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マンチ・グループSS


合計点<+24/『皇すらら』まで>




『皇すらら』<+2/千尋>


 皇すららが死んだ。
 何が起こったのか、最初は理解できなかった。
 理解できなかったのは、すららが死んだことではない。
 みながおれに対して武器を向けることだ。
 分けが分からない。
「近づくな!」
 自陣に戻ってきたおれを最初に拒絶したのはMUSASHIだった。
「おぬし……まさか……」
 MUSASHIは、おれの足元に目をやる。
 特におかしなところはない。皇すららが死の間際まで連れていた子犬がいるだけだ。
 かわいいやつだ。おれになついたのか、おれの足元をぐるぐると歩いている。
「そ、そのカラダ……どうしたの?」
 夜渡咲が、分けのわからないことを言う。
 一応、自分の掌に目をやる。仲間たちと見比べるが、特に違和感はない。
『いったい、どうしたって言うんだい?』
 仲間たちに尋ねるが、仲間たちは「青ざめた様子」でおれを睨むだけで、おれの問いに対して返答はしない。
「ほんとうに……雨月病なのか? そのカラダ……まるで、化物のような……」
『何をいってるんだよw』
 おれはみんなの、おびえた様子があまりにおかしくて、思わず噴出した。
 空色の粘液が、口から飛び散り、仲間たちにかかる。
 仲間たちは悲鳴をあげながらそれをぬぐい、一目散におれから逃げていく。

 おかしかった。
 何がおかしいかって?
 それは仲間たちが、おれを見て震え上がっているところがだ。
 自分たちだって、もうすでにこの子犬によって、化物へと書き換えられてしまっているのに、それに気づいていない。
 これが滑稽と呼ばずして、何を滑稽と呼ぶのか。

 今ならわかる。皇すららの連れていた子犬は、本当は子犬なんかじゃない。
 やつのへそから頭に伸びている、ツタのようなモノ。その先端から飛び出した小さな花は、今もなお胞子を振りまいている。
 やがて化物と化してしまったおれたちも、この子犬と同じように大量の胞子をばらまき、多くのモノを化物へと変えてしまうのだろう。
 鼠算式に化物は量産され、おれたちはその終着点を見ることなく、皇すららとして消えていく。
 この「おれ」という意識もすでにあやふやで、もはや本来の自分の両親の存在すら思い出せない。
 頭の中にあふれてくるのは、「皇すらら」としての記憶や思い出ばかりで「おれ」という人称には違和感しかない。
 それでもおれが「おれ」をおれと呼ぶのは、自分は一度でも雨月病という人間であったことを忘れないためだ。
 いや、雨月病さんを、化物の「私」が忘れないためか。

『マダマテ、おまえは何者なんだ?』
 足元の子犬にそう問いかけるが、子犬はもういなくなっていた。
 皇すららが死んでから、すでに二時間くらいがたっている。
 恐らく、今頃はMUSASHIや夜渡咲の二人も、この子犬がしたように胞子をばらまき、他のチート会のメンバーを、化け物へ変えて回っているだろう。
「皇すらら」の記憶が思いが、おれたちにそれを求めるなら、おれたちに抗うすべはない。
 なぜなら、おれたちがおれたちであるという、アイデンティティは破壊されているから。
 そして例え欠陥品でもおれたちは「皇すらら」そのものなのだから。


『残酷なニートへのアンチテーゼ』<+1/千尋>


いきなり変なおっさんに召喚されてパニックに陥っていた千尋の頭に、ようやく平穏が戻ってくる。
晴れやかな天気。
晴れやかに走っていくダンゲロス子。
そして晴れやかな殴打の音。
「…………え?」

千尋がそちらを見やると、
先ほど自分を呼んだおっさん顔が、一人の少女とその守護霊に暴行を受けている光景が見えた。
「……?」
よくよく見てみるが、もちろん変化はない。
三田が、紅青紫黄 緑にボコられている風景が見えるだけである。
呆然とする千尋に、てんこが優しく声をかけた。
「どうしたの?」
「え、えーっと」
「ああ、なんでこんなことになってるのかね」
「それはね!」
てんこが答えようとする前に、Dr.ルナが割り込む。
「あのおっさんがニートだからなの!」

「……に、にーとだから?」
「そう!」
「え、でも、学生はニートとは言わないんでしょう?」
「いいえ。彼は学生ではないわ。あんな顔の学生がいるわけないじゃない。彼はニートよ」
びしっと三田を指さしながら、ルナは決めつける。
その間も、緑は殴るのをやめていない。
拳の威力はさほどでもなさそうだが、一撃一撃に凄まじい気迫がこもっている。
「……たしのちひ……に何……としてるのよ!」とかいう声を発しているが、千尋には言葉は聞き取れなかった。
「そんな……でも、どうして?」
「それはね!」
先ほどと同じく、ルナが声を張り上げる。
「実はあのお姉さんは、あのおっさんを思いとどまらせようとしているの!」
「……?」
「厳密にはね、あのおっさんはまだギリギリニートではないの。でも、もしニートと認定されてしまったら……」
「……しまったら?」
「大変なことになるわ」
重々しい顔で、ルナは言う。
「大変なことって、どんなこと?」
「そうね……たとえば、あんなことかな?」
そう言って、ルナが指さした先に。

