラオウン
副隊長/シグナム
ガードウィング/エリオ・モンディアル
フルバック/キョロ・ル・ルシエ
ガードウィング/チンク・ナカジマ

アイシクル分隊

隊長/ヴィアトリクス・フロストリア
副隊長/トーレ・フロストリア
ガードウィング/セッテ・フロストリア
フロントアタッカー/李 血燕

以上が、機動六課の面々である。
ようやく纏まった俺たちの“力”アンヘルにどこまで通用するかはまだ分からないが、きっとこの力は、世界を覆う夜天さえも砕くことだろう。


第五話:機動六課、再び fin

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