双谷島小波の部屋

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……何でこんなに気になったんだろうな。  首をかしげながら、坂道を登り切った。  シーン「校門」  長い傾斜を上って疲れたので、ゆっくりと校門をくぐった。  玄関で立ち止まることはなく、まっすぐと廊下を進んでいく。 ……確か今日の最初の授業は、数学だったはずだ。  この学校の授業は講座別の組み立てになっていて、受ける授業内容ごとに教室が違う。  毎時間移動しなければならないので、めんどくさい面もあるが、その代わり、休み時間が少し長い。 ……どちらにしろ、勉強以外にすることがない私にとっては、どうでもいいことなのだが。  シーン「教室」 ………。  立て付けが悪いのか、スライドしたドアは軋んだ音を立てた。  結構大きな音がしたが、特に注目されることはなかった。  もともと、お互いに無関心な校風でもあるし、挨拶を投げかけられることもない。 琴生「…………」  私も無理に挨拶をしたりはしない。  無言のまま、自分の席へと向かう。  鞄をおろして自分の席に着いた。  真ん中の列の一番後ろだ。  暇なときに外を眺めたりすることもできる窓際が理想の席だったが、名簿順で並んでいるので文句は言えない。  まだ時間に余裕があるためか、教室の中はずいぶんと騒がしい。  でも私の周りには、ぽっかりと穴が開いているかのように、誰もいない。  私に話しかけてくる人もいなければ、私が話しかける人もいないのだから、当然のことだ。 琴生「……はあ」  することもなく、ため息をつきながら、ぼんやりと天井を見上げた。 ……それにしても今日はいつもに比べて、教室内がいっそう騒がしくないだろうか? ……三、四、五——  暇なので、白い天井にちょこちょこと描かれている、黒い模様を数えてみる。 ……十七、十八、十九——  これはよく見ると、真っ黒な毛虫がこびりついているようで気持ち悪い。  けれどカウントしていると、そんなことも気にならなくなり、何となく気分も落ち着いてくる。 ……百二十八、百二十九——  シーン「暗闇」 「……殺人」  シーン「教室」  再びその言葉が耳に飛び込んできて、心臓が飛び出すかと思った。 ……おそるおそる右に振り向いてみる。  男子二人が、会話を弾ませている。 ……どうやらそこから飛んできたようだ。  今朝、坂の上で見かけた人たちをしっかりと覚えていた訳ではないが、彼らとは別の人たちだ。 男子生徒1「……聞いたんだけど…今朝………殺された………」  天井の毛虫模様のことなどすっかり忘れ、耳を澄ますのに集中した。 男子生徒2「……まだ……たぶん………通り魔……」  物騒な会話をしているくせに、やけに明るい調子で話す。 ……ドラマかなんかのことだと思って聞いていたが、やっぱり違うようだった。  どうやら昨晩未明、この街で殺人事件が発生したらしい。  今朝早くに路上で人が倒れているのが発見されたそうだ。  被害者など、詳しいことはまだよくわかっていないらしいが、襲われた状況などから、通り魔事件らしいと彼らは噂していた。 ……今朝の人たちもこれについて話してたんだ  発生したばかりの事件なのに、どうしてこんなに広まっているのかなどは、あまり疑問に思わない。  今は、携帯電話とかで、簡単に情報を手に入れられる時代らしいからだ。  それよりも私は、この事件が妙に気になっている自分に疑念を抱いた。  続きや、細かいことがもっと知りたいという欲求が高まってくる。  聞き耳を立てているという背徳感もプラスしてか、胸がどきどきしてくる。 ……少し、冷静になろう。  前に向き直って、深呼吸をしてみた。  しばらく考えてみて、少しばかり会話に飢えていただけなのかもしれないと思い始めてきた。  登校してから帰るまでに口を開くことが滅多にないという日常に、体がちょっとした反抗を示したのだ。  それなら、普段はあまり気にならなかったはずの周りの声が、今日に限ってやけに鮮明に聞こえてくるのにも納得がいく。  結論が出たもののしかし、一向に胸の高まりが治まる兆しは見えない。  これ以上変な気持ちにならないように、耳をふさいで机に突っ伏した。 ………。 ……何なんだろうな。  どうにも疑問が出てきてしまう。  それでも時間がたてば教師がやってきて授業が始まり、ほっとした。 ……この落ち着かない気持ちも、勉強に集中していれば、紛らわすことができるだろう。  起立、礼を済ませて再び席に着く。  窓の外は、相変わらずの大雨だ。  さっきよりも勢いが強くなったかもしれない。  けだるい授業の中、教室内は静まりかえる。 ……何なんだろうな  やはりそんなことを考えながら、私はしばらくぼんやりとしていた。 ………。  二時間目の授業が終わって、休み時間に入った。  この学校は変則的な時間割をしていて、朝にホームルームがない代わりに、二時間目の休み時間にある。 ……外は相変わらずの雨だ。  時折たたきつけるように雨が窓ガラスを震わせるので、風もずいぶん強くなってきたことがわかる。  傘を持ってきているので、帰りの心配はいらないけど、ここまで酷いようだとやはり子犬の様子が心配だ。  どうしようか…… 選択肢2 a、図書館へ行って時間をつぶす  →[[琴実:6/16 c]]へ b、とはいえホームルームに出ないと…… →[[琴実:6/16 d]]へ c、帰る。学校嫌い。 →[[琴実:6/16 e]]へ ----