死体が転がっているのが見えた。

ノートPCを抱きかかえた女である。
「……!」
立ちすくむ千尋に、さらにルナは続ける。
「かわいそうに。このネトゲ廃人のお姉さんはね、ついにニートとして認定されてしまったのよ」
もはや芝居がかった態度である。
「ニート認定された彼女を、組織の奴らが……」
「組織!?」
「捕らえられて、死ぬより怖い目に遭うよりはと、彼女は自ら手首を……」
「自殺!?」
「だからね千尋ちゃん」
ルナは、顔を千尋に近づけて言う。
「ニートにだけはなっちゃダメよ。もし、二十八歳くらいにもなって『働きたくねえ』とか言ってたり、狭いところに引きこもってたりしたら……」
千尋はぶるぶると震える。
ボディーブローをもらい続けるおっさんと、哀れにも暗がりに転がっている死体のことを考えながら。
千尋は決意した。
ニートにだけは絶対なるまい。
もしニートになってしまったら、絶対に殺されてしまう。
ニート→死の直通ルートが、千尋の脳内に描かれていた。


黙って見ていたてんこが呟く。
「ところで、それだとあたしもニートになっちゃうんじゃないのか?」
「え? お姉さん、ニートなの!?」
千尋のその問いにてんこが答えるよりも早く、ルナが否定した。
「やだなぁ! てんこちゃんは可愛いからいいの! 妖狐だし!」
「関係あるのか?」
「かわいいは正義!」
「……ま、あたしは学生だけどな」


『パラダイスロスト』<+2/千尋>


――長い間家に閉じこもって誰にも会わなかったりすると、外に出るときにふと思うことがある
――ドアを開けたら人類が絶滅していたりして
――それとも、宇宙生物が地表を覆いつくしてたりとか

その日は空が良く晴れた、いわゆる小春日和だった。
「こんな真昼間から戦争だなんて、本当ばかばかしいって言うか」
「言えてる言えてる。やりたい奴だけやってればいいんだよね」
仲間達は心底気だるそうな表情をしている。
対立するグループとの決戦の火蓋が、既に切って落とされたというのにだ。

「知ってる?今回私たちタダの駒としか思われてないんだってよ」
「マジかよ。ますますやってらんないな。大体この戦いって何が目的なんだっけ?」
「しらなーい」
「もうさ、プリンだけ出して俺たちサボやっちゃわない?」
そう言ったのは雨月病だ。
つい数日前、彼を引き抜いて以来、みんな段々とこのような調子になってきたのではなかったろうか。
今にして思うと、彼奴はアジのために敵から送り込まれたパイなのかもしれない。
しかし、今更そんなことを疑ってももう遅い。…何より面倒だ。

「俺の知り合いにセバスチャンって奴が居るんだけどさ、そいつの能力がマジすげーんだって」
「何々?」

どうやら話はみんなで隠れて引きこもることに決まったらしい。
「もしもしセバスチャンさん?俺です雨月です。今から一緒にカルドやりません?俺のツレも連れて行っていいですか?」
彼がスパイであれば罠に違いないが、誰一人疑うことなく後について歩いていく。
仕方がない、私もついていくか。何よりこの調子では一人で前線に立たされる羽目になりかねない。


「すっげー、学校の中にこんな空間作れるなんてマジパネェっすね!」
「無線LAN環境も整ってるからネットも出来るよ」
「ここ陽が当たらないから助かるわぁ。私吸血鬼だから昼間は力でないんだよね」
「あ、俺も俺もwww」
すっかり打ち解けてくつろいでいる。
私は流石にそこまではと、見張りをかってでた。
しかし本当に大した物だ、外界から隔絶されたこれほどの広さを空間を作り出すとは。
本人達も中に入っているし、何よりこちらの方が人数が多い。罠かと言うのは勘繰りが過ぎたかもしれない。
「あ、そろそろ1時間過ぎるから一回フィールド解くね」
「えー、せっかく今1位なのにー。あと5Rやってからにしてよ」
「ごめんごめん。今精力がみなぎってるから15分だけ休んだらすぐ2回戦に突入するから」

15分か…。その程度なら周りがどうなっていようと、持ちこたえられないこともないだろう…
周囲を覆っていた壁が、徐々に薄れていく…
不意に、強烈な悪寒が走る。
何か、目の前に何かとてつもなく恐ろしいものが押し寄せてきている。
「セバスチャンとやら、フィールドを解いてはいかん!!」
「そんなこと言ったって無r……

セバスチャンの体がグニャリと歪む。
いや、歪んでいるのは私の視界?
周りを漂っているのは、胞子?
マダ…マテ…


――たまに思うことがある。ドアを開けたらそこに、皇すらら以外のものがいたりして


『混沌の魂』<+2/千尋>


「おはよう、すららちゃん…でいいよね?」
「あ…おはようございます。月読さん。」
「零華でいいよー。ここで何してるの?」
「いえ、ちょっと…私、ここにいてもいいのかなって。」
「? なんで?」
「私は皆さんのようにすごい能力もないし、体も弱いし…」

