各無産政党は九月県議戦を如何に準備し如何に闘争し如何なる結果を獲得して如何に成り行くか?


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各無産政党は九月県議戦を如何に準備し如何に闘争し如何なる結果を獲得して如何に成り行くか?
          山崎今朝彌

      一、一般方針

A 労働農民党
 九月の府県会選挙戦は、来年五月の国会総選挙戦の直接的開始である。地方自治体の完全なる自治のスローガンを先頭に立て、戦はるべき此の戦ひは、直に亦、絶対専制支配に対する民衆の政治的自由獲得の闘争である。
 専制支配の網の手に強く強くしばられてゐる地方自治体に於ける、民衆の生活は如何。没落の途を急ぐ我国の資本主義は、最近の金融恐慌によつて一の全国的危機に際会した。都市と農村とを問はず民衆の生活は極度に脅かされつつある。此処に於てか工場代表者会議、町村民大会の如き大衆行動が到る処に展開され、わが党の闘争の無台は急激に拡大され深化された、民衆の広汎なる各層に亘る之等の大衆行動をヨリよく組織しヨリ強力に展開する為に、わが党は如何に選挙戦を闘争すべきか、問題は正に此点にある。
 我々は先づ次の事実に着目するを要する。
 第一、民衆の各階級、各層、各集団の部分的闘争が全体的闘争に結合せられ始めたこと、之等すべての闘争は今や現実にわが党の旗の下に戦はるるに至つたこと。
 第二、事毎に民衆の利益を裏切つた制限議会を通して普選の即時実施に対する民衆の要望が高まり来つた時、しかも此の恐慌時に於て、先づ最初の普選が秋の府県会に於て戦はれんとしてゐること。制限選挙より普通選挙への過渡に於ける政治的動揺はかくて十倍され、公然と舞台に登場する。各党と各階級との結合は、百倍の尖鋭さを以て全民衆の前に展開されやうとしてゐること。
 かかる状勢の進展は、九月の闘争に於けるわが党の任務を次の如く規定する。
 第一、旗を高くかかげ、党の綱領と政策とを、党の綱領と政策とを、全面的に、生き生きと、しかも他の一切の党との鋭き対立に於て、全民衆の政治的自由の要求とピツタリ結びつけなければならぬ。
 第二、党のかかる政治的働きかけを真実に確立する為めに、党の全闘争を当面府県会戦に集中させ全力をつくして此の契機を捉ふることによつて階級的共同戦線党の実を挙げ、大衆行動を力強く展開する能力を獲得せねばならぬ。
 第三、此の闘争を通じて特に労働者階級および貧農の闘争力を強め、組織上では党の基礎たるべき工場班の見事なる確立を計らねばならぬ。
 而してわが党は何を以て投票を争ふか、ブルジヨア新聞や既成政党は、労働農民党はバクロさへやればいいので投票数なんかてんで問題にしてゐないなどと中傷的な批評を浴びせてゐる。エセ無産政党の恥ぢ知らずの幹部共もその尻馬に乗つてはやし立ててゐる。彼等は明かにかかる中傷によつて選挙民にわが党に対する不信を植ゑ付け以てわが党に対する民衆の絶大の支持を動揺させやうと狂奔してゐるのだ。
 わが党は嘗て一度でも投票を軽視するなどと言明したことがあつたか。云ふまでもなく之は明かに虚構の言である。わが党は投票を重要視する。ただわが党は投票を正当に評価すると云ふのみ。他の諸党の投票至上主義、投票カキ集め主義とは全く違つた意味で投票を重要視するといふのみ。
B 日本労農党
 第一にこの府県会選挙は来るべき総選挙の序曲である。府県会に確乎たる地盤を占めると云ふことは、とりも直さず、それ丈け吾が党の力を全国的に植ゑつけたことになるのである。わが党の大きな力を国会に反映せしめやうとすれば、先づ府県会を我々の手中に収めなければならぬ。
 第二に府県会を既成政党の乱舞から救ふことが出来る、府県会の権限が以上の如く弱いにも拘らず既成政党の地方有志が相争つて府県会選挙に狂奔するのは、そこに利権と云ふ餌がぶらさがつてゐるからに外ならない。政党の傀儡に過ぎない府県知事と馴れあつて、四畳半式の利権のやりとりが彼等の誘惑なんだ。一般民衆の要求をそつちのけにした土木事業のからくり。一夜作りの怪しげな組合にたんまりせしめやうとする勧業費利用の魂胆、これが今の府県会の実状なんだ。これ等の蟻のやうな既成政党の奴輩から、府県会を民衆の手にとり返すことでも、我々の大きな使命があるではないか。
 第三に『選挙戦なんかどうだつていい、議員を出したつてなんになる』と考へる人があつたらそれは誤りだ、選挙こそは既成政党に結合した資本家と地主と吾々農民と労働者との公然にして正面からの抗争である。だから選挙は戦場なのだ。選挙で勝つことは、労働者農民が、地主と資本家に勝つことだ。また、この戦ひに於て吾等の純粋にして明徹なる無産者要求と、既成政党の有産者的態度との鋭い対立は、即ち大衆を吾等の陣営に組織する絶好の機会である。
