公判廷を逃げ出した検事閣下

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公判廷を逃げ出した検事閣下  明治三十四年に僕が司法官試補で甲府区裁判だか地方裁判所だかに赴任した。翌日直ちに検事代理で区裁判所の公判に立会ふた。寒暑の挨拶も録に出来ない小僧に何が出来るものか、何の事件で何をしたのか忘れたが、取調が済んでから僕がポカンとして居ると、牛田とか何とか何でも牛の字の付く監督判事がテーブルの上に両手を付いて、検事閣下刑の適用はと催促する、僕には落付いて考へてる度胸はない、足はブラブラ手は戦く心臓は波を打つ耳に半鐘が鳴る顔に火が付く、俺れには解りませんと云ふて公判廷を逃げ出した事がある。今考へてもギヨツとする、僕は小胆だから上席検事であつた今の糸山貞規弁護士に丁寧に教はらふと思たら、ナニ出て見給へ何でもないと押し出され初めよりビクビクでアンナ事になつた。判事が手を付いて検事閣下と云ふたは真面目だつたか冷評か。 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>

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