ストーリー

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dking

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AD2009


「まいったな。どういうことだ……」
「まったく、スズハラ機関だけでも手一杯だというのに」

 白ランをまとった二人の男は少女の憔悴しきった表情に溜息を吐く。
 目の前の禿頭の少女――、額にトレパネーションを受けたその少女は、純白のドレスに涎を垂らし、白痴の如くに視線は宙空を彷徨わせる。その姿自体はいつもと変わりないが、げっそりとこけた頬が彼女に起きた異常を物語っていた。

「何者だ。この中村という男。なぜ、千尋嬢を補足している?」
「分からん。だが、問題はそいつだけではない。見ろ」

 白ランを着た男の一人、阿摩羅識あらかが示す先にはもう一人の問題児、ENTという名の男がいた。

「信じられんことだが、この両名とも、千尋嬢の『ルンビニー』に直接介入する能力を持っているらしい。まるで……」
「我ら識家と同じ力、ということか……」

 彼らはその力を『GKコール』と呼んでいると言う。

「だが、問題は彼らが加減を知らぬことだ。彼らの過剰な介入は既に千尋嬢の精神を犯し始めている」
「このままには捨ておけんな……」

 白ランの男の一人、阿摩羅識ぎりかがスッと立ち上がった。

「オレが行こう。魔人の二人如き、オレ一人で十分だろう」
「いや、待て」

 あらかが制止する。

「…………二人ではない。こいつらはそれぞれが既に一派を構成している。中村という男がマンチ・グループ。そして、ENTという男がチート会。彼ら全員を相手にするのはいかに卿といえど骨だろう?」
「ふむ。……では如何にする?」

「なに。いつも通りだ。まずは彼ら自身に潰しあってもらおう。程良く削れたところを一挙に殲滅すれば良い」
「なるほど。それは良いが、となるとオレは行けんな。実行部隊には誰を遣わす? 阿頼耶識のところの姉妹か?」

「いや、彼女たちには別の仕事がある。……そうだ、末那識家に確か新人が入ったはずだ。彼女に行かせよう」
「真名……とか言ったな。新人には些か荷が重いやもしれんが……。期待してみるとするか。」



 ――数日後。

 中村とENT、マンチ・グループとチート会はふとした弾みで出会い、ふとしたことから仲違いし、さしたる理由もないままに殺し合いの抗争へと発展していく。すべては識家のシナリオのままに――。だが、果たして事は最後まで彼らの筋書き通りに進むのであろうか――?

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