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第八話:雷の反逆者」(2010/05/25 (火) 00:49:39) の最新版変更点

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気付いたら、私はまたバイオプラントの中に居た。 黄色い液体の中から見えるのは、科学者達の会話の様子と時折見せる薄ら笑いだ けだった。 私は一体…どうなったのだろうか。 カーディナル本部の屋上で、奴と最後の戦いを挑んだはずだ。 私の出せる最後の切り札と共に、私は奴を殺そうとした。 だが結局、最後には血の魔剣が私の心臓に突き刺さる音がしたのをよく憶えている。 人々は我々のような化け物を生み出し、戦わせ、自分たちの平和だけを守ろうと した。 そんな人間たちが…憎かった。 あの日、自分たちが化け物ということを知ってから…ようやく自分という物が分 かった。 心の底から込み上げる恐怖と憤怒には、人間たちには分かるまい…。 そうだ、そう思った日に私は名を捨て、人としての軌跡を捨て、反逆者となった。 私たちを生み出した人間を殺して、殺して…いつしか私は、リベリオン《反逆者 》と呼ばれるようになっていた。 だがその呼称も気に入っている。 私自身がそう願ったのだから。 力を求めた先に居たのは“最高峰”の化け物。 なんて可哀想なのだろう。悲惨な現実を知らず、自分に巻かれた糸の先も知らず に…彼等は戦っていた。 だから思った。 真実を知れば、こいつらもきっと分かってくれるだろう、と。 「お前は、本当の親が誰か分かるか?」 そう問うた結果は──味方か敵か分からないのが一人と、最後まで人であろうと し戦い続けた化け物が一人。 カーディナルの屋上で、私は奴の“人生”に終止符を打ってやろうとした。 だがなんだろう。このやりきれない気持ちは。 奴の言葉に迷わされたのか分からない。だが、私が真実を知り名を捨てた時から …もう新しい私は始まっていたんだって。 なんて真っ直ぐな瞳だろうか。 化け物でありながら、本当なら殺してもいい人間たちを…守りたいと、最後まで 言っていた。 ──そして、白い月は赤く染まる。 デバイスを引き抜かれると同時に倒れて、吐血は眼を染めた。 死にかけてようやく気付いた。 …ずっと、私は泣いていた。 寂しくて、怖くて…誰でもいいから一緒に居て欲しかった。 視界が揺らぎ、逆流する意識が途切れかけた時──私はこう告げたかった。 ただ一言──“私を取り戻してくれて、ありがとう”。 私は私だ。 もう…疲れたんだ。 だが何故、私はまたこんな場所に居る。何故…寝させてくれない。 「起きたか。試験体No.10542プロトタイプ」 「ここは…どこだ」 「ここか? 第252管轄世界 リシュダンテ。そして…お前が再び生まれた場所だ」 「…そんなことを明かして、いいのか」 「構わんよ。もう、知られている」 哀れなだな。それがお前たちの末路であり、最後に取った手段なのか。 「殺せ。元同志を。そして…お前の居場所を守れ」 くだらない。私の居場所を奪ったのはお前たちなのに…また私に、戦えと言うのか。 「魔力、上昇していきます」 「何をする気だ、リベリオン」 今一度生が有るならば、私が全てを決める。 お前たちなんかに協力しない。 「魔力封印、コストオーバーです!」 「貴様…!」 「自業自得だな人間。私は、お前たちの命令など聞かない」 そうだ…。私を殺していいのも、束縛していいのも、命令していいのも─── 「ヴィアトリクス・フロストリアだけだ──!!」 ▼ 「カラドボルグ、私は間違っているのか?」 『何にですか?』 「アンヘルに一人で立ち向かって、勝てるのだろうか」 『助けを求めればいいのです』 容赦が無い。 つまりは、私はヴィアに助けを求めればいいと言いたい訳だ、このデバイスは。 「私は、影からあいつを支える。