 第四に『選挙は当選が凡てだ。当選の見込みのない処の運動が何んになる』と考へる人があつたらそれも誤りだ。何故かと云へば、戦ふ以上は勝たねばならぬが、しかし勝つの見込がなくても全力をあげねばならぬ。それがやがて勝利を得る次の戦ひの要件だ。しかも吾々の選挙の目的は当選が凡てでない。投票のカキ集めではない。吾々と地主及び資本家の政党との対立抗争を通じて一般大衆に明確な階級意識を吹き込み、これを吾々の組合に堂々組織することもその重大な使命だ。この点が吾々の選挙と既成政党とのそれを区別する重要点である。
 第五に更らに『選挙運動は選挙運動員の運動だ』と考へて他人のことのやうに思つてゐるのは甚だしき謬りだ。成程新選挙法によれば、選挙の実務は届出た候補者選挙事務長、選挙運動員しか出来ぬが、他の組合員、党員もその労務の手伝ひするばかりでなく、更らに本部員を中心とし応援演説会隊を組織して応援し、更らに有力に有権者の立場からの『選挙革正団運動』をやらねばならぬ。
C 社会民衆党
 地に着いた政戦を敢行せよ。最後の決戦を迎へて一貫せる我等の態度。府県議戦の決勝点が近づいた。吾党は今、全力を挙げて、此の政戦に於ける必勝を期しつつある。云ふまでもなく我党の選挙対策方針は、我党の指導精神より割出されたものであつて、あくまでも当選期成主義であり実功獲得主義である。労農党の如き、落選期成を標榜するやうな不真面目な捨鉢的な態度は、我等の断乎として排斥する所である。
 従つて、我党の公認候補者も、所謂泡沫候補を避けて、確実なるもののみを厳選し、以て確実なる勝利を期した次第である。一粒選りの候補者とは、我党候補者の謂ひである。
 当選期成主義は、必然的に戦闘力集中主義を要求する。いまだ陣営の内容整はざる無産政党に於ては、精力の分散を極力避けて最も功果的に戦闘力の運用を図らねばならぬ。漠然たる一般的功果を期待するが如き、大風呂敷的戦術は、此の政戦に於ては絶対に禁物である。最小の戦闘力を以て、最大の功果を挙ぐることは、現下の吾等の心得べき最大の戦闘原則でなければならぬ。
 選挙は飽まで合法的政治闘争である。我等は、選挙の機会を利用して、選挙の目的から脱線する政治闘争を行ふてはならぬ。左翼無産政党の志すが如き、選挙を以て革命模擬戦の演出舞台に利用することは、最も愚策の甚だしいものであつて、かくの如きことは、却て勤労無産階級の健全なる政治的進展を阻害するものである。選挙の目的は議員の選出に在る、その手段は一般勤労階級に対する階級的政治良心の喚起に在る。然り、それのみである。我等は唯其の手段を最も巧妙に最も確実に行はんとするに外ならない。
 思ふに今回の府県議選は、無産階級に取つては、進歩的政治進出である。無産政党は、此の初舞台の登場に依つて、第一歩的に政治闘争の組織と訓練とを実験するのである。我等は、此の我国無産階級の政治闘争的過程を正しく認識しなければならぬ。若し此の認識を誤つて、早まつた躁狂な意図を以て此の政戦に臨むならば、結果如何によつては、或は再びサンジカリズムの風潮を復帰せしむる事になるかも知れない。我等は、空想的革命主義を排撃して、何処までも我等の政治闘争過程に対する精確なる立脚点を認識しつつ進まねばならぬ。
 記念すべき普選最初の政戦は刻々に決勝点に迫りつつある。我等は、全国の同志諸君が、ブルジヨア政党に対しても、他の無産政党に対しても、我党独自の立場を確守して、善戦健闘し、以て勝利の栄冠をかち得られんことを切望してやまぬ。
D 日本農民党
 農民や労働者の最初の政治的試練の機会、全国府県議会議員の選挙戦の序幕は開かれた。
 われわれはこの最初の機会に於て、あらゆる準備を整へ、策戦を練り、票数によつて実力を示さねばならぬ。もとより、現行選挙法は普選法として未だ極めて不完全、不備であつて、われわれの政治的要求が、正しく議会に反映されるまでには、なほ幾多の改正を要すること勿論である。けれどもわれわれの努力は、歪められながらも兎に角投票の形に於て新興勢力の希求が反映されねばならぬものである。
 制限選挙によるブルヂヨア選挙戦は、買収と哀願がその殆どであつた。普通選挙制に於ける選挙戦は、言論文章の戦ひである。少くとも理論上に於いては、さうなのである。
 そこで、我国の新選挙法では普選法としての幾多の欠陥を包蔵して成立したのであるが、しかも罰則に於ては、極端に周到なる用意を以て立法されてゐる。何を罰せんとするか。第一にはいふ迄もなく買収その他による腐敗行為である。次には婉曲巧妙なる言論取締である。前者はわれわれ無産政党の頭痛の種ではない。問題は後者である。蓋し、演説によると文章たると将た又訪問によるとを問はず、選挙民に候補者の政見を徹底せしめることは、本質的に正当である。煩瑣なる罰則に触れざらんと欲すれば殆ど手も足も出でざる破目となる。かくて戦々兢々、萎縮するが如きは、新興無産政党の採るべき進路ではない。
 よろしく正を追ふて堂々と言論の戦ひを戦ふべきである。


