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      序
本書の著者皆川君は、僕のことを川柳の文句ではなく本当に先生々々といつてゐるが、僕の方が皆川君の人格から多くのことを学んで、僕が皆川君を先生といはねばならぬ関係にある。
皆川君は弱いといへば弱過るかも知れぬ。温和しいといへば温和し過るかも知れぬ。が、清濁併せ呑むといふやうな志士風の味とはまた異つた別の味で、其の度量の広い、其の心持の大きい、面と対つても陰へ廻つても、人の悪口とか、辛辣の厭味とかを一つ言はず、どんな人とも朗かに交際し、どんな人の良いところでも気持よく受け容れる、あの優しい、収容力の広大な点は流石、高山君と二人で総連合の本部を背負つて立つてる人だと、僕は常に敬服してゐる。
文は人也といふ文章の憲法があるさうだが、皆川君の文こそ実に皆川君そつくりだ。勿論機械工皆川君の書いたものに、学者や学究やインテリの書いたもののやうに、六ヶ敷しい議論やイデオロギー、未解難解の字句章句、憲法附会の理論闘争のある筈はないが、純粋労働者出身のセミインテリが一般に書く、矢鱈に難しい屁理屈迚もギコチない綴り方、何となく舌足らずの言廻し、バカに気障な識つたか振りも少しもなく、何も彼も善く良く、表面正面を素直に観て素直に書くのが皆川君の文章である。
僕はまだ本著の書名を知らないが、ゲラ刷りで目次を見ると其の内容は、昨年皆川君が労働顧問として労働総会に出席した其の報告書兼労働総会論らしい。矢張りゲラ刷りでところところを飛び飛び読んでみるに文章は確かに前述皆川君の文である。
思ふに本著は本書の性質上、主として総連合関係の人にのみ読まれ、遠慮深い著者皆川君は又之れを以て足れりとするであらうが、僕は本書を通して皆川君を知りたい人、皆川君を通して総連合が労働総会に対してドンナ考を持つてゐるかを知りたい人、各方面の労働総会に対する認識が極度に紛雑混乱する此際、特に、労働階級は之れに対して如何なる対策を執るべきかを研究したい人に本書を奨めたい。本書はこの種の類書中、必らず嶄然一頭地を抜いてることを信ずる。僕も数日後本書が愈々出版となつたら必らず一本を購つて、熟読玩味よく研究したいと思つてゐる。
      山崎今朝彌
<以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。>
<旧仮名遣いはそのままとし、旧漢字は適宜新漢字に修正した。踊り字は修正した。>
<底本は、皆川利吉著『国際労働会議の話』(日本労働組合総連合東京連合会出版部)、昭和8年(1933年)4月15日発行>
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