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移ろうは 水面の下に 見ゆるもの

~エピローグ~ バラード"悪夢を滅す者"



冒険者達の戦いは、かつての小神の神話だけでなく、アナビス=フォウンテインの引きずる、過去との戦いにも一つの幕を下ろした。
ルキスラに戻ったアナビスは、冒険者に復帰することなく、ミシェルらの家に身を置きながらルキスラのザイア孤児院で孤児達に勉強を……
未来を、育む道を選んだ。
曰く、
「冒険者の仕事が結果的に未来を守るものがあるのなら、守られた未来をよりよきものに育むことも大事であろう。
 そして、我々を守るものたちの事を、より知ってもらう為に……私はそれを伝える役目を自らに課したい。」
とのことである。



後日~竜の篭にて
ノノ「それにしても、皆様の活躍はすばらしかったですわ!レポートの方も大分はかどっていて、早く世に広めたいですわー。」
報酬の支払いに来たノノが、興奮冷めやらぬ様子で皆に語る中……会話には混じらず、アナビスはペンを片手に本と格闘中で……
グララン「へぇー…なになに?オラにも聞かせておくれよ。」
と、そんな中、会話に入ってきたのは……
"幸せの青い小人"ことブルー・リブ・べレット。
ノノ「よろしい、ならば語りますわ!夢現神ラン・ト・ミクティスと、その神話を終わらせし英雄の話を!」
ブルー「ん?夢現神?神話が終わったってー……じゃあもういいのかな?」
ノノが語るより早く…ブルーがハープを爪弾く。
その旋律にのって詠われるのは――


『デュランディルと呼ばれし時代。賢神に導かれ、神となりし小さき者あり。
 彼の名はラン・ト・ミクティス。夢現神と伝うる。
 彼の小神、作家にして、その力は夢より現を、果てに希望を創り出さん。
 されど戦乱、彼の者に平和に至る武器を。死を招く力を求め……
 果てに小神、その姿を変え……其れを嘆き、歴史の終わりのしばし後、その姿を消さん。
 彼の小神、己の中にうまれし禍き心を切り離し、鏡に映る己に与えん。
 されど神を分かつは一つの鏡。故に切り離すことはあたわず。
 後に禍き心、世界を異にする者に連なり……その内に狂気を根ざす。
 蝕まれるは残りし良心。過去に籠もりて、唯、終焉の刻を待たん――』

ブルー「……これかな?」
ハープを奏でる手を止め、にっこりと笑って。
ノノ「なななな、何で知ってますの!?私が散々探してたというのに!?そもそも、地上の文献は文明の崩壊に乗じて彼が消し去ったって……!」
ブルー「あー。出所がこの地上じゃないらしいからね。おっと、これ以上はぷらいばしーだからヒミツ。
    この詩もその神様がいなくなってから詠っていいって約束で教えてもらったしね。」
ノノが驚愕に絶句する中、ブルのーの興味は移り……


ブルー「おっと兄さん、何やってるのかな?…んと、『悪夢を滅す者』…?ああ、バラードだ。ふーん……」
手の止まっていたアナビスから、本をひったくって中に目を通してひとつ頷き。
アナビス「な……っ!?いや待てそれはまだ人に見せるものじゃ…!」
あわてて取り返そうとするのをブルーが軽々とかわし……ひょい、とテーブルの上に腰掛け、ハープを鳴らす。

ブルー「うん、曲はこんな感じでいいかな、それじゃせっかくだから広めようか、異国の地での英雄の詩。バラード"悪夢を滅す者"……ご清聴を。」

そして、この小人の詠う詩は……やがてルキスラ中に広まって――


一つの物語に、幕が下りる。




移ろうは 水面の下に 見ゆるもの

     忘れじのヒト  忘らるるカミ



古の 忘らるる神 過去に去り

  ただ 英雄の詩 現代(イマ)に残して



バラード"悪夢を滅す者" より、冒頭4行

                       ―― 完