―確かに。
零華は目の前にいる少女から全くといっていいほど力を感じていなかった。
術士である自分よりも身体能力的に優れたところもなく、
自分の「特殊能力」すらも自覚していないようでもある。
しかし、現に彼女はここにいる。

(…ちょっと、視させてもらおうかな)

零華は自分の能力の一端である「魂を視る」能力を開放し、眼前の少女を視る。

(…? あれ、普通の人間…?
 いえ、でも、何だろう、この『違和感』…
 まるで…、そう、ウチの『人形』たちのような…)

そこへ。
皇すららの愛犬―マダマテというらしい―が走りよってきた。

「あ…マダマテ、どこ行ってたの…?」
「あれ、その子、すららちゃんの―」

瞬間、零華に戦慄が走る。

(…!!!なに…これ…!!)

その「マダマテ」と呼ばれた犬―かどうかは定かではないが―の魂を『視てしまった』。

それは深い闇の極光。
それは混沌と虚無。
総てを呑み込み、書き換えてしまう…「皇すらら」の能力のカタチ。

(これは…何なの…!?
 こんなの…こんな魂…ッ…ありえない…ッ!!
 魂に呑み込まれる…!?
 嫌だ…嫌だ…!)

「零華さん…!?零華さん…!どうしたの…?顔が真っ青…」
「あ…え…う、うん、大丈夫…大丈夫…
 ご、ごめん。ちょっと朝ごはん食べてないから貧血かなー?
 ルナさんに診てもらってくるね!じゃ、またね!」

すぐにこの場から立ち去りたい。立ち去らなければ。

早足で遠ざかる零華の頭に声が響く。
『アンシンシロ。イマハ、ナニモシナイ』
『タダシ、すららニキガイヲクワエルモノガイタラ―』
『ソノトキハ、オマエタチモカクゴスルコトダ』


『マダマテの見る夢』<+2/千尋:面白いけど長すぎる>


マダマテの住む世界は、虚無だった。
世界の名は「アデル」。第6次元と呼ばれる宇宙に存在する、混沌と無が同時に存在する世界。
マダマテはそこで生まれた。
はじめ、マダマテはヒトの姿をしていた。
だが、本当にそうなのかは危うい。彼の世界には、情報しかない。
情報という見かけだけのものであるが故に、形など何の意味も持たなかった。
そもそも、生きる意味も死ぬ意味も、笑う意味も怒る意味も、何一つ依存できる価値観などなかった。
皆、データのクラッシュから勝手に生まれ、生きるのに飽きたら勝手に死ぬ。
そもそも、「あなたと私」というものの定義すらなかった。
データをちょっと書き換えるだけで「私」は何でもできたし、何にでもなれた。
しかし「私」になることはできなかった。
可逆性を持った存在に、個性などなく、皆が客性に支配されていた。
故に「アデル」の住民は皆が兄弟であり姉妹だった。
全体でなければ個として成り立たない「アデル」とは、屋根を一つにする家族でもあったのだ。
だが、マダマテはそれを善しとしなかった。
彼は抗い、常に異質であろうとした。しかし、それを為すための価値観が無かった。
故に、彼は虚勢は張っても、いつも空っぽだった。

ある日彼は、ふとした偶然により、自分の住む世界とは異なる次元の世界――ルンビニーへと迷い込んだ。
それは創造主を越え、あらゆる宇宙を支配する神を超えた存在を、さらに超えた超越者の計らいによって、「個」を追い求めた彼にだけ与えられた特別な能力だった。
マダマテは、「アデル」と「それ以外の別世界」とのゲートを開き、自分を含めた概念や物質などを召喚する力を得たのだ。
そして、彼はルンビニー世界で「皇すらら」と出会うこととなる。

彼は「皇すらら」に恋をした。雄も雌も無く、何にでもなれる彼を本当に「彼」と呼ぶべきかはわからない。だが、少なくともマダマテは「皇すらら」から何かを感じ取り、そしてそれに惹かれたのだ。
故に、彼は「皇すらら」子犬の姿で彼女に近づいた。
種を別にし、さらには生殖の概念が無い彼にとって、同じ人間の姿で彼女と出会う必要はなかった。
道端で一人と一匹が出会ったとき、皇すららは、なぜその子犬が自分にこんなにもなついてくるのか分からなかった。
しかし、兄弟が欲しかったすららは、自分になついてくるその子犬を気に入り、彼を家族に迎えることにした。
両親は渋ったが、世話は自分が一人ですると言って、すららは両親を説得した。

それからしばらくして、彼にとって大きな誤算があった。
すららが彼に、自分が好意を抱いている異性の話をするようになった。
マダマテは絶望した。
何も持たないが故に空っぽだった以前とは違い、今度は満たされていたものが、突如として消えたのだ。
彼は、その苦しみに耐えられず、自ら死を選んだ。

一方で、すららの方は、兄弟のように接していたマダマテが消え、深い悲しみに包まれた。
マダマテの存在は、彼女にとってかけがえのないものだったのだ。
彼女は家に篭りがちになり、最後には学校にも行かなくなった。
それを見かねて、すららの両親は、彼女を転校させた。
新しい学校で、すららは新しい友達とふれあい、少しずつ以前のような明るさを取り戻していった。

