3.28・訛伝正伝


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訛伝正伝
 一犬虚を吠ゆれば萬犬実を伝ふ。併し新聞紙は犬と全然同一でないから、幾分新味新説を附加して虚実を伝へなければならない。で棒大は棒大となり枝葉は枝葉が繁茂し、ウソかホントか自分で自分の事が判らなくなる。之れが寧ろ当然だとは言ひ条、今度といふ今度は僕も自分の正伝訛伝に呆れる程面白かつた。此の新聞雑誌の切抜は中々面白いから集めて一冊の本にもする積りではあるが今其中から本篇及び「弁護士大安売」と重複せず又附篇として茲に掲げても良ささうな正伝に属する分数種を並べて見る。尤も此正伝と雖も今回の懲戒事件に関連して伝へられたるものだから、文体はなるべく多少又は少多訂正する。

巡査に貼札
<新聞記事。著作権の観点から公開しない。>
 正伝を正すも可笑しいが、序だから一言する。
 神戸へ行つたときは汽車中の送りで間違へたのか、降りてからに間違へたのか、風彩堂々たる弁護士宮澤武七君には尾行がついたが僕には付かなかつた。愈々僕が僕だとわかり尾行が僕の方へ廻ると、前日の間に荷物を高山義三君の事務所に運び次の朝風呂へ行く仕度で出た儘、途中から端書を尾行に書いたのだ。その文句は忘れたがコンナものでなかつた事は確実に覚えて居る。
 泥棒掛取は明治四十一年頃長野県上諏訪で総選挙の時やつた昔話し、留守中は何かの必要あつて時々張込刑事が付くと貼札して留守を頼むので看板は大嘘。
 何か良き獲物が来るかと思つてか、時には五六、時には二三十の役人が正装又は変装で事務所附近を警戒する事がある。サテ明日の新聞には何か出るなと予知する事が出来る利益も忘れ、一寸癪に障ると、僕も時々
 注意、警戒、附近に怪しき風体の者多数徘徊す。近寄るべからず、立寄るべからず。市民は之れを各地に伝播すべし。などの悪戯の貼札をする。
 門柱の二大看板は依然として、「上告専門所」「平民法律所」とある。


創作、大名旅行、西瓜
<新聞記事。著作権の観点から公開しない。>


米国伯爵の由来
<新聞記事。著作権の観点から公開しない。>
 之れも少しく弁解を要する。コレは白柳秀湖君から大正十年頃、三宅博士に会ふたら博士が山崎君はナゼ米国伯爵といふやとの奇問を発せられたから、小生は云云を皮肉りたるものならんと答へた。博士はそれなら公爵とナゼせぬかと云はれた。といふ手紙があつたから、僕から白柳君へ右様の手紙を出したのだ。


大事な洋服
<新聞記事。著作権の観点から公開しない。>
 どういふ訳か今度は洋服と無帽が大に流行つた。此種に属する切抜約百種、他は悉く重複訛伝下らぬものである。(之れだつて下らない事は下らないが。)
 僕の無帽主義はバトルクリーキのサニタリアム時代からで、ケロツグ博士の直伝だ。(何時だつたか萬朝報に戦時河畔療養院長ケロツグ博士云々とサニタリアムや博士の事が一、二段書いてあつた事を思ひ出して笑つてる処だ。)恐らく高木博士以前だらう。イクラ無帽主義でも寒くて堪らなければ帽子を冠り、暑くて堪らなければ洋傘をサス。
 洋服に下駄は蓋し便宜主義に立脚してるらしい。雨降りは洋服に高足駄に限るが、洋館には矢張り靴が都合よい。若し夫れ夏に至つては、僕には其後まだ夏服の用意がない。コレは確かに裸体かユカタに限る。


司法上の功績
<新聞記事。著作権の観点から公開しない。>
 之れにも相当言つて置きたい事がある。
 布衣語人とは大庭君ではなからうか。起立問題に付いて僕は予め大庭君にコンナ事をして見たいと云つた事がある。此の問題は『弁護士大安売』に書いたと思ふから止す。
 立小便も古いし、其れに功績に関係ある道理がないから云ふ事もない。只折角此処に関係ある正伝訛伝の切抜が二つあるから貼つて置く。
<新聞記事。著作権の観点から公開しない。>
 高尾君の問題は僕が故意に新聞宣伝をしたのだが、どうも甘く行かなんだ。新聞記者には要点が判らぬらしい。正式裁判の申立は法律の上では本人からすぐ出来る事になつてる。処が警察で拘置科料にする位の事件は正式裁判の申立をされれば皆悉無罪になる事に殆んど極まつてる。それで警察では有らゆる方法を講じて、又は被告の申立等を無視して正式裁判の申立をさせない。愚図々々して三日の期間を過ぎさせる。外から面会に行くと会はせない。知らぬとか居らぬとか取調中だとか云ふてダマす。其処で僕の考へた事は、予め警察へ引張られさうな人から、若し警察で拘留又は科料の裁判言渡を受けたら、三文判でも買求めそれを判として正式裁判の申立をしてくれと頼まれて置く。其処で僕が高尾君から頼まれた。拘留言渡を受けた事が判つた。三文判で高尾君の名で書留内容証明で申立てた。警察では僕を文書偽造行使で訴へた。検事は僕の民事上事務の委託行為と云ふ法律上の説明に賛成した。警察は止むなく大正十一年一月廿七日事件を裁判所に廻した。高尾君は公判審理の上即日釈放無罪となつた。併しだ、コレも屁の足しにもならないやうにする方法が沢山ある。僕が機会ある毎に違警罪即決例と行政検束法の廃止を叫ぶは其故である。之が存する以上人種の存する理由がない。
 終りに、高尾事件の書式を参考のため掲げよう。


正式裁判申立書
<藤原繁夫弁護士作成の書面。著作権の観点から公開しない。>

捜索願
<藤原繁夫弁護士作成の書面。著作権の観点から公開しない。>

 藤原弁護士は永く東京地方裁判所に勤務した者で、マサカ警察が、マサカ警察がと聊か警察を信用する気味があつた故試に之れを受持つて貰つたのである。

 今迄言つた事は僕の言つて置きたいと言つた事ではなかつた。僕に聊かでも司法上-一寸オカシイ-法律上の功績がありとすれば、それは、如何なる我利々々亡者の資本家と雖も雇人を無断解雇した場合は少くとも二週間の手当を出さなければならぬ事を知るに至つた事、何処の裁判所でも此節は、訴訟費用の立替を容易なく与へてくれるようになつた事等、等、等であると思ふ。其他はまだ言はぬが花だ。


 以下四編(編は可笑しいが四切抜も可笑しいから)の小評伝は『国民』『日日』『中央』だかと何かに出たもので、事実は確か訛伝もあるが、当時矢鱈に出たものの中では聊か読めると思ふから其儘掲げ、以て頁を増すことにした。

懲戒を受けた米国伯爵
      法曹界のヤンチヤ者山崎今朝彌君が
      グツト納つた腹の底
<新聞記事。著作権の観点から公開しない。>

居合抜と弁護士
<新聞記事。著作権の観点から公開しない。>

多士多趣      弁護士 山崎今朝彌 氏
<新聞記事。著作権の観点から公開しない。>

当世の奇人     米国の伯爵様-弁護士界の変り者-
          山崎今朝彌 氏
<新聞記事。著作権の観点から公開しない。>

<山崎今朝弥著、山崎伯爵創作集に収録>
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