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―― 時は少し戻って、菱田が蒼翡を探しに行った直後の1年C組

「なぁ、どんな子だと思う?性格とか……俺、髪は長い方がいいなぁ」
「あーお前、髪長い子好きだもんな」
「でも髪長いっつってもB組の田渡川みたいなのだったら最悪じゃん」
「ぅわっ嫌なこと言うなよッ」
「でもうちのクラスにはもう戸花がいるからなぁ……」
「そうそう、戸花すげーよなぁ。美少女ランキングずっとぶっちぎり1位だろ?」
「あれは納得だけど。俺らC組で超ラッキーだよな~」
「まぁ、何にしても戸花以上の女子なんて来たりはしねーだろうな」
「だよなぁ。ってか、もしそんな娘が来たら俺ら他の組から恨まれまくりじゃん」
「ところで、タッさんはどんな娘だと思いますか?」
それまでザワザワと自由に雑談していた男子たちが「タッさん」の名を聞いて、その意見を聞くためにシン、と静まり返る。
そんな、さっきまでの喧騒が消えた教室で、タッさんと呼ばれたその男――さっき菱川を脅した強面の男子生徒――はその重い口を開いた。
「――……そうだな…………史上最強ってぐらい、可愛い子……」
――そんな場違いな発言をしても誰もクスリとも笑わないくらい、この学級での彼の権限は強い。



「ヤバい、来たっぽい!」
窓から身を乗り出して廊下の人影を確認していた男子生徒が声を張り上げると、他の大多数の男子生徒も我先にと窓に貼りついて廊下の先に目をこらす。
『―――――――ッ!!?』
そしてその姿を認識した瞬間、全員が絶句し、一瞬言葉を失う。
「――ちょっ………ヤバい、ヤバいって!今すぐ黒板消せ!」
「ゴミ箱、もっと押し込めよ!床のゴミ片さなきゃ印象悪いぜ!?」
「窓の落書きはどうする!?」
「ぞうきん……雑巾なんてどこにあった!!?」
そうしてまた音を取り戻した教室内では、いつもの1-Cでは中々見られない光景が広がっていた。



菱田の「解散」の声を聞くと、教室内のほぼ全ての男子がタッさんの周りに集まり、隠せない動揺を言葉にした。
「何、なにあれ………マジありえないって」
「これはランキング、変わるかもな……」
「いや、ヤバいでしょあれ!超俺のストライク通り越してんだけどッ」
「そんなの俺もだよ!ってかほぼ全員そうだろ?」
「おい、コラ尾田なにしてんだ その写メ後で必ず俺にも送れよ!?」
「ぁ、こっち見…………」
そして騒いでいた男子達が、一気にシンとなる。
なぜなら、こちらを振り返った蒼翡の視線の先は…………彼らのボスだったから。
「朝川さん……さすがタッさんの良さがわかるんだ!!」
「っていうか本当にタッさんの言った通りの子だし………これは運命なんじゃないですか~?」
「さすがタッさんって感じ?どうっスか、付き合ってあげたら」
茶化し気味に一人の男子生徒が脇腹を小突くと、
「おい、何調子乗ってんだそんなことして!!シメられるぞ!?」とその隣にいた男子が慌てて小声で囁く。
そしで自分のこんな行動はタッさんの逆鱗に触れることを思い出した男子生徒は、血の気のひいた顔で謝ろうとタッさんを見上げたが………
当のボスは、前を向いたまま微動だにしない。

「――俺………恋に落ちたかもしんねぇ………………」

自分の名前を本名で呼ばれることを何よりも嫌う、
その男――愛沢 辰美(あいざわ たつみ)は、呆けたようにポツリと呟いた。


  * Hope Love *