だが、マダマテの残留思念――クラッシュデータ――は違った。
マダマテの心は変質した感情に支配されるようになり、やがて憎しみや嫉妬といった負の感情が満ちていった。
屈折した感情に支配されていたマダマテが、過ちを犯すのはある意味で必然だった。
それはすららの修学旅行の帰りだった。
無邪気にはしゃぐすららの笑顔――それが自分に向けられていない。マダマテはそれを苦々しく思っていた。
やがて、クラスメイトの一人が、こんなことを言い出した。
「すららって宮部君のこと好きでしょ?」
マダマテは凍りついた。
「そ、そんなことないよ!」
すららは、顔を真っ赤にして首を振るが、マダマテの思考は停止していた。
『コロシテヤル』
その言葉が何を意味するかも分からず、マダマテはそう呟いた。
彼には殺意という概念が理解できなかった。ただ漠然と、この世界の言語を表面的に使ったに過ぎなかった。
だから、マダマテは自分が何をしているのか理解できなかった。

分けもわからず、マダマテは適当な男子生徒にとりつき、すららを含めた四十四名を皆殺しにした。
正確には、殺したのは運転手一人であったが、その結果バスは崖下へと転落した。
マダマテは男子生徒から離れると、額から大量の血を流し、冷たくなってしまったすららを見て絶望した。
『コンナハズジャ、ナカッタノニ』
マダマテは、ふとした思い付きで、バスを含めた周辺の空間そのものを全て『皇すらら』へと変えようとした。
しかし、記憶や心まで、再生しようとしたためか、あまりに複雑なプログラムは大量のバグを生み、それは結果として『皇すらら』とはあまりにもかけ離れた異形の化物と化した。
それは、たとえ死体であっても同様で、情報量や複雑さはさほど変わらない。
マダマテ自身は、「アデル界」のものなので、自分自身を『皇すらら』に変えることは容易だが、それはマダマテにとっては意味が無い。
だが、マダマテは諦めなかった。いや、諦めきれなかった。
一つ一つは欠陥品でも、中には正常な部位があるはずで、それを集めれば完全な形で『皇すらら』を蘇らせられる、そうマダマテは考えた。
故に、マダマテは、木や草、空気やバスのタイヤさえ『皇すらら』へと書き換え、足りない部位を補充しようとした。
そうして作られた『皇すらら』は完璧なものに見えた。
しかし、大きな欠点があった。それは寄せ集めであるが故に、あまりにもその命は脆かったのだ。
だが、マダマテの心は満ちていた。
自分がいなければ、『皇すらら』は満足に生きながらえることができなくなった、その事実だけでマダマテは、全てを手にした気持ちになれた。
この先、別の誰かが『皇すらら』に近づこうと、もはや自分の優位は揺らがない。

「マダ……マテ……?」
皇すららがそう自分に問いかける。
マダマテは以前と同じ姿で、彼女へ駆け寄る。
新しく生まれたすららは知らない、自分がどのように生まれてきたかを。

マダマテが用意した整合性の取れた舞台で、彼女は踊り続けることしかできない。
バスや、その周辺のものは、落下直後の状態を再現され、四十四名のクラスメイトたちは、忽然と失踪した。誰も真実を知ることはできないだろう。
唯一逃げ延びた一人の男子生徒のみが、全ての真相を知っている。
彼のみが全てを知る。


『逆転プリン』<+3/千尋:千尋がかわゆすぎる>


中村「異議あり!今の屁理屈はどう考えてもおかしい!事前にSSで三田と榎本はイケメンだって…」

ENT「異議あり。
   おやおや…往生際が悪いな。こちらは千尋嬢にプリンを5個も進呈しているのだよ。
   文句を言いたければまずはプリンを積みたまえ」

千尋「ほうれふ。ENTさんプリンくれふぁから正しいれふ(もぐもぐ)」

ENT「まあ、反論に必要なプリンがあれば、の話だがね。
  この状況をひっくり返すには最低6個のプリンが必要だ。
  しかしキミたちのチームの残りプリンは1個しかない。
  こうなれば「我々の理論が正しい」という結論に至るのは自明の理ではないかね?
  ハハハ、首脳会談で10個もプリンを使ってしまうキミたちが悪いんだよ」

中村「くッ…もう打つ手はないのか…」

(諦めないでKING!発想を「逆転させる」のよ!)

中村「…!発想を…逆転…!?」

(そう。確かにあなたはプリンを1個しか持ってないないわ。
 でも、その1個が5個以上の価値を持っているとしたら…)

中村「…!そうか…!」

千尋「はぁおいしかった。マンチグループに反論はありませんね~。
   ていうかプリンないから反論は受け付けないですケド」

ENT「当然だ。GKよ、早く結論を下すのだ。」


中村「待った!!!
   マンチグループにはその理論に反論する用意があります!」

ENT「…!フ、苦し紛れに何を言うかと思えば…!
  反論したければプリンを積めと言ったはずだ!積みたくても積めんだろうがな!」

中村「これが…これがマンチグループ最後のプリンです!

