“竜篭に咲く小さな花” ネリネ (アルラウネ・ルージュ/女/?歳)

「今日の陽射しはやさしいですね。光合成日和です。ふあぁ……zzZ」

 魔神が持ち込んだ文献の記述を元に、魔動機文明時代から闇で繰り返し続けられてきた一つの研究。
+ 異質文献「魔神王への供物」
◇異質文献「魔神王への供物」
「……白き穢れを知らぬ花に、魂宿る血を与え続ければ稀に、魂を宿す花人が生まれる。頭上に咲く純白の花弁は淡く朱に染まり、人の子のごとく成長を続ける。
 この名も無き花が別の魂を求める時、煌めく花粉を散らす。それは何者も抵抗の余事を与えぬ媚薬の素となる。
 この名も無き花が枯れる時、世界樹に愛された花人へと成長する種子を結実する。その実はあらゆる病・毒・傷を癒し、呪いまでも消し去る万能薬の素となる。
 これは異界のマンドラゴラ、その魂は我らが神への最高の供物なり……。」

 その研究により生み出された花人を当時の狂信的な研究者は、「アウラウネ・ルージュ」と名づけた。
 大破局による混乱により闇に埋もれたこの研究を引き継いだ天才学者グレーによって、アウラウネから生み出された、現在唯一のアウラウネ・ルージュがネリネである。
 ネリネの名は、グレーの魔の手からネリネを開放した竜の篭の冒険者の一人、エレクトラによって名づけられた。(3/13 プランツ・ドール)
+ 隠された絵本 第6章「さまよう魂」 第1節「小さな花の名は...」
◇隠された絵本 第6章「さまよう魂」 第1節「小さな花の名は...」
その小さく儚い名もなき花は、
何の因果か、人の魂を背負わされ、
人の姿で生まれてきた。
その運命はガラスでできた筒の中、
赤く揺らめく視界の内で、
白い衣を羽織った父母に、
ささやかな微笑み浮かべる変わらぬ日々。
そして辛く厳しい試練の果てに、
短い生涯を何も知らずに終えてゆく。
そんな輪廻を繰り返すうち、
不意に地界へ放たれる小さきその花が
悪夢に終われ辿りつく、
神のつむぐ運命にさえ捕らわれぬ、
在るがままにある者たちの集う場所。
竜の運ぶ篭の内、
その小さき花は運命の輪を切り開く。
その行く末は・・・

 竜の篭亭にいるときは日没から深夜閉店までウェイトレスとして働いている。昼間は中庭や酒場の日当たりのいい窓辺で椅子に座って眠っている、本人曰く光合成をしているのだそうだ。
 ウェイトレスとして働いている時に、思わぬ出来事(酔っ払いに絡まれたり、皿を割ってしまったり)に遭遇すると、アルラウネ由来の金切り声が店に響き渡る。抵抗に失敗して気絶するのは新米冒険者ぐらいであるが。本人には深刻な悩みの種である。(4/4 その花の名は...)

 日没後、市場通りにお使いに行った帰りにごろつきに絡まれた。そのときにカウンに助けられる。カウンに出会ってから蕾のままだったネリネの頭上の花は開き始め、煌めく花粉を辺りにばら撒いた。
 花粉には魅了の力があり、一時期一般人を巻き込んだ親衛隊まで作られるほどの騒動に発展した。
 結局ネリネの初恋は実ることは無かったが、頭上の花は枯れ落ち、人と寸分違わぬ姿に生まれ変わる。その際花が残した種はカウンが所持していた瓶詰め妖精の空き瓶に植えられ、その瓶に封じられていた人工妖精ウィル・オ・フィスプに見守られ、ネリネがよく昼寝をしていた日当たりのよい窓辺に置かれていた。
 芽を出してからは竜の篭の店長ロディを始めとした従業員たちに大事に育てられ、ネリネにそっくりな小さなアウラウネに育ち、竜の篭に新たな彩を添えている。その小さなアルラウネの名は「プチネリネ」という、ロディの呼称がそのまま定着したものである。瓶詰め妖精ウィルは、現在プチネリネの花の中を住処にしている。(4/7 異界の花と人形と)

 プチネリネはネリネの仕事が終わるのを待って、二階に繋がる階段の踊り場に設置されたソファーの上で一人、絵本を読んで過ごしている。あるときそこに設置されていた鏡に引き込まれ行方不明となる。鏡面世界を移動する低級魔神に連れさられたのだが、居合わせた新人冒険者たちに助けられる。以降ネリネはプチネリネを自分の側から離そうとしなくなった。(5/2 鏡面世界の花園)

 とある依頼で楽園を追われた幼いマンドラゴラの少年少女?が、竜の篭に戻る新米冒険者たちの後を着いてきてしまい、中庭に密かに住み着いている。プチネリネはよくその二人?と楽しく会話しているようだ。(5/3 滅び行く楽園)

 ネリネは現在ディザ周辺領を治めるアイカ・ディザフィールド侯爵のもとで、直属メイドとしてプチネリネと一緒に出張している。

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最終更新:2009年10月21日 05:05