その為には…奴を倒さなければならない」 『くだらないですね。そんなものは言い訳です』 約400年、私がこのカラドボルグを本部から強奪した際には喋らないただの武 器だった筈なのに、私が蘇りもう一度奪った時にはもう喋るようになっていた。 さすがに長い付き合いだ。 愚痴の一つや悩みも話す間柄だろう。だがこうも主に対しての言葉の選び方は、 バグの一つでもあるのではないかと思ってしまう。 実際はバグも故障も何一つとして無いのだが…。 「私はやってやるぞ。あいつが守りたかった世界を、今度は守る」 『その台詞は通算3124聞きました。いい加減他の事を言って下さい』 機械というのは、陰湿に育つものだ。 こうも実感しているのは、きっと世界で私だけに違いない。 『これからどこに?』 「アンヘルを倒しに行く」 『自殺という言葉を知っていますか?』 「…ヴィアの元に行くのは出来ないからな」 どの面下げて会いにいけばいいのか分からない。 一度は殺し合い、そして殺された。 ヴィアは私のことなんて憶えてないと思うし、それより私のプライドが許さない。 『阿保ですか貴女は』 「お前…誰に向かって言ってるのか分かってるのか?」 『貴女ですマスター。…まあ、私からは一言しか言えません』 「言ってみろ。ふざけたことを抜かせば捨ててやる」 私は、ただの機械から思わぬ言葉を聞いた。 プライドも、恥ずかしさも、昔の出来事も全部壊してしまう一言だったんだ、こ いつの言った言葉は。 『会いたいなら会いにいけばいいだろ、この駄目人間』 ▼ 「二人の反逆者たちの再生が終わりましたよ」 「…そうか」 「実験も兼ねて二人を戦闘に連れて行ってくれませんかね」 戦闘に、か。 六課に乗り込むには手勢が少なすぎるし、ヴィア本人を襲撃するには二人は返り 討ちに合うだろう。 となると、残るは奴しかいない…。 「最後の反逆者を、狩りにいくか」 「リベリオン…でしたかな? 構いませんよ。丁度いいでしょう」 「では行こう。俺は…そう気が長くなくてな」 俺が目覚めてすぐに、ジュエルシードの反応を嗅ぎ付けた管理局と戦闘になった 際に、リベリオンの邪魔が入った。 最後に残った男──確か名は血燕だったか。血燕を殺す直前、リベリオンは奴を 庇い助けた。それで決定だ。 奴はもう…俺と手を組むことは無い。 「奴が敵に回るのは嬉しくない。ならば、早々に排除するまでだ…」 ▼ 「ルーテシアが、襲われた?」 「ええ。今聖王教会の病院に搬送されたわ」 朝から嫌な報告をカリムから聞いた。 昨夜遅くに、ルーテシアのインゼクトが感知した魔力反応をルーテシアが追跡し た所、森の奥でリベリオンと出会ったらしい。 そのまま戦闘になり、使い魔であるガリューとルーテシアは敗北し、負傷したル ーテシアをガリューが家まで運び、今に至る。 「今すぐこちらに来れる?」 「ああ。行くよ」 はやての許可を取り、すぐに病院へ向かった。 バイクを運転してる途中、ずっとリベリオンのことを考えていた。 「リベリオン、お前は…」 アンヘルが初めて起こした事件の時、血燕を庇ってくれたのはお前じゃなかった のか? なぜ…無関係なルーテシアを襲ったんだ。 「くそっ…」 身体が熱い…また、発作が出てきたようだ。 この発作はおかしい。発作が起こる度、俺に何かを訴えてくる。 守護騎士であるシグナムはもう俺の中に居ないし、夜天の書は俺から無くなった。 こいつは、俺に何を求めているんだ。 俺にどうしろっていうんだ…。 ▼ 「ルーテシア!」 「…ヴィア兄さん」 受付で病室の場所を聞き、すぐに向かった。 ベッドに居るルーテシアは、所々包帯を巻いているものの、身体を起こしている 様子を見れば大した怪我は無さそうだった。 「すまないルーテシア。俺のせいでこんな目に…」 「…いい。平気だから」 メガーヌはまだ完全に釈放されていないらしくこちらに来ることは出来ないらしい。 ルーテシアも同じだがあの世界は医療施設が無いため、本局の許可の元、ミッド チルダの病院へ運ばれた。 