尾行事件の保釈願

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尾行事件の保釈願           傷害被告 大杉 栄  右被告は右事件にて昨日拘禁の身と相成候、然る処  (一)本件は時節柄、警視庁が無政府主義者なる被告を検挙せんと欲して苦心再三、種々の罪名を付し数回の告発に及びたるも、公明正大なる検事局の御取調にて其都度痛快に釈放せられ、警視庁が一時に天下の嗤笑を買ひ侮蔑を集めたる結果、其名誉回復に漸く探し当てたる、其昔一度千葉に於て手を着け不検挙其儘となり居たる犯罪に有之候  (二)従て被告は本件に就ては逐一終始、犯罪事実を自白致し今後も毛頭変る処無之候  (三)故に被告は警視庁の手先に非ざる裁判所が何故被告を拘禁するか其理を解し能はざる次第に有之候  (四)特に被告は今月中に明渡す約束を以て現在宅を賃借致し居り候故(此住宅こそ警視庁が曩に被告を家宅侵入なりとして検挙し直に馬脚を顕したる件のものに有之候)若し此儘拘禁を継続せらるるに於ては、被告は勿論被告の妻子は当然明渡を為し得ざるのみならず、或は家賃を支払ふ事も能はずして永く住居するに至り警視庁は又しても先例を重んじて被告に対し家賃詐欺の告発を為すやも図られず、被告や妻子は兎に角家主に対して誠に申訳なき事と相成らずやと其れのみ心配致し居候  要するに被告は之れ敷の事に逃げも匿れもせず、又虚言も申上げず且つ右借家整理の必要も有之候へば何卒至急保釈許可相成度、保証金の儀は何萬円なりとも立所に出来申さず候へ共、金百円以下の範囲に候へば必らず納入仕るべく候  大正八年八月廿七日           右被告本人 大杉 栄           右弁護人並保証人 山崎今朝彌           同上 布施辰治 東京区裁判所 御中 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>

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