……何でこんなに気になったんだろうな。  首をかしげながら、坂道を登り切った。  シーン「校門」  長い傾斜を上って疲れたので、ゆっくりと校門をくぐった。  玄関で立ち止まることはなく、まっすぐと廊下を進んでいく。 ……確か今日の最初の授業は、数学だったはずだ。  この学校の授業は講座別の組み立てになっていて、受ける授業内容ごとに教室が違う。  毎時間移動しなければならないので、めんどくさい面もあるが、その代わり、休み時間が少し長い。 ……どちらにしろ、勉強以外にすることがない私にとっては、どうでもいいことなのだが。  シーン「教室」 ………。  立て付けが悪いのか、スライドしたドアは軋んだ音を立てた。  結構大きな音がしたが、特に注目されることはなかった。  もともと、お互いに無関心な校風でもあるし、挨拶を投げかけられることもない。 琴生「…………」  私も無理に挨拶をしたりはしない。  無言のまま、自分の席へと向かう。  鞄をおろして自分の席に着いた。  真ん中の列の一番後ろだ。  暇なときに外を眺めたりすることもできる窓際が理想の席だったが、名簿順で並んでいるので文句は言えない。  まだ時間に余裕があるためか、教室の中はずいぶんと騒がしい。  でも私の周りには、ぽっかりと穴が開いているかのように、誰もいない。  私に話しかけてくる人もいなければ、私が話しかける人もいないのだから、当然のことだ。 琴生「……はあ」  することもなく、ため息をつきながら、ぼんやりと天井を見上げた。 ……それにしても今日はいつもに比べて、教室内がいっそう騒がしくないだろうか? ……三、四、五——  暇なので、白い天井にちょこちょこと描かれている、黒い模様を数えてみる。 ……十七、十八、十九——  これはよく見ると、真っ黒な毛虫がこびりついているようで気持ち悪い。  けれどカウントしていると、そんなことも気にならなくなり、何となく気分も落ち着いてくる。 ……百二十八、百二十九——  シーン「暗闇」 「……殺人」  シーン「教室」  再びその言葉が耳に飛び込んできて、心臓が飛び出すかと思った。 ……おそるおそる右に振り向いてみる。  男子二人が、会話を弾ませている。 ……どうやらそこから飛んできたようだ。  今朝、坂の上で見かけた人たちをしっかりと覚えていた訳ではないが、彼らとは別の人たちだ。 男子生徒1「……聞いたんだけど…今朝………殺された………」  天井の毛虫模様のことなどすっかり忘れ、耳を澄ますのに集中した。 男子生徒2「……まだ……たぶん………通り魔……」  物騒な会話をしているくせに、やけに明るい調子で話す。 ……ドラマかなんかのことだと思って聞いていたが、やっぱり違うようだった。  どうやら昨晩未明、この街で殺人事件が発生したらしい。  今朝早くに路上で人が倒れているのが発見されたそうだ。  被害者など、詳しいことはまだよくわかっていないらしいが、襲われた状況などから、通り魔事件らしいと彼らは噂していた。 ……今朝の人たちもこれについて話してたんだ  発生したばかりの事件なのに、どうしてこんなに広まっているのかなどは、あまり疑問に思わない。  今は、携帯電話とかで、簡単に情報を手に入れられる時代らしいからだ。  それよりも私は、この事件が妙に気になっている自分に疑念を抱いた。  続きや、細かいことがもっと知りたいという欲求が高まってくる。  聞き耳を立てているという背徳感もプラスしてか、胸がどきどきしてくる。 ……少し、冷静になろう。  前に向き直って、深呼吸をしてみた。  しばらく考えてみて、少しばかり会話に飢えていただけなのかもしれないと思い始めてきた。  登校してから帰るまでに口を開くことが滅多にないという日常に、体がちょっとした反抗を示したのだ。  それなら、普段はあまり気にならなかったはずの周りの声が、今日に限ってやけに鮮明に聞こえてくるのにも納得がいく。  結論が出たもののしかし、一向に胸の高まりが治まる兆しは見えない。  これ以上変な気持ちにならないように、耳をふさいで机に突っ伏した。 ………。 ……何なんだろうな。  どうにも疑問が出てきてしまう。  それでも時間がたてば教師がやってきて授業が始まり、ほっとした。 ……この落ち着かない気持ちも、勉強に集中していれば、紛らわすことができるだろう。  起立、礼を済ませて再び席に着く。  窓の外は、相変わらずの大雨だ。  さっきよりも勢いが強くなったかもしれない。  けだるい授業の中、教室内は静まりかえる。 ……何なんだろうな  やはりそんなことを考えながら、私はしばらくぼんやりとしていた。 ………。  二時間目の授業が終わって、休み時間に入った。  この学校は変則的な時間割をしていて、朝にホームルームがない代わりに、二時間目の休み時間にある。 ……外は相変わらずの雨だ。  時折たたきつけるように雨が窓ガラスを震わせるので、風もずいぶん強くなってきたことがわかる。  傘を持ってきているので、帰りの心配はいらないけど、ここまで酷いようだとやはり子犬の様子が心配だ。  どうしようか…… 選択肢2 a、図書館へ行って時間をつぶす  →[[琴実:6/16 c]]へ b、とはいえホームルームに出ないと…… →[[琴実:6/16 e]]へ c、帰る。学校嫌い。 →[[琴実:6/16 d]]へ ----

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