      二、政策とスローガン

   1、労働農民党
      一般的政策
 一、地方自治体を中央政府の専制的支配より解放し、民衆の自治権を伸長すること
 二、地方自治体に於ける民衆の政治的自由の獲得
 三、地方自治体に於ける労働者及小農の利益の伸張
      一、選挙権
 一、選挙自由の原則の獲得
 二、十八歳以上の男女にして当該府県に住居するものは総て選挙権を有す可きことを要求す
 三、十八歳以上の男女は他府県に住居するものと雖も総て被選挙権を有す可きことを要求す
 四、大選挙区制の採用
 五、投票日の休業と賃銀、日当俸給の公費負担
 六、供託金全廃
 七、候補者一人当りの選挙費用の一定とその道府県による全額負担
 八、県府県会議員は一年毎に改選すること
 九、一切の選挙干渉絶対的反対
 一〇、公選による選挙監督委員会の設置
 一一、府県会議員の名誉職制の廃止
 一二、一般投票による知事公選
      二、行政
 一、内務大臣の道府県会解散権予算削減権の廃止
 二、内務大臣、大蔵大臣の道府県債許可権の廃止
 三、道長官、府県知事の出兵請求権の廃止
 四、道府県知事の原案執行権の廃止
 五、道府県会発案権、議決権、議決の執行強制権の道府県会による獲得
 六、道府県会議事の絶対公開
 七、道府県会計監督権の道府県会による獲得
 八、道府県令制度の廃止
 九、現行悪道府県令の廃止
 一〇、道府県参事会の廃止
 一一、高等課、特高課の廃止、並に高等警察政策絶対反対
 一二、官吏収賄、贈賄、涜職、職権濫用の撲滅
 ×衛生、消防、交通、建築、営業警察権限は市町村に委譲さるべきである。
      三、財政
 一、左の諸税の撤廃を要求す
  イ、戸数割
  ロ、自転車税、リヤカー税、荷車税、荷馬車税、牛馬税、舟税、観覧税其の他一切の無産階級負担の雑諸税
  ハ、家屋税
  ニ、特別地税
  ホ、営業税、営業人力車税
 二、左の諸税の創設を要求す
  イ、不在地主税、間空地税、庭園税、土地増価税、土地未改良価格税
  ロ、財産税、銀行会社税、邸宅税、高層建築税、別荘税、門税
  ハ、遊興税、蓄妾税、自家用自動車税
  ニ、以上の如き貴族、軍閥、官僚大地主、ブルジヨア等に対する租税は極度の高率累進賦課を要求す
 三、土地及財産の評価委員会の創設と之への一般民衆の参加
 四、所得税調査委員の一般的公選
 五、警察費を国庫負担とし、機密費を全廃すること
 六、党略的土木事業の根絶
 ×以上の諸要求の貫徹のみによつて負担が徹底的に軽減されるのではない、民衆の肩には夫れ以外に尚国税として厖大なる間接税の負担がある、吾々は一切の間接税の撤廃を要求する、直接税は極度の高率累進賦課でなければならぬ
 ×収税行為は厳密に民衆の利益に基いてなさる可きである
 ×土地に対する一切の課税権は原則として市町村に委譲すべきである、だから道府県の土地課税は市町村税の附加税である
 ×右の原則に基き地租は即時市町村に委譲さる可きである
      四、公益事業
 左の事業の公営並に其の増設、新設、改善、無料解放を要求す
 一、病院、精神病院、癩病院、診療所、細菌検査所、結核療養所、巡回病院、助産院等の衛生的医学的設備
 二、養老院、孤児院
 三、職業紹介所
 ×左の如き事業は原則として国営とすべきである
  イ、肥料、器具、種子、蚕種、種畜の生産(その分配方法は自主的産業組合によるべきである)
 ×左の事業は原則として市町村営とすべきである
  イ、無料托児所、無料宿泊所
  ロ、火葬場
  ハ、浴場
  ニ、市場、公衆食堂、公益質屋
  ホ、乗合自動車
      五、住宅
 一、完全なる居住権の獲得
  イ、公営住宅の増設、改善及その分配の公正
  ロ、火災、地震等天災地変による住宅問題は民衆の完全なる居住権の原則により処理さる可きこと
  ハ、区画整理、公有地、転貸等により住宅問題も亦同様の原則による可きこと
  ニ、痛風、採光、上下水道等設備不完全なる不良住宅の公費による改善、不良住宅改善を口実とする立退強制、居住権侵害絶対反対
  ホ、借家法の改正、借地法の改正、家賃の公定敷金権利金の撤廃、立退強制権の廃止等を含むやうに借家法を改正すること
 二、広大なる邸宅、別荘、庭園その他社会的に不必要なる一切の場所並に学校寺院教会公会堂その他一切の公共施設は広く一般民衆の利用に解放さるべきこと
 三、完全なる居住権の獲得は住居の管理へ一般居住者代表を参加せしむることによってのみ可能である
