ブラジル大使-其他何でも何枚-


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時事一題 ブラジル大使事件
ブラジル大使-其他何でも何枚-
 解放二月号を見てくれると分るが、約束の原稿約束の昨日に、どうしても書けなかつた。今日で間に合はなく没になつても大した損害はないと云ふは、之れも此の儘すぐ解放二月号の原稿にする積りだから。書き出しでも分る通り此原稿は高畠君宛の手紙の積りにする、其れが一番書き易くてよい。

 先づ御注文のブラジル大使から初める。しかし之れは巡査と人間とのケンカで、問題とする程の代物ではない。日本人と云ふ奴はトモすれば毛唐と云へば大騒ぎをして困る。毛唐なんかは日本人と思はないがよい。巡査と日本人との殴り合は日々毎々到る処にあり敢て異とするに足らない。巡査のケンカ相手は社会主義者と労働者計りジヤない。官吏もあつた、弁護士もあつた、代議士もあつた、判事もあつた、検事もあつた。凡そ日本人で自分又は自分の知つてる紳士が巡査と喧嘩した事を知らない者はあるまい。アツタラ一人でもよいから名乗つて出て貰ひたい。日本人にして既に然り、況んや昔なんかは毛唐は人間でないように云つたものだ。ブラジル大使事件に戻るが、大使がまた不敬にも妨害にもなるまい。今の中に早く向ふへ行かうとした。巡査がプリンスカムヒヤと制した。大使がプリースカムヒヤと聞いた、巡査が恐懼措く処を知らず勢に乗じて権力之れを制止した。大使が人を特に呼んで置いて故意に大勢の中で恥をかかせると思つて夫婦でイキリ立つた。ソコで例のバタバタ、ドシドシ、メチヤメチヤ、ゴチヤゴチヤ事実はキツト之れに相違ないね。巡査も人間なら大使も人間だ。もうコレカラ先に理非曲直はない。従て問題が起る訳がないのに問題が起つたのは、問題屋が問題にしたからであらふと思ふ。解放二月号にも書いたが、同爵の大木遠吉君から国粋に何か書けと云ふて来た。僕は、毛唐崇拝売国思想。保守迷信亡国思想。雑誌国粋見た事無いが。経営困難御察し申す。と漢詩を送つた。少しは問題に関係があるかどうかと思つて附け加へた。

 約百五十種も来る雑誌の中で心待に待つてるのは局外、進め等十種程だ。案ずるに悪口雑言人の噂がある故だらふ。ココらが商売人の目の付け処だが、解放はどうも真似をする訳には行かなくて困る。来る手紙も出る忠言も、皆大雑誌の品位を保てでね。其れで思ひ出したが二月号に片山潜君の面白い真情を吐露した手紙を載せる。改造の悪口があるから雅量を示して其点を削らふかとも思ふたが止めにした。共産党の諸君からは反共産党策謀の総本部のように思はれてる僕には、時々本性を顕はした福田の悪口宣伝が、時に取つての一興と大に我意を得るように、共産党資金の取次場所でもあるかの如く云はれてる改造には、片山君の悪口は却て雪冤の福音になるかも知れぬ。
 進めの正月号は実によくなつたが、局外は少々ダメになりかけた傾きがある。小雑誌の品位品格のない処を僕も毎号書かせて貰つて、一つ大に面白いものにしよう。終りに此間の新年会での話では、小川未明君の処へ進めも局外も行つて居らぬようだね。何かの間違だらふか。ソレから日本労働組合総連合の宣伝綱領規□等は略今日決定するからすぐ送る。(山崎)-十七日
<以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。>
<旧仮名遣いはそのままとし、踊りは修正し、旧漢字は適宜新漢字に直した。>
<底本は、『局外』(北荘閣)第2巻2号(大正15年(1926年)2月1日発行)>
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