米国伯爵


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米国伯爵          山崎今朝彌
 世の文士は皆義の為めに文を書き、生活の為めに之を売らず。独り我堺君はパンの為めに之を作り、金の為めに之を売る。故に字々皆是金、謂ゆる一字千金に値するもの、而も君薄利多売を主義とし、斃れて後止むの慨を以て精励職に従ひ、一字一厘二厘を以て広く天下の需に応ず。売文社は之れが為めに設けられ、売文師は之れが為めに聘せらる、誠に聖代の偉観たり。
 君頃日当座の小遣取として君の売文を集めて再売文し、余にも亦『何なりとも』と嘱望さる。余此機会を利用して自己を売名せんとするの光栄を有す。則ち一文を草し『売文集』の店頭を飾る。平生多少の知遇を辱ふする友人の情として、君果して之れを受け容るるの雅量ありや否や。若し夫れ余の肩書が、大いに愚直なる読者を釣るの餌ともなる事あらば、実に望外の幸のみ。
 東京電車ストライキ煽動の嫌疑を○○○○○○家宅を捜索され、癪に障つて○○○○○○たる紀年の年月日(米国伯爵 山崎今朝彌)
<以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。>
<底本は、堺利彦ほか著『復刻版売文集』(不二出版、1985年)を用いた。底本の親本は、堺利彦著『賣文集』(丙牛出版社、1912年5月5日発行)である。旧仮名遣いはそのままとし、踊り字のみ修正した。旧漢字は適宜新漢字に改めた。>
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