  イ、公営住宅、民住者代表によるその管理への参加
  ロ、借家人代表の参与による家賃決定委員会の設置
  ハ、都市計画、区画整理に対する関係地方民住民代表の参加
      六、教育
 一、一切の教育機関から中央の専制的支配を排除することによつてその完全なる自治権を獲得すること、一切の教育機関の管理への学生代表の参加
 二、教育機関の徹底的門戸開放と一般民衆に対する教育の完全なる機会均等の要求
 三、
  イ、師範学校、中学校、女学校、商業学校、工業学校、農業学校等の管理、教科目、授業時間、休日等の決定への生徒代表の参加
  ロ、強制寄宿制度の廃止、寄宿舎設備の改善の公費負担及びその舎生による完全なる自治権の獲得
  ハ、公営図書館、博物館の充実並にその管理への一般民衆の参加
  ニ、青年団、在郷軍人団、青年訓練所、処女会、婦人会、補習学校等の完全なる自主化
  ホ、教員生徒に対する政治的自由(政党加入の自由)等の制限の撤廃
 ×一切の教育機関は公営たる可きである
  義務教育期間中に於ける学用品、暖い弁当その他を含む一切の義務教育費は全額国庫負担たるべきである
 ×義務教育年限は八ケ年に延長さるべきである
 ×全額国庫負担による教員待遇改善を要求す
 ×教員の義務年限は撤廃されなければならぬ
 ×視学官の廃止、学校長の教員制度代表による公選を要求する
 ×水平社同人の子弟に対する差別待遇の如きは徹底的に糺弾さる可きである
 ×軍事教練費の如き莫大なる冗費を教育機関の増設完備に充て、試験制度を撤廃すべきである
      七、労働者並に小農
 一、公営事業に於ける労働者下級吏員及び雇員はその自治体に対し右の条件を獲得せねばならぬ、(凡ての公営事業に就ては労働者下級吏員の政治的自由並に労働条件は模範的なものでなければならぬ)
  イ、団結権、罷業権、団体協約権の確認(特に労働者を弾圧する道府県令の撤廃)
  ロ、八時間労働(鉱山労働六時間)
  ハ、標準生活費を支給する最低賃銀、失業手当制度及び賃銀一週間払の獲得
  ニ、男女労働差別待遇撤廃、幼年労働禁止、少年婦人労働の制限、坑内労働禁止
  ホ、産前産後八週間産婦休養とその給料の全額給付
  ヘ、時間外労働、夜間労働の廃止(技術的に必要にして労働組合、工場委員会工場代表者会議等の労働組織が承認せるものは例外)
  ト、一年一ケ月の休暇に休暇中の給料全額支払
  チ、自主的工場委員会制度の確認
  リ、五月一日祭の確認
 ×以上の項目は勿論労働者の当面の要求である
 ×老年廃兵寡婦保険制度の制定全額公費負担、並に被保険者による完全なる管理
以上の原則に基いて健康保険法を改正すること
 ×吾が国に於ては特に官公署事業に於て従業員の政治的自由が抑圧されて居り、また特に公営、事業に於て従業員罷業の自由が著しく抑圧されて居るかくの如き抑圧は徹底的に一掃さる可きである
 二、失業救済施設改善及びその労働者による管理
 三、労働者保護及び労働立法実施監督を目的とする労働者の代表よりなる監督委員会の設置現行工場監督官の廃止
 四、労働学校の確認、公費負担並に生徒による自主的管理
 五、府県有林野池沼及び一切の荒蕪地並に不使用地を市町村の管理にうつし之を小農の共同使用に開放すること
 六、禁猟区の廃止
 七、煙害鉱毒並に土地陥没等に一切の損害の資本家全額負担
 八、饑饉、霜害、雹害その他の災害の救済(減収に応じての農民生活の国庫補償)
 九、地主負担による水利施設の完備並に耕地改良
 一〇、信用組合利用の公正
 一一、土地買収利用決定に農民代表者の参加
 一二、米麦検査廃止
 一三、産業組合、農会の完全なる自主化
 一四、農民学校の確認、公費負担並に生徒による自主的管理
 一五、農民運動を弾圧する道府県令の撤廃、団体協約権の確認
 ×耕作権確立、立入禁止反対
 ×立毛繭毛その他農家財産差押へ反対
 ×五月一日農民祭の確認
 ×最高小作料(収穫の三割)公定、農民代表参加にかかる収穫小作料設定委員会の設置
 ×現行小作官制度の廃止
 ×森林、池沼、原野等の共有財産の農民代表による管理
 ×高利反対
      中心スローガン
 一、官僚知事を排せ!
 二、府の事は府会で決めろ! 県の事は県会で決めろ!
 三、税金は資本家に出させろ! 税金は地主が払ふべし!
 四、労働無産市民は労働農民党へ! 労働者は労働農民党へ! 百姓は労働農民党へ! 小作も自作も労働農民党へ! 無産市民は労働農民党へ! 民衆挙つて労働農民党へ!
 五、労働農民党の旗の下に!

