農家である私がスキル「料理」を活用し昼食の準備をしていたところ背後に気配を感じ、その直後に臀部を揉み拉かれました。
「ひゃぅ!」
私が間抜けな悲鳴を上げつつも勢いよく振り返ると、下卑た笑みを浮かべ一人の男が立っています。
認めたくはありませんがこの男が今の私の雇い主であり、仕事内容は彼の身の回りの世話をする事でした。
『やぁおはよう、いい匂いだね。今日のランチは和食かい?』
昼食を食べるような時間になってようやく起床した先にセクハラを行い、まるで何事も無かったかのように日常会話を始めようとする彼の質問には答えず、今まで首だけで振りむいていたのをしっかりと体を彼の方に向けなおし、抗議しました。
「旦那様、再三再四お伝えさせて頂いておりますが、この様な事はおやめ下さい!」
実際には4回どころではなく、ことあるごとにセクハラをされ、その度に抗議をするのですがまるで暖簾に腕を押すかのようにするりするりと躱されてしまいます。
強く憤りを覚えながらも心のどこかで「(どうせ今回も言うだけ無駄なんだろうな)」と思っていたのですが、今回は普段とは毛色の違う言葉が返ってきました。
……最悪の方向性で――
『んー、君はどうやらまだ自分の立場というのをよく理解してないみたいだね』
言葉の調子はいつも通り軽いのですが、その内容は聞き流すことができないものです。
「な、なにを……」
何か言い返そうとしても、二の句が継げません。建前上は雇用者と被雇用者は対等とは言っても、実際にはそうではありません。
ですが、ここまではっきりと口に出して言われるとは思ってもいませんでした。
『僕の気分次第では別に君の勤務内容を"倉庫の掃除"にしてもいいんだよ?まぁ、辞めるという選択肢もあるけどね。他の仕事が見つかれば』
倉庫の掃除……その言葉を聞いただけで身が震えました。うわさに聞く倉庫の掃除、おぞましい姿をした異臭を放つ金色の魔物を狩り、その異臭を放つ体の一部を持ちかえる仕事。
掃除とは名ばかりで自分が掃除をしているのか汚しているのか、魔物の放つ正気を失う魔法も合わさりどれだけ時間が経ったのかすらも認識できなくなるほどの過酷な労働。
莫大な報酬を代償に1週間に1度1時間その仕事を行うだけで徐々に心を病み、二月も経たないうちに二度と働くことができなくなるとの話でした。
仕事にしても生活のためには他の仕事をしなければいけません。しかしこの男、度々いつの間にか高級な品物を所持しておりそれを売却することで莫大な富と、それに応じた影響力を持っています。
一声かければ私の新たな勤め先など延々と見つかりはしないでしょう。
例えどれだけ理不尽に思おうとも、この場において私が折れる以外の選択肢は存在しませんでした。
「……無礼な口を利いてしまい、申し訳ございません」
悔しさに唇を噛みしめ、頭を下げます。これからも旦那様によるセクハラは続くのでしょう、次からは抗議することすらできません。
『いいよいいよ、仕事さえちゃんとやってくれれば。さっそく仕事をしてもらおうかな』
「……はい、直ちに昼食をお持ちします」
昼食を作っている最中であったことを思い出し、調理を再開しようとします。しかしそれを旦那様の言葉が遮りました。
『――そっちは後でいい、先に僕の世話をしてくれないかな』
……もう一度振り返り、旦那様の言うことを理解しました。旦那様はたった今起床したばかりだったことを思い出します。
一瞬頭に血が上りましたが、それでも口から抗議の言葉を発することができません。
ここで拒んだ結果がどうなるのかというのは、先ほどのやり取りで十分に理解しています。
「……はい、わかり、ました……」
私の返事を聞いて満足げに笑うと、旦那様は踵を返し歩き出しました。ついてこいということでしょう。
寝室を前にして旦那様が立ち止まります。
『ん……じゃあ、そこの壁に手をついて。あ、スカートもあげてね』
どこまでも悪趣味な男です。
寝室の前まで来ておきながら、どういう気まぐれを起こしたのか旦那様はそう言い放ち、私を壁の方へ促します。
もうすでに抵抗する気さえ起こせないでいますが、壁に手をつこうと片手を挙げるとこれからされることへの恐怖か手が震えていました。
それでもなお状況はこの場から逃げ出すことを許してはくれず、ゆっくりともう片方の手をスカートの方へと
(省略されました。全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください)
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