「リベリオンと戦ったのか」 「…うん。凄く、強かった」 「…そうか。お前の使い魔は無事か?」 「ガリューは、お母さんの所に居るの」 「それじゃあ…ルーテシアを守れないな」 「…平気だよ。こっちには、兄さんも居るし…友達も居る」 友達、居たのか…とは、言えなかった。 どうもルーテシアは孤独なイメージが定着していて困るな。 「ルーテシア、リベリオンの目的は分かるか?」 「…分からない。でも、彼女は敵じゃない」 「それじゃ、なんでお前を襲う必要があったんだ…」 「それは、女の子にしか分からない…」 いわゆる女心だと、ルーテシアは語った。 まあ、俺に女心を語られても困るのだが…。特に恋人も居るわけでもないからな。 「ルーテシア、お前…何か隠してるだろ」 「……何も隠してない」 「ほんとか?」 「…ほんと」 「知ってるか? 人は質問された時目が右を向いてると嘘なんだ」 「何も隠してない。…兄さんは、私を疑うの?」 …何故だろうか。ルーテシアは言われて気付いて俺と目を合わしたのに、そんな 言葉を言われたら追求出来ない。 まあ、ルーテシアがここまで隠すのにも“女心”というやつがあるようだし、干 渉しないことにしよう。 「まあいいか。俺はもう行くけど、平気か?」 「…平気」 ルーテシアの頭を撫でて、病院を出た。 ▼ 「兄さん…行っちゃった…」 やはり寂しい。 久しぶりに会えたというのに、私はこんな状態だ。 やはり少しは文句を言っておくべきなのかもしれない。 …でも、リベリオンさんと私との約束がある。 昨日の夜、負けた私を生かしてくれた。 少し話して分かったこと…それは、彼女は兄さんの味方であり、管理局が兄さん を拘束したと思ったから私を尋問しようとしたこと…。 兄さんが目覚めた場所は、かなりの魔力が残留しているらしく…すぐに後を追え たそうだ。 追い掛けて来たわりには、会いたくなさそうだったけど…その気持ちはなんとな く分かる。 「約束…ちゃんと守ってね」 兄さんを、守る。 だから…貴女は死なないで。 無茶しないようにと釘を刺したけど、きっと無駄に違いない。 好きになった男の為なら、私はなんだってやれるって言ってた。 でも平気。いくら無茶をしたって…貴女には、兄さんが必ず守ってくれるから。 ▼ 「久しぶりだな、アンヘル」 「そうだな。400年振りか」 「後ろの二人も見覚えがある。キャメルとリザだな?」 「そうだ。彼女たちは再び生まれ変わり、我が僕としてここに居る。意味は分か るな?」 ルーテシアの世界で、ようやく私はアンヘルに会った。 多少あの親子には協力をしてもらったが、中々の成果が出たのは確かだ。 だが…予想外にも二人邪魔が居る。 始めの反逆者達の五人の内二人…キャメルとリザが居た。 共に反逆した元同志ではあるが、400年一緒に行動してた訳でもない上に、気 付いたらアンヘルに殺されていた奴等だ。 今さら情を移す相手ではない。 「三人相手か」 「いや、二人だよ。俺が加われば話しにならないからな」 腹が立つが…事実二人だけと始めに戦うのならばいくらか楽になる。 どちらにせよ、アンヘルと戦うことにはなるのだが…。 カラドボルグは既に臨戦態勢に入っている。 不意打ちだろうがなんだろうが、確実に対処してみせよう。 「アンヘル様、もう…よろしいので?」 「疼くよ…ボクたちは、また強い奴と戦える」 「急くな。嫌でもすぐに戦うんだからな」 だが相手の武装が分からないのなら、下手に踏み込むわけにはいかない。 中距離からの戦闘を選択するしかないようだ。 「まあいい。もう話すことが無いなら、始めろ。撤退の時は、しっかり帰ってこい」 「分かりました」 「ちっ…アンヘルが居ながら見す見す逃がすしかないのか…」 「さらばだリベリオン。願わくば…お前に安らかな眠りを」 「言ってろ。天罰の代行者は、必ず目標の命を狩るので有名だ」 アンヘルが消え、二人が戦闘態勢に入る。 デバイスは持っていないようだ。