   2、日本労農党
 日労党は、九月一日号の機関紙に於て左の如き政策を発表した。
      我党の地方政策
 一、地方行政
  イ、知事公選
  ロ、府県会選挙権拡張-二十歳以上の男女の選挙権及被選挙権、居住年限の短縮
  ハ、悪府県令の撤廃
  ニ、知事の原案執行権の撤廃
 二、地方財政
  イ、地方財政の確立
  ロ、不在地主の同率課税
  ハ、土地増加税の累進課税
  ニ、間空地税の累進課税
  ホ、雑種税、府県営業税等悪税の改廃
   1、牛馬税、自転車税等の廃止
   2、遊興税等の累進課税
   3、庭園税、広告税等の累進課税
 三、地方産業問題
  イ、産業組合(利用組合、販売組合、購買組合、信用組合、農業倉庫、繭倉庫)の無産階級化
  ロ、産米検査費用の地主負担
 四、公営問題
  イ、肥料農具種子の公営
  ロ、無産階級の為めの公立病院の拡充
  ハ、助産の公費負担
  ニ、特殊交通機関の公営
  ホ、公営住宅の拡充
  ヘ、浴場の公営
 五、地方教育
  イ、学用品の無料貸与
  ロ、無料給食の実施
  ハ、実業補習教育の拡充
  ニ、地方図書館の拡充、巡回文庫の設置
  ホ、無産階級に対する娯楽機関の設置
 六、社会事業及び地方衛生
  イ、失業者救済制度の確立
  ロ、養老院、孤児院、無料托児所等の完備
  ハ、避病院その他伝染病予防対策の徹底的改善
  ニ、公園の拡充
      府県会選挙のスローガン
 一、府県会を民衆の手に!   二、金権政治の打破!
 三、民衆政治の確立!     四、富豪脱税の厳罰!
 五、土木事業の公正!     六、実業補習教育の拡充!
 七、悪税の改弊!       八、悪府県令の撤廃!

   3、社会民衆党
      一般地方政綱
      一、地方自治制の撤廃
 1、地方官の民選
 2、地方普選の徹底
  A、年齢の低下
  B、居住制限の短縮
  C、婦選の確認
  D、保証金の撤廃
 3、地方議会の改造
 4、知事原案執行権の廃止
 5、町村地域の廃合整理
 6、封建的府県地域の廃合整理
 7、小学校教員巡査其他薄給府県市町村吏傭人等の待遇改善
 8、衛生組合消防組合其他隣保的施設の民衆化
      二、地方財政経済の改革
 1、地方財政税制の勤労階級本位化
  A、家屋税免除点の設定
  B、戸数割の有産階級負担
  C、勤労階級負担の府県営業税及雑種税の廃止
 2、警察費の国庫負担
 3、農業産業組合都市信用及購買組合の勤労階級
 4、肥料農具及種子の公営
 5、公営銀行の創設及公設質屋の増営
      三、都市計画及農村計画
 1、勤労階級本位の都市計画農村計画並びに綜合計画の実行
 2、住居政策の徹底
  A、土地公有化の促進
  B、家賃の引下げ
  C、勤労階級本位公営住宅の増設
 3、電力の公営農村電化の促進
 4、交通機関の公営及運賃の値下げ
 5、労働者住宅地域の改善
 6、上下水道施設の改善
      四、教育
 1、義務教育の全額公費制の徹底
 2、中等教育公費制の実行
 3、労働学校及農民学校の公費支弁
 4、職業補習教育機関の完成
      五、社会施設
 1、医薬救療機関の民衆化
  A、無料診察所の公営普及
  B、健康保険制度の改正及適用範囲の拡大
 2、社会事業に対する小学校々舎の解放
 3、職業紹介所の労働組合管理
 4、葬儀並びに助産の無料施設
 右は本部提案にして可決せられたもの、尚地方支部提案にして協議の結果、本部提案に追加決定されたもの次の如し
      地方自治制
 一、不在投票権の確認
 一、農会の耕作階級本位化
      地方財政経済
 一、府県市町村納税期の改正
 一、農業保険制の設定
 一、電燈瓦斯水道料金の値下げ
 一、煙草及塩の元捌売の公営
      教育
 一、簡易図書館の増設
      社会施設
 一、工場法の厳重適用
      スローガン
 勤労者の一票は勤労者の代表へ。一票! 民衆政治の確立へ!! 勤労階級の政党社会民衆党!

