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忘れてしまうのは気持ちのいいことだったのか。初めて知った。
耳を悪戯に擽る吐息、薄いくちびる、数度温度の高い体温、ぱさついた薄桃色の髪、肉付きの悪い痩躯。
それはなぜかすべてをきれいに忘れさせてくれる。
偽善、欺瞞、御託の類には関心が持てないので優しいという接頭語は信用しないようにしているが、
それでもこの空間は何故か幼さと相俟ってどこか優しいように感じる。
「…気持ち、いい?」
「…聞くな」
「僕、はね、いいよ?」
「意地の悪い、そんな風に言われたら、俺も応えなくては、ならないだろう」
「…う…ん、キッドの口から聞いて、みたかった、から?」
揶揄する声と這う指、絆しながら責める熱でゆっくりとコロイドと霞む意識、翳るクロナの瞳のなかの光。
見つめていると自分さえ手放してしまいそうになるので指を伸ばせばその先には器物のような頬。
そこにはすこしの焦燥ととおくの夢を見ている泡の色。死の夢を見ている者の顔はこういうものなのかと俺は妙に納得をした。
しかし、指は軽く歯を立てながら舌の裏で包むように舐められて、そのようなささやかな抵抗に期待する。
「…ん、いい。…たまらない。」
短く肯定の意志だけを伝えるとずくり、と律動する熱とより深く飲み込まれる肉、近づく温度の塊、ふたりの人もどきがただの温度の塊になる予兆。

窓の外は雨。
しとしとと壊れたレコードのように反復する機械的自然音と罅割れていく双方の声。ゆるやかにすべてを忘れていく、波が引くように。
繋がったままどちらからともなく繰り返されるキスに夢遊病のように応じながら呟く、好きだ、という言葉にほんとうに、と。(本当に?だったかもしれない)
ほんとうに、俺は。
クロナもそう感じていれば、面白いな、と思った。

…誰かに生き方をどうあってほしいと告げたのはそういえばあの時生まれて初めてのことだった。自分もたいそう偉くなったものだ。
ただ、クロナが人間をやめているのかもしれないとは漠然とその時から感じていたが、もしもそうならばきっと俺も死神失格だろうと、思うのだ。




著者コメント

和姦スキーなのに輪姦後とか書いて自分にダメージきたので短いけど和姦分も


いざとなると肝が据わってるクロナと恥ずかしがりキッド。
戦いまみれの現実逃避にベッドでキャッキャウフフとかどうだろう。