『つきつける』
『結昨日プリン』

中村「くらえ!!!
   千尋さん、この巨大なプリンを見てください!」

千尋「!!!」

中村「このプリンは普通のプリンの216000倍の大きさがあります!
   しかも、自己増殖・自己分裂機能も付いたスグレモノ!
   この巨大プリンがあれば一生プリンに困ることはありません!
   プリン5個なんてあってないようなもんです!あえて言おう、カスであると!」

千尋「おっきい…ぷりん…」

ENT「異議あり異議あり異議あり!
  そんなの認められるわけないだろ!我儘な餓鬼か!
  そんな化け物みたいなプリン持ち出したって」
中村「今確かにプリンって言いましたね!ENTさんはこれをプリンと認めたわけですね!?
   さあ千尋さんお食べなさい。そしてよい決断をお待ちしています」
千尋「しやわせー(はぁと)もう中村さんの言うことは全面的に正しいですー」
ENT「ちょwwwwwwおまwwwwwww」

―結果、マンチグループは勝利を掴んだ。
 結昨日プリンの死と引き換えに…


『美味しいプリンの作り方』<+1/千尋>


<材料>
1.カスタード

牛乳 500ml
生クリーム 100ml
全卵 5個
卵黄 2個
グラニュー糖 90g
バニラシュガー 適量

2.カラメル

グラニュー糖 50g


<作り方>
1.牛乳、卵、生クリームを冷蔵庫から出し、常温に戻しておく。
2.牛乳にバニラシュガーを加える。
3.牛乳を60℃程度まで、温める。沸騰させては絶対にいけない。
4.卵を割り、泡立てないようにかき混ぜる。泡立てるとなめらかにならないので注意が必要。

             -中略-

8.オーブンの天板の上に乗せるバットにお湯を満タン注ぎ、 蓋をかぶせる。その後、150℃で35~40分熱する。
9.冷蔵庫で冷やして完成


「以上がとっても美味しいプリンの作り方だプリン。分かったかプリン?」
結昨日プリンは千尋に教えている。

「はい、ありがとうございます!これでプリンさんみたいに美味しいプリンが作れるのですね!!」
千尋は結昨日の体をスプーンですくって食べながら言う。

「いつかはプリンさんみたいに大きなプリンを作ってみたいなぁ。マンチグループさんが持っているプリンは、プリンさんみたいに美味しくて大きいのですか?」

「もちろんだプリンよ!!」

“やべ・・思わず嘘ついちゃった・・ま、いっかだプリン”

「わ~、すっごーい!!羨ましいですわ。」

「ははは・・、千尋ちゃんにもいつか見せてあげるプリンよ・・。」

「本当ですか?!やったぁー!!楽しみにしていますね。」

「ははは・・。」

この瞬間、マンチグループの持つ全てのプリンが3メートル級に巨大化したことを結昨日プリンはまだ知らない・・・・。


『三田ハード』 <+2/千尋:ざんねん。オチが弱い>


「お前は本当にケツの穴の小さい奴だな!」

ドリアンが三田を叱り飛ばす。
発端は三田から相談を持ちかけたことだ。
マンチグループにイマイチ溶け込めない三田は、人生相談が得意と言う噂のドリアンにおずおずと声を掛けてみたのだ。