   4、日本農民党
      一般地方政綱
 一、地方自治の経済化
  イ、自治体の産業組合化
  ロ、専売品売捌人の指定を地方自治体に独占
  ハ、農作物災害応急資金の積立
 二、自転車税其の他無産階級的雑種税の一切の撤廃
 三、財産収入に対する所得税及び奢侈税等の有産者的租税の累進賦課
 四、所得税並びに営業収益附加税の都市独占の解放
 五、預金部資金、保険会社運用資金並びに勧業銀行、普通銀行の長期資金の地方還元、及び農村金融の組合化
 六、肥料電力、及び医療機関の国営或は県営に依る社会化
 七、地方分権制度の確立
  1、知事の公選
  2、行政区画の整理
  3、地方自治体の税権獲得
  4、府県会の権限の拡張
   イ、府県会の発案権、府県令制定権、府県会計監督権の獲得
   ロ、府県会々議の絶対公開
   ハ、内務大臣の府県会解散権、予算削減権、府県債許可権の剥奪
   ニ、内務大臣府県知事による収支に関する再議取消権の撤廃
  5、道府県参事会の撤廃
  6、府県知事による府県令制定権原案執行権の廃止
  7、府県会議員選挙費用の府県による負担
 八、都市偏重政策の撤廃
 九、徹底的取締りに依る独占事業の民衆本位化
 十、地方教育の民衆本位化
 十一、無産階級取締府県令の改廃
      スローガン
 農民は日本農民党へ


      三、準備・策戦・闘争

A 労働農民党
 七月十四日より三日間に亘つて芝協調会館で選挙対策全国協議会を開き宣言政策スローガン、一般方針、組織方針、選挙協定方針、選挙費用等を決定、凡ての闘争を当面の選挙戦に集中し、八月中旬迄を組織準備戦とし、他党を絶対に排撃して争ふこととし、八月十五日に党本部にて選挙対策地方協議会代表者会議を開き、選挙戦に於ける具体的活動方針、候補者を樹立せざる地方の具体的運動方針、選挙協定具体方針及び候補者決定等をなし、無産者新聞、労働農民新聞の辻売配布、ビラ、ポスター、パンフレツトの宣伝、労働農民党選挙全国応援会の組織、選挙干渉違反糾察隊の編成、本部支部の充実連絡、指令報告の頻発、抗議決議の投付等により一般方針大目的の達成を期して最後まで戦ひ抜いた。
B 日本労農党
 七月初め協調会館にて選挙対策全国協議会を開き政策スローガン一般方針等を決定、一般方針に基き党勢拡張を目的として選挙に臨み、他党とは地方地方の情況に依り適宜提携することを得ることとし、新潟に於て労農党と協同して候補者を立て、八月十九日の中央執行委員会に於て、第一組織部の活動と地方支部の組織第二本部遊説隊の派遣活動第三選挙白兵戦の三段返し具体的方針を定め、本部常詰選挙委員長を三輪書記長、情報専任を河野調査部長とし、本部応援隊の全国出動、選挙革新団及違反干渉告発隊の組織、印刷物の配布(選挙法釈義、質疑応答、演説会要綱、既成政党攻撃資料、選挙事務及告発其他の書式)等専ら言論戦によつて戦つた。
C 社会民衆党
 七月四日の中央執行委員会決定に基き六日フエアプレーの提唱をしたが労働農民党は拒絶した。七月十日より三日間芝協調会館で選挙対策全国協議会を開き一般方針及政策を決定、フエアプレーの言論戦により当選第一主義を採ることとし、八割当選を期して極小粒撰の候補者を立て、安部、鈴木、馬場、片山、亀井の五氏を中心に遊説隊を五班に組織し九月一日より全国を歴巡し、本部応援基金三千六百円を募集し、安部鈴木両氏の名を以て推薦状を発し、選挙監視委員十五名を任命して干渉違反を監視し、時々本部員を政情観察及宣伝の為め派遣し、各支部の選挙委員と密接の連絡を図り、尚関西本部には府県議選挙統制本部を設置し、総務部監視部情報部宣伝部会計部を置き党本部と連絡呼応して一挙に必勝を期した。
D 日本農民党
 六月二十七日既に党本部にて選挙対策協議中央委員会を開き、政策及運動方針を決定し、自転車税廃止運動に先鞭を着け、之れに基き六月廿八日より三日間幹部講習会を開き、全国より萬難を排して百余名の候補者を立て極力其当選を期するため、各党支部同盟が各別に全日本農民組合同盟と協議して候補者を選定し毎週二回選挙戦術研究会を開き、八月一日より北澤、高橋顧問須貝総務、平野幹事長以下惣出にて全国に応授遊説班を派遣し、九月よりは映画種蒔く人による宣伝を行ひ、必勝を期した。

