二話


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ごめん……大丈夫、だから


ごめんね、ちょっと……失敗しちゃった、みたい……




真白な意識の中半濁されるのは自分の言葉。
目蓋越しに眼球を刺激する柔らかな日差しが高町なのはの意識を浮上させる。


「ふぇ……?」


ぱちぱちと大きな目を瞬かせて、なのははゆっくりと上半身を起こした。

目を覚ますと――そこは知らない場所でした。

なんてベタな、と思いつつもゆるゆると体を起こす。
それと同時に記憶の整理を始めた。

最後の記憶。アンノウンの襲撃で負った傷――意識を手放す前のヴィータの泣き顔――多分、自分はなんとか助かったのだろう。
管理局の医務室――にしてはやけにアナログというか家庭的というか。

なのははまだ意識のはっきりしない頭を回転させながら首を捻る。
ここは、一体何処なのだろうか?
周りが雪原でない以上、誰かに保護されたというのが妥当――なのだろうが。


(……管理局、にはこんなとこ、なかった……よね?)


自問自答するように口の中でもごもごと呟く。
悩んでいても答えは出ない。
ベッドから降りてなのはは自分の姿を再確認した。

バリアジャケットは展開されたままだが、ボレロはパージされたのか脱がされたのか。
腹部に申し訳程度に巻かれた包帯が後者であることを示唆していた。
どちみち、首に下げられたレイジングハートは健在のようで、チカチカと光り輝いている。


「……大丈夫?レイジングハート」

≪深刻なダメージは存在しませんが、魔法の行使はしないでください≫


ふいに包帯の巻かれた部分に手をやる。
そこで――傷がほとんど痛まないことに気付いた。
少し間接が軋むくらいで、それ以外に支障は無い。
あんな怪我をしたくらいだからもっと障害が残ってもおかしくはないのだが。


≪リンカーコアに少し傷が入っていますが、マスターの体には問題はありません≫


つまり、なのはがレイジングハートを使わずに単独で行使する魔法にはなんら問題もなく使えるわけだ。
少し心もとないが怪我をしていないのでだいぶマシであろう。


(包帯巻かれてるってことは……この姿見られたってことだから、バリアジャケットは修復しない方がいいかな)


介抱してくれた人にお礼も言わなければいけない。
そして、一見何も持っていなさそうな格好なのにいきなり着替えたらおかしいだろう。

念話の接続を試みる。
通信先は――上司でもあるクロノ・ハラオウン。


『クロノくん……?聞こえる……?』

『……のは……?』


ノイズがひどい。
ジャミングをされているのだろうか――にしては詰めが少し甘い。
もう一度呼びかけてみる。


『……クロノくん、聞こえる?』

『い、……おいっ……』


微かに聞こえる声はまるでこちらの声が聞こえてないような態度。
もう一度強く名前を呼ぼうとすると――。


「――――っ、ぁ!?」


ブツン、と音を立てて接続が区切れた。
根こそぎ意識を持っていかれそうな錯覚。
思わずベッドに座り込む。


「う、……嘘?」


額に手を当てて冷や汗を拭う。
ジャミングというか――無理に接続を引きちぎったような強引さ。
念話が通じない。その事実がなのはを無性に不安にさせた。


(と、とにかく誰か、人を探して)


「あ……」

「あ、目、覚めたんです?」


かちり、と視線が合う。
梯子を上ってきていた桃色髪の少女がなのはを見つめていた。