事実認定権


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事実認定権
 ○事実の認定が不当だと思ふ原審判決は中々多いが、上告理由になる不当認定は至つて少ない。今年は『不当に事実を確定したるものなり』との熱心の上告理由で『原審認定の事実を批難攻撃するに過ぎず』との均一棄却に遭遇したものが随分あったが、心から腹の立つたものは上段の判決さに破毀になれば民事には今迄一つもなかつた。併し刑事には一つある、事実は斯うだ。
 青森県の某村青年三名が祭りに来た娘を神社境外に連出して姦淫し元の処へ連戻した、之を見た他の三人の青年も其娘を再び連出して姦淫し、娘を置いて帰ると、之れを見た又他の三人の青年が更に之れを姦淫した。程経て其娘が帰りかけると一人の青年が来て再び元の処へ連れ帰り姦淫した数日後局部が痛むので医師に診て貰ふと傷があり、娘は十人に強姦されたと主張し、医師は其傷は強姦の結果ならんと鑑定した。告訴となり、予審となり、第一審は十人中の何人かが傷を成さしめたるものとして十人共謀の強姦致傷罪としたが第二審は初めの三人中の何人かのみが成傷せしめたるものとして三人のみを強姦致傷罪残りの七人は公然猥褻罪に処断した。
 七人に対する検事の上告理由は別として、其三人に対する私の『三人の被告の姦淫が七人の姦淫より先なりしこと、三人のみが強姦なりしことのみにより(此点に関する証拠としては前記の外掲げず)其傷が三人中の何人かに拠て成されたるものと認めたるは、証拠に依らず犯罪事実を認定したるものなり』との上告論旨を、前記の証拠に依り三人のみが致傷せしめたる事実を認定し得、との理由にて排斥したるは今でも尚不当と思ふ。
 何せよ事実認定攻撃の上告理由にならぬ事を承知の上で、事実認定の攻撃を頼まれるのと、其文案が又中々案外に面倒で且又理由がなければない程益々面倒なのに弱る。
<山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
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