      四、玉手箱

<日農党、日労党、労農党、民衆党の各選挙結果の表、略>
<政友、民政、革新、実同、無所属の各選挙結果の表、略>

      五、批判とレツスン

 最初の普選総選挙である今回の二府三十七県の府県議戦第一の興味は地盤カンバン算盤の三バンに於て到底既成政党の敵でない、各無産政党が、既成政党に比し果して幾千の成績を挙げ得るか、無産政党間の戦績は如何なる結果を来すかであつた。既報二府二十七県の外、岡山、長野、和歌山、徳島の開票の結果は無産政党に一人の当選者なく、あと残るは山口、熊本、高知、山梨、三重、静岡の六県なるも、大勢に影響なく締切に間に合はざれば割愛してあわただしく結論を急ごう。
 各無産政党陣営内に於ては控目に五十名、既成政党側に於ては多くて二十名が、当選予想数であつた。既成政党側の意外の大勝利と叫んだ、二十六名の当選は無産党側から見れば敗けたに相違ないが、香川及京都市に於ける大勝、大阪、神戸に於ける最高点、地方政党及群馬、新潟に於ける旧県議引込の好成績、足尾、三原、北越の当選等は今後日常闘争組織運動により地盤を捨身闘争協同戦線喰込策戦により算盤を優に獲得し得べき事を教へた。敗戦必らずしも敗戦ならず。
 各無産政党間にあつては何と云つても労農党が一番成績を挙げた。党の勢力又は実力も他党が公平に主張した通り、今度の投票数当選数に比例するものと見られよう。党員数は問題でない。動員数である。大衆を動員し得る闘士数である。選挙当面の政策は余り問題でないやうだ。一般方針である。日常闘争である。平素の組織である。支部である。訓練である。統一である。干渉圧迫も余り問題でない。要はただ其の干渉圧迫を利用し逆用し、之れに数倍する捨身運動を戦ひ抜き得る組織があるか人があるかの問題である。
 要するに労農党の勝利は老舗にある。日常にある、真剣捨身の運動にある。細胞にある、無産者新聞にある。而して主として運動資金の比較的潤沢にある。
 良い処は魔かさす。勝つて兜の緒は中々締められない。労農党にも危機が臨んでゐないとは誰か断言出来よう。労農党の共同戦線が出来ない相談の持ち掛けであることは論より証拠本家に叱られた明白の事実もある。地方大衆の希望を押へ切れず不承ぶ承大衆に追随してなす形式である。ところが今度の戦争で分裂対立のためのみに悲惨の失敗を感じた者は、益々痛切熱心に共同戦線を望むであらう。しかし一方には実戦の苦は知らず勝ち誇り慢心し切り、只闘争心理統一心理に捉へられた一部若手働盛の実際幹部又は無意識的に分裂政策に迎合する如く見せ掛け、態と分裂撹乱対立抗争を続けることが、田中大将反動内閣最後の圧迫を免るる止むを得ざる唯一の戦術であると見通して益々他党排撃偽党撲滅を強調する一部老練の政治家幹部がある。此納まりはどうなるであらふか、此の前の北海道市会議員選挙にだかもあつた如く、今度の当選者の中にも、すぐ既成政党へでも行けさうな人がある。其時の用意はしてあるだらうか。尤もこれは党の性質が変るとか、党の危機だとか云ふ程の人でも事でもあるまい。来るべき十一月の本場所に、突き手張り手の猪角力計りでなく、肩すカシ背負投の手取も出るやうになつてるだらうか、今迄は相手にも問題にもなる程のものでないと寧ろ勢力分裂の為めにお目コボシがあつたといふものだ。尤も其れに対抗出来る程の組織実力があれば、何も怖れる事はない。之れを契機としてイクラも進出発展出来る。
 此処で今ザツト原稿に一通り目を通し、各党の態度即ち一般方針及び準備策戦闘争を読むと各派の性質が自然明白に看取される。成程日労党は民衆党より労農党への方が近く農民党民衆党はケンカしてる程余り遠くはない。日労党は凡てを労農党に学ぶべきだ。換言すれば労農党のよい処はすべてを真似べきだ。人真似コマネなどとカラカワレてイヤがつては駄目だ。幹部を排斥して大衆との合同又は協同戦線の申込が幹部にあつたら、即時幹部を除いた大衆の合同又は協同戦線を幹部に申込むべきだ。真似すべからざるところのものを除けば一々真似して一々差支ない。二党は近き将来長生したものにキツト統一さるる。
 民衆党及農民党刻下の急務は大右翼連盟の結成である。民衆党農民地方政党位の違ひで一緒になれない程のものなら無組織大衆の獲得など思ひも及ばぬ。大右翼連盟が出来れば人気も集まり、元気もいで智恵も出る。地盤も出来ればカバンもフクラミ算盤もハジケルと言ふものだ。
 左翼統一が前か右翼統一が後か右翼勝つか、左翼敗けるか、時のみが今其れを知つてる。(三日)

