広告勧誘文・端書の書方


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広告勧誘文
 謹啓、鬼には笑はれ申候へ共来年一年間左の件御賛成御承諾被下間敷哉、折入て奉願上候。
 偖、一地方の吾々同業者が他地方の同業者に直接、又は間接、事件を依頼せんとする際、充分信用するに足る人にして且つ小事件と雖も猥に忌避せざる者を見出し能はざるは常に吾々の経験する不便なる事御同感被下事と存候。
 依て、小生は前記条件該当者中より、各地方裁判所々所在地の同業者一人宛を、小生発行の月刊『平民法律』に毎号掲載紹介し以て幾分たりと世の人と自と他との便益を図り度と存候、就ては貴地に於ける代表者として貴下を推薦紹介するの光栄を有し度御承諾の程偏に奉願上候。
 実は、『平民法律』は従来小生に於て、其発行実費を負担する某々数氏と特約発行し来りたるものに候処、其契約も本年限にて消滅仕候に付来年は前述の紹介御承諾の諸君より広告料名義の下に盆暮二期に各五円宛の補助を得、三千部の発行実費月額五十円に充当すると同時に此掲載紹介の便益を本誌の一大特色とし、間が良くんば萬一に得たる購読料を小生の編集実費に没収致し度と利考仕候。
 成程、一年拾円は熟考を要する大問題には相違無之候も永い間いは必ず埋合せらるべき利益も可有之御用の節は屹度御返報仕るべく候間不承不承ながら御快諾被下度幾重にも奉願上候。
 甚だ、贅沢の申分に候へ共幸に御承諾を得候はば一週間内に其旨御返事に預り度一週間後には又二の矢を放つ所存故右の次第不悪御了承被下度候。
 終りに、貴下に対して敬意を表し健康を祈り繁栄を祝し申候。
 大正六年十一月  日  山崎今朝彌



端書の書方
 一昨年即ち大正六年の十一月中出した、上段の手紙に対する返事数十中、有意味無意味に微笑を禁じ得ざりし左の端書を一寸惜しくて今日迄保存したが、愈々捨てる事にしたから、分類して茲に録取し置く。
      話の解つた返事
◎御推薦の光栄を有し候得共小生は其任にあらずと存候に付御辞退申上候
◎御書面拝誦小生は不適任と自ら断定御断り申上候。拝具
◎献金の事快諾仕候仮令其埋合せの利益は無之とも致方無きものと諦め可申候。
      御気の毒に感じた返事
◎貴翰拝誦仕候乍遺憾御断申上候其次第は如何なる利益の存するや具体的事実御記載無之故に前段の如く解決申上たる次第に候。
      自然真面目になる返事
◎貴翰拝受決瀾畳重の間に在て孤軍奮闘せらるる勇を快とし謹で御来諭の趣旨賛同仕候幸に御自重為邦家穏健着実なる御活動を期せられ度切に祈上候。
◎拝呈御来信の件小生にて御不足無之候はば萬事承知致し候先は御返事迄。
      上手に断つて呉れた返事
◎御申越の儀一応も二応も御尤に御座候併し近時の時化は左も甚敷、暫時熟考致度候間左様御承知被下度、尚一の矢にて弊倒々々に相成居候間二の矢は真平御免を蒙り度候。
◎御下命の件遺憾ながら拝命難致候間可然御了知被下度願上候。
◎御勅命奉体すべきは当然の義には候得共田舎の耄碌爺とて頭脳の明晰を欠き従て痛く不景気風に襲はれ拾円と聞いては嬶の腰巻に影響を及ぼす恐れあり此光栄は耄碌に免じ真平御赦免相成度、桑原々々。
      上手に承諾した返事
◎拝復御申越の趣御無理御尤の次第に付不承不承快諾仕候、怱々。秘親展。
◎強懇之趣余り香ばしからず候も渋々乍ら承知仕候。
◎白羽の矢を的中せられ一銭五厘を没収するの勇気も挫け渋々快諾仕候、但女房との合議に一時間を費し候。
◎御仰せに従ひ不承々々乍ら快諾仕候。
      返て一杯喰つた様な返事
◎意外なる御推薦を蒙り難有深く感謝仕候。然し一方に於て二期の反対給付の点は一考慮を要し候此辺何卒不悪、先は御回答迄。大正六年十二月五日。拝復金五円云云は如何なる理由に基くにや一寸心当り無之候若しや昨冬の書面の儀ならば其当時直に御断り書差出置候間篤と御調べ相成度此段為念御注意申上候。大正七年七月二十四日。
 併し異筆同文大正八年は是非東京に於ける、一流一派の先生方を紹介して呉れとの事である、当方もソウ鉄面皮に二年も三年も紹介出来ぬから、本年は仰に従ひ河岸を変へて、名簿の順序籤引で半分は来年へ譲り半分だけ今年紹介の労を執る事とした。
<山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
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