となると、他に武器があることになる。 「ギア、ブリューナク機動」 「ギア、天ノ羽々斬《あまのはばきり》機動」 キャメルはランス《槍》を、リザはザンバー《大剣》をそれぞれ手にした。 どちらも接近戦、ならばわざわざ中距離から攻撃しなくても平気のようだ。 それよりも─── 「ギア?」 「知りたいかい? ボクたちの身体にはタナトスっていうロストロギアとデバイスが組 み込まれてるんだ。その二つを制御し、武器として放出する。その魔法を総称し てギアと呼ぶんだ」 「数々の実験を重ね、遂にタナトスを受け入れられたのは…私たち四人だけだ」 「何が誇らしい。そんな紛い物の武器を振り回したところで、所詮はロストロギ アの力だ」 デバイスは違う。互いを理解し、絆を深めることで私の考えを読みサポートする。 お前たちのようなロストロギアに侵されたデバイスには、私のカラドボルグは負 けはしない。 「───来い」 「我々は…ようやく望みを叶えるんだ」 「ボクたちの稼働テストの為に死んでくれ…!!」 先に先行したのはキャメルだった。 天ノ羽々斬が、カラドボルグと衝突する。 だが思った以上に斬撃は重くなく、簡単に弾けた。 「ちっ。まだ不安定なのかな」 「はああ!!」 「避けろキャメル!」 弾いた直後、すぐに魔法で雷を落とした。 直撃ならかなりの痛手を負わせたはずだが…。 「頭では忘れていても、身体は覚えているか」 私が撃った魔法は、見事にキャメルは防いでいた。 奴等は400年振りの戦闘だが、油断すれば殺られるのはこちららしい。 「では、次は私がいこう」 リザが動く。剣とは違い、槍は薙払うか突くことしか出来ない。 「…薙刀でも良かったのかもしれませんが、私にはこの槍で十分…」 「ふん。ならさっさと来い」 槍を構えるリザが、段々霞んで見えた。 「なんだこれは…黒い霧?」 「そうです。ただの武器だけでは芸が無い。ロストロギアの魔力を使えば、こう いう戦い方もあるのです」 視界が1メートルと見えなくなった。 先程まで微かに見えた二人の姿も、この黒霧のせいで完全に見失った。 恐らく結界の一種だろう。魔力反応も辿れないし、匂いも気配も分からない。 「なるほど。確かにお前はランスが一番いいな」 お前の意見には同意する。 確かにこの絶対的な孤独の前では、闇夜に置き去りにされた相手を後ろから突き 刺す方が、斬るより楽だろう。 こんな状況に置かれたのは初めてのせいか、かなり鼓動が激しくなってきた。 不意打ちなんてレベルではない。“どこから”くるのか全く分からないのだ。 おまけに霧が身体に付着して寒い。 「では…存分にお楽しみ下さいな」 「ちっ…!」 右から来た槍を、完全に避けることが出来ずに腕を貫かれた。 デバイスを持っている右をやられれば、勝ち目はなくなる。 一体どうする…? 「…カラドボルグ」 『不可能です。これは完全な結界でしょう。気配が一つも残りません』 「次、いきますよ…!!」 視界が見えない中、刺される寸前に回避行動を取る。 だが、また完全に避けきれず腹部に傷を負ってしまった。 「くっ…」 正直なところ、この二人ぐらい簡単に倒してアンヘルの後を追えると思っていた が…甘かったようだ。 かすり傷とはいえ、出血が酷い。 おまけに霧のせいで体温は奪われるうえに濡れたドレスが重い。 「はあ…はあ…仕立てたドレスが台無しだな」 『びしょ濡れにされて破かれてますからね』 裂かれることよりも今なんとかしたいのはこの濡れようだ。 「まて…これだけ大気中に霧があるなら…」 おまけに、地面は霧で水溜まりが出来るほどだ。 ならば…私とカラドボルグの見せ場はここしかない。 「カラドボルグ、カートリッジリロードだ」 『拒否します』 「なぜだ」 『私も貴女も霧の中ですよ』 「…平気だ。いいからやれ」 『…All right.My master』 「リザ! リベリオンは“雷”の魔法を使う気だ!」 「なんですって?! そんなことをしたら…!」 ようやくか気付いたか馬鹿どもめ。 