      六、余論

 これまでは十月二日三日に書き校正の際多少訂正するものであり。これからは頁調節のため九日夜書くものである余論だから何を書いても罪にはなるまゐ。十月一日号の労働農民新聞と日本農民新聞と日本労農新聞とが発行になつて大に意見も展開回転するわけだが、其の前に一つ大発見をした、一番金か有りさうに見へて一番金の無さそうなは社会民衆党であらう。よく調べて見ると大切な機関新聞が一度も期日に出た事なく、一番必要な九月は一回しか出て居らぬ。九月一日号のまだ出ない事は勿論也。
 サテ労農新聞や無産者新聞を見ると之れは案外もう案じた通り勝つた勝つたで有頂天。日労党新聞は之れも又意外、意気消沈として将に天を恨むの慨があり、破けた破けたの言訳で全誌を埋めてる。日農党は又山梨を抵当に戦争は之れからだと顧みて他を云つてる。成程全体的に党と党との大小勢力は老舗の故に組織の故に金の故に、立候補数、得票数、当選数で判じられるが、対立的にドツチが勝つたか敗けたか、大衆は孰れを支持したかは、対立して勝つた処の結果も見なくてはならぬ。労日両党の対立奮戦した選挙区は全国で恰度十ケ所。

日労 労農 勝者
神戸市 4940 1771
鳥取東伯 704 1525

鳥取西伯

786 2494
尾崎市 346 22
福島石城 656 129
大阪東淀川 1114 388
香川綾歌 1712 2866
香川三豊 1127 1904
福岡寿穂 1391 839
福岡田川 2055 1796

 これは何を物語るであらうか。説明解釈のしようは色々何通りもあらうが、有頂天も早ければ意気消沈も早い。時に其後の各党立候補数は左の通り、之れで全部也。

期日 府県 定員 労農 日労 農民 民衆
26 日 岡山 39 7 0 0 0
27日 長野 44 3 0 0 3
30日 和歌山 31 0 2 0 0
10月1日 徳島 30 2 0 0 0
5日 山口 36 0 0 0 0
高知 30 0 2 0 1
熊本 39 1 0 0 1
10月6日 山梨 30 0 0 4 1
9日 三重 37 5 0 0 0
14日 静岡 43 5 0 0 0

 山梨でまた二人当選した。中巨摩の臼井治郎氏(民衆)と東八代の大鷹貴祐氏(日農)と。
 民衆党は間際になつて少し慌てたか、長野県諏訪で急に候補を立てて失敗、奇貨惜くべくもなき山梨では只恨骨髄に徹した日農を愈々永遠の敵に廻しただけの儲けもの。尤も選挙は昔しから分裂の妙薬、統一の大毒、之れこそ違つたらお目にはかからぬ。日日新聞が飽くまで頑強に民衆党当選六を報じてるは、民衆党の宣伝や新聞の無知でなく、地方民衆党と諒解の上でのことなら、右翼大連盟の吉兆で興味中心者への福音だがサテどんなものか。
 日労新聞によれば今度の敗戦で愈々痛感したは日常闘争、借家人同盟、目高支部、組織、人間、金の事だとある。先づ第一が金であつて、先づ第一に金のないことは昔から相場が極まつてる。だからよい事は一から十まで平気簡単に人真似する事、外資輸入が出来ぬなら親のスネで働くフアンを狩り集める事。矢張り紙製の決議指令を猛烈にやる事だ。冗談からも駒が出る。社会思想を活かしてプロレタリアに代用し、プロレタリアを活かして新聞を週刊にする位の本気にならなくては。博士教授を棒に振つて飛び込んだ人も沢山あり乍ら、中途半端は惜しいもんだ。主義者に主義者は悪口ではなく、左翼に左翼は毒舌ではない。ソコは民衆党の方に勇気がある。ダラ幹にはドロ幹サギ幹にはペテカン、エセ党にはエセ党、等々用語もなるべく大会指令で一定し、貴党の指導精神はト来たら貴党の指導精神がト答へ、常に先手を打て出来ぬ相談を条件に執拗なる共同戦線を提議し、過つて一人でも附いて来たら一角が崩壊した大衆が進出した狼が来た狼が来たと本気になつて駆け廻り叫び廻るんだ。萬犬も出れば三虎も出る。由来人をダマすには自分からダマさねばならぬ。
 大に好かれ只の原稿でも、書いて貰はん下心から、萬辺なく四方に愛嬌を振りまいたが、サテお筆先の読める人が〆て何人あるだらうか。先はあらあら書きく。(九日)

      七、贅論

 今後は労農党と日労党、日農と民衆党とが対立抗争の過程を過程する。レニンは排証法的方法論に於て之れを、「ザコのトト入り、鈍栗の背比べ、近いもの程喧嘩する」のだと規定してゐる。
 第三インテル大会では日本代表四名を前に、極左の戦線破壊分裂政策論譴責を決議、其全文をプラウダに公表、其一部は文線に訳載とかの話。併し之れは本家の方が葦のズイから天井で、日本の現段階に於ては戦線破壊分裂政策コソ種の保存生存権の主張である。(十二日)
<以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。>
<旧仮名遣いはそのままとし、踊り字は修正し、旧漢字は適宜新漢字に直した。>
<底本は、『解放』(解放社)第6巻19号7頁(昭和2年(1927年)11月1日発行)>
 

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