「所謂警官暴行事件と之に対する資本家地主政府の態度とから何事を学び取るべきか」という問いに対する回答。
山崎今朝彌
警官暴行とは、和歌山の警官告訴代理弁護士皆殺し、大山氏等に対する東京駅頭白昼公然の保護なぐり、昔しからなる無産者に対する××××ゲンコ、本所公会堂の滅多打××等々々所謂警察国難の事でせう。
資本家政府の態度とは、見て見ぬ振り、知つて知らぬ振り、サギを烏の言ひ黒め、暴行団本部の本庁嫌疑、大広告料の不審出所、告訴告発不取上げ等々々の態度でせう。
和歌山事件でも御覧なさい。
当世流行の死刑など云ふ事なくキツト何とか理クツを付けて助けますよ。
大山事件は写真もあり白昼でもあつたが、新聞も世間も検事局もあの通りでせう。
本所公会堂の新聞記者が労働運動者でもあつたらドウだつたでせう。
私はコレから、警察も、検事局も、裁判所も、議会も、新聞も、司法権も、正義も道理も皆資本家のもの、政府のもので、吾々とは全く赤の他人だと云ふ事を学び取ります。
<以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。>
<旧仮名遣いはそのままとし、旧漢字は適宜新漢字に直した。>
<底本は、『布施辰治著作集第14巻』(ゆまに書房、2008年)、底本の親本は『法律戦線』(生活運動社)7巻6号22頁(昭和3年(1928年)6月1日発行)>
最終更新:2009年10月26日 00:41