「お前に友達が居ないのは、おっさん臭いだとかそんなことじゃないんだよ、その卑屈さだ!そこの手鏡で自分のケツの穴の狭さをよーく観察して見やがれ」

「オイ、手鏡ってまさか…」
逃げようとした晶石を鷲掴み、三田の服を引き裂くドリアン。

「ああっ、殺生な!堪忍しておくれやす」

「うるせー!まず俺がポエムにして朗読してやる!
 これはまさに黒き光に潜みし破滅の化身!」

「ちょ、それ俺の能力、つか汚ぇものみせんじゃねー!」

「ほほぅ、これは締まりが良さそうな桜島火口でごわす」

ズボッ!
新たな参加者がアナルにログインしました。

「ひぎぃ…だ、誰だ」

「フジギリでごわす」

フジギリの魔剣・火越死魔が三田をアナル急襲する。

「うおー、俺の助皮も張り裂けそうだぜ。赤頭巾!犯させろー」

「はわわー、やめてくだしゃいー」

魔人の乱交によりマンチ小屋の法則が乱れ、グランドクロスが巻き起こる。

「「俺たちにも犯させろ!!」」

「お前らは、ビッグディック!淫獣ダラム!」

「私に内緒で楽しいことをするなんてイケナイ子たちね」

「鏡子先生!!」

「す、すごい…僕にもこんなに友達が。ありがとう、ドリアンくん!」

『『『イクッ!!!』』』

大団円


「マンチグループ 全選手入場」<+2/千尋>



「地上最強のマンチキンを見たいかーーーーーッ」
「オーーーーーーーー!!!!」
「ワシもじゃ ワシもじゃみんな!!」

「全選手入場です!!!!」

「木下は生きていた!更なる研鑽を積み人間狂気が甦った!
 普通!木下恭介だァー!」

「タミフルXはすでに私が完成させている!
 マッドドクターDr.ルナだァー!」

「範囲に入り次第変化させまくってやる!
 女子高生代表 皇すららだァッ!」

「素手の殴り合いならDP1ポイントがものを言う!
 ゲーマーの妖狐 てんこ!」

「真の護身を知らしめたい!
 自分を映す鏡 深淵の晶石だァ!」

「タイマンなら絶対に敗けん!
 ヤンキーのケンカ見せたる 特攻隊長ダンゲロス子だ!」

「ルールのないケンカがしたいからこんな能力になったのだ!
 プロのケンカを見せてやる! PK%(ry【文字化け】!」

「めい土の土産にDPとはよく言ったもの!
 達人の奥義が今 実戦でバクハツする! フジ一族 フジギリ先生だー!」

「戦いたいからここまできたッ キャリア一切不明!
 勇者の仲間 ううううだ!」

「デカアァァァァァいッ 説明不要!
 3m! 結昨日プリンだ!」

「能力は実戦で使えてナンボのモン!
 超実戦能力!ドリアン助皮の登場だ!」

「千尋は私のもの 邪魔する転校生は思いきり殴り思い切り蹴るだけ!
 紅青紫黄 緑&橙」

「自分を試しにマンチグループへきたッ!
 ”未熟者”白金茉璃!」

「敵召喚に更なる磨きをかけ
 ”課長クラス”三田康成が帰ってきたァ!」

「絶対領域に死角はないッッ!
 女性型アンドロイド EA01!」

「韓国四千年の金技が今ベールを脱ぐ!
 韓国から 金超好だ!」

「ファンの前でなら私はいつでも全盛期だ!
 痛い発言 聖天使猫姫☆ミ 偽名で登場だ!」

「神父の仕事はどーしたッ 闘士の炎 未だ消えずッ!
 治す壊すも思いのまま! 神宿内 憲次だ!」

「特に理由はないッ 駒沢が許せないのは当たりまえ! 寂聴にはないしょだ!!
 マジで許せない!駒沢がきてくれたー!」

「暗闇で磨いた非実戦能力!
 マンチグループのデンジャラス・術士 月読零華だ!」

「木下だったらこの人を外せない!
 すごいディック男木下だ!」

「超一流宴会部長の超一流のものまねだ!
 生で拝んでオドロキやがれッ 派遣会社の社員 ケミカル・サンタナ!」

「強制移動能力はこの女が完成させた!
 18禁の切り札! 赤頭巾ハードだ!」

「若きKINGが帰ってきたッ
 どこへ行っていたンだッ ヤクザクワガタッッ
 俺達は君を待っていたッッッ
 榎本和馬の登場だーーーーーーーッ」

「以上24名にてマンチグループを結成しますッッッ」


セバスチャン・MUSASHI・雨月・播磨・出島SS『あっぱれ!播磨大先生』<+2/雨月がキチガイすぎる……>



雨「あー、だりぃ……」
播「どうしたんだい? 雨月くん。君らしくも無い」
雨「そーっすかぁ? 播磨さん、おれマンチ・グループにいたときもこんな感じっすけど。あー、でもなんつーかチート会に入ってからは、以前の1.4倍くらい、やる気が起きないんすわ」
播「またなんで?」
雨「なんつーか、おれ自身が変われるっつーか、自己改革っつーか。チート会のメンツに挨拶して回ってたときは、なんつーか『なんかやったるぜぇ』って、すんげーやる気あったんすけど、いざここの色に染まってみると、なんつーか、もうだりぃ」
播「なんだなんだ? 若いんだからしゃきっとしなさい」
雨「そんなら、セバスチャンの方に言ってやってくださいよぉ……。なんつーか、あいつこんなとこにまで布団持ってきて、あれ連れてきたのも播ちゃんじゃないんっすかぁ?」
播「……播ちゃんって……」
セ「働いたら負け! 働いたら負け! 故に常勝! 故に常勝! 我無敵なり! 我無敵なり! ATフィールド! ATフィールド! 展開! 展開!」
播「何をしてるんだい?」
セ「うわぁぁああああああぁあああぁ! ATフィールドが侵食されたぁぁあああぁあああああ!」
播「ATフィールドって……ただ布団に包まってるだけじゃないか……」
雨「なんつーか、こいつ出島になんかされてから日に日におかしくなってんすよぅ」
播「ほぅ……」
雨「おじゃましまーっす」
播「おい、君まで!」
雨「なんつーか、だりぃっす、ねみぃっす。」
セ「うわぁぁああああぁああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、超絶りぃぃぃぃん!」
播「うーん、ひきこもりの彼を無理やり仲間にいれてしまったのは早計だったかな……」
播「だが、このような輩で超生徒会が満たされれば、マンチとの抗争に勝ったとしても、我々に未来はない……! このままではニート会と化してしまう!」
播「ん? そうだ! 彼らに足りないのは『男としての自信』だ!」
播「マンチとの戦争が始まる前に手を打たねばならんな。そして、超生徒会の歴史に『特○係長只野○』が実在したと語り継ぐのだ。そうなれば、セバスチャンや雨月のように、生きる力を失った者たちの励みにもなるだろう!」
播「そうだな……元マンチのMUSASHIくんと……うーん……お! で、出島くん! ちょっと見せてくれ! な、なんて大きさだ!! ちょうどいい! それに君ふたな○か! ん? 悩み? ふむふむ……おぉ! ますますちょうどいいよ! いやぁ、ちょうどいい! 君たちこっち来なさい!」


