聖女光子と決死隊


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聖女光子と決死隊
 或新聞に某参謀の談として独兵が決死隊を選抜するときには、司令部に於て所要の人員を定め之れを各連隊に、連隊は之れを中隊に中隊は又之れを小隊にと順次割当てる。小隊の下士又は古参兵は、新兵を一人々々呼出し厳かに、今回貴様の武勇はカイゼル陛下の御耳に達し貴様を特に名指して今回募集の決死隊員に加へられた、実に名誉の至りである、と申渡す。此等の新兵揃ひの応募決死隊が塹壕の埋草や地雷火試しになるのである、とあつたのを読んで、愚者の無智に同情するより独兵の柔順と犠牲の精神とを尊敬した私は又予言者の妻、聖女光子が、狂人、乞食、馬鹿、タワケの神様に一生を捧げ、安心して昇天した行為に、同情と尊敬とを禁じ得なかった。依て私は聖女の死に三円の香奠を送つた。ソレが縁故となり、予言者講演会員に推薦され月々五十銭宛の義務を頂戴した。上の論文は次の手紙の返信である。
 前略、本日態々弁護士御差向け被下候由、然る処当家は女天下に有之且つ女房は神様と乞食が大嫌ひにて、小生の留守に貴神の集金郵便を断りたるとの事に候。今後は集金郵便は廃止にして、直接、女房の居らぬ時に貴神又は何人か御出下され度候。尚小生の『平民法律』次号に何か貴神の論文相願度、小生は之れを以て神様を利用し貴神は神説を流布すれば一挙両得と存候。尚金二円振替にて御送り申候。
 大正六年九月十九日
          山崎今朝彌
宮崎虎之助 殿神下
<山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
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