さあ、一緒に感電しようか───! 「撤退するぞリザ!」 「駄目だ、間に合わない!」 『リロード完了。やれます』 三発のリロードに、カラドボルグが莫大な電気を溜める。 カラドボルグを上に掲げ、そのまま振り下ろす。 「雷颯召雷《らいそうしょうらい》!」 計り知れない電圧が霧の中を一気に駆け巡り、そして爆発した。 ▼        「くそ! やられちまったのか?!」 「リベリオンはどうなりましたか…?」 爆発の後、キャメルとリザが立ち上がった。 もはやギアを起動させるだけの気力は無かった。 「リベリオンなら、あそこで気絶してる」 「とどめをさしましょう」 「ヤりたいのはやまやまだけど…例の六課とやらが来たよ」 「…分が悪いうえにこちらはこの負傷、出直しましょう」 「…そうだね」 転送魔法を起動させ、アンヘルたちが居る場所まで跳ぶ。 残されたのは、草木の焦げた臭いと、カラドボルグを持ちながら気絶しているリ ベリオンだけだった。 ▼ ふと、話し声が聴こえた。 身体が揺れている。きっと、誰かが私を連れて行こうとしているに違いない。 「こちらアイシクル01。目標を保護した。現地は焼け野原だけだったよ。それ に、メガーヌにも怪我は無かった」 メガーヌ…? そういえば、ルーテシアはあの異世界に母親が居ると言っていた気 がする。 無事なら、それでいいのだが。 しかし、身体がぴくりとも動かない。 いくら雷の魔法を得意とする私でも、あんな電圧を直撃すれば堪えるのか。 「そこに居るのは、ヴィアトリクスか?」 「起きたか、リベリオン」 私を連れて行こうとしていたのは、ヴィアだった。 「何故、私がここにいる」 「お前を助けたからだ」 「お前が助ける理由がない」 「あるさ。俺の部下を、助けてくれた」 「ただの偶然だぞ」 「ならその偶然に感謝しな」 長い間会ってないからか、少し性格が強引になった気がする。 そう感じるのは、前はこういう風に話したことが無かったからだと思うが…。 「私はどうなるんだ?」 「さあ? お前が俺に協力してくれるなら、俺は助けるよ」 「…ふん」 『私は協力しましょう』 「カラドボルグ、貴様…」 「いいのか?」 『私は我が主の幸せを願った結果です』 「…好きにしろ。言っとくが、私はヴィアにしか付かんぞ」 「相談してみよう。400年前は敵だったが…今回は味方だ。よろしくなリベリ オン」 「ああ…よろしくしてやる」 六課に搬送されたリベリオンは、そのまま医療室に入れられた。 もちろん拘束されたままだが、あまり不満でもないようだ。 任意で事情聴取をしたが、リベリオンから得られた情報にはこれと言って大きな 進展は無かった。 拘束が解かれた後も病室でシャマルの治療を受けているが、はやて曰くじきに六 課入りは決まりだという。 「なあリベリオン、お前の名前って呼び難くないか?」 「…分からんな。実際、ヴィアトリクスも呼び難いだろう」 「俺には略称がある。そうだな…前と後ろを取って、リンにしようか。どうだ」 「リン、か。中々良いネーミングだな」 リベリオンという名前を改称し、俺がリンという名前を付けた。 いつまでも反逆という名前を付けられたままでは、何かと不便だろう。 『嬉しそうですね』 「…実はそうだったりするが、ヴィアたちには内緒だぞ」 『分かってますよ、リン』 「…ふん」 明日には局員たちへの挨拶も控えていることだ、もう眠るとしよう。 「寝るのか?」 「そうする。だから出ていけ」 ヴィアが出て行った後も、寝たくても寝付けなかった。 予想以上に…胸が苦しい。 「くそ…ばかものめ…」 『さっさと寝て下さい』 「これが寝ていられるか!」 “リンにしよう” 何度も何度も、その言葉が頭から離れない。 どうやら今日は、寝れそうにないようだ。 第八話:雷の反逆者 Fin To Be Next...

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