 そして、マンチ・グループとの決戦前日。
 そこには浜辺を雄雄しく駆け巡る雨月とセバスチャンのBTが!
 真っ赤な暁の光を照り返しながら、その二つのTは黄金のメイプルシロップを迸らせながら、てかてかと輝いていた。

セ「人前でこんなオープンになれたのも播磨先生のおかげです! もう二度とパンツ以外のモノを頭に被せたりしないよ! 僕のBTで女の子はセキメンさ! ラーメン、ツケメンぼくタンメン! はーい! ありがとうございまーす!」
雨「MUSASHIくんのTをしごいてる瞬間、おれの中のあらゆる情熱が爆発します! 人のモノだと燃えるんですね! おれの中のやる気を引き出してくれた播磨先生ありがとう!」
M「(絶句)」
出「ずっとずっと悩んでいたTの悩みが解決しました! こんなミミズみたいなTが欲しかったんです! 播磨先生だいだいだい好きです!」

播「こうして世界は平和になった!」


裏切りの剣豪<+1/千尋>


キャラ:MUSASHI(GUN道の方)

榎本「おい、MUSASHI!裏切るのか!!?一緒にチート会に勝とうと誓い合った仲じゃないか!」

木下「そうだ!今更裏切るなんてサムライとして男として恥ずかしくないのか!!?」

結昨日「ププププリン!プリプリン!プリプリ!!(そうよそうよ!サムライなら武士道を最後まで貫きなさいよ!)」


MUSASHI(GUN道)「みんな、すまん…けれども拙者にも理由があるのだ…それは仲間である貴公らを裏切ってでも、武士道を捨ててでも貫くべき理由なのだ…」


榎本「MUSASHI…」

木下「決意は硬いか…」

結昨日「ププププリンリン…(なら正々堂々敵として殺しあいましょう…)」

MUSASHI「みんな、ありがとう…ひっくうっくく………」

MUSASHIは泣いた。男泣きというやつだ。勝手な理由で裏切る自分を仲間たちは罵ることも無く「敵」として認めてくれたことに対しての涙だった。


…かに見えた。


MUSASHI「…うっくくくく、ククク…アーッハッハッハッハ!!」

MUSASHIは突然笑い出した。この凶行とも言える行いに仲間たちは困惑した。


MUSASHI「なぁーんちゃって☆」

そういい、MUSASHIはおもむろに剣を捨て、二丁拳銃を取り出した。

MUSASHI「仲間なんて知りませぇん☆武士道なんてありませぇん☆だって拙者はGUN道だもの」

そう、彼は正々堂々なサムライたる剣豪ではなかった。チート会より送り込まれた裏切りによるマンチグループの精神の動揺を誘うためのGUN道MUSASHIだったのだ。

この最大の裏切りは大元の狙いは成功したといえる。マンチグループはMUSASHIの裏切りに多大に動揺した。

しかし、MUSASHI(GUN道)にとって最大の誤算があった。それは彼らがその動揺を怒りにのエネルギーに変換したことだった。

決戦の日は近い。それは同時に怒りに満ちたマンチグループによるMUSASHIの裁きの日となるだろう。

終わり


皇すららSS『希望崎へ』<+2/千尋:落ち着け! 心の俳句を詠むんだ!>



「私…希望崎へ行こうと思うの」
 すららは緊張した面もちでそう話を切り出す。 祖父友蔵は絶句し、
「な!! なん…だと……!!」
 とすららを見返す。
 友蔵はすららの両肩をつかみ、叫ぶ。
「おまえは自分が何を言っているのかわかっているのか!! おまえみたいなイイ子があんなとこへ行ったら、三十秒でお嫁に行けなくなるぞ!」
「なら、私おじいちゃんのお嫁さんになる!」
「ダメだ!!!それだけは断じて許されん!!ワシには来年から中学にあがる彼女のアイちゃんがおるんじゃ!!」
「でも、おじいちゃん…」
 すららは食い下がろうするが、友蔵は般若の形相でそれを一喝する。
「それに! おまえはもう高校生。ワシは老け専じゃない…! 冗談も大概にしろ!!」
「……ご、ごめん、なさい」
 溢れ出る涙を見せまいとそれでもとすららは目頭を撫でる。
「希望崎には行かせて」
「あそこの番長さんが私を誘ってくれたの…あそこには私の居場所があるかもしれないから、私行きたい!」
「あぁ、いいよ」
「へ?」
 鼻をほじりながら漫画を読み始めた友蔵に、すららは気勢をくじかれ、ただただ困惑する。
 友蔵はつまらなそうに、すららを見ると、小馬鹿にしたような笑みを向けた。
「ないわぁ、改めて見てみたら、おまえはもうないわぁ。ずいぶん劣化したなぁ……」
 額縁にいれられ机に飾られたすららの幼い頃の写真、それとすららを見比べながら、友蔵は嘆いた。
「今までは朝晩とおまえの作る飯を飽きん飽きんと食っておった。だがもう十分だ。ジジババが食うような漬け物や煮付けなど、もう食いとうないわ!」
 そう言いながら友蔵は食卓に並べられた漬け物や煮付けを全て生ゴミの袋に突っ込む。
 すららは嗚咽まじりに生ゴミに加えられた白菜の漬け物を見る。
「わ、私…おじいちゃんに気にいられたくて…」「ふん、ピチピチの赤ん坊にでも生まれ変わるんだな」
 友蔵は部屋の片隅に置かれたパソコン画面に表示されたアイちゃんをみながら言う。
「ワシは明日からは大好きな半パーカーやフライとチキンをアイちゃんと食うんじゃ、そう決めた!」
「でも、おじいちゃん!」
 意を決したすららは、もはや戸惑いはしない。
 絶望という名のリアルを、今友蔵の心象世界へと振り下ろす。
「アイちゃんはパソコンの中にしか存在しないんだよ…!!」
 パソコンに向けられた友蔵の笑みがガラス細工のように崩れていく。
 そして友蔵は頭を抱え込みながら、獣のごとく天を仰いで絶叫した。
「出ていけクソばばあがぁああぁ!!」
「お、おじいちゃん、どうしたの?」
 友蔵の豹変。すららは、過ちを犯した。
 アイちゃんはいた! 今のあなたになら、この声が聞こえるはず。ペタペタという足音が、あなたの後ろの回廊に木霊する音が聞こえるはず。
「アイちゃんは現実に存在するんじゃあぁぁあぁぁ!! 出て行けえぇぇええぇ!! 出て行けえ!!」
 友蔵は水盆で自分の頭を叩きながら、壁に向かって踊り出す。
もはや底にいるのは友蔵ではなく、一匹の魔物に支配された孤独な狼戦士だったのだ。
戦え!現実(リアル)と。
「友蔵だいばくはぁぁあつ!」

