堀江専一郎君と名川侃市君
■判事に弁護士、名川に堀江、語呂か対照か我之れを知らざるも、残り丈け書けと云ふから書いて見る、名川君の事を余り賞めたら追慫と云ふだろう、と云ふて貶せば、妬みと云ふだろう。だから僕等は、官吏は、人間の待遇に骨が折れるから厭やだ。明治の秀才で頭脳明晰、キビキビした審理振りは何時も傍観者の溜飲を下げる、併し如才のないことは広島県人だ、は月並だろう、月並以上と来ては名合弁護士の評だ『ナーニ外に浦山敷事もないが名川君のあの大きいのには、実に羨望に堪へんよ』と涙を流して感嘆し居つた。
■次に堀江弁護士を失敬する、君は我尊敬する井本常治先生が岸本法律事務所を廃めた以来、イソ弁では日本一だとの事、其学識其文筆、弁護士協会録事でも日本一、併し君の身上は純の真面目とあつて、虚言をツキ、悪口を云ひ、屁を放る事を、仁義忠孝と同様御愛嬌と心得てる我等でも、堀江君が確かだ真面目だ、狂ひ処かと云ふたからと云ふ原因で、信用を得たり金を儲けた事がある。が君は決して馬鹿ではない、僕に筆オロシの熟語を教へたも、其経験談を聞かせたも君である、此月報がマサカ奥さんの御目に止まる事もあるまいから、一寸御披露するが穴棒(ミシガン大学所在地)から、シンシナチの小生へ宛てた手紙の中には、こんなのが沢山ある。
On my birth day Miss So and So gave me her picture, and I was the happiest man in the world. が抑々で She says she will never go back on me, and gives me a X, quite a big one. Can you imagine how happy I am now? I tell you・・・・これから後がたまらぬ。
<山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
最終更新:2009年10月26日 11:02