新刊批評


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新刊批評
   左翼運動の理論的崩壊(高橋亀吉著)
 『解放社』は解放講座年鑑全集の中に左右両翼の理論的根拠並に其戦術二巻を取り入れ其執筆を左巻を左翼フアンの水谷長三郎氏に右巻を右翼指導家の赤松克麿氏に依頼した、が、今本書の寄贈を受けて読んで見ると右翼の理論と戦術とは正に之れに尽き今更一巻を物するがものはない。殊に定価が恰度全集に比敵する一円と来て居る。況んや、二三十分を費して、其問題の範囲と締めくくりと其れに引用された二三の箇所を摘読玩味すれば本書全部を精読したと同一の効能がある。依て本社は右巻の発行を中止し全集予約者へは本書を赤松氏の右巻に、代用する事とした。左巻は二度も脱稿したが本書の発行で又根本より書き直すとの事であるから宜しく注目して期待されたい。
   評議会運動方針と新綱領
 何と云つても新聞宣伝は労働農民党に大会は評議会に取られた。本書は本年の日本労働組合評議会三日間連続第三回全国大会に於て決議された最新方向転換の新運動方針と新綱領である敵も味方も賛成も反対も知るも知らぬも何時か必らず役立つ時があるから参考の為に一冊は取つて置くべき十銭のパンフレツトである。
   政治学序説紹介
 政治学序説菊版百八十頁定価一円五十銭は少し高いが此紙と此の装幀では仕方あるまい。特に本書は氏の教授する大学講義のノート□用であるから割方安い方であらふ。大学講義の骨組であるからと云つて一般人士に不向である訳はない。否当世流行の故らなる難渋文句がない点と巻末に索引のある点は本書の特色であると共に又何人の読むにも適する良書であるであらう。(川原次吉郎著)
   軍隊と赤化(陸軍憲兵大尉板倉孝著)
 「軍隊と赤化」(四六百五十頁価三十銭)甘粕事件で免れて恥なき小泉中将論、現下軍部裏面の大勢等極力軍隊の赤化を企図したものでは決してないから成程安心して読める。
(以上山崎今朝彌評)

<中略>

   洛陽餓ゆ
 一代の才人阪本勝代の近業、福永書店発行定価壱円六十銭。曽て氏が解放の前身社会主義研究に書いてくれた「山城国民議会」即ち足利時代に於ける空前絶後の貧農革命を、戯曲し創作したものである。前の松本君は一夜にして夜を徹して読了、感奮其極に達し必らず長編の批評を物すると約したが、今此の前月の組置校正を見ると其れがない。で僕が是を。
   新らしき改宗
 金星堂発行社会文芸叢書第十編、ステツプニヤツク作、山内房吉氏訳の戯曲である。定価八十五銭。前半は曽て「改宗者」として解放に載り一躍氏の文名を高からしめたものだ。氏の著解放群書第二十三編「社会主義大辞典」が非常に評判がよいので実は之れも本社より出したかつたと思ふ位だ。
   朝鮮衡平運動
 関東水平連盟発行定価十銭。このパンフにて水平社同人と同一の境遇にゐる白丁四十萬人の解放を目的とする朝鮮の衡平社運動を知る参考になれば我等の欣快とするところである、と著者平野小剣氏は云つて居る。水平社運動と継子苛めなら誰でも読まされる。
   無産者小形パンフレツト
 赤旗老人の「今の世の中」堺利彦老人の「鋳掛松」同「一休と自来也」荒畑寒村氏の「停電」が一度に無産社から発行された、と云つた処が価各十銭也の小形パンフレツトで久しく定評のあるものだ。
(以上全部山崎今朝彌)
<以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。>
<旧仮名遣いはそのままとし、踊り字は修正し、旧漢字は適宜新漢字に直した。>
<底本は、『解放』(解放社)第6巻15号46頁(昭和2年(1927年)9月1日発行)>
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