居たたまれなくなったすららは、その日の内に荷物をまとめて家を出た。


寂タンリスペクト・駒沢の苦悩~マンチグループにて~<+2/千尋:トーナメント……だと……>



「はぁ、はぁ、はぁ… ここまで逃げればもういいだろう…」
赤頭巾の少女をかかえて走ってきた駒沢は立ち止って息を整える。
「まったく…こんなに走ったのは体育の授業以来だ…」

と、そこへ、
「…こまざわせんぱぁぁぁぁい!どこまで行くんスかぁぁぁぁ!」
ものすごい勢いで走ってくる少女・白金茉璃。
その声を聞いて、今まで幸せそうに駒沢の胸に埋もれていた赤頭巾の少女がすごい形相で睨みつける。
「あの女…!まだついてきたの?しつこいわねぇ…!」

対峙する二人の少女。
「お兄ちゃん下がってて!やっぱりこいつ殺さなきゃ!」
「またあんたっスか!ボクは駒沢先輩に縫物を教えてもらおうと…」
「嘘だッッッ!この泥棒猫!覚悟しなさい!」
「…仕方ないっスね。ちょっと痛い目を見てもらうっス…」

刹那、白金を中心に緊迫した空気が立ち込める。
どさくさにまぎれてその場を去ろうとした駒沢も身動きが取れず立ち尽くす。
「な…ちょ…白金さん…!」

その静寂を破るかのように遠くから駆けてくる人影が一人。
「オラオラオラー!喧嘩ならこのアタシも混ぜろー!!」

どっかーん。

「こ…今度は何なんだ…!?」
金縛りが解けた駒沢が見たものは、マンチグループいちの喧嘩好き、ダンゲロス子であった。
「げほげほっ…ちょっと、いきなり何っすか?」
「また新しい女!?あんたも駒沢お兄ちゃんを…」
「おっ!いいねいいね~♪火事と喧嘩は希望崎の華!さっさとおっぱじめようぜ~?」

さらに、後ろからまた何人もの女子生徒が走ってくる。
「ちょっとゲロ子ちゃん、いきなり走って行ったと思ったらまた喧嘩してる~」
平和を愛する紅青紫黄 緑。
「うふふ、楽しそう~。ゲロ子ちゃんがんばれ~。」
黒づくめの少女、月読零華。
「みんなぁ…ボクのために争わないで…にゃん☆」
言動がちょっとアレな聖天使猫姫。
「アンタのためじゃないでしょ。いいわよ、誰か死にそうになったら私の薬の実験台になってもらうから」
マッドサイエンティスト・Dr.ルナ。
「…あの…争いはいけないとおもいます…」
犬(?)を連れた少女、皇すらら。
「そうよぉ。こんなとこで暴れられたらゲームに集中できないじゃない」
ゲーマー美女、てんこ。

「結局、争いの元は何なのさ?」
「駒沢先輩がはっきりしないのがいけないんス」
「駒沢…ああ、うちに新入りが入るっていってたわね。この子たちがそう?」
「あんたたち…お兄ちゃんは誰にも渡さないんだからね…!」
「うふふ、駒沢さんたいへーん。」
「じゃあさ、駒沢さんを景品にして誰が強いか決めようぜ!」

そして、誰からともなく(たぶんゲロ子)言い出した。
「駒沢争奪最大トーナメント」開催…!

駒沢は思った。
「この世界に、神はいないのか…!」