東京控訴院による懲戒判決(6月12日付)


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      判決
          東京市芝区新桜田町十九番地平民
          東京地方裁判所々属弁護士
          山崎今朝彌
          明治十年九月生
 右に対する懲戒事件に付検事三浦栄五郎関与の上審判する如左
      主文
 被告今朝彌を停職四月に処す
      理由
 被告今朝彌は東京地方裁判所々属弁護士にして其業務に従事中曩に第二審として広島地方裁判所に繋属したる新聞紙法違反被告事件に付判決を以て有罪の言渡を受たる被告人小川孫六同悦太の選任に因り同被告事件の上告審に於ける弁護人と為り大正十一年二月廿日上告趣意書を大審院に提出したる所其の論旨中第一点前段に於て「広島地方裁判所が前記被告人等に対し有罪と認定したる新聞紙の記事は文詞用語頗る冷静平凡奇矯に失せず激越に渉らず十数年来萬人の文章演説に上り都鄙各所に行はれたる常套の論議なれば毫末も社会の平静を紊り共同の生活を乱するものにあらず」との旨を説示し更に第二段に於て「若し之をしも強ひて安寧秩序を破壊するものなりとせば日毎日常の新聞雑誌は悉く秩序紊乱となり之れを不問に付する全国の司法官は前記有罪判決に関与したる判事山浦武四郎、江本清平、西巻芳二郎三名を除くの外皆な偉大なる低能児の化石なりと謂はざるを得ず天下豈此の如き理あらんや然らば広島地方裁判所が之を以て安寧の秩序を紊乱するものと為し新聞紙法の罰条に問擬したるは不法も甚しく真に呆れて物が言へずと云はざるを得ず」との語句を羅列したるものなり証拠を案ずるに
 (以下中略)
あるに依り判示事実を認定するに十分にして其第二段の論旨は前段の趣旨を敷衍釈明するに付き何等必要なく唯徒に判決裁判所の構成員を刺譏したるに止まり当該被告事件の上告趣意書として甚しく不謹慎なる言辞を弄したるものと謂はざるを得ず其行為は弁護士の体面を汚すべきものにして東京弁護士会々則第三十九条に該当するを以て弁護士法第三十三条第三号を適用し主文の如く判決す
 大正十一年六月十二日
          東京控訴院に於ける懲戒裁判所
          裁判長判事 牧野菊之助
          判事 西郷 陽
          判事 遠藤武治
          裁判所書記 澤路茂樹
<底本は、法律新聞社編『法律新聞[復刻版]』(不二出版)。底本の親本は『法律新聞』(法律新聞社)大正11年(1922年)6月18日発行、1991号16頁。旧漢字は新漢字に適宜修正した。>
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